個別報告 I さんの LP−Std
1112 #-2
本日2件目のブログ報告は I さんのチューンナップ作業でLP-Std です。
本日の作業で後は弦を張って調整を残すのみのところまで来ています。
今回はメールお見積もり金額と若干のコスト差が出ておりまして、ポットをギブソン純正のロングシャフトポットとCTSの同じくミディアムシャフトの構成でMV+MT+2LCV サーキットを組んでおりまして、ギブソンのロングシャフトポット2個分の通常ポットの値段差が¥2.000出ております。
この個体は明日中に完成させる予定です。 I さんお楽しみに。
ちなみに、今回は指坂修正がかなり手間が掛かりましたが、若干の説明補足をさせて頂きます。
前回解説した内容で仕込み角が本来4度の筈がこの個体は5度も有り、今回は指板上面角度の修正が0.5度ほどしか修正が出来ていない点に関してですが、なぜ1度修正して4度に出来ないのかと疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんので解説致します。
タイトルは「楽器の設計も物理的な算出が必要」です。
これは関数計算で求められるので、こんなタイトルなのですが、仮に指板の上面をゼロフレットから正確に1度角度修正しますと、指板自体の長さが460ミリほどありますので、タンジェント計算で高さはほぼ8ミリと計算出来ます。指板厚は5ミリ程度しかありませんから、1度の修正自体は不可能なんです。そこで半分の0.5度で削りますとそれでも4ミリも指板端末の厚さは無くなり、指板は1ミリ程度の厚さしか残らなくなってしまうのです。
更に、仮に1度の指板上面角を4度に修正出来たとしても、ヘッドの居る位置はネックの仕込み角自体が5度のままですから、4度のネック仕込み時のヘッド位置より深い位置に存在したままなので、同じ設定音は得られません。
これも計算で求められます。4度の仕込み角と5度の場合ではヘッドの深さ位置はおよそ10ミリ近く違って来るのです。コレだけ違ったら同じサウンドになる筈が無いのです。
じゃあ今回はどうーして対処したワケ? って話しですが、
今回はまずトラスロッドを緩めて順ゾリさせることでヘッドを起こし、4度のネック仕込み時のヘッド位置に少しでも近づけてあげた上で、主に12フレット以降の指板上面を削り修正して、最終的に0.5度程の角度修正を行なっているのです。
大まかな説明ですが、分かって頂けたでしょうかねえ?
とまあ、楽器も物理的な構造が非常に重要だと言う事です。
ワタシが頻繁に行なっている作業にペグのロケーション変更がありますでしょ?アレだって理想的な張力バランスを元に設定がメチャクチャな楽器のペグ位置を修正する事でバランスを整え直しているワケで、データ上の数値からどこをどれだけ移動したらバランス出来るか計算で出せる様にしてあるのです。 言ってみれば、これも独自な設計ノウハウですね。
ですから楽器を作り替えるチューンナップはリペアーマンには出来ませんよ、となるワケです。
なぜならチューンナップの基本はバランス良く鳴リ響く楽器に作り替える作業ですから、まず設計自体が出来ないと話しにならないのです。その上で製作技術が必要とされるので部分的な修理作業とは比較に成らない程のスキルが求められます。
ある意味では最も難しい作業がチューンナップだとも言えますね。
ともかく、少なくともワタシの場合、楽器をどう作るか、どう作り直すか、その判断には関数計算がやたらお出ましになるのであります。 以上、おしまい。

本日2件目のブログ報告は I さんのチューンナップ作業でLP-Std です。
本日の作業で後は弦を張って調整を残すのみのところまで来ています。
今回はメールお見積もり金額と若干のコスト差が出ておりまして、ポットをギブソン純正のロングシャフトポットとCTSの同じくミディアムシャフトの構成でMV+MT+2LCV サーキットを組んでおりまして、ギブソンのロングシャフトポット2個分の通常ポットの値段差が¥2.000出ております。
この個体は明日中に完成させる予定です。 I さんお楽しみに。
ちなみに、今回は指坂修正がかなり手間が掛かりましたが、若干の説明補足をさせて頂きます。
前回解説した内容で仕込み角が本来4度の筈がこの個体は5度も有り、今回は指板上面角度の修正が0.5度ほどしか修正が出来ていない点に関してですが、なぜ1度修正して4度に出来ないのかと疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんので解説致します。
タイトルは「楽器の設計も物理的な算出が必要」です。
これは関数計算で求められるので、こんなタイトルなのですが、仮に指板の上面をゼロフレットから正確に1度角度修正しますと、指板自体の長さが460ミリほどありますので、タンジェント計算で高さはほぼ8ミリと計算出来ます。指板厚は5ミリ程度しかありませんから、1度の修正自体は不可能なんです。そこで半分の0.5度で削りますとそれでも4ミリも指板端末の厚さは無くなり、指板は1ミリ程度の厚さしか残らなくなってしまうのです。
更に、仮に1度の指板上面角を4度に修正出来たとしても、ヘッドの居る位置はネックの仕込み角自体が5度のままですから、4度のネック仕込み時のヘッド位置より深い位置に存在したままなので、同じ設定音は得られません。
これも計算で求められます。4度の仕込み角と5度の場合ではヘッドの深さ位置はおよそ10ミリ近く違って来るのです。コレだけ違ったら同じサウンドになる筈が無いのです。
じゃあ今回はどうーして対処したワケ? って話しですが、
今回はまずトラスロッドを緩めて順ゾリさせることでヘッドを起こし、4度のネック仕込み時のヘッド位置に少しでも近づけてあげた上で、主に12フレット以降の指板上面を削り修正して、最終的に0.5度程の角度修正を行なっているのです。
大まかな説明ですが、分かって頂けたでしょうかねえ?
とまあ、楽器も物理的な構造が非常に重要だと言う事です。
ワタシが頻繁に行なっている作業にペグのロケーション変更がありますでしょ?アレだって理想的な張力バランスを元に設定がメチャクチャな楽器のペグ位置を修正する事でバランスを整え直しているワケで、データ上の数値からどこをどれだけ移動したらバランス出来るか計算で出せる様にしてあるのです。 言ってみれば、これも独自な設計ノウハウですね。
ですから楽器を作り替えるチューンナップはリペアーマンには出来ませんよ、となるワケです。
なぜならチューンナップの基本はバランス良く鳴リ響く楽器に作り替える作業ですから、まず設計自体が出来ないと話しにならないのです。その上で製作技術が必要とされるので部分的な修理作業とは比較に成らない程のスキルが求められます。
ある意味では最も難しい作業がチューンナップだとも言えますね。
ともかく、少なくともワタシの場合、楽器をどう作るか、どう作り直すか、その判断には関数計算がやたらお出ましになるのであります。 以上、おしまい。

