いろいろ山積みでした。
2017 0306 ヨコハマ 小雨
確定申告の時期が来ると仕事量が一気に増しますね。
憂鬱な申告作業を連日こなして何とか終了させました。何年やっても苦手です。
作業の方は写真のNさんの10年ほど前に作成した2本のCCRの作業を本日終了させました。
CCR-HPの方は設定が011~048ゲージに特化させた設定でしたのでメンテナンスのご依頼でしたがネックの仕込み設定に手を加えての作業となりました。もう一方の P-90Wの方はフレットエッジに僅かなバリ出がありましたので、こちらもフレット整形処理を施して仕上げてあります。この2本は7日の出荷となります。
ずっと工房にストラトの試奏品が無いのが気になっておりまして、以前にインフォメーションを頂いていたアメリカのディーラーさんにフェンダーUSAのバーガンディーミストのストラトを手配済みでしたが、ネックに問題があるとのことで急遽フェンダーの生地ネックを再手配して組み上げることにしました。
勿論、スロープヘッド化して鳴りまくりの1本に仕上げる予定です。
諸々
2017 0304 ヨコハマ 晴れ
昨日を含め、4本ほどの作業を終了させております。写真はその一部
一通りの依頼作業を終了後、 t.m.p 夜間部の作業はウクレレのヘッド設定出し。
まあ、簡単に言えばヘッドの設定デザインですね。
ちょうど1本、取り寄せたテナーサイズのウクレレ(CFフレット加工中)があったので設定変更を兼ねて t.m.p ヘッドに作り変えてみました。
やはり t.m.p ウクレレはオールドタイムのゆる〜いデザインにしたいので、パイナップルに富士山のシルエットを同化させた感じでライン出しをしてみました。
1920年あたりにデザインされた様なクラッシックなシルエット。
うん、イメージ通り。 これでいきましょ。(^_^)
経過報告 &
2017 0301 ヨコハマ 曇りのち雨
3月突入ですね。冷えますね。
今日はNさんの t.m.pのチューンナップ・ストラトのフレット再整形とWBHナット交換、ブロックサドルに変更作業です。またネック裏の打痕も修正中です。
ネックの塗装処理が絡む作業ですので、仕上げはネックの塗装修正後になります。
以前お話しした、アコギのブレーシング設計で考案したカーブド・ブレーシングのお話しを致しましたが、作業の合間や終了後にどの程度のRまで曲げられるか、効率的な作業方法を探るための実験を行っています。
実際には柾目材の角材状態で熱湯に浸してベンディングアイロンで熱して曲げ加工するのですが、思ったより時間が掛かりますね〜無理して割れたら意味ないですから。
それでも800R 程度の曲げ処理は可能で、この程度でもブレーシングをカーブさせた効果は十分出せるので、あとはベンディングアイロン自体にも手を加えて、より効率的にベンド出来るようにするつもりです。
写真は南ドイツ産のクリスマスツリー材を角材に加工して長時間燻煙処理してあった物で、ヴァイオリンやビオラ製作時のバスバーを削り出すために作り置きしてあったものです。せっかくですからこれをウクレレに使ってやろうと思っています。贅沢な仕様です。
新しい試みを行うときには、こうした実験を何度も行い、限界を確かめます。
これ以上曲げると割れが出る、それを知るためです。それと同時に効率的な方法も煮詰めていきます。
まるでボディ内部にもサークルフレッティングの延長上の様な形でブレーシングが円弧を描いて配置されるのもワタシらしくて面白いですねえ。
恐らく、初めての構造になるんじゃないのかな?
終了報告 2件
2017 0228 ヨコハマ 晴れ
本日は2本の作業を終了させております。
1本は埼玉のNさんの2TSのストラトで指定個所のチューン。もう1本は福岡の0さんの同じく2TSのストラトです。0さんの方は本日出荷済みです。
たまたまどちらもSSP仕様のストラトですが、Nさんのストラトにはご予算の都合でスロープヘッド化はなされていません。(写真左)この2本はスロープヘッド化されているか、いないか、そこだけの違いだけです。この2本の鳴りを比較しますと正にスロープヘッド仕様の楽器とはこう鳴るのか、とお分かり頂けます。
スロープヘッド仕様のストラトは通常のストラトの持ち味はそのままに、よりディープで官能的な鳴り方をします。それはベンドレンジが広いからです。
例えると(ニュアンスが伝わるかどうか自信はありませんが)カルロス・サンタナはストラトをプレイしないことでも知られていますが、サンタナのプレイスタイルやサウンドを聴けば、彼がストラトと言うギターを弾かないことは、みなさんご理解しているんじゃないでしょうかね? あ〜そうだろうね、と。
そんなサンタナですら、スロープヘッドのストラトでしたら弾く気になると思われます。そう予測する理由は通常のストラト以上にスロープヘッドはベンドフィールの違いからくる表現力が深いからです。よく歌うストラトになっていると言うニュアンスですね。 例えるならこんな感じです。
プレイヤーの演奏技術が巧みであるほど、それは表現力の差となって如実にサウンドに反映されます。テンションピン無しでバランスを得た効果の違いがそこにあるからです。
お知らせ
2017 0227 ヨコハマ 晴れ
皆さんにお知らせです。
現在 t.m.p には16本ほどの作業依頼品が持ち込まれておりまして、その内の数本はメンテナンス系の作業なのですが、あとはチューンナップ作業の為に、終わらせるまでに結構な時間を要する予定です。
大雑把に申しますと、一般的なリペアー品の数倍の手間暇を要するのがチューンナップ作業ですので、現在の t.m.p にはリペアーに換算すると20〜30本分の作業品が持ち込まれているのと同じなんですね。
ご依頼は誠にありがたいことなのですが、当分その他の作業には手をつけられない状態になっておりますので、新たな作業依頼は3月中旬以降からの受付とさせてくださいませ。 勝手ながらご了承のほど、宜しくお願いを申し上げます。m(_ _ )m
プレミアムな金曜?
2017 0224 ヨコハマ 晴れ
何やら今日から金曜日はプレミアムな日だそーで。
国民消費を少しでも活性化したいんでしょうね。この業界にはどーでしょかね?
そんなプレミアムな金曜ですが、本日は楽器の引渡しと何処かに仕舞い込んだウクレレのテンプレート探し。
ギタリストの I さんにはチューンし終わったギブソンLG-Oとレイシーのセミアコの引渡し。どちらもご満足の様子で何より。
後は各種治具やテンプレートを収めた段ボール箱をひっくり返してウクレレ関係のものを探索。取り敢えずコンサートサイズの外周テンプレートを発見。
まだモールドと呼ばれる固定治具は作って無いので将来ゆとりが出来たらモールド作りから製作してみましょう。
まあ、あまり手の込んだことをしだすとね、ワタシの場合、結果的に本格的な作業になってしまうので、商売抜き製作ではリスクは最小限で止めますが、それでも内部のブレーシングはカーブドブレーシングと言うオリジナルな湾曲した形状のブレーシング設定でいきたいと思っています。
通常、スキャロップド・ブレーシングはポピュラーな形状ですが、みんな基本的に一直線の形状ですので、それはそれで問題もあるのです。
トップやバック板は皆同じ木目方向で構成されますが、その木目に対して直角に貼り付けられるブレーシング類は一直線の棒状なので板の波打ちなどの変形を抑える役目は果たしますが、そのカバー範囲が狭いんです。
そこでワタシが考案したのがカーブドブレーシングと言って一直線ではなくて湾曲した形状でトップ板やバック板に接合する方式です。こうしますとね同じサイズのブレーシングであってもストレートブレーシングよりも、その効力を発揮するエリアが広まるんです。もちろん湾曲構造で作るのは面倒くさいですよ。いちいちブレーシング材を熱で湾曲させて削り出すんですからね。
でもワタシが作るんですからねえ、昔ながらの定番構造じゃ新たに作る意味がないのでやるつもりです。オリジナル構造で無いモノマネ楽器ならわざわざ作らないです。
スロープヘッドはどうしようかなあ、とも考えましたが、基本ウクレレは小さなサイズのナイロン弦の楽器ですからスチール弦ほどスロープヘッド構造の効力が出にくいのでそれはやめにして、ブリッジの台座をクラッシック用に考案した2穴弦通し仕様にしてあげようと思っています。そうすれば弦のセットも楽チンですし弦の傷みも最小になり捻れも防げますからね。
ちなみに、現在チューン済みのOHANA製のコンサートサイズと比較してみましたらt.m.p オリジナルの方が一回り大きかったですね。
とまあ、いつになるやら分かりませんが手が空いた時に少しずつモールド作りから始めて老後のプレミアムな楽しみにするとしましょう。(^ε^)♪
経過報告 ギタリストの I さん
2017 0222 ヨコハマ晴れ
本日のメニューは I さんのご依頼で Lacey と言う手工セミアコのチューンでした。
前回既にピックアップや回路に関しては t.m.p 設定の作業済みでしたが、今回はピッチに不満があるとのことなのでリフレット&CFフレット加工仕上げ作業を行っています。
この個体はかなり高額な楽器とのことですが、セミアコサイズですが単板からの削り出しでセンターブロックもフルサイズのブロック構成になっています。なのでセミアコよりも重量が重いです。
前回のチューン時に、この個体のネック仕込み角は少し浅いな、と感じておりましたので、フレットの逆反り打ちを行って、ロッド締めに頼らずとも、ネックが弦の張力に耐える様にしてあります。結果的にも指板上面角を0.3度ほどですが、少しだけ角度を強めてあります。こうすることで元の仕込みの浅い状態より弦の振動に対するレスポンスや鳴りのダイナミクスを高めています。
こうした設定変更の理由は先ほど申しました様に、この個体は通常のプレス合板のセミアコ構図と違ってボディも重めであり、ヘッドも大きいデザインでペグも重めのペグですから、木部の質量がけっこう重いので、本体に反応良く鳴る設定を与えてあげ無いとアンサンブル中で音抜けや表現力がイマイチの楽器になってしまうからです。
と同時にCFフレット処理でピッチの甘さを解消させています。
今回のこの個体の各設定から算出したCF設定値は内角が89.28度、0フレットでの円弧値は1432.32/R、12フレットでは1748.32/Rとなっています。
この数値ってなんじゃいな?って思ってる方、いるかな? う〜ん居そうだなあ
早い話が、ナットからサドルにかけて1弦から6弦は末広がりに弦は張られてますでしょ? と言うことは、その両サイドの弦にはヘッドのずっと先に交点が存在するわけです。その交点から0フレットまでの距離が今回の場合は1m43センチと2ミリくらいだと言うことです。そこから各フレットの間隔を加算した数値で湾曲形状にしてあげれば、すべての弦に同じスケール設定が与えられわけです。それらは全て計算で求められます。
ちなみに両脇の1弦と6弦の傾斜角度が内角で示したものです。
この個体の場合は1、6弦の傾斜がそれぞれ89.28度になってるっちゅーことです。
要するに、弦が末広がりに張られているのに、フレットが平行にセットされていたらそれぞれ別な角度で張られた弦のスケール設定がバラバラになってしまって音に不協性が生まれ、それがピッチズレになっている、ということです。
ですから基本的にフレットは円弧状にセットされていれば、一つの統一スケールになると言うことです。
まあ、砲丸投げや槍投げの競技フィールドと同じですよ。円弧状にラインが引かれてますでしょ?あれでなくちゃ正確な距離が出せないからです。
この様に円弧状にフレットが配置されれば、どの角度に張られた弦であっても統一されたひとつのスケール設定でのフレッティングが可能になるという仕組みです。
これがサークルフレッティング基本理論です。
要は、ワタシの考案したCFSは特殊なアイディアなのではなくて、CFSこそがフレッティングの本来あるべき姿なのです。
なんか世間じゃCFが特殊に捉われてる気がしますけどね〜 逆ですから、それって。
末広がりに弦が張られているのに平行にフレットをセットしてある方が、そもそも異常なんですからね。
言い換えますと、仮にナットの弦間隔とブリッジでの弦間隔が全く同じ場合には平行にフレッティングされることが正解となります。でもそんなぶ〜っとい幅のずん胴ネックではとても演奏できませんからねえ。
写真はフレットに円弧状のラインをマーキングする治具です。この治具は全長で2メートル程の長さが有り、ヘッドのずっと先の起点から延びてきています。
このセッティングとフレットにマーキングするだけで1時間掛かります。
またそのマーキングに合わせてのフレット加工だけで3時間掛かります。それから仕上げに1時間。今回はその前に指板修正&リフレット作業がありましたから、合計で8時間作業でした。
30年以上前にCFを考案した時のやり方を未だに流用しています。
超アナログ方式ですわ。(^ε^)♪
よくそこまでやりますね〜!ってよく言われるんですけど、
ワタシには従来のフレッティングの楽器の音は、まるで音痴の人の歌を聴かされてるようなモンでして聴いているのが苦痛なんです。
うわ〜音程わるっ!って。( ̄ー ̄;
よし!次は火星に行くぞ!って時代なのに、未だにピッチが合わ無い楽器って、いい加減何とかしようよ!って思いなのであります。以上。
本日もウクレレ
2017 0220 ヨコハマ 晴れは晴れだが風強し
突風が吹き荒れてます。
そんな中でも作業は続く。昨日に引き続いてOHANA製の限定モデルをベースにt.m.pチューンした個体を完成させました。
音程がアバウトな楽器であるウクレレですが、ワタシはそれじゃ満足できない。
だって楽器なんだから、ウクレレだって。と言うわけで、今回も本体設定から円弧数値を算出し、その数値に従ってフレット(ナットも勿論円弧形状です)加工処理で仕上げてあります。ナット&サドルは水牛の角からの削り出し。
あ〜やっぱりピッチが出てると響きが全然違います。不協性が消えますのでスッキリと音程が整いますね。
ちなみに、特にヴィンテージ・ウクレレはフレッティング自体がヤバイものが多いので注意が必要です。手ノコで溝切りしてたりしてるので、そもそものフレッティングの精度が低いのです。これを修正するのは結構な費用が掛かりますからね。
総単板仕様のこの個体ですが、トップはクオリティの高いシダー材、バック&サイドはマーテル材、ネックがマホです。非常に豊かな耳に優しい響き方をしています。
安っぽさなんて微塵も無い、立派な弦楽器の響きです。
マツシタが手を入れたらこうでなくちゃね。(^~^)
本体のみ税別価格:¥79.000です。専用ギグバックは+¥3.000です。
生涯の友としての価値は充分あります。この1本、絶対のオススメです。