個別報告 ギターのHさん

写真奥のネックはギターのHさんのCCR・レフティーのスロープヘッド化作業加工途中のショットです。HさんのCCRはサドルもtmp仕様(偏芯サドル)に変更する段取りで進めています。
写真手前のネックは新たに製作している貸し出しチェック用のストラトにマウントするSHネックです。予定を変更してメイプル指板仕様にする為にフラットヘッド仕様の指板ネックをSH仕様に作り替えているところです。
その他ではMさんご依頼のムーン製のフルアコのチューンナップが本日終了致しております。Mさんお待たせ致しました。受け取り希望日程をメールにてご連絡願います。お待ちしています。
@一部の方からブログ仲間になりませんか?とのお誘いを頂いております。
で、誠にすみませんが、お読み頂くとお判りかとは思いますが、ココは他所のブログと違いましてブログとは名ばかりでして、ワタシが立ち上げたtmpという個人楽器ブランドのオーダー下さった方々に向けた業務報告として利用しているだけなんです。
記載内容もその報告と製作家を志す後輩達に少しでも参考になればとの思いで楽器にまつわる記述を行っているに過ぎません。
そんなワケですので一般の皆様にはあくまで通行人としてお立ち寄り下さいませ。m(_ _ )m
リニューアル

実は本日お手伝いさんにサポートして頂きながらワタシ専用のセットアップ作業場のリニューアルを行っていました。その為に作業全般はお休みしましたが、その甲斐あってほぼリニューアルは終了しました。
ファクトリーを持てないままのワタシですので借家の自宅では身勝手に改装自体が行えませんので、いつでもバラせるように作業場化しているのです。それでもギター全般やヴァイオリン、スピーカー製作を行えるだけの機材資材諸々でおよそですが、これまでに1千5百以上は自費を注ぎ込んでるんです。ギター関連だけで言えば800万くらいでしょうね。
この辺りでまともなファクトリーを備える為には数千万の費用が掛かりますので個人製作家には負担が大き過ぎるんです。そこまで資金投入してもこの仕事で得られる利益を考えますと数十年の返済期間が待ち受けていますから資産家でも無い限りは難しいですね。
それだけの借金を抱えますとある程度の量産体制を取るか修理作業も受けざるを得なくなります。そーなるとワタシの製作スタイルが維持出来ませんから最初からやらないのです。
ワタシの知り合いの方々には「宝くじ当たったらマツシタさんにファクトリー建設資金として半分あげますからね!」なんて嬉しいこと言って下さる方が何人もいらっしゃるんですが、未だに一度も実現しませんねー(^~^) でもその気持ちが嬉しいんですよね。そんな皆さん、ありがとう。m(u_u)m
個別報告 ギターのOさん

2/4 ヨコハマ晴天。でも冷えますねえ。今朝、新潟市内在住の友人から雪が降り積もった新潟市内の写メが届きましたが、膝上まで降り積もった雪で街並は辺り一面真っ白でした。
坂道の上から見下ろしたショットでしたが、まるでジャンプ競技のラージヒルみたいな有様でした。
なんならここで冬期オリンピックやったら?みたいな。ありゃ大変だわ。ヨコハマに少しだけ降った雪はもう殆どが溶けて消えました。

写真はOさんのオーダー分、TELESAの生地ボディです。決め込んだ設定を直接ボディ生地に書き込んで加工前の下準備に入ったところのショットです。
使用するパーツも全て整っていますので木部の加工を進めるのみです。次では生地加工が終了し生地加工段階での燻煙処理直前でご報告致しますのでお楽しみに。
夜間部のお仕事

2/3 ヨコハマ冷え込んでます。工房内はあまり室温を上げられないので日が落ちると冷え冷えとしてます。
写真は試奏用のストラト。半音ダウン調整でまとめた仕様なのに結局先日のクロコダイルでのライブで加納氏はレギュラー・チューニングのままライブ通しで使用したそうです。

半音ダウン時に音がダレない様にテンションを上げた調整を施したギターをレギュラー・チューニングで弾いたら普通の人なら3~4曲も弾けば指先が痛くてまともに弾けなくなるのですが、さすがは往年の名プレイヤーですなあー、全曲弾いちゃったそーです。弦高だって普通の人の倍近いアクション設定ですから丁度ベースほどの弦高設定です。笑っちゃうなあ。
でもtmp的にはローカットされた張りの強いサウンドで、まともなtmpサウンドじゃあ無かったワケですから素直に喜べませんねえ。( ̄_ ̄ i)
ライブ数日後に本人から電話が掛かって来て「いや~使っちゃっいましたよ。しかしなんであんなにクリアーで音がまとまってるの?」って、実はワタシ、サークルフレッティングの説明すら加納氏にはしてないんです。ワハハ。で、そう質問されてもなお、CFSの話はしてません。
「そーでしょ、自然な響き方をするでしょ?」って言っただけ。いいのいいの、真に楽器を鳴らせる事の出来る人間には多くを語らなくても弾けば良さを感じてくれますからね。
そうして返して貰ったストラトですが加納氏は早く戻してくれって言わんばかり。で、早速ノーマル設定に作り替え。ついでに秀人氏のイメージでフロントをP-90に勝手に変更してPSP設定で仕上げ直しました。
また今月に千葉でライブがあるそうですから今度はちゃんとしたサウンドで弾いてもらわなくちゃね。
(^ε^)
個別報告 ギターのOさん

2/2 昨晩からの降雪でさすがに さ、寒い。
写真は先日オーダー内容が決まったギタリストOさんのボディ材です。ソリッド・スプルース(正確には別種の針葉樹材ですが)のTELESAのボディです。
Oさんの要望は既に把握済みですので、G・トーン設定でのHP設定(フロント/ハム+リヤー/P-90・フラット)仕様でこれから加工を進めて行きます。
Oさん用にセレクトした強靭な冬目を備えた板材から切り出した板目木取りの個体です。要望のサウンドを確保する為に材厚設定もTELESAとしては最大厚に設定しています。勿論ネックはイタヤカエデのスロープヘッド仕様です。
これで鳴らないワケが無い、と製作者が確信しながら製作して行くという事は実に重要なことです。もし「出音なんて作ってみなくちゃ分からない」と作家が思っていたのなら、それは信頼してオーダーを下さった依頼者に対して失礼な話です。
確実に要望を満たす作業を行う自信が無いのならそれは最初から受けるべきではありませんからね。
でも実際にメーカーや工房などにオーダーを出す際に製作サイドになんて言えばいいのでしょう?って思われるかも知れませんね。そんな時は実際に製作を行う人間に率直に尋ねるといいでしょう。
「求めるサウンドは◯◯、◯◯←(具体的な内容)などですが、そのサウンドが得られる仕様はどんな内容になるでしょうか?また、要望通りのサウンドが得られない楽器に仕上がっていたら購入しなくて良いと言う条件で受けて頂けますか?」とお聞きすればいいのです。
サウンドの要望に対して具体的なスペックで返答があり、その内容で要望に応える自信がある製作家であるなら「ではこれでお受け致しますから」と答える筈だからです。
もし「そりゃあ、作ってみない事には何とも言えませんね、音はそれぞれ好みの問題ですから」と、よくあるパターンで返答が返って来たら、それは最初からダメ元でオーダーするか、その製作家には依頼しない方が賢明でしょうね。
明日は晴れてくれるのかな?塗装も燻煙作業も控えてますので天候回復を願うばかりです。
個別報告 草津市のKさん

2/1 2月突入です。今日はヨコハマ寒いです。
実は今日からアメーバブログに引っ越してます。身内がここで制作スタッフとして働いてまして「早く引っ越しておいでよ」と。無料じゃないので「どーしよっかなあ~芸能人でもないし」と思いつつも、結局引っ越す事に相成りました。
新しいHPをリニューアルしたばかりなのに、趣がエラク違う感じです、ここは。皆さんの中にもtmpのカラーと違いすぎない?って思う方もいらっしゃるでしょうねえ、たぶん。ワタシ自身そう思いますもん。σ(^_^;)
写真は草津市のKさんご依頼のCCRのスロープへッド化作業が終了した時点でのショット。
全て完璧に終了してますが、ここでKさんにアドバイス。
旧モデルではサドルがウィルキンソン製を採用してましたが、tmp製の偏芯ブラス2連サドルの方が音の分離も太さもサウンドクオリティが確実に上回っておりますので変更をお薦めします。
一旦この状態で止めておきますのであらためてご検討頂き変更/未変更での指示を頂きたいと思っておりますので到着希望日時と共にお知らせ下さいませ。お待ちしています。
個別報告 立川市Sさん

もう明日で1月も終わりですねえ。早い。
写真は全ての調整を終了し発送する直前のSさんのTELESAです。
大変長らくお待たせ致しました。結局ブリッジプレートは最初から作り替えて、厚の薄いタイプの接地面積を拡張したタイプと偏芯サドルもミディアム・ウエイト設定でのサウンドチェックで自らOK出しました。
特にカスタム製作ではこうした作業がよくある事ですが、一旦完成させても微調整毎に組み上げ直しを行いその都度音出し確認します。
あえて皆さんにはそうした細部の変更ポイントを明かしてはいませんが、例えば今回のブリッジ・プレート厚変更や接地面積変更、サドルウエイト変更もその一部であって、その他にはピックアップでも落としどころさえ見えていれば例えば同じPAFF系のサウンドであってもマグネットのタイプ変更とサイズ変更、そし磁力のダウン・コントロール(減滋)なども行っています。勿論ネックの仕込み設定の微調整は欠かせません。この場合も調整毎に音出し確認します。
今回の写真の個体もそうした変更を一旦完成後に2回程繰り返してます。この様に殆どの場合、微調整にために完成品をバラしては組み上げ、その都度サウンドを確認して到達度合いを高めて行く作業を繰り返しています。一般のカスタム製作ではピックアップを丸ごと交換する程度でしょう。
これらの詳しい解説は技術屋さんでもない方々に話したところで車の運転をした事の無い方に口頭で運転の仕方を説明している様なものですから基本的に無意味ですので省略しています。
肝心なのは皆さんが自分だけのサウンドやトーンを手に入れる為の製作者への情報供出なんです。
出来る限り、完成間近ではなくオーダー時点で要望出ししてくださいね。宜しくお願い致します。
個別報告 地元のYさん

写真はスロープヘッド仕様への作り替えが終了したYさんのCCR-SMS/WHです。ついでにウィルキンソン2連サドルからtmp性のブラス偏芯2連サドルに変更してあります。これで更に音圧や密度が高まりました。
今回のSH化で出て来るサウンドはいっそうフルアコのトーン色が顕著になっていますね。コード感のまとまりも2ランクは上がった感じです。たぶんブラインドテストしたら殆どの方がフルアコのサウンドと聴き間違えると思われます。
またまたーホントなのお?って猜疑心満々の方はYさんはこのギターで2/24に下北のカラードジャムと言うライブハウスでギター・トリオ構成のライブを行うそうですから実際に聴きに行かれることをお薦めします。
また、SさんのブラックのTELESAは指定ゲージのご連絡とともに「335と175のサウンドで」とのコメント付きでしたので現状で採用したブリッジ・シャシー厚を0.5ミリ薄く再加工してからの再調整を行う事にしました。
これは335-175の共通トーン要素としてマホガニーネック仕様のブルージー/泥臭さが挙げられますが、これにフィックスさせる為にはシャシー厚を薄いタイプを採用し偏芯サドルのボトム部を削って質量を落とし気味で作り上げるのですが、今回はフルアコで言えばL5系の音圧や厚みの在るトーン用にシャシー厚が最も厚いタイプでセットアップしておりましたのでコメントにある要望に近づける為に一旦バラしてブリッジ・プレートボトムを0.5ミリ程削り落としサドル質量も若干下げて要望に対応させます。
そんなわけでSさん、完了後の再調整が終了次第発送致しますのでお待ち下さいませ。
この様に皆さんからより好みのサウンド指向のインフォメーションを頂ければよりそれに添った内容に仕上げて行く事がtmpに於いては可能ですからご遠慮なく。
個別報告 滋賀県のHさん

TELESA完成間近のSさんからまだ連絡が来ないので予定を変更して滋賀のHさんのチューンド・ストラトのスロープヘッド化とピックアップ・システム変更のセットアップ作業を行っています。
本日は渋谷のクロコまでリハに顔を出す予定ですので作業は一旦中断しますが明日には完成出来る予定でいます。
ちなみに、ヘッドのスロープヘッド構造化によりトレモロ設定も変更されています。トレモロ使用前提の方々には稼働セッティング幅を大中小に分けて対応出来ます。
イメージ的にはベックのアーミングが可能だとお考え下さいね。その可変幅の大中小です。通常のシンクロ・トレモロがトレモロの中では最も音が自然で太く、ダイナミクスも得られますが(2点支持タイプはドンシャリ傾向で音は硬く薄め)
その場合、アーミングに対してシャシー・エンドをフローティングしてアームのアップダウンに対応するのが通常ですが、スロープヘッド・ネック仕様でのトレモロ調整ではテンションピンが必要無い事とペグポストも全てヘッド面から同じ長さ設定で張力バランス可能ですからアーミング自体が非常にバランスよくスムースに掛かりますのでトレモロもシャシーエンドをフローティングする角度は抑え気味でトレモロ自体をボディ・トップからフロートさせて稼働幅を調整可能なのです。
シャシー自体がフロート設定となるのが2点支持トレモロの特徴ですが新たなtmp設定では6点支持でありながらトレモロ・シャシーがフロートされているのです。おもしろいでしょ。
稼働幅を大中小と分かり易く表現している部分もそのフロート具合と傾斜角を示すもので、その設定差に依って掛かり具合のディプスを変更しています。従来のトレモロでは得られないレベルのしなやかな動作をしてくれます。依頼の際、弦の指定が必ず必要です。また設定が大でアーミング多様する方はさすがにナットが牛骨製ですので年に1度はナット交換を考えた方がいいでしょうね。
今現在この仕様に適したカーボン・ナット系をチェックしていますが、まだ希望する硬度のカーボンが見つかっていないんですね。現状よく見かけるカーボン・ナットは柔ら目でNG。特注しないとダメかもしれませんねえ。
とにかく、tmpアーミングは張った弦を充分伸ばしてからプレイするだけ。掛かり具合が気持ちいいですよ。
この生まれ変わったギター自体、今日のライブの主役である加納氏に弾かせたいキャラクターの楽器でもありますね。ところで、思えば秀人氏のバンドのベースのナルチョやドラムスのそうる透と顔を合わすのも実に久しぶりだなあ。午後のリハにのんびり電車で出かけて来ます。 ではまた明日。
追記:23:40 リハ終了後、本番は見ずに別件で渋谷を後にしました。リハ入りした時点で既にPAのミキシングが進んでいました。秀人氏の弾くtmpストラトの音を聴いて、まずビックリ。エッ!?
以前、秀人氏からの電話で借りたいギターは半音ダウン調整で、との事だったので半音下げても音がダラけ無い様に通常よりハイテンション設定にして送っておいたのですが、実際には全てレギュラー・チューニングの曲ばかりで秀人氏はハイテンション仕様のままレギュラー・チューニングで弾いてました。どーりで音がバリバリ言ってるワケだわ・・。
トレモロもテンション・オーバーの影響でやたらにブリッジエンドがめくれ上がっていてサウンドもローが薄くて厚さに欠けた残念なサウンド。本来の鳴りっぷりは勿論ありませんでしたが、もう既にこの段階で楽器の設定をいじるのはNGと言われたので、出来れば今夜はこのギターは使わないで欲しいとお願いしてクロコダイルを後にしたのでした。でも当の本人はゴキゲンでしょ!って、至って満足げ。近々返却してもらってレギュラー・チューニング仕様の楽器に作り替える予定です。
まあ、こんなこともあったりします。あー疲れた。
もうすぐ目的地

依頼を受けていたフルアコの燻煙も無事終了。SさんのTELESAもいよいよ大詰めです。
長い旅みたいなもんだな、と数ヶ月に及ぶカスタム製作作業に関しては毎回思います。
依頼を下さったSさんにお願いですが、今一度、弦のゲージ指定、弦高の好みをお知らせ下さいませ。
製作オーダー希望の方からメールで要望をお伝え頂いていて度々戸惑うのは予想以上に皆さんが歴史上の定番楽器(ヴィンテージから最近のモデルまで)をチェックされてた経験が少ないのだな、と言う点です。
ワタクシの場合は仕事やこれまでのキャリア上、各種ヴィンテージ・モデルに限ったとしてもチェックするどころかバラして作り替えや修理も数えきれない程の本数を手掛けて来ましたから基本特性は未だに体が覚えています。染み付いちゃっているんですね。
同じメーカー、同じモデルであってもこんなにもサウンドや弾き心地などの反応も異なるものかと、若かりし頃は驚いたものです。でも一番驚いたのは全く同じギターなのに弾く人間によって出音がここまで変化するのか、と言う事ですね。まるで別の楽器を弾いているのかと思うくらい奏者でサウンドは異なります。特に海外の著名プレイヤーの生音や出音に目の前で触れると日本人が弾くのとここまで違うか、と当初は大きなショックを受けたものです。
まあ、それら全てがワタクシの経験上の財産なのですが、話は楽器製作を望まれる方の多くが、スペック・イメージだけでオーダーされてくると言う点なんです。モデルはこれで、材はこれ、ピックアップはハンバッカーで、スロープヘッド仕様、これできっといい感じに鳴るのだろうと。
勿論スタートはそんな感じでお話し下さっても構わないのですが、何度もこれまでお話しして参りました様にオーダーの際にはサウンド特性の落としどころ/目的地を指定頂かないと迷わず前に進められないんです。これまでも具体的な特性指定や参考音源無しで製作を進めなくては行けない場合が多くて正直困る事が何度も有りました。
メールのやり取りでも「お任せしますコース」の空気が最初から漂っちゃってるんですね。勿論このブログで出来る限り実際のサウンドをイメージして頂き易い様に解説を加えて来たのも事実ですが、読み手に経験値が少ない場合、まともに伝わってるとは思えないんですね。実際、いざオーダーと言う時にインフォメーションが非常に少ない方が多いのが事実です。
また要望を長文で送ってくださる方であってもイメージが先行し過ぎてしまって、送って下さった音源資料の楽器特性と望まれる楽器のスペックに大きな隔たりがあることもよくあります。
そのパターンの方の多くが特定の楽器しか弾いた経験が無い方が多いです。仮にレスポールでお話ししますと、ヴィンテージ品には触れた経験が無い、カスタムショップ品は弾いた事が無い、ですとか、国産しか弾いた経験が無い、etc.etc。
大ざっぱな表現で申し上げるなら、その程度の経験値でレスポールを語るにはあまりに片手落ちと言えるんです。ましてや折角自分のパートナーをオーダー製作しようと考えていらっしゃるのですから、少なくとも一通りの定番楽器達の初期モデル/現在のモデルの試奏経験は持たれて頂きたいですね。
現代音楽とは言えルーツと言える音楽の存在が有り、その時に使用されていた楽器の存在が有るわけですから、それらの歴史に一度は触れた上で自分の求める楽器とはどんな楽器がルーツとして考えられるのか、更にそれを自分はどう発展させたいのか、そのどの部分が重要なのか、などを一度はご自分なりにお考え頂きたいのです。在る意味でそれは自分の音楽性を見つめる作業とも言えるからです。実際に感じて考えて想像する、それが非常に重要なんです。
かく言うワタクシもそうやって自分の作るべき楽器を模索し幸いにも具体化出来たわけです。それが現在のtmpの楽器達です。ルーツを知り、学び、何を付加させるべきか、その答えがサークル・フレッティングであり燻煙処理であり、様々なtmp設定ノウハウなどです。
実際に自分の演奏スタイルが定まっている方なら、より明確な要望内容が出て来るものなのです。その場合は製作者としても要望が把握し易く設定に誤差が出にくいものなのです。
自分の求める/イメージするサウンド、もしそれがまだ自分の中に無いのであるなら、それはまだ少なくとも楽器をオーダーで製作する時期ではないと言えるでしょうね。
悲しい事に、昔からお金に困ったり不況になったりすると所有者に換金処分されがちなのがギターだったりします。特に現代では当たり前の様に人の手から手に渡り歩かされています。
そんな時でもこれだけは手放したく無いと思える楽器、出来る限りそんなギターこそワタクシに作らせて頂きたいです。
貴重な天然木から長い間寝かせて、加工を繰り返して、手間ひま惜しまずに製作した以上、簡単に処分される様な楽器なら最初から作らない方がましだと思ってしまうのは作家の身勝手な思いなのでしょうか? 願わくば、単なる品物とお金の交換で成り立っているだけでは無いのが楽器の世界だとワタクシは信じたいです。もっと真剣に音楽と楽器を見つめて頂きたい。みなさんにはその点をあらためてお願いしたい次第です。