[解散] カラスは真っ白 - 類稀なセンスと才能を持ったファンクポップ | (旧)喜怒音楽 -きど"おと"らく-

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2020年に引っ越しをしました。引っ越し先は最新記事からどうぞ。

 
 

先月、AL4Wの解散記事は書きましたが
 
そもそもAL4Wの解散自体は数年前にアナウンスされてたし。
 
そう考えたら、今年解散を発表した中では
 
これが今年最初の解散記事になりますね。
 
このバンドも、よもやこんなに早く
 
解散記事を書くことになるとは思わなかったし、
 
解散記事を書かせることはしないでくれと思ってました。
 
しかしね、冬のワンマンツアーを控えていた
 
1/16に公式からアナウンス】されてしまいました。
 
直近の解散記事を書くときはホンット、
 
心が滅入ってしまいますね…




 

カラスは真っ白

類稀なセンスと才能を持ったファンクポップ

 




"流行り"という有象無象感が漂う国内シーンに於いて

 

間違いなく上位の才能とセンス、

 

楽器隊のクオリティも申し分なく、

 

vo.ヤギヌマカナの作る独特な世界観、

 

どれを取っても一級品と呼べるような

 

ファンクポップを掛け合わせたバンド、カラスは真っ白。

 

そんなバンドから発信される曲も

 

もちろん秀逸なものが並びます。

 

それを振り返っていこうと思います。

 



 
 
 
 
 
 
 

すぺくたくるごっこ (2012)
 カラスは真っ白の記念すべき1st mini
公式を見ると、この前にデモ音源もあったらしいが
それこそ最初期から追いかけてる人たちしか持ってないでしょう。
ってことで、ここから紹介していきましょう。

1曲目はバンド初のMV曲となった"ハイスピード無鉄砲"
既存のバンドサウンドも秀逸なのはさることながら
キーボードによる鍵盤の旋律も良い。
ファンクとポップを併せ持つ類稀なバンドを象徴する良曲です。
 

 
そしてハイテンポな"ひみつきち"へ。
正式タイトルは
スーパーウルトラミラクルファイヤーサンダーエキセントリックダイナマイトスパークセンチメンタルハレーションミラーひみつきち
vo.ヤギヌマカナはホントよく口が回る。
ハイテンポ故に、詰め込んだ歌詞(言葉)を早口でよくもまぁ歌えるもんです。


タイトルからも、歌詞からも、ヤギヌマちゃんの

独特な世界観が溢れ出る"黒魔術のフロマージュ"
初期はこれがライブのラストを飾ってたんじゃないのかなー

みたいな雰囲気も感じられる曲です。
 

色んな『動詞』を歌詞に詰め込んだ"うた"
残念ながらライブで一度しか聴けなかったが、

その時は、ヤギヌマちゃんがステージ上で

歌詞通りの動きを披露するという、ほのぼの感がとても良かった。
 

そしてタイトルの割にポップ性の強い"宇宙戦争"
かわいさに振り切った"ギブミー・チョコレイト"と、
計6曲を収録。
この6曲入りの1枚だけでも、世に蔓延る
有象無象バンドとは違うものを感じられると思います。





かいじゅうばくはつごっこ (2013)
1st miniリリースから1年、1stフル作をリリース。
収録曲数も2倍の12曲。
1曲目はトランペットも加わり、楽器隊のクオリティの高さが伺える

パーティファンクナンバー"無農薬ファンク"


そのままハイテンポに"メニー・メアリー"
ライブの最初も最後もこなせる名曲です。
同時にこのアルバムでのMV曲のひとつでもあります。
 

 
MV曲の2つ目"サニー・サイドアップ"
身体を揺らしたくなるノリノリなリズムが心地良く、
終盤にはサンバなノリも飛び出し、とても楽しい雰囲気を持った曲です。


 
ファンクをその名に関する2曲目"かいじゅうファンク"
ベースラインがとても秀逸です。

他にもポップ寄りな"ねむれないマスカレード"、
ファンク寄りな"かげふみクイズ"等、
良曲が名を連ねる中、個人的にお気に入りなのは
1曲の中でまるで違うテンポを展開する"ごめんね、マッカーサー"
ダークで怪しい雰囲気満点の"秘密警察"
どこまでも伸びていきそうなサビの雰囲気がたまらない"トルコブルー"

フルアルバムでも、バンドの色を損なうことなく
カラスは真っ白"らしさ"溢れる、とても楽しめる作品です。





おんそくメリーゴーランド (2014)
コンスタントに1年周期でリリースを続け、
前作からまたも1年で2nd miniをリリース。
おそらくこの作品が、カラスは真っ白の知名度を
上昇させるキッカケなった作品とも言えるでしょう。
それも、"fake!fake!"というキラートラックが生まれた故に。
曲だけでも素晴らしいのはもちろんのこと、そこに拍車をかけたのが、

アニメーション作家植草航氏を監督に迎えたMVの存在。
 

 
 カラスは真っ白というバンド、そして"fake! fake!"という曲に、

これでもかってほど絶妙にマッチするアニメーションMVは、

これまでよりも多くの人に見られ、聴かれた曲だと思う。
カラスは真っ白をオススメする上で、これ以上の曲はないとさえ思います。
かく言う自分も、この曲でカラスは真っ白を知りました。

そんな圧倒的存在の"fake! fake!"に隠れがちですが
他の曲もやはりどれも秀逸です。
fakeに負けず劣らずのハイテンポな上げ曲、1曲目の"サーカスミラー"
これまたノリの良い3曲目"アセトアルデッドヒート"
どちらかと言えば陰性ノリな2曲目の"そまって"
対して陽性ノリな"スカート・スカート・スリープ"
そして、カラスは真っ白の蛍の光的な立ち位置にも見える"雨傘パレット"
カラスは真っ白を人に薦めるのにも、

このアルバムで十分な役割を果たせるんじゃないかと思います。





HIMITSU(2015)
ポップ×ファンク 北海道からの新鋭、カラスは真っ白"HIMITSU"

これまで1年周期だったリリースペースが、
ここへ来て7ヶ月に縮まった3rd mini

そして、ベースメンバーが入れ替わった初の作品。
この作品から自分がリアルタイムに入手し始め、
↑の通りレビュー記事も書いてます。
なので、そこまで詳細に語ることは避けますが
やっぱりこの作品といえば、
2作続けて植草さんとタッグを組んだMV曲

"HIMITSUスパーク"でしょう。

 

 


これで、カラスは真っ白の曲で2強化したようなもんです。
色んな曲かあるのもバンドの強みではあるけど、
疾走感のあるこういった曲と植草MVの相性がめちゃくちゃ良い。
いや、でも植草さんの実力故な気もするし
今して思えば、何なら静かな曲、落ち着いた曲での
植草MVも見たかったですね。


他にもライブ序盤の熱量上昇にもってこいな"9番目の「?」"
歌詞を繰り返すフレーズが特徴的な"正義とアクチュエータ"
怪しさ溢れるダークポップ"シャイ・ルック・ホームズ"
ライブでは会場一体となって、マスコットである

からしくんと一緒に振り付きで楽しめる"革命前夜"と
今回もスキのない1枚に仕上がってます。

 

 

 

 

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ヒアリズム (2015)

"変わらぬ良さ"を打ち出した年内2枚目、カラスは真っ白『ヒアリズム』

 

そしてまさかの年内2枚目となるハイペースで
4th miniをリリース
リードトラックの"ヒズムリアリズム"
2作(2曲)続けて植草MVが良すぎただけに
今回のMV曲は少しガッカリした人も少なくないのでは?

 


 

曲のダークさと相まって、ちょっと恐いもんね笑
曲だけ聴けば、これまたベースが光る良曲ですが。
この作品で、これまでの勢いも『あれ?』って感じを
少なくとも自分は受けましたが、
最後の最後に"ニュークリアライザー"という名曲が収録されてました。
fake!やスパークが好きな人、そこから知った人には
『ヒアリズム』の中でもこの曲を気に入った人も多いのでは?
その点で言うなら"The xxx"もですかね。
対して、大人な雰囲気満点な"night museum"
明るさ満点、とても楽しい"RADIPHONE"や"フミンショータイム"
フミンショータイムは、ライブで振り付きだったけど
革命前夜には勝てず、定番化しなかったのが残念。
ヤギヌマちゃんの歌声を堪能したい人向けの"せいじゃくのこうしん"
と、今回もMV曲以外の良曲が揃いました。



そして翌年、2016年の夏には

メンバーそれぞれの活動もあった模様。

ヤギヌマちゃんは↓の楽曲でゲストボーカルを務め、

 

 

Ba.オチ&Dr.タイヘイはジャズ×ファンクバンド

 

North Pandemic Groove、略して"ノーパン"で新譜をリリース。

 




ヤギヌマちゃんは、楽曲に合ったゲスト。

ノーパンもオシャレな雰囲気満点の新譜。

そして、その後

まだまだ残暑な9月には




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バックトゥザフューチャー (2016)
カラスは真っ白『バックトゥザフューチャー』散らかり過ぎた2ndフル作!笑

再び1年使って制作した2ndフル作。
しかし、これが最後のアルバムになるとは…
思えばジャケットデザインがもう集大成みたいな感じだし、
そんなこと言い出したらアルバムタイトルもだけど…



3作(3曲)続いたアニメーションのMVから
今回は実写だったのもまた印象が変わったようにも思う。
今作は、メンバー全員でそれぞれ作詞作曲を行った作品だが
それが良い方にも、悪い方にも転がったようにも思います。
しかし、それ故に決まったテーマやコンセプトがなく
1枚のまとまりはないにしても、
1曲1曲、曲単位で見ればとても面白い作品とも取れます。


タイアップ曲の"Let it die"と"サヨナラ!フラッシュバック"
サヨナラ!の方はコンピ盤とは別verなのも面白い。
ま、自分はコンピ盤の方が好きですが←


先のノーパンさながらのインスト曲"fifth blues"
可愛さ満点の"Oh my sugar"
全力で笑いに振り切った"YASAI FUNK"笑
でも、前からちょいちょいラップ調の曲や
早口な曲もあるけど、そーゆーのをこなせる
ヤギヌマちゃんはさすがっすね。
とっ散らかったアルバムだけど、最後の"みずいろ"は
これまでのカラスは真っ白を踏襲した
らしさ溢れる曲に仕上がってます。

 

 

 

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ラストツアーの際には、カラスは真っ白としての

最後の曲"DAN DAN DANCE"のダウンロード付ポストカードを配布。

メンバーのサインと、カラスは真っ白の知名度上昇に一役買った

植草さん作のメンバーのキャラクターも添えて。

楽曲自体も、カラスは真っ白らしい明るく楽しい

ダンスナンバーに仕上がっていました。




 

以上、音源を振り返ってみました。

 

解散という事実を突きつけられても
 
このバンドの曲を聴くと楽しくなりますね。
 
バンドはいなくなっても、曲はずっと残っていく
 
ってのを目的としたのが、この解散シリーズの記事なので。
 
そういった意味では、取り上げるのも吝かではないんですが。
 
 
はあぁぁーーー……
 
とはいえ、2年ですよ?
 
バンドとしては結成6年強になるようですが
 
個人的には、知ってからたった2年です。
 
早い。 早すぎる。
 
 
自分が遅咲きなのはもう既に十分理解してます。
 
ちゃんと音楽を聴き始めた時に、
 
当時、気に入るバンド気に入るバンド
 
次々と休止や解散になっていった時期がありました。
 
バカバカしい話ですが、
 
オレが聴きだすと活動が終わるバンドばっかり…
オレは新しく発見したものを聴かない方がいいんだろうか…

 
なんて、軽く自責の念に駆られた時もありました。
 
ここ数年はまた、そんなようなことを感じつつあります。
 
はー…… ホント、嫌ですね。
 
こう思う自分も、休止や解散が蔓延る今の音楽シーンも。
 
 
公式に発表されたメンバーのコメントを見るに
 
音楽から撤退するのは、このバンドの顔である
 
ヤギヌマちゃんだけっぽいですね。
 
カラスは真っ白の珠玉の世界観を作ってきた
 
メインソングライターがこう言うんじゃ仕方なし。
 
他のメンバーは、カラス以外にもバンドしてますし
 
サポートで入ったり、裏方業やってるメンバーもいますしね。
 
そう考えると、ヤギヌマちゃんだけ

カラスは真っ白以外の音楽活動がなかった

ってのが何か寂しくもありますね。

ライブ回数もそこまで頻繁でもなかったし、

早撮りだったイメージもあるけど、

制作ペースが早かったのも

他メンバーのカラス以外の活動もあったから?
 
って、考えちゃうと解散もやむなし…
 
と、思えてしまうのも何か切ないですね。
 
だって、カラスは真っ白のラストツアー期間中に
 
ノーパンもライブとかやってるんだぜ?
 
バラバラになりたくなくても、バラバラになるよそりゃ…

でも、最後のツアーでのライブ見てても

ラスト故にか、確かに今までよりMCは減ったけど

メンバーの不仲が原因で…

みたいな、よくある感じではなさそう。

そう見えただけでも良かったよ。

 

相変わらず仲良しな、バカっぽい掛け合いもあったし笑

でも、今のところ

今年いちばんの解散ショックは
 
カラスは真っ白が断トツです。
 
もっと聴きたかったし、ライブも行きたかったな。
 
 
これで、自分が聴く
 
貴重な国内バンドがまたひとつなくなりました。
 
CFも先月の幕張を最後に
 
ATFみたいな海外ゲスト呼ぶ時以外は行かないと決めたし。
 
個人的にも、国内シーン離れが加速していきそうです。


でも、このカラスは真っ白というバンド

近年知った中では

楽器隊のクオリティが高いのはもちろん

その実力に裏付けられた、ライブでの秀逸なアレンジ

そして、その楽曲やライブの楽しさ

曲を聴いても、ライブに行っても

自然と笑顔が溢れる、楽しい時間をもたらしてくれる

貴重なバンドでもありました。

そうして、心から楽しいと思える時間を

提供してくれたことには、

素直に、声を大にしてありがとうを言いたいです。




参考・関連記事
<インタビュー(他サイト)>
 【謎だらけのアートワークを徹底解剖! カラスは真っ白×植草航×渡部謙介】(CINRA. STORE)
スラッピング・ベースに不可思議でかわいいヴォーカル?ーーカラスは真っ白、2ndミニ・アルバムで魅せるロック・ポップスの強度】(OTOTOY)
 【飛ぶトリを落とす勢い! ユニークな個性が魅力の「カラスは真っ白」とは!?】(livedoor NEWS)
カラスは真っ白、メンバー全員が作詞作曲に取り組んだ2ndアルバムをインタビュー!】(EMTG MUSIC)
 
<アルバムランキング>
2014 Best Album - TOP 10 改
2015 Best CDs - TOP 10 国内編
2016 Best Album - TOP 10 国内編

<ライブレポ>
2015 LIVE REPO 19th. カラスは真っ白 3rd mini Album『HIMITSU』 "ひみつじゃないけどHIMITSUツアー" 追加公演@渋谷WWW
2015 LIVE REPO 43th. カラスは真っ白 4th mini Album『ヒアリズム』 レコ発全国ツアー
"きこえるゼログラビティ"@渋谷QUATTRO

 【2016 LIVE REPO 29th.  カラスは真っ白 『バックトゥザフューチャー』レコ発ワンマンツアー at 東京
2017 LIVE REPO 5th. カラスは真っ白 2017年冬のワンマンツアー at 渋谷WWW X

カラスは真っ白、東京でのラストワンマン“2017年冬のワンマンツアー”を独占レポート!】(EMTG MUSIC)