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還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

塗装工事の「3回塗り」に隠された真実

 

良心的な職人は、下塗りから上塗りまで5回〜6回と塗るのは常識です。

なのに、なぜ3回塗りを謳うのか。それは塗装業界のアリバイ作りのためとも言えます。

 

今日は塗装工事についてのお話です。「うちは3回塗りだから安心です」とか、「4回塗りでさらにしっかり仕上げます」と宣伝している業者を目にすることがあります。でも、実際のところ、塗装工事は「3回塗ったから大丈夫」というものではありません。むしろ、この言葉をそのまま鵜呑みにするのは危険です。

 

塗装工事の本質:「3回塗り」ではなく「3工程」

塗装工事には3つの重要な工程があります。それが、下塗り、中塗り、上塗り。この3工程をきちんと行うことが塗装工事の基本です。注意してほしいのは、この「工程」を終わらせるために、必ずしも1回塗りで済むわけではないということです。

 

例えば、下塗りの段階で表面の状態が悪ければ、1回塗りでは不十分です。特に、東西南北で外壁の痛み具合は異なります。日当たりや風雨の影響を強く受けた面は、痛みが激しいため、下塗りを2回、3回と重ねる必要があります。一方、それほど劣化していない面は1回で十分な場合もあります。このように、塗る回数は壁の状態に応じて変わるべきなのです。

 

「3回塗りで安心」という業者の危うさ

「3回塗りだから安心」と言う業者には注意が必要です。この場合、3工程をしっかり行ったのか、それともただ回数だけを優先したのかが問題です。いい職人は、必要に応じて5回、6回と塗り重ねるのが当たり前です。工程を完璧に仕上げるためには、回数が重要ではなく、その場所ごとの適切な処理が大切なのです。

 

信頼できる業者の見極め方

信頼できる業者は、単に「回数」をアピールするのではなく、次のポイントを重視しています:

    1.    外壁の状態を丁寧に見極め、傷みの程度に応じて適切な下処理や塗り重ねを行う。

    2.    3工程をしっかり説明する。下塗り、中塗り、上塗り、それぞれの役割と必要な作業を明確に伝える。

    3.    回数だけを基準にしない。壁の状態や仕上がりの品質を最優先に考える。

 

結論:塗装工事は「3回塗り」で満足しない

塗装工事は、「3回塗ったから大丈夫」という単純な話ではありません。重要なのは、3工程をきちんとこなすことと、外壁の状態に応じて必要な塗り重ねを行うことです。「3回塗りだから安心」という宣伝文句に惑わされず、しっかりとした仕事をしてくれる業者を選んでください。

 

阪神大震災から30年:建物の強度と命を守る備え

 

今日は1月17日。1995年のこの日、阪神淡路大震災が発生しました。あれから30年、多くの人々にとって、この日は特別な意味を持つ日となっています。震災では約6,500人弱の尊い命が奪われ、その多くが建物の倒壊や火災によるものでした。この事実を改めて振り返りながら、私たちが今できる備えについて考えてみたいと思います。

 

倒壊した建物が引き起こす連鎖

震災時の死亡原因の約85%は建物の倒壊によるものとされています。さらに、倒壊が火災を引き起こし、火災によって亡くなる方が続出した地域も少なくありませんでした。つまり、家が倒壊しなければ火災による被害も少なかった可能性が高いのです。この点からも、建物の倒壊を防ぐことが命を守る第一歩であることは間違いありません。

 

震災への備えの2つの柱

震災への備えを考えるとき、大切なのは以下の2つです。

    1.    まず家を「最低限逃げられる強度」にすること

建物を絶対に倒れないようにするのは難しいですが、地震が起きた際に命を守るために「逃げ出せるだけの強度」を確保することは可能です。耐震診断や耐震補強工事は、その第一歩です。ただし、過剰な安全を求めて高額な工事を提案されることもあるため、予算内で現実的な工事を行うことが重要です。小さな補強でも命を守れる場合は多いのです。

    2.    地域の一員として支え合いに参加すること

地震の後、助け合いの力が被害を最小限に抑えるカギとなります。阪神淡路大震災の際にも、多くの人々が近隣住民と協力し、救助活動や火の消火を行いました。家を強くすることは重要ですが、地域のコミュニティに積極的に関わり、いざという時に支え合える関係を築くこともまた防災の一環です。

 

耐震診断と現実的な選択

現在、耐震診断を行う業者の中には、高額な補強工事を提案する場合もあります。もちろん、最大限安全を目指す提案には価値がありますが、全ての家庭がそれを実行できるわけではありません。予算に合わない提案をそのまま受け入れるのではなく、「最低限、命を守る補強」に重点を置いた現実的な選択を検討してください。

 

最後に

阪神大震災から30年、私たちは多くの教訓を得ました。その中でも、まず家の耐震性を確保し、地域の支え合いに参加することが、震災への備えとして最も重要だと感じています。家の強度は命を守る第一歩であり、地域との繋がりはその後の生活を守るための支えとなります。

 

田口寛英

(株)田口住生活設計室

 

 

 

大阪では大手とも言えるリフォーム会社のホームページ、創業者の思いの文章にこんな文言がありました。

『いつか、起業したいと思いながら、何をやるべきか考えている中で、リフォーム業界の将来性にかけてみよう」と言うような内容です。

 

将来性とは? 収益性か成長性だと思います

この方には建築に携わる志がなかったわけですね

 

その後、ホームページの文章は削除され、最後はM&Aで会社を売ってしまいました

 

この例は極端ですが、

同じような目的で創業された会社は珍しくありません

 

創業者だけでなく、勤めている人も様々です

家づくりが好きだから、人の生活に関わる仕事がしたいから

そんな方々もたくさんいますが

高額な歩合給に誘われてなどという輩もいます

 

会社のホームページに、何のためにこの会社が存在しているのかが書かれているかが大事です

ただし、文章では作文が自由に出来ますから

目の前にいる営業の方に聞いてください

 

創業者の思いを教えてください

経営理念を教えてください

あなたは、なぜこの仕事をしているのですか

 

その答えから、家を託せるかどうか見分けるヒントがあると思います

 

田口寛英

 

 

床下がかび臭いから、土台などの木が腐るかもしれない
そんなことを言われたらどのように思いますか?

答えは、カビと腐り(腐朽)は関係ありません。

 

腐朽菌をわかりやすくいうとキノコです
木の中のセルロース(年輪と年輪の間)という成分を栄養にして成長しますので、
腐朽菌が活動した木はボロボロになってしまいます。

恐ろしいと思うかもしれませんが
腐朽菌が活動するためには、栄養となる木があることのほかに、空気、温度、湿度が必要になり、この湿度というのが触っても濡れているとわかるくらいの湿気が必要なのです
含水率でいうと25%以上

一般的な床下の含水率が15%程度なのでかなりの湿気になります。

いっぽうのカビは木の表面にあるたんぱく質やアミノ酸を栄養にしますので、木材を腐朽させることはありません。
生育条件は 栄養分、空気、温度、湿度ですが、腐朽菌と違って20%程度でも発生します。

構造体に影響があるのは腐朽菌でカビは関係ありません(健康被害は別です)。
ですから、かび臭い=腐朽というのは大きな間違いです。

もしこのようなことを説明する業者がいたら、勉強不足だと判断してください。

 

市民講座や公的団体を信用しすぎる危険性について

 

今日は、私がこの業界で長年感じてきた憤りについてお話しします。特に「市民講座運営委員会」や「建築士会が主催する講座」など、公的な団体やそれに類する名前を使った活動についての話です。ここに潜む危険性に、ぜひ耳を傾けていただきたいと思います。

 

一見、信頼できそうな団体の裏側

このブログでも人気のある「市民講座運営委員会」というテーマ。詳しくは検索していただくと出てきますが、正直に言うと、こういった講座の開催には疑念を感じています。一見すると市民のための講座を開いている信頼できる団体のように見えますが、その実態は商売やビジネスを目的とした活動が中心です。もちろん、まじめな塗装業者が市民講座名目で集客している場合もあり、すべてが悪徳だとは言い切れませんが、入口のところで誤解を生むような表現を使っているのは事実ではないでしょうか。

 

建築士会が主催する講座も安全ではない

「建築士会」と聞くと、多くの方が信頼できる団体だと思うでしょう。しかし、全国からセカンドオピニオンの依頼を受けている中で、建築士会が主催する耐震講座の講師に耐震診断を依頼したという話をよく耳にします。その診断内容を確認すると、不安を煽るような診断書が提出され、その後に高額な耐震補強工事の見積書を渡される。こんなケースが実際に起きているのです。

 

これは決して「詐欺」とは言いませんが、結果として市民の不安につけ込み、道徳的に問題のある営業手法を取っているとも言えます。

 

肩書きや団体名だけで信用しないでほしい

ですから、資格や肩書きや団体名に惑わされないでほしいということです。表向きは「市民のため」「公的団体」と見せかけていても、その狙いが利益や商売である場合も珍しくありません。本当に信用できるかどうかを見極めるためには、その人や団体が何を目的にしているのかをしっかり調べる必要があります。

 

自分の家を守るのは自分

耐震診断や補強工事は、大切な自分の家を守るための重要な選択です。だからこそ、一つの診断結果や見積もりだけを信じるのではなく、必ずセカンドオピニオンを求めてください。そして、診断を行った人や団体が本当に信頼できるか、どのような意図で活動しているのかをしっかり見極めてください。

 

皆さんが正しい情報を手に入れ、大切な家を守る選択をしてほしいと強く願っています。どうか、型書きや団体名だけで判断せず、本質を見抜いてください。それが最も大切な防衛手段です。


/田口寛英