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還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

耐震診断について、今日は少しお話ししたいと思います。最近、YouTube「リフォーム百科事典」のチャンネルを見た全国の方からセカンドオピニオンの依頼をいただくことが増えました。

依頼の多くはこうです。「耐震診断を受けたら、点数がとても悪かった」「高額な補強工事を提案されたけど、本当に必要なのだろうか」というものです。

 

診断結果が「推測」で変わる理由

耐震診断の結果が必ずしも正確とは限らないという現実があります。たとえば、診断書で「0.1」という、建築基準法の求める基準の10分の1しかないという判定が出た場合でも、改めて計算し直すと「0.5」になることも珍しくありません。どうしてこんなことが起きるのかというと、耐震診断は建物を壊さずに行うため、推測に頼らざるを得ないからです。

調査データを元に計算ソフトに入力していく際、診断する人の考え方や経験によって結果が変わってしまう。これが耐震診断の限界とも言えます。

 

危険を煽る診断書の背景

もちろん、診断書が「危険」と示されることには意味があります。安易に「安全」と断定するよりも、「危険」と警告するほうが人々の注意を引き、耐震補強に取り組むきっかけになります。そして実際に補強工事をすることで、安全性が高まるのは事実です。

しかし、住む人の立場で考えるとどうでしょう?

多くの方が「正確な現状の診断書が欲しい」「無駄な工事は避けたい」「最低限の補強で済ませたい」と考えるのではないでしょうか。命を守ることが最優先ではありますが、それでも無駄なお金をかけたくないというのは、当然の感情だと思います。

 

耐震診断の現状と住む人の思いの乖離

耐震診断の専門家と住む人の間には、思いの乖離があるように感じます。診断の専門家は「念のため」の安全を重視し、住む人は「現実的な必要性」を求める。そのギャップが、時には必要のない高額な補強工事につながってしまうこともあるのです。

 

残念ながら、診断書を受け取った住む人の多くは建築の素人です。出された診断結果をそのまま信用するしかない場合がほとんどでしょう。でも、その結果、本当に必要だったのか疑問が残る工事をしてしまっているケースがあるかもしれません。

 

住む人の立場で考える耐震補強

 

私は、住む人の立場に立って耐震補強を考えていきたいと思っています。そのために、セカンドオピニオンという形で相談を受け付けています。診断書を見直し、現状に即したアドバイスをすることが私の役目だと考えています。

 

耐震診断や補強工事は、命を守るための重要な行為です。でも、それが過剰になりすぎても、逆に不安を煽るだけになってもいけません。住む人が安心して暮らせるように、適切な診断、適切な補強工事を行うことが本当の目的であるはずです。

 

もし耐震診断や補強工事について不安なことがあれば、ぜひ相談してください。住む人の視点に立ったアドバイスで、無駄なく安心な住まいづくりのお手伝いができればと思います。

 

 

 

昭和の家は本当に寒いのか?

「昭和の家は寒い」——そんな声を最近よく耳にします。

確かに、昔の家には断熱材が入っていないものも多く、冬場は室内が外気温とほぼ同じ、なんてこともあります。でも、それは本当に「家そのもの」のせいなのでしょうか。

 

実は、うちの事務所も築50年ほどの、まさに昭和の家です。外壁はトタン1枚、中には断熱材がなく、内側は薄いベニヤ板。まるで寒さを遮るものが何もない構造です。さすがに冬は厳しいので、エアコンを2台つけて暖を取っています。でも、それでも部屋が暖まらないんです。風が回っているのはわかるけど、冷たいまま。そんな状態が続いていました。

 

昭和の暖房を思い出して

ふと、「昭和の家ではどんな暖房器具を使っていたのか?」と考えてみました。

答えは簡単です。こたつと石油ストーブ。この2つが主役でした。事務所にこたつを置くのは難しいので、試しに石油ストーブを設置してみたところ、驚きました。

なんと、エアコン2台分の効果を軽々と超える暖かさ。寒かった部屋が快適な空間に変わったのです。

 

石油ストーブの力と欠点

もちろん、石油ストーブにも欠点があります。灯油を補充する手間、空気が汚れること、換気が必要なこと。ただ、うちの事務所は隙間風が多く、換気を気にするほどの密閉性もありません。手間は確かにありますが、それ以上に得られる暖かさには驚きました。

 

そこで気づいたのです。「昭和の家は寒いのではなく、その家に合った暖房器具が存在していたのだ」と。昭和の家は、エアコンのような現代的な暖房器具だけでは十分に暖めることが難しい構造をしています。でも、石油ストーブのような当時の知恵が詰まった道具を使えば、驚くほど快適に過ごせるのです。

 

暖房器具を見直してみる

 

昭和の家が寒いからといって、すぐに断熱リフォームを考える必要はないかもしれません。その前に、家に合った暖房器具を見直すという選択肢もあります。石油ストーブを試してみるだけで、意外と快適な冬が手に入るかもしれません。

 

私自身、61歳という年齢もあり、昭和の家の知恵に育てられてきた世代です。そんな中で改めて、昔ながらの暖房器具が持つ力を実感しました。便利さばかりに目を向けるのではなく、時には昔の知恵に目を向けることも大切だと感じています。

 

寒い冬を乗り越えるために、ちょっと視点を変えてみませんか?

きっと新しい発見があると思います。

 

システムキッチンのシンクの中の素材についてお話しします。これまで、カウンターが人工大理石でも、シンクの中はステンレスを使うのが一般的でした。しかし、最近ではシンクも人工大理石で作られたものを選ぶ方が増えています。そこで、人工大理石のシンクを選ぶ際に注意してほしいポイントをお伝えします。

 

人工大理石のシンクは完璧ではない

人工大理石のシンクだからといって、常に新品のような輝きを保てるわけではありません。ショールームなどでは、「傷に強い」「汚れがつきにくい」といった説明を受けるかもしれませんが、それを鵜呑みにするのは危険です。

 

シンクの中は水や食材などが直接触れる場所です。そのため、汚れや傷がつくのは避けられません。これは、ステンレス製のシンクでも人工大理石のシンクでも同じことです。ただ、ステンレスの場合は今までの経験から傷がつくのが当然だと思いますが、人工大理石のシンクで「こんなに傷がつくとは思わなかった」「汚れが取れない」と感じる方もいます。

 

汚れや傷は「お手入れ」で解決できる

人工大理石のシンクに傷や汚れがついても、適切なお手入れをすれば元に戻すことが可能です。例えば目の粗いスポンジで擦るとか液体クレンザーを使って磨くとかです。

表面の薄い層を一皮剥くことで、新しい樹脂の層が現れ、シンクが新品同様の状態に戻るのです。ただし、これは日々のお手入れや定期的なメンテナンスが前提となります。

 

シンク素材選びで気をつけること

人工大理石のシンクを選ぶ際には、以下のポイントを理解しておくことが大切です:

    1.    汚れや傷はつくものと考える

汚れが全くつかないわけではありません。ほうれん草の絞り汁など色素の濃いものを放置すると、翌朝にはシミが残ることもあります。

    2.    お手入れが必要な素材であることを認識する

メンテナンスをしないと汚れや傷が目立ちやすくなるため、定期的なお手入れを心がけましょう。

    3.    ステンレスとの違いを理解する

ステンレスは傷や汚れが目立つ一方で「味」として受け入れられることもあります。一方、人工大理石はメンテナンスで綺麗に戻せる素材ですが、放置すると目立つシミや汚れが気になることも多いです。

 

まとめ

人工大理石のシンクは、デザイン性や高級感が魅力的ですが、汚れや傷がつく可能性があることをしっかり理解しておきましょう。重要なのは、日々のお手入れを忘れないこと。そうすれば、美しい状態を長く保つことができます。

 

「手入れを惜しまず使いたい」「見た目を重視したい」という方には人工大理石のシンクは素晴らしい選択肢です。ただし、「手軽さ」や「耐久性」を重視するならステンレス製も検討してみてください。素材選びの参考にしていただければ幸いです。

 

田口寛英

 

キッチン選びのポイント:人工大理石カウンターの本当のところ

 

今日はキッチン選びの中でも特に「カウンター素材」、特に人工大理石についてお話しします。カウンターはキッチンの使いやすさや耐久性に直結する重要な部分です。誤解されやすいポイントも多いので、ぜひ参考にしてください。

 

人工大理石カウンターの種類

人工大理石は、主に以下の2つの素材に分けられます:

    1.    アクリル系

    •    高級で耐久性が高いと言われています。

    •    紫外線や変色に強い傾向があります。

    •    価格がやや高め。

    2.    ポリエステル系

    •    コストが抑えられ、価格が安いのが特徴。

    •    紫外線に弱く、時間が経つと黄色く変色することがあります。

 

多くのメーカーは「高級感」や「品質の良さ」をアピールするためにアクリル系を採用していますが、マンションではポリエステル系が広く使われており、それでも問題が少ないのは、実績からもわかる通り、ポリエステル系でも十分に使える素材だからです。

 

人工大理石の「手入れが楽」という誤解

人工大理石について、ショールームやメーカーの宣伝では「お手入れが楽」「汚れに強い」という言葉がよく使われます。しかし、これは誤解を招くことがあるので注意が必要です。

 

例えば、ほうれん草の絞り汁を一晩放置すると、翌朝には緑色のシミがしっかりついてしまいます。これは、表面を拭いただけでは落ちません。ですが、液体クレンザーや硬いスポンジで擦れば、表面の一層が削れて綺麗になる仕組みです。この「削って綺麗にする」という性質を理解しておけば、汚れや傷に対する対処法がわかり、安心して使えます。

 

人工大理石カウンターは、高級感やデザイン性に優れた選択肢ですが、素材の特性を正しく理解することが大切です。「汚れに強い」「お手入れが楽」という言葉をそのまま信じないでくださいね。

建物の外側の工事というと、屋根外壁の塗装と考える方も多いと思います

 

でも

せっかく足場を掛けるのですから、塗装以外にも必要な工事があったら同時に行いたいと思いますよね

 

例えば屋根や雨樋

陶器瓦は塗装が不要ですが、漆喰の詰め替えや補修

雪止めをつける工事も足場があると安全です

雨樋の交換や補修は足場がないと困難です

 

このあたりは、目で見てわかるので、どんな業者でも提案できると思います

 

私の経験ではこのような事例がありました

コーキングを打ち替えるために縦樋を外した時に、なんとなく違和感を感じたのです

違和感とは、サイディングの裏側にある柱に何か起きている?というものでした

結果的には、サッシから雨が入って柱の根元が腐っていました

 

あるいは、ベランダの軒天部分に小さな染みがあり、塗装すれば綺麗になるのですが、シミの原因が気になるために調べてみたらベランダを支える材木が腐っていた

 

このようなことがありますので

外壁塗装は、塗装だけでなく木造住宅の修繕に詳しい業者に依頼するか、あるいは、第三者に検査してもらうことをお勧めします

値段だけで、安い塗装業者を選んでしまうと、後々に高額な修理が必要な危険もあります