昭和の家は本当に寒いのか?
「昭和の家は寒い」——そんな声を最近よく耳にします。
確かに、昔の家には断熱材が入っていないものも多く、冬場は室内が外気温とほぼ同じ、なんてこともあります。でも、それは本当に「家そのもの」のせいなのでしょうか。
実は、うちの事務所も築50年ほどの、まさに昭和の家です。外壁はトタン1枚、中には断熱材がなく、内側は薄いベニヤ板。まるで寒さを遮るものが何もない構造です。さすがに冬は厳しいので、エアコンを2台つけて暖を取っています。でも、それでも部屋が暖まらないんです。風が回っているのはわかるけど、冷たいまま。そんな状態が続いていました。
昭和の暖房を思い出して
ふと、「昭和の家ではどんな暖房器具を使っていたのか?」と考えてみました。
答えは簡単です。こたつと石油ストーブ。この2つが主役でした。事務所にこたつを置くのは難しいので、試しに石油ストーブを設置してみたところ、驚きました。
なんと、エアコン2台分の効果を軽々と超える暖かさ。寒かった部屋が快適な空間に変わったのです。
石油ストーブの力と欠点
もちろん、石油ストーブにも欠点があります。灯油を補充する手間、空気が汚れること、換気が必要なこと。ただ、うちの事務所は隙間風が多く、換気を気にするほどの密閉性もありません。手間は確かにありますが、それ以上に得られる暖かさには驚きました。
そこで気づいたのです。「昭和の家は寒いのではなく、その家に合った暖房器具が存在していたのだ」と。昭和の家は、エアコンのような現代的な暖房器具だけでは十分に暖めることが難しい構造をしています。でも、石油ストーブのような当時の知恵が詰まった道具を使えば、驚くほど快適に過ごせるのです。
暖房器具を見直してみる
昭和の家が寒いからといって、すぐに断熱リフォームを考える必要はないかもしれません。その前に、家に合った暖房器具を見直すという選択肢もあります。石油ストーブを試してみるだけで、意外と快適な冬が手に入るかもしれません。
私自身、61歳という年齢もあり、昭和の家の知恵に育てられてきた世代です。そんな中で改めて、昔ながらの暖房器具が持つ力を実感しました。便利さばかりに目を向けるのではなく、時には昔の知恵に目を向けることも大切だと感じています。
寒い冬を乗り越えるために、ちょっと視点を変えてみませんか?
きっと新しい発見があると思います。