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還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

キッチン選びの盲点:「水に弱い素材」に注意!

今日は、意外と知られていない「最近のキッチンは水に弱い」という話をします。キッチンは水を扱う場所なのに、実は水に弱い素材が使われていることが多いのです。この問題を理解して、後悔しないキッチン選びをしていただきたいと思います。

 

現代のキッチンに使われる素材

最近のシステムキッチンの多くは、木製キャビネットで作られています。ただ、ここで言う「木製」は無垢材ではありません。使われているのは、MDF(中密度繊維板)やパーティクルボードという工業製品です。これらは木を細かく砕いたり繊維状にしたものを接着剤で固めた素材で、その上に紙や樹脂系のシートを貼って仕上げています。

 

この仕組みは、ネットで売られている組み立て家具とほとんど同じです。防水処理が施されていない家具では、少し水がかかると素材が膨張してしまうことがあります。それが、キッチンでも起こり得るのです。

 

なぜ水に弱い素材が使われるのか?

キッチンに水に弱い素材が使われる理由は主に以下の3つです:

    1.    価格を抑えるため、2. 加工のしやすさ、品質の安定性(無垢材は環境や湿度により歪むことがありますが、工業製品は均一な品質が保たれます。)

 

表面仕上げの種類も注意が必要

木製キャビネットの表面には、いろいろな種類のシートが貼られています:

特殊化粧紙と言って紙に印刷したものを貼るタイプから オレフィンやPETと呼ばれるビニール系の素材。

これらの素材の耐久性や防水性は、製品ごとに違います。見た目だけで選ぶのではなく、シートの素材や耐水性を確認することが重要です。

 

水に強い素材のシステムキッチンでしたら次の選択肢を考えてみてください:

    •    クリナップのステンレス製キャビネット:キャビネット本体がステンレスでできており、水や湿気に非常に強いです。

    •    タカラスタンダードのホーローキャビネット:ホーローはガラスのような素材を金属に焼き付けており、防水性と耐久性に優れています。

 

ただし注意点として、クリナップのキャビネットでも扉部分は木製の場合が多いです。その場合、どのようなシートが貼られているのかも確認しましょう。タカラは扉もホーロー製です。

 

キッチン選びで後悔しないために

キッチンは見た目や価格だけで選びがちですが、「水に強いかどうか」という視点も忘れてはいけません。特に、木製キャビネットの場合では扉選びを慎重に行なってください。

 

田口住生活設計室/田口寛英

 

 

阪神淡路大震災から学ぶ「本当の防災」

 

今年で阪神淡路大震災から30年が経ちます。1995年1月17日午前5時46分、淡路島や神戸を中心に大きな地震が襲い、多くの家屋が倒壊し、多くの命が奪われました。それから30年、復興の道を歩んできた神戸を先日訪れ、「人と防災未来センター」という震災の資料館を見学しました。

 

そこには、震災の記録や被害の状況、そして復興までの歩みが写真や証言とともに展示されていました。その中で、私は自分自身の考えの狭さに気付かされました。

 

家を強くするだけでは守れないもの

私はこれまで、家の耐震性を向上させること、耐震診断や補強工事を通じて地震に備えることに取り組んできました。しかし、防災という視点で見れば、それはあくまで一部に過ぎないのです。例えば、家が倒壊しなかったとしても、近隣で火災が発生すればその火が自分の家に燃え移る可能性があります。地震は「家の強さ」だけで防げるものではない、という現実を改めて実感しました。

 

助け合いの力が命をつなぐ

阪神淡路大震災では、倒壊した家屋から多くの人を助け出したのは、消防や自衛隊だけではありません。むしろ、近所の人々が力を合わせて救出に当たったケースが多かったのです。消防車が来られない場所では、住民たちがバケツリレーで火を消しました。また、避難所生活では、過酷な環境の中で人と人が支え合うことで困難を乗り越えました。

こうした事実を目の当たりにし、防災とは「物理的な備え」だけではなく、「人と人との繋がり」もまた大切な柱であることを痛感しました。

 

地域の繋がりを築くことの大切さ

確かに、家を強くすることは地震への備えとして重要です。しかし、それだけでは足りません。地震後に生き延び、復興していくためには、普段から地域の人々と顔を合わせ、支え合える関係を築いておくことが何よりも大切だと学びました。近所付き合いや地域コミュニティを疎かにしていると、いざという時に助け合うことが難しくなります。

 

備えは家だけでなく「人との繋がり」も

地震はいつ起こるかわかりません。家の耐震性を高めることはもちろん大事ですが、それだけで安心してはいけません。普段から近所の人々と挨拶を交わし、地域の繋がりを大切にしてください。それが、地震後に自分と家族を守る力となるはずです。

 

田口住生活設計室/田口寛英

 

 

 

家の寿命は「住む人」が決める

 

今日は「家の寿命」について考えてみましょう。よく、家の寿命は「40年」とか言われます。でも、それが絶対的な事実だと思っていませんか?私からすれば、その考え方はとても乱暴だと思います。

 

家の寿命は本当に40年なのか?

家の寿命が40年だと言われる理由の一つに、日本の住宅業界の事情があります。新築を建てることで利益を生む業界にとって、定期的な建て替えはビジネスの中心です。そのため、「そろそろ建て替えませんか?」と勧められることも多いでしょう。

 

でも、本当に40年で家が住めなくなるのでしょうか?そんなことはありません。家の寿命は住む人の価値観や目的次第でいくらでも延ばせます。古い家でも、適切なメンテナンスやリフォームを施せば、50年、100年と住み続けることは可能ですし、

 

家の寿命をどう決めるか?

私の考えでは、家の寿命を決めるのは「住む人」です。「あと50年この家で暮らしたい」「この家を子どもたちに残したい」と思うのなら、その希望を叶える方法を考えるのが建築業者の役目です。

 

たとえば、50年以上住むことを目指すなら:

    •    構造のチェックと補強:地震に耐えられるか、基礎部分がしっかりしているかを確認。

    •    設備の更新:古くなった水回りや電気配線を新しいものに交換。

    •    快適性の向上:断熱材を入れ替えたり、窓を二重ガラスにしたりして省エネ性をアップ。

これらの選択肢を提示し、費用や工期を説明するのが業者の責任です。しかし、最終的に住むか建て替えるかを決めるのは、住む人自身であるべきです。

 

家は「住む人」が主役

 

「住む」という言葉を漢字で書くと、「人が主」と書きます。家の寿命をどうするかを決めるのは、建物ではなく、そこに暮らす人の価値観や人生観なのです。たとえば、「子どもたちに思い出のある家を残したい」「自分たちの暮らしにぴったり合った空間にしたい」といった気持ちが、家の寿命を決める基準になるのではないでしょうか。

 

結論

 

家は単なる「建物」ではなく、そこで暮らす人の「人生の舞台」です。その寿命を「業界の常識」や「一般的な目安」によって決める必要はありません。家にどれだけの価値を感じ、どれだけ住み続けたいかは、住む人自身が決めるものです。

 

業者に「建て替えたほうがいい」と言われたら、まず自分の気持ちと向き合ってください。そして、メンテナンスやリフォームという選択肢もあることを忘れないでください。家の寿命をどうするか、決めるのは「あなた」です。

 

 

 

耐震診断の「安全」は本当に安全なのか?

 

今日は、耐震診断について、皆さんが勘違いしやすい「地盤との関係」について話します。

耐震診断を受けて「安全」と判断されたからといって、安心してはいけないのです。なぜなら、それは地盤や基礎の状態を十分に考慮していないからです。

 

耐震診断が見ているのは「建物」だけ

耐震診断とは、建物そのもの、つまり構造物の強さを調べるものです。そこに含まれるのは、主に筋交や耐力壁、接合部金物などの強度です。地盤や基礎の状態がどれだけ影響を与えるかという視点は、診断結果に多少の考慮はされていますが、それはほんのわずかです。

診断の主眼は、地盤がしっかりしているという前提のもとで、建物が揺れたときにどの程度耐えられるかを判断することにあります。

 

地盤が悪ければ、どんなに建物が強くても無意味

極端な例を挙げます。もし地盤が液状化するような場所に家が建っていたら、建物自体の耐震性が高くても、地震の際に建物が傾いたり沈んだりしてしまう可能性があります。

つまり、地盤が脆弱なら、建物の強さなどほとんど意味をなさないということです。

 

地盤の確認は住む人の責任?

地盤の状態を知るための情報は行政が提供しているハザードマップなどに頼るしかなく、耐震診断ではそこまで求められていないという点です。

その結果、耐震診断で同じ評点が出ている建物でも地盤によって壊れるかどうかが変わります。

 

地震から命を守るためには、建物の強さを調べる耐震診断とは別に、地盤についても確認することをお勧めします。

 

TOTOトイレの選び方:長く使うならピュアレストがおすすめ!

 

今日は、TOTOのトイレ選びについてお話しします。トイレを選ぶとき、何を一番重視しますか?

値段の安さ、掃除のしやすさ、長持ちすること、あるいはデザインの美しさなど、人それぞれだと思います。今回は、「値段が安く、長く使える」という視点で、おすすめのトイレを紹介します。

 

TOTOの代表的なシリーズ

 

TOTOには、たくさんのシリーズがありますが、今回はタンクレスとタンク有りの二つのシリーズで比較したいと思います。

    •    ネオレストシリーズ(タンクレスで美しいデザインが特徴)

    •    ピュアレストシリーズ(タンク付きで使いやすさを重視)

 

ネオレストは、すっきりとした見た目と高級感があり、ショールームで見たら一目惚れしてしまう方も多いです。特に最高級モデル「ネオレストNX」は、流れるような美しいデザインが魅力的。しかし、ショールームでは横から美しいフォルムを見られますがご自宅ではどうでしょうか? 正面からしか見ませんね。自分の家に置いた時を考えてみてください。

 

ネオレストのデメリット

ネオレストは、「タンク」「便器」「ウォシュレット」がすべて一体化されています。一体型はデザイン的には美しいですが、もしどこか1つが壊れると、全部を交換しなければならないというデメリットがあります。たとえば、12〜13年使った後にウォシュレット部分が故障してしまった場合でも、修理ではなくトイレ全体の交換が必要になることがあります。その際、40万 50万の費用がかかることも普通にあります。ちなみにウォシュレットは10年ごとに交換することをメーカーす推奨して言うます。この時、部品としてウォシュレットがあればいいのですが、無ければ全部交換になります。

 

長く使うならピュアレスト

一方で、ピュアレストシリーズは「便器」「タンク」「ウォシュレット」がそれぞれ独立して販売されています。もしウォシュレットが壊れたとしても、ウォシュレットだけを交換すれば良いので、全体を買い替える必要はありません。この仕組みが、ピュアレストシリーズの最大の魅力です。

 

さらに、ピュアレストはシンプルで使いやすいデザインでありながら、掃除のしやすさや機能性もしっかり備えています。値段もネオレストに比べて抑えめなので、コストパフォーマンスの良い選択肢と言えるでしょう。

 

トイレ選びは慎重に!

トイレは毎日使うものであり、長く使うことを考えると、メンテナンスのしやすさやコストの面も重要です。見た目や高機能も魅力的ですが、「長く使えるかどうか」や「維持費がどれくらいかかるか」を考えて選ぶことが大切です。

 

私個人としては、シンプルで修理や交換がしやすいピュアレストシリーズをおすすめします。トイレ選びで迷ったら、ぜひ参考にしてくださいね!

 

/ 田口寛英