阪神淡路大震災から学ぶ「本当の防災」
今年で阪神淡路大震災から30年が経ちます。1995年1月17日午前5時46分、淡路島や神戸を中心に大きな地震が襲い、多くの家屋が倒壊し、多くの命が奪われました。それから30年、復興の道を歩んできた神戸を先日訪れ、「人と防災未来センター」という震災の資料館を見学しました。
そこには、震災の記録や被害の状況、そして復興までの歩みが写真や証言とともに展示されていました。その中で、私は自分自身の考えの狭さに気付かされました。
家を強くするだけでは守れないもの
私はこれまで、家の耐震性を向上させること、耐震診断や補強工事を通じて地震に備えることに取り組んできました。しかし、防災という視点で見れば、それはあくまで一部に過ぎないのです。例えば、家が倒壊しなかったとしても、近隣で火災が発生すればその火が自分の家に燃え移る可能性があります。地震は「家の強さ」だけで防げるものではない、という現実を改めて実感しました。
助け合いの力が命をつなぐ
阪神淡路大震災では、倒壊した家屋から多くの人を助け出したのは、消防や自衛隊だけではありません。むしろ、近所の人々が力を合わせて救出に当たったケースが多かったのです。消防車が来られない場所では、住民たちがバケツリレーで火を消しました。また、避難所生活では、過酷な環境の中で人と人が支え合うことで困難を乗り越えました。
こうした事実を目の当たりにし、防災とは「物理的な備え」だけではなく、「人と人との繋がり」もまた大切な柱であることを痛感しました。
地域の繋がりを築くことの大切さ
確かに、家を強くすることは地震への備えとして重要です。しかし、それだけでは足りません。地震後に生き延び、復興していくためには、普段から地域の人々と顔を合わせ、支え合える関係を築いておくことが何よりも大切だと学びました。近所付き合いや地域コミュニティを疎かにしていると、いざという時に助け合うことが難しくなります。
備えは家だけでなく「人との繋がり」も
地震はいつ起こるかわかりません。家の耐震性を高めることはもちろん大事ですが、それだけで安心してはいけません。普段から近所の人々と挨拶を交わし、地域の繋がりを大切にしてください。それが、地震後に自分と家族を守る力となるはずです。
田口住生活設計室/田口寛英