阪神大震災から30年:建物の強度と命を守る備え
今日は1月17日。1995年のこの日、阪神淡路大震災が発生しました。あれから30年、多くの人々にとって、この日は特別な意味を持つ日となっています。震災では約6,500人弱の尊い命が奪われ、その多くが建物の倒壊や火災によるものでした。この事実を改めて振り返りながら、私たちが今できる備えについて考えてみたいと思います。
倒壊した建物が引き起こす連鎖
震災時の死亡原因の約85%は建物の倒壊によるものとされています。さらに、倒壊が火災を引き起こし、火災によって亡くなる方が続出した地域も少なくありませんでした。つまり、家が倒壊しなければ火災による被害も少なかった可能性が高いのです。この点からも、建物の倒壊を防ぐことが命を守る第一歩であることは間違いありません。
震災への備えの2つの柱
震災への備えを考えるとき、大切なのは以下の2つです。
1. まず家を「最低限逃げられる強度」にすること
建物を絶対に倒れないようにするのは難しいですが、地震が起きた際に命を守るために「逃げ出せるだけの強度」を確保することは可能です。耐震診断や耐震補強工事は、その第一歩です。ただし、過剰な安全を求めて高額な工事を提案されることもあるため、予算内で現実的な工事を行うことが重要です。小さな補強でも命を守れる場合は多いのです。
2. 地域の一員として支え合いに参加すること
地震の後、助け合いの力が被害を最小限に抑えるカギとなります。阪神淡路大震災の際にも、多くの人々が近隣住民と協力し、救助活動や火の消火を行いました。家を強くすることは重要ですが、地域のコミュニティに積極的に関わり、いざという時に支え合える関係を築くこともまた防災の一環です。
耐震診断と現実的な選択
現在、耐震診断を行う業者の中には、高額な補強工事を提案する場合もあります。もちろん、最大限安全を目指す提案には価値がありますが、全ての家庭がそれを実行できるわけではありません。予算に合わない提案をそのまま受け入れるのではなく、「最低限、命を守る補強」に重点を置いた現実的な選択を検討してください。
最後に
阪神大震災から30年、私たちは多くの教訓を得ました。その中でも、まず家の耐震性を確保し、地域の支え合いに参加することが、震災への備えとして最も重要だと感じています。家の強度は命を守る第一歩であり、地域との繋がりはその後の生活を守るための支えとなります。
田口寛英
(株)田口住生活設計室