お宝映画・番組私的見聞録 -69ページ目

妖術武芸帳

「江戸忍法帖」もジャンルは少年向け時代劇ということになると思うが、1クール(13話)で打ち切られてしまった同ジャンルでの代表的な作品と言えば「妖術武芸帳」(69年)であろう。
放送時間は日曜夜19時でTBS系、つまり「タケダアワー」の時間帯だ。円谷プロ製作の「怪奇大作戦」の後番組で、かつての同時間帯の大ヒット作である「隠密剣士」(62~65年)よもう一度、という感じで企画されたようだ。円谷プロに時代劇の実績がなかったこともあり、東映京都テレビプロでの製作が決定した。実は東映東京撮影所に断られてのものだったらしい。90年までの東映は映画製作とテレビ番組製作で、会社が明確に分かれていたのである。
脚本は「隠密剣士」の大半や「仮面の忍者赤影」全話を担当した伊上勝である。忍術ではなく妖術となったのは、伊上の提案だったという。
主役の鬼堂誠之介役(まことのすけと読む、せいのすけではない)に抜擢されたのは佐々木功。60年に18歳で歌手デビュー、当時は和製プレスリーと言われていた。同時に松竹の専属として俳優活動もスタートしている。当時27歳で若手ではあったが、10年近いキャリアはあったのである。東京在住であったが、撮影は1年続くと言われ、テレビでは初の主演ということもあってか、京都に引っ越すことにしたのである。
共演は覚禅に藤岡重慶、「赤影」や「隠密剣士」でいう牧冬吉のような役割だ。その妹の女忍者・楓役には新人の楓ミツヨが抜擢。アルバイト中に松竹芸能にスカウトされた人らしい。詳細は全く不明で、本作以外では「黒い編笠」(69年)でのゲスト出演記録があるのみだ。
残るレギュラーは重鎮が二人。江戸城の影の実力者・香火主殿に月形龍之介。映画の水戸黄門役で有名な人だが、テレビでも黄門を演じたことがある(ブラザー劇場、64~65年)。少年向けドラマへの出演は珍しく、本作くらいかもしれない。ちなみに翌70年に亡くなっている。そして悪人側だが、婆羅門の妖術師・毘沙道人役に原建策。月形とは3歳違いのベテランだが、戦後は共に東映時代劇で活躍していた。原は「隠密剣士」や「赤影」にも悪役で出演している。ちなみに娘は松原千明で、孫がすみれである。こちらは長生きして、02年に96歳で亡くなっている。

 

江戸忍法帖

監督・志村敏夫、出演・前田通子のコンビによるドラマは「怪獣マリンクング」以外では、「江戸忍法帖」(64年)が存在する。「江戸忍法帖」については07年にここでも取り上げており、記事がだぶる部分も多いと思うが、その辺は見ないふりで。CSではその07年に放送されたが、それ以来されていないはずである。
原作はご存知、山田風太郎で主人公対複数の忍者という構図の最初の作品である。山田風太郎の忍法帖シリーズがマンガに与えた影響は大きかったと思われる。何と言っても横山光輝の「伊賀の影丸」である。「七つの影法師の巻」は七人対七人の忍者合戦だが、それは「甲賀忍法帖」の伊賀十忍対甲賀十忍がベースと思われるし、第1部である「若葉城の巻」はこの「江戸忍法帖」の影響が大きい。「影丸」で敵忍者として登場するのは甲賀七人衆だが、この「江戸忍法帖」に出てくるのは甲賀七忍である。つまり、そのまんまである。
主人公の葵悠太郎は先代将軍家綱の御落胤。そんな彼に暗殺の指令が下り、その実行部隊が甲賀七忍である。主人公の悠太郎を演じるのは山城新伍で、ヒロインのお縫を演じるのが花園ひろみ。二人は第4期東映ニューフェーイスの同期生で、66年には結婚することになる。
監督は前述のとおり志村敏夫だが、プロデューサーは新東宝出身の佐川滉で、制作は新東宝の後身会社である国際放映という新東宝繋がりである。前田通子は何の役かというと甲賀七忍の一人・葉月の役である。クレジットは例のごとく?トメ(ラスト)であった。実は10数年見直していないので、記憶があやふやな部分があるのだが、最後の一人となったのは前田演じる葉月だったと思う。
甲賀七忍の他のメンバーは、大文字秀介(寝覚幻五郎)、永井邦近(八剣民部)、大木勝(鵜殿一風軒)、柚岡信雄(空蝉刑部)、西宮健二(粂寺外記)、川路誠(天羽七兵衛)である。とまあ断定的に書いたが、最初の三人は合っていると思うが、後半の三人はそれぞれの回の主演者クレジット(役名なし)から導いた結果である。
ところで、本作は64年と書いたが、実はこの時放送されたのは1話のみだったらしい。主演である山城新伍の不祥事(海外で拳銃を購入した)が発覚したためであるという。それに同行していたのが里見浩太朗だったらしい。当時は今でいう「黒い交際」は普通のことで、この事件もその繋がりによるものだったようだ。
結局、全話が放送されたのは66年になってからであった。前田・志村コンビはどこまでもツキがなかったのである。

 

怪獣マリンコング その2

前回の続きである。「マリンクング」に出演した女優陣だが、新東宝出身の前田通子、日活の筑波久子に加えて、松竹出身の七浦弘子も出演していた。役名は川村女史ということだが、女史といっても前田と同じ34年生まれなので、当時は25歳である。七浦は松竹歌劇団の七期生で、54年に「若旦那と踊子」で映画デビュー。松竹と専属契約を結び、主演まではなかったが、重要な脇役として活躍していた。58年あたりからはテレビに活躍の場を移し、「マリンコング」が放送された60年にシックス・レモンズのサックス奏者である与田輝雄と結婚して引退したという。つまり、この「マリンコング」が女優として最後の仕事であったと思われる。
そして、もう一人。マリンコングを操るZ団の首領・お菊様を演じるのは北条ユキ。この人を検索すると何人か同姓同名の人が出てくるが、60年発行の「週刊朝日」の表紙になっているのが彼女であろう。首領といってどう見ても20代の美女である。実は他に出演作も見当たらないので、まさに謎の人なのである。写真で見る限りは前述の映画女優三人にも負けないくらいの美女だと思う。他にも野々村という役で三原葉子ならぬ三原悠子という人も出演している。彼女については日米映画製作(配給は新東宝)の犯罪シリーズの11作目である「殺人魔の接吻」(59年)という映画の出演記録があるのみである。
男優陣は結局、太田博之が一番のスターだったといえるが、どうやら佐伯秀男が出演していたようである。戦前から活躍しており主演映画もあり、スター女優だった霧立のぼると結婚までした役者である(数年で離婚)。戦後は新東宝を中心に活動していたが、脇役・端役が多かった。彼が活路を見出したのがテレビ映画であり、また成人映画であった。
ところで「怪獣マリンコング」は、2クール目からはタイトルが「マリンコングの大逆襲」に変更されている。ソフト化については、実は84年に一度1,2,13話を収録したビデオソフトが発売されているのだが、通信販売限定だったため、ビデオショップや外部レンタルを禁止にしていたため、レンタルビデオ店にも並ぶことはなかった。それ以降一度もソフト化はされていないらしく、テレビで放送されることもなく映像入手は非常に困難な状態である。
フィルムは「魔神バンダー」同様にトランスグローバル社が所有しているらしいのだが、そのまま腐らせるつもりであろうか。まあ、ビジネスとしては厳しいのかもしれないけれども。

 

怪獣マリンコング

60年代のウルトラシリーズ以外の怪獣ドラマと言えば、前々回の「アゴン」と共に名が挙がるのが「怪獣マリンコング」(60年)である。
この番組の何がすごいかと言えば、怪獣がマリンコングのみで26話持たせたところではないだろうか。毎週のように新しい怪獣、怪人が登場する特撮番組に慣れてしまった現代っ子なら、飽きてしまうだろうなと思ったりする。製作はニッサンプロというところだが、当然予算の関係もあるだろう。
まあ当時はこういったドラマは、珍しかったと思うので当時の子供たちは飽きずに見ていたのかもしれない。今見るとマリンコングのデザインは、とても可愛らしく見えるくらいだが、当時の子供は結構怖がっていたらしい。番組後半には、目つきを鋭くしたりと若干改造したらしいが、どの程度変わったのかは不明である。
マリンコングの姿はネット上でも検索すれば、見ることが出来ると思うが、生物感があまりない。しかし、設定をよく見ると実はマリンコングは恐竜型のロボットなのである。だから生物感に欠けていても正解なのだ。その造形を担当したのは人形劇団プーク。ちなみに現在も活動中である。
主演の和夫少年役は当時13歳の太田博之。後の活躍は知っている人も多いと思うが、映画デビュー作は新東宝の「新妻鏡」(56年)で、当時は9歳であった。この「新妻鏡」の監督が志村敏夫である。その志村がマリンコングの監督の一人だったりする。その父親の矢田博士役で林寛、松岡役に芝田新だが、共に「新妻鏡」に出演しており、みんな志村の新東宝人脈で引っ張てきたのでは、と考えられる。「新妻鏡」以外の志村の新東宝作品でも林と芝田は出演していることが多い。
そして、志村といえば共に新東宝を追われた前田通子である。新東宝を去ってからも二人は一緒に行動しており、当然「マリンコング」にも前田は出演している。役名は「支那服の女」であり、毎回そうかどうかは確認できないが、クレジットは「トメ」(つまり最後)である。
他にも出演の経緯は不明だが、結構豪華と言える俳優陣が本作には出演している。何と言っても筑波久子。当時は日活の肉体派女優として人気のあったときである。彼女の役柄は和夫少年たちを助ける謎の仮面ヒロイン・くれない天使。変身ヒロインの草分け的なキャラクターだと言われている。
前田通子、筑波久子の当時を代表するセクシー女優の共演となれば、子供たちよりも大人たちがチャンネルを合わせたのではと思ってしまう(二人が共に出演した回があるかどうかは不明だが)。実際27%という高視聴率を獲得し、関東ローカルから全国放送に拡大されたという。次回に続く。

 

ジャングルプリンス

今回も日本電波映画社製作の特撮ドラマである。「宇宙Gメン」や「アゴン」も幻のドラマっぽいが、ソフト化はされているので何とか見ることは可能である。しかし、今回の「ジャングルプリンス」(70年)は、未ソフト化の作品であり、資料どころかスチール写真すら、ほとんど存在しない正に幻の作品といえるのである。
本ブログで取り上げたのは10年以上前なのだが、そこから何か新情報があるかと言えば、ほとんどなく特に進展があったわけではない。話の流れで取り上げているだけである。
「アゴン」は約4年の間、お蔵入りになっていたと書いたが、実はこの「ジャングルプリンス」はそれを上回る5年もの間、お蔵入りになっていた作品なのである。つまり、70年とあるのは放送された年のことであり、製作されたのは65年ごろのことだったという。アゴンは4話だからまだましだが、この「ジャングルプリンス」は26話分製作されていたのである。しかも、その初放送も夏休み期間の7~8月にかけて月~金朝9:30の帯で放送されたのだという。つまり約5週間の集中放送だったわけである。その後、再放送されたかどうかは不明だという。もし再放送されていないとしたら、当時たまたまチャンネル(日本テレビ系)を合わせた者のみが、本作を見ることのできたラッキーな?人だったと言える。
タイトルから想像できるのは、和製ターザン的な内容だと思うが、それにSF的な要素を絡めた作品とでもいうのだろうか。
熱帯の島に取り残されたイサム少年は、大猿ロボラに育てられる。イサムは謎の石ファイヤーストーンの力でジャングルプリンスとなり、ファイヤーストーンを狙う悪の組織ブラック団や、ロボット・デストロイヤー等と闘う、というのが大筋である。ロボラの造形担当は「アゴン」でも書いた大橋史典。元々「キングコング」がきっかけで造形を始めた大橋なので、さぞ立派だろうと思っていたらスチールらしきものがネット上で見つかった。
一枚だけだが、イサム少年(矢野圭二)のガッチリとした姿も見える。また、動画は相変わらずないがソノシートに収録された音声ドラマを動画サイトで発見した。映像はそのジャケットが映っているだけだが、そこのロボットの姿が。これが前述のデストロイヤーなのだろう。「宇宙家族ロビンソン」に出てくるフライデーのような感じといえばわかるだろうか。ドラマ部分はほとんどがブラック団の会話で、そのボス(ピーター・ウィリアムス)の声(多分吹替)が多く、イサムはあまりしゃべっていない。ちょっと聞こえる女性の声がヒロインのユカ(藤貴子)なのだろう。
他の出演者には、松山容子、泉京子、徳大寺伸、水上保広、永野達雄といった、有名役者もいたようだ。

 

アゴン(AGON)

もう一つ日本電波映画製作の特撮ドラマから「アゴン」(68年)である。68年と書いたのは放送された年のことで、製作されたのは64年だったという。全4回ということもあったのか、スポンサーが中々つかず、4年もの間お蔵入り状態となっていたのである。
舞台は茨城県東海村で、日本国内で原子力の火が灯った最初の村であるが、それは57年のことである。アゴンという名もアトミック・ドラゴンに由来している。初放送までには時間がかかった本作だが、ソフト化については順調に行われており、80年代には「幻の怪獣アゴン」のタイトルでビデオ化され、ビデオ再発の際に「幻の大怪獣アゴン」と「大」の字がついたタイトルに改題されている。
比較的容易に見れる作品なのだが、当時としてはかなり出来が良い作品と言えるのではないだろうか。何しろ怪獣造形はそのクオリティには定評のある大橋史典が担当しているのだ。大橋は本作においては監督及び、特撮監督にも名を連ねている。元々は俳優で、戦前は樺山龍之介の名で和製ターザン役者として活躍していた。その一方で米映画「キングコング」に衝撃を受け「江戸に現れたキングコング」(38年)という映画で猿人の造形を担当し、自ら中の人も務めた。
出演者だが、主人公の新聞記者五郎に広田進司、大和刑事に松本朝夫、右京博士に志摩靖彦、ヒロインであるさつきに沢明美、他に入江慎也、福山象三、小林芳宏など。この中で一番知られているのは松本朝夫であろう。新東宝スターレット1期生で天知茂、高島忠夫らが同期であった。この人の場合、特撮では科学者だったり博士だったりする場合が多いのだが、当時は若かったこともあり刑事の役である。あと、福山象三は悪役としてよく見かける名前だろう。福山は前回の「宇宙Gメン」にもゲスト出演していたし、少し前に書いた「魔人ハンターミツルギ」にもゲスト出演していた。
対照的に主演の広田進司については、よくわからなかったが調べたところ、「事件記者」「鉄道公安36号」「特別機動捜査隊」などに複数回ゲスト出演していたことがわかった。ヒロインの沢明美も「アゴン」以外には「部長刑事」に数回ゲスト出演した記録があるだけである。共に活動記録は60年代のみで短期間の活動に終わったと思われる。
あと、アゴンの中の人は東悦次。名前だけではピンと来ない人もいるかもだが、「白獅子仮面」の項でも触れたエクラン剣技会のメンバーで、「必殺シリーズ」を見ていると頻繁に登場するキツネ顔の男と言えばわかる人もいるだろう。剣技会とかのメンバーは毎回のように登場するので目立たない顔の方がいいと思うのだが、この人はある意味目立つ。キツネ顔選手権でもあれば優勝するかもしれない、と勝手に思ったりしている。

 

宇宙Gメン

前回、日本電波映画社製作の「白獅子仮面」を取り上げたが、今回も同社製作のSF特撮「宇宙Gメン」(63年)である。個人的には放送として見たことは一度もなく、初見はレンタルビデオだったと思う。80年代後半にビデオソフトが出ていたのである。「天馬天平」「琴姫七変化」と時代劇を作ってきた日本電波映画が、何故か突然に特撮ものに挑戦したのが本作である。
レンタルで見てはみたものの退屈だったため、余り記憶に残らなかった、というのが真実である。提供が三洋電機ということはつよく印象に残ったけれども。この番組の放送データでは全8話となっているが、実際は13話分製作されていたのである。しかし、低視聴率により打ち切られてしまったという。打ち切り番組は再放送もほとんど行われないし、事実9話以降は完全にお蔵入り状態だったようで、初披露がこのビデオソフト化だったのである。
しかし、原版の6話と11話が行方不明となっており、ソフト化は全11話で行われている。今世紀に入ってDVD化されているのだが、状況は変わっておらず、全11話分のDVD化である。つまり、第11話については本放送もソフト化もされないまま行方不明となってしまい、そのサブタイトルすら不明だという。文字通り幻の1話となってしまっているのだ。
主演の風早役は平井昌一で、当時は24歳。安井昌二と間違えやすいかもしれない。本作には素顔でも出演しているが、宇宙の場面では仮面をつけている。さわやか青年だが、当時から少し頭髪が薄い感じがする。月村役は倉丘伸太郎。東映ニューフェーイス6期生で同期に千葉真一、亀石征一郎など。当初から成功していたイメージだが、実は新人時代は中々芽が出ず、63年には東映を退社し、この日本電波映画に入社している。69年にフリーとなり71年から倉岡伸太朗に改名している。この「宇宙Gメン」の後に、同社が製作した「姿三四郎」でその三四郎に抜擢され、お茶の間の人気を得た。平井も倉丘も「柔」や「柔道水滸伝」などの同社製作の柔道ドラマで人気を得ていったのである。
他の出演者は博士役の源八郎、マリ子役の東孝子、達夫少年の齊藤伸男など。この斎藤少年は、後にパーカッショニスト・斉藤ノヴとなり活躍。現在は音楽プロデューサーも務める。奥さんは夏木マリだそうだ。
あの栗塚旭もゲストとして顔を出していたらしい。肝心の特撮は今見るとどうしても稚拙だが、当時としては頑張っていたほうなのかもしれない。しかし、当時の少年たちの心を掴むには至らなかったようである。

 

白獅子仮面

夏夕介と言えば「特捜最前線」。レギュラーメンバーが「特撮最前線」と揶揄されるほど、夏も含めて特撮ヒーロー経験者(藤岡弘、誠直也、荒木しげる)が多かった番組だが、番組終盤に加わった三ツ木清隆もヒーロー経験者である。
一つは割合有名な「光速エスパー」(67年)で、もう一つは知る人ぞ知る「白獅子仮面」(73年)である。三ツ木は53年生まれなので、「白獅子仮面」の時は丁度20歳だったということになるが、この番組はすぐにスポンサーがつかなかったため、製作後はお蔵入り状態だったという情報もある。しかし三ツ木が「ウルトラマンタロウ」(73年)の西田隊員役を早々と降板したのは、「白獅子仮面」の主演に決まったからということらしいので(後任がヒューマン2号の西島明彦)、両番組がほぼ同時に放送がスタートしているところを見るとお蔵入り状態にはなっていないと思われる(なっていても短期間だろう)。
製作は大和企画となっているが、これは日本電波映画社のことである。企画・製作としてクレジットされている松本常保はその社長だ。日本電波映画と言っても知らない人もいるだろうが、60~70年代に存在した映画製作会社で、劇場用映画も数作あるが、主にテレビ映画を製作していた。「琴姫七変化」「天馬天平」「柔」などが有名だ。
「白獅子仮面」は、同社のある京都で製作された変身ヒーロー時代劇である。三ツ木演じる剣兵馬は南町奉行所の影与力なる役職に就く若者である。出演は三ツ木の他は清川新吾(大岡越前)、瞳順子(大岡縫)、古川ロック(同心・田所)、千代田進一(目明し一平)など。古川ロックは、古川ロッパの次男。古川緑九という漢字表記の時もあったが、これは伴淳三郎が名付けたものだという。人の良さそうな顔立ちで、「暗闇仕留人」や「影同心」でも主人公たちの同僚の同心役で出演していた。千代田進一は小柄で細身、こういった目明しや瓦版屋の役でよく見かける顔である。
そして、その他大勢として時代劇ではよく見かけるエクラン剣技会の面々。これも前述の松本常保が設立した団体である。名前と顔が一致するメンバーは少ないが「必殺シリーズ」などでよく見かける美鷹健児、横堀秀勝、松尾勝人、広田和彦、加藤伯明、丸尾好弘、村山茂など。ちなみに白獅子仮面は美鷹が演じていたという。
悪役である火焔大魔王の声は前半は山本弘だが、後半は千葉敏郎が演じている。時代劇の悪役で知られる千葉だが、声だけの出演は珍しい。
自分は時代劇好きの子供ではあったが、この番組に関してはさほど見たいとは思わなかった気がする。1クールで終了しているし、話題になることもあまりなかった。しかし、ソフト化はされており、簡単にみることは可能である。
ちなみに、本作は前述の日本電波映画社が手掛けた最後の作品となったようである。

 

突撃!ヒューマン‼ その2

「突撃!ヒューマン‼」(72年)の続きである。ヒューマンのデザインもはっきりと見たことがなかったのだが、デザイナーが「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」でお馴染みの成田亨ということもあり、眼のデザインは「セブン」に登場したウィンダムを思わせる。
製作陣は本気だったと思うが、この企画で「仮面ライダー」に立ち向かえるとは、素人考えでも思えない。わずか13回で打ち切りとなったのである。このような舞台中継形式ではなく、普通のドラマ形式で作られたとしても太刀打ち出来なかったのでは、と思ってしまう。
この番組は終了してまもなくの頃、一度だけ再放送されたらしいが、それ以降されることはなくソフト化されたこともない。人気がなかったから封印されたというわけではなく、実はこの番組はVTR収録だったのである。当時はまだテレビ番組を保存するという考えがあまりなく、ビデオテープが非常に高価だったこともあり、テープは上書きして使うものだったのである。
どうやら「ヒューマン」のテープも上書きされてしまったらしく、原版は存在しないということになったようである。前回に見たことがない人も多いと思う、と書いたのはそのためである。このテープ上書きの悲劇は「新十郎捕物帖・快刀乱麻」(73~74年)でも以前に書いたことがある。同番組もVTR収録だったために原版テープは上書きされてしまったとされている。原版が存在しなければ、CSでの放送はもちろん、ソフト化も不可能である。後は当時に個人で録画機器を所有していた人の可能性にかけるしかない。ちなみに、家庭用VTRの販売開始は75年(ベータマックス)からである。
ところで、「ヒューマン」夏夕介に対して、「仮面ライダー」は藤岡弘、佐々木剛だが、藤岡と夏は「特捜最前線」で、佐々木と夏は「宇宙鉄人キョーダイン」でそれぞれ共演することになる。番組としては大きな差をつけられたが、俳優としての夏は成功を収めたといえよう。ヒロイン役だった田中好子もキャンディーズのスーちゃんとしてアイドルとして成功し、女優に転向しても活躍が続いていた。
しかし、夏は2010年に59歳で、田中は2011年に55歳でそれぞれ若くして亡くなっている。

 

突撃!ヒューマン‼

世代的に自分は70年代前半の特撮作品は、本放送にしろ再放送にしろ、一度はチャンネルを合わせていた気がするのだが、一度も見たことがない作品というのも存在する。これに関しては自分と同じ人が多いのでは、と予想されるのが「突撃!ヒューマン!!」(72年)である。
実は「仮面ライダー」に対抗する番組として企画されたもので、実際に土曜の夜7時半、「仮面ライダー」の裏番組として放送されていたのである。
この番組のすぐ後、つまり土曜の夜8時といえば「8時だヨ!全員集合」が放送されていたが、「突撃ヒューマン」はこの「全員集合」と同じ、舞台の公開録画というスタイルをとっていたのである。だから正確には「特撮」番組とはいえないわけで、ヒーローショーの中継をやっていたような感じではないだろうか。会場には府中、上尾、川口、江東などの市民会館や公会堂が使用された。
配役はオーディションが行われ、主演の岩城淳一郎役にはこの前年までGS「オックス」のキーボード奏者だった夏夕介が選ばれたのである。夏によれば、このオーディションには松田優作も参加していたという。もし松田が選ばれていたら「黒歴史」扱いになっていたかもしれない。
他のレギュラーは、ヒューマン2号で弟の淳二郎役に西島明彦。西島は「ウルトラマンタロウ」ではZATの上野隊員を演じたりもしている。自分はヒューマンにも1号、2号がいたことを今回初めて知った次第である。ヒロインのルミ子役には田中好子、つまりキャンディーズのスーちゃんである。既にキャンディーズは結成されていたが、まだシングルデビューはしていない時である。カメラマンの安兵衛役に八代駿。裏番組の「仮面ライダー」では怪人の声を担当しており、その声の方が知られているかもしれない。「トムとジェリー」のトムも「クマのプーさん」も八代が演じていたのである。技斗およびスーツアクターはビンプロモーションが担当。ビンプロとは「ウルトラマン」スーツアクターおよび「ウルトラセブン」のアマギ隊員でお馴染みの古谷敏が設立した会社である。「ヒューマン」は同社にとって初めて担当したテレビ番組であった。
役者はそれなりに揃っていたかもしれないが、ある意味あまりに斬新すぎたせいか、ひっそりと1クール13話で幕を閉じている。自分も当時は、放送されていたことすら知らなかった気がする。