お宝映画・番組私的見聞録 -71ページ目

悪の紋章 その2

前回の続きである。「悪の紋章」(65年)の第1話の出演者を見ると、多々良純、岩城力也、左とん平、そして高城丈二という顔ぶれでわかる人もいると思うが、いずれも「非情のライセンス」(73~77年)に特捜部の同僚刑事として登場す面々である。彼らとは多番組でも共演が多く、天知のお気に入りの面々だったといえるだろう。宮口二朗など付き人や自分が設立した事務所(アマチプロゼ)の俳優を使うことも多く、とにかく面倒見の良い人だったのだろう。
出所した天知演じる稲村を自分の興信所に雇うのが美川陽一郎。当時は「七人の刑事」の小西刑事役で知られていた。この時は47歳のはずだが、もう少し年配に見える。76年に亡くなったがまだ50代だったことを知り、驚いた記憶がある。
第2話には園井啓介が復讐対象である新聞記者の役で出演。園井といえばNHKの「事件記者」(58~66年)でも若手記者役で出演しており、まだ番組は放映されていた頃である。園井の出演はこの第2話だけだったようだが、復讐されたのであろうか。NHKで「事件記者」が終了した後、フジテレビで同タイトルの「事件記者」(66年)が放送されているが、天知茂、多々良純、そして園井啓介らが記者役で出演している。
政財界のボス高沢役は御木本伸介。ボスというには若すぎる気もするが、御木本は天知と同じ31年生まれの当時34歳。二人は新東宝時代での同僚でもある。挿入歌「あきらめ節」を歌っているのは水原弘だが、本人もこのドラマに出演している。ただ、この65年に水原は花札賭博に関与していたことが判明し、二年ほど表舞台から遠ざかることになる。
「悪の紋章」は、この前年である64年に宝塚映画製作の映画版が公開されている。主演は山崎努で、63年の黒澤映画「天国と地獄」の犯人竹内役で一躍注目を浴びてまもない頃である。新人・愛京子が演じたヒロイン節子役には新珠三千代、沢たまきが演じた妻・恵美子役は北あけみ、そして高沢役は佐田啓二が演じていた。
松竹一筋というイメージだった佐田啓二が東宝系の作品、しかも悪役で出演していたのは意外に感じるが、63年頃から東宝系の作品にも顔を出し初めおり、晩年は癖のある悪役を演じることもあったようだ。晩年と書いたが、佐田は「悪の紋章」が公開された約1か月後に自動車事故で急逝している。37歳の若さで会った。遺作ではないがほぼそれに近い作品であることは間違いない。

 

悪の紋章

数回前に「特命捜査室」の第1話が東映チャンネルで放送されたことを書いたが、「悪の紋章」(65年)もその際に第1話のみ放送されている。主演は天知茂で、原作は黒澤映画等の脚本家として知られる橋本忍である。小説はあまり書いていない橋本だが、本作は62年に朝日新聞の連載小説として書かれており、64年に映画化、65年にテレビドラマ化されている。その際の脚本も橋本が(単独ではない)担当している。
ストーリーは城南署の警部補だった菊地が悪徳警官の汚名を着せられ刑務所に送られる。出所した菊地は稲村と名前を変え、自分を陥れたものたちへの復讐を誓う、というもの。映画では130分だったものをドラマでは半年間26話に渡って放送している。
主演は前述のとおり天知茂で、こういう役はよく似合っている。自分を罠にはめたのは直接的にはヤクザの花井(神戸一郎)や妻であった恵美子(沢たまき)らだが、その背後にも何者かが潜んでいることは想像がつく。
稲村はかつて自分のいた城南署に乗り込み、当時は後輩の若手刑事だった入江警部補と会う。演じるのは高城丈二である。協力を求めにいったわけではなく、コソコソ動くのは嫌いだからと事件にかかわっていくことを宣言するためである。当時の東映アクション(サスペンス)ドラマは天知と高城が交替で主役を演じていたようなところがあったが、共演することも多かった。天知の代わりに主任警部補となり怪しさの漂う高城だが、天知茂に詳しいサイトを見るとどうやら1話のみの登場のようである。
高城は天知を部外者と言い放つが、代わりに彼を慕っていた太宰久雄(タコ社長といえばわかるかな)演じる刑事が協力してくれた。彼から先に出所していた花井が既に死んでいたことを知る。それも偶発的に起きた喧嘩によるものだという。そんな感じで第1話は終わる。先を見てみたい展開だが、映像は1話しか現存しないらしい。
ヒロインの節子役は愛京子という新人女優(おそらく本作がデビュー)であるが、この回を見ただけではどれが彼女かわからない人も多いと思う。どうやら、満員電車の中でスリ(多々良純)に定期券をすられる女性がそうらしいが、セリフもないし、彼女がヒロインとは中々思わないだろう。しかし、ただのスリ被害者にしては美人だし、すられているのがわかっているかのような顔をしており、印象には残る。
愛京子は43年生まれで、本名は田渕美粧(みしょう)という。大学を卒業してもなく、NET(現テレビ朝日)のプロデューサーにスカウトされたらしい。66年にはレコードデビューもしており、シングルが3枚発売されている。68年以降の活動記録がなく、短期間で引退してしまったようだが、特撮ファンには「怪獣総進撃」(68年)のキラアク星人首領の役で知られている。
あと、沢たまきも最初見たときはわからなかった。「プレイガール」のオネエのイメージがどうしても強く、そのわずか4年前なのだが、イメージが全然違う。まだ可愛らしいという感じがあったのである。まあ、刑事の妻にしては派手な感じがするけれども。

 

プロファイター その2

前回の続きである。「プロファイター」(69年)のゲストに目を向けてみる。サブタイトルが毎回「~の女」「~な女」というように必ず女がつく。これだけでも、毎回美女ゲストが登場し、主役の高城丈二に絡むということは容易に想像できる。第1話は真理明美と根岸明美の明美コンビ、第2話は八代万智子と水上竜子の東映ニューフェイスコンビというように、まあセクシーな美女二人が登場することが多く、ラストで(一人は)死んでしまうことがほとんどのようだ。
東宝系の宝塚映画製作でありながら、レギュラー陣も含めて、あまり東宝系の女優は出ていないといえる。前述の根岸明美と4話の北あけみくらいであろうか。根岸明美は日劇ダンシングチーム出身だが、母親が宝塚歌劇団出身である。
ところで、真理明美、八代万智子、そしてレギュラーの浜かおるといえば「プレイガール」である。「プレイガール」がスタートするのは、69年の4月7日であり、「プロファイター」が終了した翌週からなのである。東映の制作サイドがこの番組を見ていたかのように真理、八代(第4話より)が「プレイガール」にレギュラー入りし、浜かおるも14話からレギュラー入りするのである。浜は「プレイガール」で脚本を担当する松浦健郎から東宝の撮影所で声を掛けられていたという。改名してまで臨んだ「プロファイター」は1クールで終了してしまったが、「プレイガール」には5年の間出演することになったのである。
実は、この「プロファイター」のゲストと「プレイガール」の最初の1クール(つまり第13話まで)のゲストが高確率で一致しているのである。中原早苗、万里雅代、斎藤チヤ子、根岸明美、稲垣美穂子、有沢正子、真理アンヌ、南廣、北原義郎、沼田曜一、大村文武そして木村功といった具合である。同じ会社の制作ならわかるが、あくまでも一方は東映で一方は宝塚(東宝)である。まあ、当時のアクションドラマの出演者は制作会社に関係なくほぼ決まっていたともいえるかもしれない。「プレイガール」にはその後、中丸忠雄や高城丈二もゲストで出演する。
意外に思えるのは、やはり木村功だろう。こういったドラマのゲストで出ていたイメージがないのである。調べてみると、実際に少ないようで異例だったといえるかもしれない。あと、個人的に珍しいと思ったのは第4話に出ていた千葉敏郎である。何が珍しいかというと、時代劇以外での千葉敏郎を初めて見た(と思う)からである。記録上も現代劇への出演は少ないようなので、貴重な映像といえるのかもしれない。時代劇でよくやっている用心棒のような役だったが、やはりこの人は刀を持っている方が強そうだなと改めて思った。
加えて、「プロファイター」終了の翌週から始まったのが一文字違いの「ゼロファイター」である。ゼロファイターとは零戦のこと、つまり戦記物なのだが、実は64年の製作であり、お蔵入り状態だった番組なのである。ややこしいので「プロファイター」終了を待っていたのかもしれない。

 

プロファイター

「37階の男」とくれば、次番組の「プロファイター」(69年)である。高城丈二を主役にしたいという話を聞いた中丸忠雄は降板し、高城を主役にして宝塚映画が単独で番組制作を担当した当時大流行りだったスパイアクションものである。ちなみに「プロハンター」(81年)は、草刈正雄と藤竜也が主演のアクションドラマで、「ゼロファイター」(69年)は水島道太郎主演の戦記ものである。
この番組も「37階の男」同様に40年くらい見たことがなく、CSでの放送も自分が加入する前の96年にされたきりのようである。記憶に残っていたのはレギュラーに佐藤友美がいたこと、高城演じる主人公の名前が「洞門桜」ということくらいである。記憶に残っていたくらいだからインパクトという点では成功した名前かもしれないが、「洞門」という苗字は実は存在しないようだし、下の名前が「桜」という男性も個人的には聞いたことはない。まあ普通にいるとは思うけれども。
さて、その高城演じる洞門は国際刑事警察本部(ICPB)の秘密捜査官である。表向きはカメラマンとして活動している。他のレギュラーは前述の佐藤友美(有沢百合)が女性秘密捜査官で、浜かおる(下村悦子)がアシスタント捜査官、長沢純(遠山純)が当初はカメラマンとしての弟子で、洞門らの素性は知らなかったのだが、第4話でその素性を知りアシスタントとして仲間に加わることになる。他には声のみだが、ICPB極東部長を納谷悟朗が演じている。
実は今回、約40年ぶりにその映像を見ることができた。詳しくは書かないが、意外と間単に見ることはできる。やはり、第一に思ったのは佐藤友美は美人であるということである。佐藤友美は41年10月8日生まれ、三田佳子とは生年月日が一緒である。俳優座養成所の13期生で、同期には加藤剛、石立鉄男、細川俊之、佐藤オリエ、真屋順子などがいる。デビュー作は松竹の「さそり」(67年)で、もちろん梶芽衣子の「女囚さそり」シリーズとは全く別物である。いきなりの主演だったが、実は加賀まりこの代役(加賀は別役で出演)であったといい、これ一作で悪女のイメージがついたという。
松竹と専属契約を結んだが、この人の場合、サスペンスとかアクション映画向きの顔立ちであり、ホームドラマは似合わないと思う。印象に深いのはやはり「吸血鬼ゴケミドロ」(68年)であろうか。
浜かおるは、個人的には出演していたという記憶がなかったが、実はこの番組で日活女優・浜川智子から浜かおるに改名したのである。
長沢純は、佐藤友美と同じ41年生まれだが、彼女より年下に見える。スリーファンキーズのリーダーとして活躍したが、66年に解散。俳優業は並行して行っていたが、この69年辺りからは司会者としての活動を始めている。
スタッフに目を向けると音楽を富田勲が担当。3話と12話は作家の藤本義一が脚本を担当している。あまりイメージになかったが、テレビドラマ脚本も結構書いているのである。気合を感じるドラマではあるが、結局1クールで終了してしまうのである。次回に続く。

 

37階の男

もう一つ高城丈二関連の作品なのだが、「37階の男」(68年)である。主演は高城ではなく中丸忠雄で、原作は「悪魔のようなすてきな奴」と同じ松浦健郎である。何故37階かというと、68年に建てられた霞ヶ関ビルが36階建てだったからである。当時はそこが東洋一高いビルだったのである。
舞台はその霞ヶ関ビルの37階。36階建ての37階ってどういうこっちゃ、という話になるのだが、要するに屋上に建てられたペントハウスに事務所を構える探偵の話ということのようだ。また、実は36階なのだが、さらにその上を行く男という意味のタイトルだという説もあったりする。番組自体は再放送で見た記憶はあるのだが、おそらく40年くらい前のことである。開局したばかりのCSファミリー劇場で放送されたらしいのだが、それ以降約20年はされていないようである。
出演者も次番組である「プロファイター」と混同していた部分もあったが、主演の中丸忠雄と砂塚秀夫、高城丈二のことは何となく覚えていた。女性レギュラー(秘書の役)については個人的には忘れていたのだが、前半1クールは高橋紀子で、後半は菱見百合子が出演していた。
俳優陣の顔ぶれでわかるろ思うが、制作は東宝・宝塚映画である。
中丸演じる神振太郎はキザで女たらしという設定。中丸も「これは宝田明の方が合っているだろう」と当初は嫌がったというが、原作者である松浦が中丸を強く推したという。
それなりに好評を得ていたというが、中丸によれば現場の雰囲気は非常に悪かったという。原因は風早刑事役の高城丈二にあったようで、とにかくスター気取りで態度が悪かったという。高橋紀子の降板は、それが原因ではないと思う。69年の正月映画である「フレッショマン若大将」への出演のためではなかったか、と予想する。菱見百合子によれば、「ウルトラセブン」終了後、程なくしての参加で、舞台は東京なのに撮影は何故か宝塚撮影所で行われていたという。レギュラーは四人しかいないにもかかわらず、一緒に飲みに行くようなことはなかったという。
中丸によれば製作途中に会社から「高城を主役にしたい」と突然言われたという。中丸は「わかりました。僕は降ります。ついでに東宝も退社します」と本当に退社してしまうのである。もう少し続くはずだったというが、「37階の男」は23話で終了する。間もなくして東宝は専属制を廃止してしまうので、結果は一緒だったのだが、中丸は「もう将来性がないと思ったのかもしれないな」と後のインタビューで語っている。
「37階の男」は、中丸忠雄初の連続ドラマ主演作品だったのだが、東宝を辞めるきっかけの作品でもあったわけである。

 

悪魔のようなすてきな奴

「悪魔のようなあいつ」(75年)は沢田研二主演のドラマだが、「悪魔のようなすてきな奴」(64年)は高城丈二主演のドラマである。
「孤独の賭け」(63年)「廃墟の唇」(64年)と天知茂主演ドラマでの助演で人気を得た高城が初の連続ドラマ主演に抜擢された作品である。高城演じる主人公の名は紋蝶四郎。まあモンシロチョウをベースにした名前だろうが、一瞬、紋・蝶四郎か紋蝶・四郎か悩んでしまう。どうやら紋・蝶四郎が正解のようだが、紋(紋蝶も)という姓は実在しないようだ。彼がターゲットとする柳永二郎演じる大財閥会長の名が一本松雷太。設定を見ると原爆で死んだ同姓同名の知人に成り代わって現在の地位を築いたということだが、こんな特殊な名前が被るとかちょっと考えづらい。一本松姓は国内で70件程度であり、二本松や三本松より少ない。
こういったクセのある名前の人物がメインとなる原作は松浦健郎の小説である。脚本家のイメージが強い松浦だが、小説も何冊か出しており、本作では脚本も自ら書いている(全話ではない)。
会長秘書の岬未知子役に岬瑛子。芸名からして役名に合わせたものであろうから、本作がデビュー作の可能性が高いが、後にも先にもこれ一本しか出演記録がないのである。これ一本で引退したのかもしれないし、芸名を変えて活動している可能性もある。いずれにしても謎の女優である。他の出演者はミッキー・カーチス、細川俊夫、大村文武、太宰久雄などで天知茂も友情出演しているようだ。ゲストとして名が挙がっている青野平義、瀬川路三郎、渥美国泰、佐伯徹などは複数回に渡って登場するようである。女優では夏今日子、黒岩三代子、香月美奈子なども二回以上は出演しているようだ。夏今日子は蝶四郎の義妹である美果の役のようだ。
本作は人気があったらしく、放送が終了してまもなく、映画版(65年)が公開されている。ただし、テレビと同じキャストは高城とミッキー・カーチスくらいのようだ。岬未知子役は緑魔子、一本松役は三島雅夫に変更になっている。柳永二郎から三島雅夫ではグレードダウンという気がする。三島は丸顔の人のいいスキンヘッドおじさんにしか見えない。美果役には野川由美子、一本松の娘汀役で小川知子が出演している。小川は当時16歳で、これが映画デビュー作。歌手デビューは68年になってからである。倍以上年上の中山昭二と婚約関係にあるという設定だ。蝶四郎のライバル的存在である丹下役に杉浦直樹。テレビ版にも丹下は登場しているようだが、誰が演じたのかは不明である。年齢的に杉浦に近いのは大村文武あたりだが確証はない。
以前発売された東映ドラマのオープニング集に本作も収録されていたはずだが、全く記憶にない。LDもVHSも再生機が壊れたため、現状で個人的には見直すことができない状態なのである。高城主演ドラマは基本的に高城本人が主題歌を歌っているが「七つの顔の男」以外はあまり印象に残っていないのである。

 

七つの顔の男

前回、書き忘れたのだが、高城丈二と大橋一元は竹脇無我主演のドラマ「姿三四郎」(70年)でも共演。しかも高城が檜垣源之助、大橋が檜垣源三郎役という兄弟役を演じている。同年の映画版でも源之助役は高城である。また、77年の三浦友和主演の「姿三四郎」では、千葉治郎(当時は矢吹二朗)が檜垣鉄心を演じており、「特命捜査室」のメンバーは何故か檜垣三兄弟に縁があったのである。
さて、「七つの顔の男」といえば、世間的には片岡千恵蔵のイメージかもしれないが、自分が最初に触れたのは高城丈二だったのである。ドラマ版「七つの顔の男」(67年)をかなり子供の頃に見た記憶が残っているのだ。土曜だかの昼間だった気がするので、再放送だったと思うのだが、本放送からはさほど経っていない時期のはずである。EDの高城の歌と真鍋理一郎作曲のOP曲も長年、記憶に残っていた。
高城丈二は36年生まれで、本名は清水嘉美という。54年に新人歌手コンテストで全国一位となり、55年の高校卒業と同時に若杉啓二の名で歌手としてデビューしている。59年に松竹の城戸四郎社長に見初められ松竹に入社するが、城戸社長の交代やデビュー企画の変更などもあり、60年末の「真昼の罠」に映画デビューはずれ込んでいる。主演は佐々木功で高城は端役であった。その後も松竹では企画に恵まれないまま63年に退社してフリーとなっている。
この63年に天知茂主演の東映ドラマ「孤独の賭け」に蒔田役で出演したところで人気を得ており、翌64年の「悪魔のようなすてきな奴」では主演に抜擢され、65年には東映と専属契約を結び、短期間ではあるが東映アクションドラマの顔となっていくのである。この「七つの顔の男」の頃は、再びフリーになっていたようである。
高城版「七つの顔の男」では、主役の名前は多羅尾伴内ではなく飛鳥譲次となっている。劇中では他にいくつかの名前(伴大作など)を使っていたようだ。ちなみに、手塚マンガのヒゲオヤジの本名は伴俊作、人造人間キカイダーを演じたのは伴大介である。
出演者だが、高城の他のレギュラーと思われるのは、清水まゆみ、宮地晴子、住吉正博、潮万太郎などで、他に村上冬樹、二瓶秀雄の名も挙がっている。役柄は不明だが、清水と宮地は助手みたいな存在ではないだろうか。
ゲストに目を向けると第1話の真理アンヌに始まり、滝瑛子、牧紀子、斎藤チヤ子、万里雅代、瞳麗子など毎回のように美女が絡んだのでは、と予想する。予定通りか打ち切りなのかは不明だが、1クール全13話で終了している。脚本は「隠密剣士」「仮面ライダー」などで知られる伊上勝が役半数を担当している。

 

特命捜査室

前回少し触れたが、「ブラックチェンバー」が1クールで終了した後を継いだのが「特命捜査室」(69年)である。原作は「ブラックチェンバー」と同じ、生島治郎の「影シリーズ」ということになっているが、番組の雰囲気は全然違うようである。前作があまりにも暗すぎるムードだったことが不評だったのか、一転して明るい雰囲気にリニューアルしたのが本作である。中山仁のうまいとは言い難いバラードでEDを迎えていた前作から、八木正生作曲の「パヤパパヤパッパー」という女性コーラスの軽快なOPを聞いただけでその違いがわかる。
レギュラーは前作から続投は中山仁(鏡俊太郎)、賀川雪絵(南恭子)、千葉治郎(英二)の三人。役名も同じである。新たに加わったのが桜町弘子(桜弘子)、大橋一元(星一郎)、そして高城丈二(旭吾郎)の三人である。千葉治郎を除く五人が秘密捜査官で、千葉も正式なメンバーではないが、彼らをサポートする役回りだ。続投の三人が若いこともあり(中山27歳、賀川21歳、千葉20歳)、30代の高城(33歳)と桜町(32歳)をキャスティングしたのだろうか(大橋は26歳)。
高城丈二は当時、「七つの顔の男」「37階の男」「プロファイター」とアクションドラマの主演が続いており、本作も中山と並んで主演といえよう。OPではトリの6番目だが、EDでは名前が最初に出るのだ(中山がトリ)。まあ、本人は俺が主役と思っていたかもしれない。当時は態度が尊大でスタッフや共演者からは不評をかっていたらしい。
桜町弘子は東映ニューフェイスの3期生で、57年のデビュー。同期に里見浩太朗、大村文武、大川恵子などがいた。お姫様女優の一人として時代劇で活躍。テレビ出演も時代劇が多かったので現代劇のレギュラーというのは珍しいといえる。
大橋一元は大映17期ニューフェイス出身で、65年のデビュー。「大怪獣ガメラ」や「陸軍中野学校」等に出演している。翌66年には退社し、テレビドラマへの出演が多くなる。この「特命捜査室」は、初レギュラーかもしれない。個人的には「ジャンボーグA」(73年)での岸隊長役が印象に残っている。ちなみに1クールで殉職する。
昨年、「特命捜査室」は東映チャンネルで第1話のみ放送された。仏映画「恐怖の報酬」(53年)を思わせるシチュエーションを新顔の高城と大橋が演じる。二人のトラックをヘリで追いかける悪人役に宮口二朗と潮健児というショッカーの大幹部コンビ。この回に関しては中山の出番はあまりなかった。第9話には千葉真一がゲストで出演したようだが、これが初の兄弟共演ではないかと思われる。
第1話しか映像が現存してないのかもしれないが、どうせなら全話見たいものである。東映の場合、白黒作品ほど残っている確率は低くなるのだけれども。

 

ブラックチェンバー

70年前後の東映アクションドラマには、生島治郎の小説を原作としているものが数本存在している。天知茂の「非情のライセンス」(73~80年)もそうだし、「ゴールドアイ」(70年)もその一本である。
「ブラックチェンバー」(69年)も生島の「影シリーズ」を原作としたハードボイルドタッチのアクションドラマである。ちなみに、当時の生島は36歳と意外に?若い。本名は小泉孝太郎ならぬ小泉太郎という。
さて「ブラックチェンバー」だが、個人的にはOP、ED以外は見たことがない。おそらくだが、再放送もほとんどされていないだろうし、CS東映チャンネルでも過去に放送はしていないと思われる。もっとも、映像が現存しているかどうかという問題があるが、東映お得意の第1話のみ現存というのはあるかもしれない。
主人公の二人(鏡と轟)は、警察組織からは籍を抹消され、警察手帳も手錠も組織力も持たない秘密の存在という設定。つまり、警察でもごく一部の幹部しかその存在を知らない秘密のチームなのである。
主演は中山仁(鏡)と内田良平(轟)だが、実はこのコンビはあまりバランスが良くない。というのは、中山は42年生まれで当時は27歳だが、内田は24年生まれで当時は45歳である。おそらくだが、設定上はベテランと若手コンビというわけではなく、対等な立場のコンビだと思われるので、年齢差はあまりないほうが良いと思う。とはいうもののパッと見はそこまで年齢差を感じないかもしれない。中山は年の割に貫禄を感じるほうだし、内田は65年あたりまでは年齢を8歳サバ読んでいたくらい若く見えるほうだ(愛人とのスキャンダルにより実年齢がばれた)。
他のレギュラーは、河津清三郎(桂本部長)、賀川雪絵(南恭子)、千葉治郎(英二)。千葉は本作がデビュー作となる。芸名の治郎は原作の生島治郎から授かったもので、千葉真一の弟という意味でのジロウではない。
放映リストを見るとゲストとして第12話に安藤昇の名前がある。ドラマデータベースなどで検索しても「新三匹の侍」(70年)が最初に出てくるので、テレビドラマへの出演は実はこの「ブラックチェンバー」が初ということになるのかもしれない。後はプロレスラーのミスター珍や、真理アンヌの妹であるモデルのプラバー・シェスの名もある。
前述のOP、EDを見た限りでは、とにかく暗そうなドラマだな印象を受けたのだが、その影響か予定通りかは不明だが、番組は1クール13話で終了する。次番組である「特命捜査室」には、中山仁、賀川雪絵、千葉治郎がそのままスライド出演しているところを見ると、番組は打ち切りだった可能性が高いと思われる。

 

新宿警察 その2

前回の続きである。戸田刑事役の三島史郎だが、当時は新人俳優のようなイメージで見ていたのだが、少なくてもデビューから7年くらいの中堅俳優であった。検索して出てくる唯一の出演映画が「女めくら 花と牙」(68年)であった。内容はともかくタイトルだけで、ソフト化されることが困難そうな作品である。アクション映画であり、ヒロインが目を負傷して失明の危機に陥ったということのようだが、それでこのタイトルはないなと思う。ヒーロー役が久富惟晴というのも珍しい気がする。肝心の三島はどういう役だったのかは不明である(木村という役名はある)。主演の荒井千津子だが、翌69年には松山容子主演の「めくらのお市物語」にも出演している。
話がそれたが、三島は「五番目の刑事」の第1話にも出演していた。「プレイガール」や「銭形平次」への出演が結構あり、専ら悪役が多かったようだが、「太陽の恋人」(71年)では不破先生という教師役だったようである。このドラマでは「五番目の刑事」繋がりでいうと桑山正一や中村竹弥も出演していたのである。三島の出演記録は84年あたりまでだが、その後のことは不明である。
もう一人、伊東刑事役の司千四郎だが、こちらはプロフィールから何からほぼ不明である。ドラマ出演記録も「新宿警察」以外は、「特捜最前線」初期のゲスト出演が二回(77年)出てくるだけである。しかし、映画への出演記録は三本あり、三島を上回る。小林旭主演の「多羅尾伴内」(78年)では、試合中に殺される野球選手の役だが、他の二本はにっかつロマンポルノのようだ。「ハワイアンラブ危険なハネムーン」(78年)では、ヒロイン加山麗子の新婚夫役なので、ほぼ主演と言ってもいいだろう。しかし、79年以降に関しては、活動記録は見当たらない。この辺りで引退してしまった可能性が高い。
内容に目を向けると第1話がつまらなかったという感想を発見した。まあ、キャラクター紹介みたいな一面もあろうが、個人的にも面白くはなかったというのが正直なところだった。脚本は江里明となっているが、これは「太陽にほえろ」で知られる小川英の別ペンネームらしい。「特捜最前線」でも江里の名を用いており、「太陽にほえろ」ではメインライター的存在なため、同じ刑事ドラマでは他名義を用いていたのかもしれない。もっとも、千葉真一主演の刑事ドラマ「大非常線」(77年)では小川英の名を用いていたけれども。この1話では助監督に崔洋一の名を見つけた。翌76年には藤竜也が主演の「愛のコリーダ」の助監督も務めている。監督デビューも藤竜也が主演の「プロハンター」(80年)である。
いきなりだが、最終話で一番目立っていたのは、北大路でも藤でもなく、三島演じる戸田刑事だったと思う。意外な伏兵の活躍で幕を閉じた本作だが、その監督は先日亡くなった佐藤純弥であるが、本作での監督はこの最終回のみである。佐藤といえば、やはり「Gメン75」のイメージだと思うが、「Gメン」のスタートは「新宿警察」の3カ月ほど前である。同じ東映の同時期の刑事ドラマであるが、随分と雰囲気・テイストが違っているように思うのである。