ジャングルプリンス | お宝映画・番組私的見聞録

ジャングルプリンス

今回も日本電波映画社製作の特撮ドラマである。「宇宙Gメン」や「アゴン」も幻のドラマっぽいが、ソフト化はされているので何とか見ることは可能である。しかし、今回の「ジャングルプリンス」(70年)は、未ソフト化の作品であり、資料どころかスチール写真すら、ほとんど存在しない正に幻の作品といえるのである。
本ブログで取り上げたのは10年以上前なのだが、そこから何か新情報があるかと言えば、ほとんどなく特に進展があったわけではない。話の流れで取り上げているだけである。
「アゴン」は約4年の間、お蔵入りになっていたと書いたが、実はこの「ジャングルプリンス」はそれを上回る5年もの間、お蔵入りになっていた作品なのである。つまり、70年とあるのは放送された年のことであり、製作されたのは65年ごろのことだったという。アゴンは4話だからまだましだが、この「ジャングルプリンス」は26話分製作されていたのである。しかも、その初放送も夏休み期間の7~8月にかけて月~金朝9:30の帯で放送されたのだという。つまり約5週間の集中放送だったわけである。その後、再放送されたかどうかは不明だという。もし再放送されていないとしたら、当時たまたまチャンネル(日本テレビ系)を合わせた者のみが、本作を見ることのできたラッキーな?人だったと言える。
タイトルから想像できるのは、和製ターザン的な内容だと思うが、それにSF的な要素を絡めた作品とでもいうのだろうか。
熱帯の島に取り残されたイサム少年は、大猿ロボラに育てられる。イサムは謎の石ファイヤーストーンの力でジャングルプリンスとなり、ファイヤーストーンを狙う悪の組織ブラック団や、ロボット・デストロイヤー等と闘う、というのが大筋である。ロボラの造形担当は「アゴン」でも書いた大橋史典。元々「キングコング」がきっかけで造形を始めた大橋なので、さぞ立派だろうと思っていたらスチールらしきものがネット上で見つかった。
一枚だけだが、イサム少年(矢野圭二)のガッチリとした姿も見える。また、動画は相変わらずないがソノシートに収録された音声ドラマを動画サイトで発見した。映像はそのジャケットが映っているだけだが、そこのロボットの姿が。これが前述のデストロイヤーなのだろう。「宇宙家族ロビンソン」に出てくるフライデーのような感じといえばわかるだろうか。ドラマ部分はほとんどがブラック団の会話で、そのボス(ピーター・ウィリアムス)の声(多分吹替)が多く、イサムはあまりしゃべっていない。ちょっと聞こえる女性の声がヒロインのユカ(藤貴子)なのだろう。
他の出演者には、松山容子、泉京子、徳大寺伸、水上保広、永野達雄といった、有名役者もいたようだ。