怪獣マリンコング | お宝映画・番組私的見聞録

怪獣マリンコング

60年代のウルトラシリーズ以外の怪獣ドラマと言えば、前々回の「アゴン」と共に名が挙がるのが「怪獣マリンコング」(60年)である。
この番組の何がすごいかと言えば、怪獣がマリンコングのみで26話持たせたところではないだろうか。毎週のように新しい怪獣、怪人が登場する特撮番組に慣れてしまった現代っ子なら、飽きてしまうだろうなと思ったりする。製作はニッサンプロというところだが、当然予算の関係もあるだろう。
まあ当時はこういったドラマは、珍しかったと思うので当時の子供たちは飽きずに見ていたのかもしれない。今見るとマリンコングのデザインは、とても可愛らしく見えるくらいだが、当時の子供は結構怖がっていたらしい。番組後半には、目つきを鋭くしたりと若干改造したらしいが、どの程度変わったのかは不明である。
マリンコングの姿はネット上でも検索すれば、見ることが出来ると思うが、生物感があまりない。しかし、設定をよく見ると実はマリンコングは恐竜型のロボットなのである。だから生物感に欠けていても正解なのだ。その造形を担当したのは人形劇団プーク。ちなみに現在も活動中である。
主演の和夫少年役は当時13歳の太田博之。後の活躍は知っている人も多いと思うが、映画デビュー作は新東宝の「新妻鏡」(56年)で、当時は9歳であった。この「新妻鏡」の監督が志村敏夫である。その志村がマリンコングの監督の一人だったりする。その父親の矢田博士役で林寛、松岡役に芝田新だが、共に「新妻鏡」に出演しており、みんな志村の新東宝人脈で引っ張てきたのでは、と考えられる。「新妻鏡」以外の志村の新東宝作品でも林と芝田は出演していることが多い。
そして、志村といえば共に新東宝を追われた前田通子である。新東宝を去ってからも二人は一緒に行動しており、当然「マリンコング」にも前田は出演している。役名は「支那服の女」であり、毎回そうかどうかは確認できないが、クレジットは「トメ」(つまり最後)である。
他にも出演の経緯は不明だが、結構豪華と言える俳優陣が本作には出演している。何と言っても筑波久子。当時は日活の肉体派女優として人気のあったときである。彼女の役柄は和夫少年たちを助ける謎の仮面ヒロイン・くれない天使。変身ヒロインの草分け的なキャラクターだと言われている。
前田通子、筑波久子の当時を代表するセクシー女優の共演となれば、子供たちよりも大人たちがチャンネルを合わせたのではと思ってしまう(二人が共に出演した回があるかどうかは不明だが)。実際27%という高視聴率を獲得し、関東ローカルから全国放送に拡大されたという。次回に続く。