必殺仕事人・激突!
「必殺剣劇人」(87年)の終了から約4年、必殺シリーズの復活となったのが「必殺仕事人・激突」(91~92年)である。シリーズで言えば、丁度30作目となる。90年代の作品だから、結構最近だなという感覚だったのだが、もうすぐ終了から30年になろうとしているのに今さらながら気づいた。
本作は、何故か大奥の中臈である初瀬(酒井和歌子)が仕事人の元締で、その繋ぎ役を務めているのが中村主水(藤田まこと)なのである。この時点での仲間は夢次(中村橋之助)とお歌(光本幸子)。橋之助は当時28歳で、現在の中村芝翫(8代目)である。この91年に三田寛子と結婚している。光本幸子は当時48歳のベテラン女優で、「男はつらいよ」シリーズの初代マドンナでもある。
もう一人、紋太(甲斐道夫)という男がいたが、仕事人狩り部隊「覆面組」の襲撃により瀕死の重傷を負ったところで、顔見知りだった秀(三田村邦彦)と遭遇する。紋太は妻子のことを秀に託して自害する。これをきっかけに秀は主水と再会し、仲間に加わる。テレビシリーズでは秀は5年ぶりの登場。主水と組むのは約7年ぶりとなる。演じる三田村も39歳の中堅俳優となっていた。それともう一人、公儀の御用首切役である山田朝右衛門(滝田栄)も仕事人に加わる。ちなみに山田朝(浅)右衛門は実在の人物で、小池一夫・小島剛夕による「首斬り朝」という劇画も存在する。
以上が仕事人メンバーで密偵専門役は存在しない。他のレギュラーだが、中村せん(菅井きん)、りつ(白木万理)はもちろん登場する。田中や鬼塚のようなうるさい上司は登場せず、気の合う同僚の同心・成川(目黒祐樹)が登場。何か裏のある人物かと思わせたが、結局普通の同僚であった。そして、前述の紋太の妻であるさだ(麻丘めぐみ)と娘のおみよ(田中亜衣)。おみよは6話にて「覆面組」の襲撃に巻き込まれて命を落とす。
「覆面組」とは南町奉行所内に結成された仕事人狩り専門の組織で、この存在が番組の核になるのかと思いきや、6話にて壊滅してしまう。おそらくウケが悪かったのであろう。従来のようなパターンに戻し始めている。
殺し技だが、主水と秀は従来通りで、朝右衛門は大刀で主水と違い正面から斬る。滝田栄は貫録はあるが、殺陣にそれほど迫力は感じなかった記憶がある。お歌はお面を相手に投げ、顔に張り付かせて、その隙を狙って匕首で刺す。とまあ割合オーソドックスなのだが、夢次のみ凝っており、説明しづらいのだが、煙管と煙草入れを改良した特殊な火鉄砲を使用する。赤く焼けたゼンマイが弾丸となっている。
第1話こそ、視聴率も20%を超えたが、その後は伸び悩んだという。前述の「覆面組」を早々と終了させたのも、テコ入れの一つだったようである。しかし、視聴率が上向くことはなく全21話で終了。次番組に必殺シリーズが続くことはなかったのである。次の復活は2009年まで待たなければならないのであるが、それはもう老いた中村主水が登場する以外、別番組だと思っている。
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必殺仕事人Ⅴ風雲竜虎編
「必殺仕事人Ⅴ旋風編」の翌週から始まったのが「必殺仕事人Ⅴ風雲竜虎編」(87年)である。物語上は「旋風編」の最終話から1年経過したことになっている。銀平(出門英)と順之助(ひかる一平)に代わって、かげろうの影太郎(三浦友和)と絵馬坊主の蝶丸(桂朝丸=現・桂ざこば)が登場した以外、他の出演者に大きな変化はない。要するにタイトルと一部出演者を変更したテコ入れが行われたことになる。
第1話で仕事人の元締が殺され、彼の持っていた仕事人名簿が奉行所に流れたことで、江戸の仕事人たちは左遷状態にあって功績の欲しい中村主水(藤田まこと)が裏切ったと考え、主水は江戸の仕事人たちから狙われるようになる。そんな中、お玉(かとうかずこ)が影太郎を連れて江戸に戻ってくる。お玉は便利屋を廃業し、影太郎と大道芸(南京玉すだれ)を行うようになっていた。長く主水と組んでいる政(村上弘明)でさえ、主水を疑っている中、初対面の影太郎は主水はシロだと直感していた。黒幕は松平葵の紋の殿様(御木本伸介)。その役名(通称だろうけれども)にツッコミを入れたくなるが、その殿様が主水を仲間にしよう画策したのであった。「新仕置人」の頃は仲間うち以外では秘密にされていた主水の存在だったが、この時点では仕事人中が知っていることになっている。この事件をきっかけに仕事人チームが再結成された。といっても影太郎が加わっただけだが。
三浦友和は時代劇自体あまり多くないが、シリーズ初出演となる。若手はクールなキャラが続いていたが、少しとぼけたキャラである。武器は表仕事でもある南京玉すだれで、先端に針が仕込まれている。お玉はそのアシストで、相手の顔に金粉を吹きかける役。蝶丸は頼み人と仕事人との仲介役である。紙芝居仕立てでお玉に依頼理由を解説するが、これは桂朝丸がレポーターをやっていた「ウィークエンダー」のパロディ。と言っても番組は84年に終わっている。13話よりお仙という少女が蝶丸の周囲に居つくが、演じた小林千絵は当時のアイドルで、不作と言われた83年組の一人。デビューが20歳とアイドルとしては遅かった。18年に同期デビューの松本明子、森尾由美、大沢逸美、桑田靖子、木元ゆうこ、徳丸純子が集まりライブイベントが開催されたという。休止から復帰という人も含めて、全員現役で活動しているらしい。
話がそれたが、過度なおふざけもなく「旋風編」よりは随分マシになったのではないか、と言う印象がある。玉すだれによる影太郎の殺し場面も良かったと思う。
最終話となる19話の標的は大奥の吉野局。演じるのは三ツ矢歌子でシリーズ初登場、彼女の悪役姿もあまり見たことがない。無事、仕留めたのは良いが現場に玉すだれの残骸や金粉から足がつき、影太郎は奉行所に追われることになる。政が助けに入り逃げきることはできたが、江戸には居られなくなってしまい、政も影太郎もお玉も旅立っていく。玉すだれがバラバラになったのは過去にもあったし、その時は回収して今回はしなかったのか?とかツッコミどころもあるが、それに触れないのがお約束のはず。
視聴率は多少回復したというが、かつての人気を取り戻すことは見込めず、次作の「必殺剣劇人」で15年続いたシリーズは一旦終焉を迎える。「剣劇人」は全8話だが、おそらく予定通りなのだろう。最終話には藤田まこと、菅井きん、白木万理も登場する。8話くらいなら「風雲竜虎編」を伸ばしても良かったのではと思うのだが、出演者の事情もあったのかもしれない。
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必殺仕事人Ⅴ旋風編
「必殺仕事人V激闘編」の後は、秀(三田村邦彦)を復活させ主人公に添えた「必殺まっしぐら」(86年)が1クール放送されたが、個人的にはそのタイトルだけで見る気にはならなかった。
それに続けて始まったのが「必殺仕事人Ⅴ旋風編」(86~87年)である。「激闘編」の続編となるのだが、仕事人で継続して出演するのは中村主水(藤田まこと)と鍛冶屋の政(村上弘明)だけである。実はこの間に、映画「必殺Ⅲ!裏か表か」が公開され、そこで竜(京本政樹)、壱(柴俊夫)、参(笑福亭鶴瓶)が死んでしまうのである(弐(梅沢富美男)は登場せず)。「激闘編」の最終話でやればいいのではとも思ったが、必殺初期の頃と視聴者層が変わってしまったようでハード路線への回帰は受け入れられず、仕事人たちが死んで行く話をテレビでやるのを避けたのかもしれない。
この「旋風編」は、また「ぬるい」路線へと戻さざるを得なかったようで、西順之助(ひかる一平)を復活させている。順之助は受験生から無事に歯科医となっており、演じているひかる一平も22歳となり、本作では殺しを行うようになる。竹製の大筒を持ち、当初は相手が爆死してバラバラになるような描写だったが、すぐに細めの弾丸が体を貫通するような描写に変わっている。
新キャラとして登場したのが夜鶴の銀平(出門英)である。殺し技が説明しにくいが、釣り竿の通した糸の先に金属製の折鶴が付いており、それを相手の首に巻き付けて刺すというもので中々決まらなかったという。知っている人は多いかと思うが、出門英はヒデとロザンナのヒデである。そして加代に変わる密偵キャラとして便利屋お玉(かとうかずこ)が登場する。くノ一ではないが、跳躍力があり身軽である。
新たな布陣でスタートした本作であったが、視聴率は低迷を続け、出門英もスケジュールの都合で降板することになったため14話での打ち切りが決定した。もちろん主水シリーズでは初めてのことである。まあ、原因は色々あろうが視聴者に迎合しすぎということだろうか。たとえばサブタイだが、「主水エスカルゴを食う」「主水、りつラブホテルに行く」「主水バースになる」など個人的には見る気をなくすものだった。やたら、現代風俗を取り入れようとするのもどうかと思った。
あまり覚えているエピソードはないが、最終話となった14話のラストの方だけ覚えている。大火の中、仕事を終えた銀平と順之助が小舟に乗るが、順之助が携帯していた火薬の袋に引火し爆発してしまう。一人舟に乗っていなかった政が流されていく銀平の姿を見つけ、橋から手を差し出すが、銀平は水の中に沈んでいった。順之助の姿は見えない。残った三人はただ茫然とし、主水は「この五両は高くついたな」と呟いて終了。久々にテレビシリーズで殉職者が出たわけで、ハードな作風ではなかっただけにこのラストは意外に感じた。ちなみに、順之助は再登場も考慮してあくまでも行方不明扱いのつもりだったらしいが、その機会はなかったので、視聴者の中では彼も死んだことになっていると思う。
「旋風編」は終了となったが翌週からほぼ同じキャストで「風雲竜虎編」が始まるのである。
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必殺仕事人Ⅴ激闘編
「必殺仕事人Ⅴ」の続編が「必殺仕事人Ⅴ激闘編」(85~86年)である。別に「Ⅵ」でもよいと思うのだが、以降は全て「Ⅴ○○編」となっている。
本作は必殺初期のハード路線復活を狙った作品である。前作から中村主水(藤田まこと)、政(村上弘明)、竜(京本政樹)、加代(鮎川いずみ)は引き続き登場するが、順之助(ひかる一平)は姿を消している。ハード路線には不要ということであろう。
新たに登場するのが「はぐれ仕事人」の壱(柴俊夫)、弐(梅沢富美男)、参(笑福亭鶴瓶)で、主水チームの正式な仲間ではないが、仕事に手を貸すことになる。最初の印象だが、殺し屋六人は多すぎだろうというものだった。しかし、実際は壱についてはほぼ毎回出演していたが、全33回中、弐は6回、参は5回とほとんど登場しない。
政の職業も花屋から鍛冶屋へと変更となり、武器もかつて「仕置人」で棺桶の錠(沖雅也)が使っていた手槍へと変わった。制作側がいうには錠と同じものではなく、政が使うのは本体が木製で形も違うとのことだが、同じにしか見えなかった。竜の使う紐も前作のような派手なものではなく、先端に三角錐の分銅鋲のついた緑一色の紐となっている。
また本作には「新仕置人」で存在した「寅の会」を踏襲した「闇の会」が登場し、セリによって仕事を落札する。元締や参加者の顔は見えず、ほぼ毎回加代が落札することになる。
明らかに「仕置人」「新仕置人」を意識していたことがわかる。壱の殺し技も素手で首の骨をへし折るというもので念仏の鉄(山崎努)に近いものである。
しかし、こういった試みは「新仕事人」あたりからのファンには支持されなかったようである。必殺初期ファンの自分としては歓迎だったが、多くの視聴者は人情路線に慣れてしまったようで、仕事人が依頼人と関わって恨みを晴らすというスタイルに戻っていき、「闇の会」の存在もあまり意味が無くなっていった。
竜の出番が全体的に少ないのは、京本政樹の事務所移籍騒動のためだという。前作では骨折したりと制作サイドからは問題児扱いとなってしまったようで、本作限りでの降板は早々と決まっていたらしい。
印象に残る回としては、5話の相手は女三人と外国人。女たちは銃を持ってはいるがまあ一般人である。11話で登場する同心・中村左門(千波丈太郎)。主水と同じ中村の名を持つ同心だが、凄腕の剣客で主水が珍しく壱のサポート受けて討ち果たした。
最終話では闇の会の元締らは上方の仕事人・天満屋宗兵衛(島田順司)の一味に殺害される。島田と藤田まことと言えば「はぐれ刑事純情派」。島田はこの後上司の川辺課長を演じることになる。黒幕の松平伊予守を演じるのは神田隆で、必殺は「新仕事人」以来の出演だった。撮影の帰り道に京都駅で倒れそのまま亡くなってしまい、本作が遺作となってしまった。68歳であったが、失礼ながら思ったより若いという印象。映画「警視庁物語」シリーズ(56~64年)で貫録のある捜査主任を演じていたがスタート時は38歳だったことに驚いた。
鮎川いずみ演じる加代もテレビシリーズは本作を持って降板したが、年に数回放送された「必殺スペシャル」(87~90年)には出演し続けている。
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必殺仕事人Ⅴ
「必殺仕事人Ⅲ」は全38話「Ⅳ」は全43話とレギュラー登場人物に変更がなく、安定した人気を保っていたようだが、完全にマンネリ化していたのも事実である。そこで秀(三田村邦彦)と勇次(中条きよし)に替わり、花屋の政(村上弘明)と組紐屋の竜(京本政樹)を登場させたのがシリーズ23作目となる「必殺仕事人V」(85年)である。
他のレギュラーは、中村主水(藤田まこと)はもちろん、何でも屋の加代(鮎川いずみ)、西順之助(ひかる一平)、おりく(山田五十鈴)は続投である。山田五十鈴ってここにも出てたっけ、と思って調べると11話を最後に姿を消したようである。出演回数は5回だけである。
政と竜は第1話の時点で既に仲間になっている。実はこの前週に放送された「必殺仕事人意外伝 主水、第七騎兵隊と闘う 大利根ウエスタン月夜」に二人が登場しているのである。個人的にはこのタイトルだけで見る気にならなかったので、二人が出ていたとは全く知らなかった。
花屋の政の殺し技だが、現場に向かう途中で花や木をへし折って、その枝の先で首筋を突き刺すという現地調達。組紐屋の竜は文字通り組紐を相手の首に巻き付け上から吊るすというもの。要するに道具は変わったが、秀と勇次の技を踏襲しているわけだ。順之助と加代は「Ⅳ」同様に投石器を使って仕事のアシスト。それって必要か?と思うのだが、殺しを行わなくなったので他にやることもないということだろう。個人的には順之助は必要とは思わんのだが、政も竜も基本的にはクールでほとんど笑顔も見せず口数も少ないという似たようなキャラなので、ドラマ的には一般人に近い順之助のような存在が必要なのかもしれない。
個々のエピソードではよく覚えているのは6話と12話。6話では五人の悪党が冬の温泉宿を占拠。そこに政、竜、加代、順之助らも泊まっており、外の主水と協力して彼らを倒すというのも。悪党のリーダー役が森次晃嗣で、仲間が八名信夫、成瀬正、笹木俊志、そして高峰圭二。そう、ウルトラセブンとウルトラマンAが揃って悪人を演じているのである。森次に比べると高峰はやはり手下感が強い。この回はみんな武器を所持しておらず、竜は独楽の紐を、政は氷柱で相手を仕留めた。
12話は「組紐屋の竜、忍者と闘う」というサブタイ通り?仕事人対忍者軍団と言う話。実は竜は伊賀の抜忍で、元の仲間たちに狙われるというもの。その中に河原崎建三がいたが、「新仕置人」の死神もあれから7~8年で随分重そうになったなあと思った。忍び役なのに。「仕事人」としては珍しく20人近く倒したであろうか。
上記以外の話はほぼ覚えていない。本作は2クール26話にて終了と、他の「仕事人」シリーズよりは短い。実は竜役の京本政樹が足を骨折し、撮影にも影響が出てきたため終了となったようだ。
以降の仕事人シリーズは「Ⅵ」「Ⅶ」とはならず、「必殺仕事人V○○編」というようなタイトルとなり「V」以上は増えない。
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必殺仕事人Ⅲ
続けて「必殺仕事人Ⅲ」(82~83年)である。
中村主水(藤田まこと)、秀(三田村邦彦)、加代(鮎川いずみ)、勇次(中条きよし)、おりく(山田五十鈴)という五人のレギュラーは前作と一緒。前作で一度解散したはずだが、何事もなかったように再結成されている。実は本作初回の前週に必殺シリーズ10週年記念のスペシャル特番「仕事人大集合」が放送され、前作と本作をつなぐエピソードが描かれたからである。
さて、この「Ⅲ」での大きな出来事といえば、西洋医学所受験生・西順之助(ひかる一平)が加わることである。ひかる一平はジャニーズ事務所所属の当時18歳。本名が基本のジャニーズでは珍しく芸名だが、本名(谷口一郎)が地味だという理由でメリー喜多川に命名されたという。
その彼が仕事人として殺しを行うのである(エレキテルを充填させたライデン瓶による感電死)。当時の自分の感想としては「ガキが殺しをやるのかよ」というもので、一気に見る気をなくしてしまった(見るには見たが)。倫理観によるものではなく、単純に好みの問題なのだが、やはりこれは一般的にも物議を醸したようである。作家の田辺聖子が「子供が殺しをしているが、あれは中途半端で嫌い」とのコメントを参考に、プロデューサーの山内久司は後半から順之助を殺しの担当から気絶させるなどの役割にシフトさせていったという。それでも全体の半分くらいは殺しを行っている。ひかる一平自身も「10代の受験生が殺しを行うのは良くないというクレームが寄せられた」と後に語っている。ジャニーズのタレントは実年齢より若く見えるのがほとんどだが、ひかる一平が実際に子供っぽく見えることも一因であろう。
「仕置人」の沖雅也も当時は21歳だったが老けているわけでもないのに不思議な貫録があり、倍近い年齢の藤田まことや山崎努と対等に渡り合っていたように感じる。若くてもいいので貫禄が必要だなと感じた。
そもそも三田村邦彦が「太陽にほえろ」への出演がきまり、降板が決っていたため新たに設定されたのが順之助だったという。しかし女性ファンからの熱い要望もあり三田村も引き続きの出演が決まったため、順之助が一人加わる形になったという。三田村演じるジプシーこと原刑事の出番が少ないのは「仕事人」との掛け持ちだったからだろう。
てなわけで、個人的に「仕事人Ⅲ」は本放送後は見直したことがなく、個々のエピソードはほぼ記憶にない。ゲスト俳優を見ても大物と言われる役者はいないように思える。ただ物議を醸した割には視聴率は良かったようで、順之助を含めたこのメンバーがそのまま「仕事人Ⅳ」(83~84年)に移行することになる。ただし順之助は殺しは行わないようになり、投石器を使ったサポート役に回るようになる。
鮎川いずみの歌った主題歌「冬の花」はシリーズでは西崎みどりの「旅愁」以来のヒットを記録したという。と言っても「旅愁」は100万枚、「冬の花」は20万弱である。
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新・必殺仕事人
「必殺仕事人」後、「必殺仕舞人」を1クール挟んでスタートしたのがシリーズ第17弾「新・必殺仕事人」(81~82年)である。
前作からは中村主水(藤田まこと)はもちろん、秀(三田村邦彦)、加代(鮎川いずみ)が引き続き出演。最終話で江戸を離れたはずの秀と加代が舞い戻ってきて主水と再会。加代は裏稼業の再開を持ちかけるが、二人はやる気がない。そんな時、三味線屋を営むおりく(山田五十鈴)と勇次(中条きよし)母子に出会うが、実は二人は仕事人であった。二組の殺し屋グループが対立しながらも、協力して仕事に挑むというのは「必殺商売人」と同じ構図である。前作のように元締は存在せず、メンバーの合議制によって仕事が決定するというスタイルである。
山田五十鈴は前作で、おとわという元締を演じており、見た目も殺し技も一緒だが別人と言う設定である。スケジュールの都合で毎回出演というわけにはいかず、全部で18回の登場となっている。
中条きよしは既に歌手として成功していたが、元々は役者志望だった。本シリーズにも「商売人」や「仕事人」にゲスト出演の経験があった。中条きよしになる前は高波晃、渥美建の名で歌っていたが売れず「全日本歌謡選手権」(70~76年)で10週勝ち抜き中条きよしの名で再々デビューと言う過程は五木ひろしと同じである(五木は4つ目の芸名)。殺し技は三味線の糸を相手の首に巻き付けて吊り仕上げるというものである。
加代も8話より「何でも屋」を開業。口調も前作とは変貌し、ざっくばらんなものとなり、以降のシリーズでお馴染みのキャラとなっていく。レギュラーはこの仕事人五人と中村せん(菅井きん)とりつ(白木万理)と主水の上司(筆頭同心)のみである。12話までは本シリーズではいつも悪役の須賀不二男演じる内山。そして13話からは以降のシリーズでもお馴染みとなる山内としお(当時は敏男)演じる田中様が登場する。本作ではそこまでオカマっぽくはなく、徐々に変貌していく。ちなみに藤田まことは同じ事務所の先輩であった。
OPナレーションは古今亭志ん朝で、「仕事人Ⅲ」からは中村梅之助となる。個人的には芥川隆行が好きだけれども。サブタイは「主水、○○する」というスタイル(泣く、奮うなど例外もあり)。ED主題歌は三田村邦彦の「想い出の糸車」で、秀と勇次の殺しの場面ではこの曲のアレンジが使われる。そして、主水がバラード調の曲でトリを務めるというのがパターンとなる。おりくが出演するときは彼女がトリのこともあるが、基本的には主水である。パターン化すなわちマンネリ化も感じられるが、時代劇視聴者は「水戸黄門」や「遠山の金さん」のような安定化を好む傾向があるので、番組人気も安定するようになり、本作も全55話という前作「仕事人」に次ぐ長さとなった。
個々のエピソードについてだが、正直ほとんど覚えていない。録画はしてもほぼ見直すことがないからである。人気に反比例するように、個人的には熱は冷めていった気がするのである。嫌いと言うわけではないのだけれども。
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必殺仕事人 その3
続けて「必殺仕事人」(79~81年)である。
28話の時点で、中村主水(藤田まこと)、畷左門(伊吹吾郎)、秀(三田村邦彦)の三人だけとなった仕事人チームであったが、29話からは木更津の元締こと六蔵(木村功)が登場し、三人は彼の支配下におかれることになる。基本的には木更津にいるという設定の為、登場回数も少なく、全部で7回だけである。しかも54話以降は姿を見せない。おそらく木村の体調が悪かったからではないかと思われる。初登場回は79年12月の放送だが、木村は81年7月に58歳の若さで亡くなっている。
木更津と江戸を行き来するのが六蔵の配下である二人の女、加代(鮎川いずみ)とおしま(三島ゆり子)である。鮎川も三島もこの時点でシリーズ常連であった。特に加代は「新仕事人」以降は「何でも屋の加代」として長く活躍することになる。仕事人の密偵役となるわけだが、片方は男でも良かったんじゃないのかと思ってしまう。くノ一のような素早さや身軽さを持っているわけでもないし。体力はあるかもしれんが。
そして最も大きな変化といえば、左門が刀を捨て屋台のおでん屋になったことである。髪型も坊主頭にチェンジ。刀を売ってしまったので殺し技も素手で行う人体二つ折へと変更となった。この技は過去に「助け人」の龍(宮内洋)や「仕置屋稼業」の印玄(新克利)がイレギュラー的に披露したこともあったが、それをレギュラー技に定着させたのである。
BGMも殺しの際は、主題歌である「浜千鳥慕情」のアレンジが主に使われていたが、29話から左門と秀の場面では「新仕置人」では出陣の際に使用されていた「夜霧を裂いて」が使用されるようになった。当時、正直これは強烈な違和感があった。どちらかと言えば楽しい感じの曲なので、殺しの際に使うBGMとは思えなかったのである。そして、主水もほぼスローバラード調の曲(恨み晴らして候)で殺しを行うのが定着していく。まあ28話以前からもあったのだが、それがパターン化して行くのが個人的には不満であった。順番もトリが主水というのがほとんどとなる。
サブタイトルも「新技腰骨はずし」「酔技田楽突き」のように「技」という文字が含まれるフォーマットになった。ちなみに、この29話の監督は石井輝男で東映の「網走番外地」シリーズや「異常性愛」シリーズなどで知られる。そのせいか悪役も東映出身の今井健二、八名信夫、五味龍太郎(大映イメージだが東映ニューフェイス出身)であった。石井の「必殺」での監督はこれ1本のようである。また東映からは山下耕作、岡本静夫、長谷川安人も本作では監督を務めた。そして、65話からは井上梅次も監督に参加。邦画6社で監督を務めた井上だが、日活での石原裕次郎もののイメージが強いだろう。井上は「新仕事人」や「仕舞人」などこれ以降の作品でも監督を務めた。
本作はこのスタイルで84話まで続きシリーズ最長作となった。個人的にはこの29話以降はほとんど印象にない。パターン化してしまったイメージがあり、ほとんど見直すことがないのである。それでも最終話はさすがに覚えている。左門の妻・涼(小林かおり)が南町与力・川野(中井啓輔)に殺され、娘の美鈴(水本恵子)は記憶喪失に。美鈴の持っていた折鶴が彼らが探していた書類であることを川野に気づかれたためである。黒幕は奉行の庄田(高野真二)で、主水たち三人が一味(高野、中井、原口剛、波田久夫、堀田真三)を始末した後に、その悲劇に気づくのである。主水と秀が目を付けられ、左門が疑われていなかったため、折鶴をそのままにしておいたことが生んだ悲劇だった。左門は美鈴を連れ江戸を去っていく。
番組のパターン化という弊害もあったが、人気が定着し以降の主水シリーズは全て「仕事人」となるのである。
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必殺仕事人 その2
前回の続きで「必殺仕事人」(79~81年)である。鹿蔵(中村鴈治郎)に代わって、7話から元締となったのがおとわ(山田五十鈴)である。「からくり人」シリーズの山田五十鈴と藤田まことのシリーズ初共演となる。正確には山田は「仕置屋稼業」にゲスト出演しているのだけれども。藤田まことも「山田先生」と呼んでいたようだ。
もちろん武器は基本的には三味線の撥である。これは「からくり人」シリーズと変わらない。印象に残っているエピソードとしては、第12話「三味の音は七つの柩のとむらい唄か」では、秀(三田村邦彦)に加え、せん(菅井きん)やりつ(白木万理)までが石地蔵の甚兵衛(井上博一)一味に捕らえられてしまう。この回結構な人数を仕事人たちで始末した印象がある。石橋蓮司が珍しく悪役ではない役(仕事人)で出演している。
13話「矢で狙う標的は仕事人か」は、山鹿の才蔵(中野誠也)率いる仕事人グループとの仕事人対決。採掘場で主水が才蔵を斬り。左門(伊吹吾郎)は甚八郎(山本清)と対峙する。他の手下たちは崖の上から矢を射ってくるが秀が一人駆けまわり彼らを仕留めていく。才蔵の手下であるお初(三浦真弓)は彼らを裏切っており、恋仲である甚八郎を止めようとするが矢で射抜かれる。お初を殺したのはまだ12~13歳くらいの少女仕事人(福山真由美)であった。隣にいた女仕事人(和田かつら)を秀が仕留めると逃げていく少女をおとわたちもただ見送るしかなかった。
21話「子隠しで昔の恨みを晴らすのか」は、おとわが実の妹(清水郁子)を仕留める話。この件でおとわは「嫌気がさした」と言い残し、江戸を去っていくのである。山田のスケジュールの都合による降板らしいが、「新・仕事人」から登場するおりくはこのおとわとは別人という設定である。これにより22話から28話までは元締が不在となる。
23話「渡る世間は鬼ばかりか」では、半吉(山田隆夫)の彼女であるおデブのおふく(かわいのどか)が同心の服部(川合伸旺)に殺されてしまう。半吉は主水たちに服部殺しを依頼する。彼女のようなコメディリーフキャラがこのような最後を迎えるとは意外であった。そして26話「半吉は女の愛で立ち直れるか」ではその半吉が死んでしまうのである。半吉は幼馴染のお袖(佳那晃子)と再会し、おふくが死んだショックから立ち直りそうになっていたが、お袖はとんでもない悪女であった。彼女が使える薩摩藩で警護役の伊集院伝八(志賀勝)と組んで、御年寄藤波(絵沢朋子)と中臈荻野(北川恵)を死に追いやり、半吉をも殺してしまうのである。半吉が死んでも主水と左門はどこまでもクール。結局は秀が二人に仕事料を払うことになる。左門と秀がコンビで伝八に立ち向かい、主水がお袖を斬り捨てる。半年予定だった番組が延長することになり、山田隆夫は予定通りの降板となった。
27話と28話は主水、左門、秀の三人体制となり、調査から殺しまでを三人で行った。28話では左門が公儀御庭番である才蔵(大下哲矢)と左母次(木村元)と対峙し、二人を斬り捨てるがこれが左門最後の侍姿となったのである。
29話からは新番組であるかのように番組は様変わりする。個人的にはこの28話までが好きだったのだが、世間的にはこの29話以降のパターンが人気を決定付けたようである。
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必殺仕事人
「必殺商売人」の終了後、「必殺からくり人・富嶽百景殺し旅」が1クール放送され、続けて「翔べ!必殺うらごろし」が放送された。この「うらごろし」の内容があまりにもぶっ飛び過ぎていたせいか、視聴率はどんどん降下。必殺シリーズは中止の危機に追い込まれていた。
そこで投入されるのは、やっぱり中村主水(藤田まこと)であった。内容も奇をてらいすぎた反省からか、制作陣の結論は原点回帰。必殺初期のテイストに戻そうというものであった。タイトルもシンプルに「必殺仕事人」(79~81年)となった。
主水は八王子に飛ばされていたが、急遽江戸に呼び戻され南町奉行所の定町廻り同心に復帰する。これは裏稼業の元締である鹿蔵(中村鴈治郎)の仕業で、主水を裏稼業に復帰させるためであった。しかし主水はそれを断る。その直後、浪人・畷左門(伊吹吾郎)が主水を襲う。実はこれも鹿蔵の差し金で、結局その説得と小判の前に復帰を決意するのだった。左門はさる藩を脱藩し江戸へ逃げてきていた経緯もあり、妻と娘との生活のため裏稼業入りを決意する。第1話の相手は戸ヶ崎兄弟(岸田森、内田昌宏)で、左門は初仕事ということもあり苦戦するが、何者かの加勢もあって、事なきを得た。そういえば「新・仕置人」の第1話も主水の相手は岸田森であった。内田昌宏は前回も書いたとおり、内田勝正のこと。第1話で左門に加勢したのは左門の家の隣に住む飾り職人の秀(三田村邦彦)であった。元々裏稼業の人間だったが、足を洗っていたところ友人が殺され、その仇をうつため主水たちと手を組んだ。つまり第2話にて「仕事人」グループが結成されることになる。
主水が「元締」の配下になるのは本作が初である(というか本作だけ)。中村鴈治郎は当時77歳の歌舞伎役者で、人間国宝でもあった。中村玉緒は長女である。体調不良もあり、わずか6話で降板してしまう(17話と20話には再登場する)。伊吹吾郎は「無用ノ介」「お耳役秘帳」など時代劇で主役も演じてきた。83年からは「水戸黄門」で格さんを演じることになる。主水も左門も刀を使うが、不意打ちの多い主水に対し、左門は正面から斬り込んで行くスタイルで、主水より豪快な太刀筋である。
三田村邦彦はこの79年に公開された映画「限りなく透明に近いブルー」で注目された役者で、ほぼデビューしたばかりだった。本作ではかつらもつけず地毛で登場している。長く秀を演じることになるが、当初は殺し屋の役は嫌で出演を拒んでいたという。秀といえば、簪で殺すイメージが強いが、当初は簪造りに使う細工用のノミで殺しを行っていた。お馴染みの飾りのついた簪を使うのは33話からだそうだ。刀が二人に、簪(ノミ)という殺し技もシンプルなものになったのである。
他に密偵役として半吉(山田隆夫)がいる。渋い面々の中ではガキっぽくて浮いた感じがして、個人的には違和感を感じていた。まあコメディリーフ的な存在として起用したのであろうけれども。
前述のとおり、鹿蔵は短い出番だったがその間に大物ゲストが。第4話には丹波哲郎が登場し、鼓を使う仕事人・壬生蔵人を演じた。第6話の目黒祐樹は将軍の弟・松平聖二郎を演じ主水に斬られる。この件は周囲に迷惑をかけると感じた鹿蔵は江戸を離れるのである。
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