お宝映画・番組私的見聞録 -45ページ目

江戸プロフェッショナル 必殺商売人 その2

前回に続いて「必殺商売人」(78年)である。
ゲストに目を向けて見ると第2話「誘拐されて女喜ぶ」には風吹ジュンがゲスト出演しているが、彼女の「必殺」出演は今回だけのようである。第3話には中条きよしがゲスト出演。後に仕事人・勇次として活躍する中条の「必殺」発出演である。
12話には桜木健一、13話には吉沢京子の「柔道一直線」コンビが続けてゲスト出演。どうせなら一緒に出たら面白かったのにと思ってしまう。13話には仮面ライダー2号こと佐々木剛も出演しており、佐々木も「柔道一直線」に出演していた。この13話は仙造(遠藤征慈)がおせい(草笛光子)を羽交い絞めにして、首に刃物を突き付けるが、主水(藤田まこと)はひるまず近寄り刀を振りおろし仙造の腕を斬る。たまらず離れたところをおせいは主水の脇差を抜き、仙造に止めをさすのである。
15話は正八(火野正平)が寝ぐらとしている灯台を向島のご隠居(永井智雄)が占拠。新次(梅宮辰夫)は外壁を昇って、中へ飛び込み上の階にいる二人を始末。主水は下の階にいる二人を斬り捨てる。直後に訪れたご隠居の息子・東吉(内田昌宏)と手下たちもあっという間に斬り捨てていく。内田昌宏とは内田勝正のことで、この78年頃のみ昌宏を名乗っていたようだ。
18話「殺られた主水は夢ん中」はシリーズ通算300回記念。悪役として登場回数の多い今井健二、神田隆、菅貫太郎、江幡高志、弓恵子が揃って出演。サブタイ通り主水は夢の中で彼らに殺される。実際の仕置シーンでは、主水が今井と神田と手下数名を斬り捨てる。菅と江幡は被害者となる役(だったと思う)。
19話には頭師佳孝、23話には小原秀明という「飛び出せ青春」「われら青春」の生徒役イメージが強い顔ぶれが被害者役で登場している。前後するが22話には「新仕置人」での悪役っぷりが印象に深い清水綋治が登場し、主水と一騎打ちを演じている。
最終話「毒牙に噛まれた商売人」では、裏稼業の大元締である蛭子屋卯兵衛(山本麟一)の企みによって、おせいの命が江戸中の殺し屋によって狙われる。新次は単身で卯兵衛を襲撃し、舟の上で卯兵衛と情婦のおりん(桜井浩子)を仕留めるが、水中でその一味に襲撃され手傷を負う。そこを一味と繋がりのある同心・根来(石橋蓮司)が川岸から矢を射ると新次の首に命中し、彼は絶命する。それを目撃した主水は根来を斬り捨てる。一方、懐妊していた主水の妻りつ(白木万理)が子供を出産するがすぐに亡くなってしまう。主水は旅立つおせいに新次が死んだことを伝えるが、子供については無事に産まれたと嘘を伝えたのだった。
山本麟一は「仕置人」に続いて最終話の登場。「ウルトラマン」ではヒロインだった桜井浩子も当時は悪女を演じることも多くなっていた。
藤田と梅宮といえば「はぐれ刑事純情派」での共演を思い出す人も多いかもしれないが、それはこの10年後の88年スタートである。

 

江戸プロフェッショナル・必殺商売人

「新・必殺仕置人」の続編となるのがシリーズ第12弾「必殺商売人」(78年)である。正式なタイトルは「江戸プロフェショナル・必殺商売人」という。二番組の間には「新・必殺からくり人」が放送された。
主水シリーズでタイトルに「仕」の文字がないのは本作だけである。にしても「商売人」というのは人殺し稼業の名前には聞こえにくい。「仕〇人」というタイトルが思いつかなかったのであろうか。この次が「仕事人」であり、以降主水シリーズはずっと「仕事人」だ。
前作「新・仕置人」で江戸に残った主水(藤田まこと)と正八(火野正平)は足を洗う形になっていたが、正八がおせい(草笛光子)と新次(梅宮辰夫)の仕置場面に遭遇したのをきっかけに、二組が互いに不信感を抱きながらも「商売人」チームとして活動していくことになる。
「新・仕置人」もそうだったが、本作はもっとアダルトなチームとなっている。藤田と草笛は同い年の45歳。梅宮も40歳を迎えていた。他のレギュラーも中村せん(菅井きん)と中村りつ(白木万理)に加え、秀英尼(鮎川いすみ)がいるくらいである。
個人的には評価の高い作品である、といいながら個々のエピソードはあまり覚えてなかったりする。録画もしてあるが見直すことがあまりないからである。ただ、主水の殺陣が目立っていた印象はある。隙を見て油断しているところを斬るのではなく、正面から向かっていき、かつ複数人を相手にすることが多かったと思う。
新次は髪結いの櫛の柄の部分で刺し殺すが、初期の数回は歯の一部を指でおり、残った歯で刺し殺していた。おせいは基本的には刃仕込みの扇子を武器とするが、短刀や仕込み茶杓を用いることもある。
サブタイトルは決まったフォーマットがなく、第1話「女房妊娠、主水慌てる」とか第3話「むかし夫婦いま他人」とか「殺して怯えた三人の女」「仕掛けの罠に仕掛する」「殺した奴をまた殺す」というように「必殺仕掛人」に近い感じといえるであろうか。
第1話のサブタイにあるように本作ではりつが懐妊するのである。第3話のサブタイはおせいと新次のことを示している。仕置の標的を間違えるという失敗を犯したことで、夫婦関係は解消しているのである。ところで、おせいといえば「必殺必中仕事屋稼業」(75年)で、草笛が演じていたのも「おせい」という名であったが、13話にて同一人物であることが判明する。しかし、その過去に触れた描写は他の回ではない。
オープニングナレーションは何故か桜田淳子。「必殺」への出演は一度もなかったはずである。ちなみに番組開始時に発売された新曲は「サンタモニカの風」である。エンディングは小林旭の「夢ん中」で、小林も「必殺」への出演はない(テレビドラマ出演自体が少ない)。音楽は「仕掛人からの」平尾昌晃ではなく、森田公一が担当。これは平尾の歌手活動(畑中葉子とのヂュオ「カナダからの手紙」の大ヒット)が忙しかったという事情による。

 

新・必殺仕置人 その3

続けて「新・必殺仕置人」(77年)である。第25話「濡衣無用」。これはあの帝銀事件がモチーフになっている。今回のターゲット金貸しの三本杉(神田隆)は元同心・平田で、札差一家に毒饅頭を食わせて全員を毒殺した過去があった。犯人とされたのが月三(近藤宏)で、平田と元女房のお秋(弓恵子)の罠にはめられたのである。三本杉は用心深い男でいつも四人の用心棒が周りを固めていた。見どころはその四人の用心棒対中村主水(藤田まこと)であろう。二人はあっという間に斬り捨てるが、残る二人に意外と苦戦する。
第30話「夢想無用」では、初めて正八(火野正平)が殺しを行う。相手は仁吉(倉石功)という男。倉石功といえば「ザ・ガードマン」の杉井隊員であり、「特別機動捜査隊」の田坂刑事である長年正義の人を演じていた役者だが、この頃から悪役を演じることも多くなっていた。
第40話「愛情無用」から寅の会が崩壊に向かっていくことになる。寅の会の監視役である死神(河原崎建三)がお徳(八木孝子)という女に惚れたのだった。お徳は仕置人・長次(戸浦六宏)の手下だったが、仕置人から抜けたがっていた。そんなお徳を仲間の参次(黒部進)が殺す。目撃した正八が駆け寄るが、そこに死神も現れる。正八と死神は初対面だったが意気投合する。死神は参次に勝負を挑み、彼を仕置する。手下を殺された長次は虎(藤村富美男)に責任を取るように迫る。その結果、死神が仕置のせりに賭けられるが、競り落としたのは鉄(山崎努)であった。正八が巳代松(中村嘉葎雄)の名を語ってお徳の遺体を引き取ろうとしたため、巳代松の身が危なくなっていたのである。
鉄たちは死神がいると思われる小屋を訪れるが、長次一味が潜んでいることを察して、まずは彼らを片付けることにしたのである。長次は火縄銃、伊作(黛康太郎)は鎖鎌、又八(宍戸大全)は短い槍のような物を武器としており、仕置人バトルが面白かった。彼等を倒した後、鉄たちは死神の元へ向かう。正八は「逃げろ死神」と叫ぶが、死神はお徳の横で息絶えていた。自害していたのであった。
そして最終話「解散無用」。巳代松が仕置直後に同心の諸岡(清水綋治)に捕まってしまう。しかし、罪状は盗人ということになっていた。何か裏があるとにらむ鉄や主水だったが、実は仕置人辰蔵(佐藤慶)が諸岡と手を組み、寅の会を乗っ取って辰の会の結成を目論んでいたのだ。以前から「見事な仕置」と感じていた鉄たち三人を仲間にしたいとと思っていたのである。ただし主水の存在は把握しておらず「謎の三人目」だったのである。
元締の虎は部下であった吉蔵(北村光生)等に殺される。彼も辰蔵と手を組んでいたのである。にしても寅の会の俳句の読み手だったこの人が吉蔵という名前だったことをみんな知っていたのだろうか。クレジットはずっとされていただろうが、名前が呼ばれたのはこれが初めてだったと思う。虎は鉄に「外道を頼む」と最後の仕置を依頼して息絶える。
鉄は辰蔵に「巳代松を解き放て」と力づくで迫るが手下たちに囲まれ、右手を焼かれてしまう。巳代松も諸岡の激しい拷問の末、廃人になってしまっていた。残された主水はまず巳代松を牢から勝手に解き放つ。そして辰蔵、諸岡の元へ向かうのであった。
諸岡を呼び出し、「巳代松に逃げられました」と告げる主水。「あいつは死人同然だ。逃げ出せるわけがねえ」と半笑いの諸岡だったが、辰蔵に「例の三人目の」と言われ、「とにかく行ってみるか」と屋敷を出る諸岡。しかし、すぐに主水が自分の居場所を知っていたことに疑問を抱く。そして主水が「三人目」であることに気が付くのだった。諸岡にニ太刀、三太刀浴びせて仕置した後、辰蔵の部下たち(唐沢民賢、高並功、東悦次)もあっと言う間に斬り捨てる主水。それを見て外へ逃げ出す吉蔵だったが、正八が押す大八車が迫る。上にはおてい(中尾ミエ)に支えられ竹鉄砲を構える巳代松の姿があった。発射された弾は吉蔵を貫いていた。
とある部屋に逃げ込んだ辰蔵だったが、そこは右手を焼かれた鉄が放り込まれていた部屋だった。焼かれた右手を掲げながら辰蔵に迫る鉄。辰蔵の匕首を左手で受け止めるが、続いて腹部をえぐられる。その状態で辰蔵を押さえつけ、焼かれた右手で背骨を折ってみせるのであった。瀕死の状態で一人出ていく鉄。そのまま岡場所へ向かい女郎の床で息絶えるのであった。おていと巳代松は実は恋仲であり、「松つあんは私が直して見せる」と巳代松の乗った大八車を引っ張りながらおていも江戸を去って行った。主水と正八だけが江戸に残ったが次の「必殺商売人」へと繋がっていくのだ。
色々ツッコミどころもあったりはするのだが、それを忘れるくらい衝撃的で面白いエピソードである。佐藤慶、清水綋治という悪役も最終回にふさわしい(清水は本作3回目の登場)。シリーズ最高傑作と言われるゆえんである。

 

新・必殺仕置人 その2

引き続き「新・必殺仕置人」(77年)である。
第5話「王手無用」は将棋狂いの旗本・疋田(菅貫太郎)とその仲間(唐沢民賢、武周暢、重久剛一)は女流棋士(横山リエ)に負けた腹いせに彼女を殺してしまう。彼等の仕置を請け負った鉄(山崎努)は巳代松(中村嘉葎雄)と共に仲間の三人を順番に殺していく。一人残った疋田は自宅に籠るが、鉄の判断で仕置からはずれていた主水(藤田まこと)が疋田を仕留める。今回は本物の棋士である伊藤果がゲスト出演。「煙詰」という技を披露する。被害者役も当初は本物の棋士である蛸島彰子がキャスティングされていたが兄弟子である芹沢博文が異議を唱え撤回されたという。横山リエはこういう理不尽に殺される役が多いイメージがある。
第8話「裏切無用」では標的となる闇の重六(名和宏)が寅の会の句会に紛れ込んでおり、虎(藤村富美男)自身が責任をとって重六を仕置することになる。重六は鉄球を投げつけて相手を殺すのだが、虎はそれをバット(のようなもの)で打ち返して鉄球は重六の顔面にヒットし絶命する。まあ藤村が元タイガースの大打者であることを知っている人には笑える描写であろう。他の悪役として伊達三郎、五味龍太郎の大映コンビが出ていたが、伊達が浪人、五味が商人という逆の方がしっくりくるのではという配役であった。
11話には嵐寛寿郎、13話には上原謙という大物がゲスト出演。特に上原がテレビによく顔を出すようになったのは80年代になってからであり、この時点でのテレビドラマ出演はかなり珍しかったのである。
14話では「仕留人」のレギュラーだった妙心尼(三島ゆり子)、15話では「仕置屋稼業」のレギュラーだった亀吉(小松政夫)が何故かゲストとして顔を出している。
17話「代役無用」では、甲州屋(高木均)に雇われた寅の会所属ではないと思われる殺し屋(仕置人)が登場し、鉄はその中の二人(渡辺高光、宍戸大全)と闘う。渡辺は元々新東宝の役者だが、65年にスタントマングループであるJFAをきくち英一らと創設している。殺陣師、擬斗としてクレジットされることもある。役者としては「スペクトルマン」(71~72年)の公害(怪獣)Gメン加賀役が有名である。宍戸大全もスタントの人であり、日体大出身で元々は体育の教師。スター役者のスタンド・イン(吹替)として映画に参加していた。「必殺シリーズ」等の時代劇では特技スタッフとしてクレジットされているが、役者として出演することもある。
19話「元締無用」は仕置人対決。鉄テーム対猫の勘兵衛(川合伸旺)と手下(島米八、暁新太郎)が戦う。島米八は初回でも敵仕置人を演じていた。島は本作には5回ゲストで出演しているが、複数回出演している役者は多く、前述の唐沢民賢は4回、五味龍太郎も3回出演している。
23話「訴訟無用」の仕置シーンはそれぞれに一工夫があった。巳代松は激しい雨の中、傘の先端が開いたと思ったらそこから発砲し、伝次(沼田曜一)を仕留める。鉄は猫八(田畑猛雄)を仕留めた後(レントゲンなし)、長十郎(城所英夫)の首骨を折る。前作では良くあったが本作では珍しい。そして主水は元は侍だったという辻屋仙蔵(入川保則)の元へ。勝負は間単についたと思いきや、再び仙蔵は立ち上がって斬りかかる。まあ改めて斬られるだけなのだが。

 

新・必殺仕置人

「必殺必中仕事屋稼業」(75年)の後、必殺シリーズは見続けていたが、そこまでハマるものはなかった。そんな時、第10作「新・必殺仕置人」(77年)がスタート。念仏の鉄(山崎努)の復活である。
山崎努はその前作である「必殺からくり人・血風編」から出演していたのだが、これには事情があった。前にも書いた中村主水役である藤田まことのクレジット問題。事実上の主役であるにもかかわらず過去4作はすべてクレジットがトメ(最後)だったことに不満を示していたのである。そしてその母・中村せん役である菅井きんも出演に難色を示していたという。これは菅井の娘に縁談があり、せんのイメージがその縁談に悪影響を与えることを懸念していたからである。つまり、婿いびりをする姑と思われたくなかったのであろう。
これらの事情から「新・必殺仕置人」の制作が遅れることになったのである。しかし、山崎努のスケジュールを1年間確保していたため、急遽「からくり人・血風編」を制作することになったようだ。「血風編」は全11話、「新・仕置人」は全41話で足すと全52話となり、ちょうど1年となる。
前述の問題がクリアされ、晴れて藤田まことがトップクレジットとなったのである。トメに回った山崎努にも気を使ったのか「起こし」クレジットが使われた。実際、本作においては山崎演じる念仏の鉄が元締め的な立場であり、トメというのも似つかわしい感じがした。OPは「必殺仕置人」と同じ芥川隆行のナレーションで文言も同じである。
本作に置いて仕置人は組織化されており、幾つかのグループが「寅の会」に所属している。そこでターゲットが読み上げられ、一番や安値で競り落としたグループの仕事となる。その総元締が虎(藤村富美男)である。元阪神タイガースの永久欠番選手でその背番号10は阪神の長い歴史で彼以外つけたことがないようだ。黙っているだけで貫録があり、セリフも棒読みに近いのだが、あまり気にならない。その監視役が死神(河原崎建三)で、他の仕置人たちが恐れる存在である。虎の側近として仕置の標的の折り込み俳句を詠むのが当初は嘉平(灰地順)だったが、3話にて調査不備により粛清され、4話以降は吉蔵(北村光生)が勤める。この吉蔵は最終話でクローズアップされる。
第1話「問答無用」にて、中村主水の名が仕置の標的として挙げられる。驚いた鉄は危険を冒し、仲間である巳代松(中村嘉葎雄)、正八(火野正平)、おてい(中尾ミエ)を使って主水との再会を果たす。主水は牢屋見廻りから定町廻り同心に復帰していたが復帰させた与力の筑波(岸田森)こそが真の悪人だったのである。主水は筑波を斬って鉄のチームに加わり裏稼業に復帰するが、その存在は寅の会には知られていなかった。
ちなみに、主水の仕置を落札した市郎太(大林丈史)らと鉄たちは闘うことになる。最終話などもそうだが、仕置人同士で戦うパターンが多いのも本作の特徴である。鉄は前作とは異なり、肩などを外して動きを封じることは少なくなり即時に背骨折りで、相手を殺すパターンが多くなる。巳代松は手製の竹鉄砲を使うが弾が飛ぶ距離は二間が限界である。初期は弾が命中した際に効果音があったが、途中からなくなった。
殺しのテーマも第1話は主題歌「あかね雲」のインストルメンタルだったが、2話以降はリズミカルにアレンジしたものに替わっている。

 

必殺必中仕事屋稼業 その3

今回も「必殺必中仕事屋稼業」(75年)である。後は最終2話のみである。
第25話「乱れて勝負」で冒頭の仕事で、半兵衛(緒形拳)が及び腰になってしまったため、政吉(林隆三)が重傷を負ってしまう。政吉はおしの(紀比呂子)という女に助けられ介抱される。おしのに惹かれた政吉は仕事屋を辞め、彼女と上方へ行くとおせい(草笛光子)に告げるが、その矢先にしのが何者かに殺される。それを仕事屋の仕業だと勘違いした政吉はおせいを殺そうとするが、同席していた半兵衛が庇い彼を刺してしまう。
仕事屋が下手人ではないと知った政吉はおしのが残した手紙から「西方浄土寺」を訪れるが、まさに住職の春海(梅津栄)らがしのを殺した犯人だった。しのは彼らの仲間だったのだ。政吉は捕らえれ蔵に幽閉される。利助(岡本信人)からそのことを聞いた半兵衛は傷をおして政吉救出に向かおとするが、お春(中尾ミエ)に問いただされる。半兵衛は自分が人殺しであることをお春に告げるのだった。
元破蔵師だという利助が蔵を破り、政吉を救出。気づいた春海と二人の手下が襲い掛かる。政吉と利助がコンビプレイで二人の手下を仕留め、負傷のため春海相手に苦戦している半兵衛だったが、政吉が駆け付けこちらもコンビプレイで春海を倒す。家路に向かう半兵衛だったが、殺し道具だった剃刀を捨ててしまうのだった。
最終話「どたんば勝負」。おせいの元を亥之吉(堀勝之祐)という男が訪れ、弟の仇である半兵衛と政吉を殺してほしいと頼む。軽くあしらうおせいだったが、彼女がその元締めと気づいた亥之吉は仲間の捨三(島米八)と共に、夜道でおせいと利助を襲撃する。そして、おせいを庇い利助は命を落とす。そこに火盗改めの熊谷(大木実)が現れ、亥之吉、捨三と手を組むのだった。
利助の葬儀を遠くから見ることしかできない半兵衛と政吉。政吉は「嶋屋のおかみさんは、おれのお袋じゃないかと思っているんだ」と半兵衛に告げる。半兵衛はそのことを知ってはいたがその場はごまかす。夜、おまき(芹明香)の店で飲んでいた政吉を客を装っていた捨三が襲う。おまきが咄嗟にかばい、彼女は命を落とす。
熊谷は捨三を殺し、半兵衛のそば屋にいた政吉をその下手人として捕らえる。前回に半兵衛の裏仕事を知ったお春の静止を振り切り、半兵衛がその後を追う。その際政吉が武器にしている懐刀をわざと落とし、それを半兵衛が拾っている。
熊谷はおせいを呼び、目の前で政吉を拷問するが、政吉は隙を見て自害する。
半兵衛は亥之吉を政吉の残した懐刀で殺し、おせいも熊谷を殺す。半兵衛は政吉の形見である懐刀をおせいに渡し、政吉がお袋であることに気づいていたことを告げる。死のうとするおせいを半兵衛は静止する。「無様に生き残った俺たちは無様に生き続けるしかないんですよ」とおせいに別れを告げる。しかし、お春には金だけ残し、別れも告げず去って行く。つまり、一人の火盗改めと二人のチンピラに仕事屋は崩壊に追い込まれてしまうのだ。
長々とあらすじを書いてしまったが、見どころ満載な最終話なのである。個人的には「新必殺仕置人」の最終話に次ぐ出来だと思っている。草笛光子演じるおせいは3年後の「必殺商売人」(78年)で再登場することになる。半兵衛はスペシャルドラマ「仕事人大集合」(82年)にチラッと登場し裏家業を続けていることが判明する。
「仕事屋稼業」で殺しの場面での音楽は主題歌の「さすらいの唄」ではなくB面である「夜空の慕情」 のアレンジが使われており、自分はこの曲が大好きであった。あと、最終話で死んでしまうおまき役の芹明香だが、不祥事により再放送からそのクレジットを消されてしまっている。わざわざ過去の作品のクレジットに手を加えなくてもいいと思うのだが。

 

必殺必中仕事屋稼業 その2

前回に引き続き「必殺必中仕事屋稼業」(75年)である。14話から放送時間&放送局が移動した影響で視聴率が半減した本作だったが、視聴率が元の水準に戻ることはなかった。
13,14話は前後編とはいっても13話では見逃された板倉屋(岡田英次)が引き続き登場し、14話で改めて仕留められるというだけである。
16話「仕上げて勝負」悪役ゲストで瑳峨三智子が登場する。彼女の実母は山田五十鈴で、彼女がこの回を見ており、その映像美に感心して「必殺」への出演を希望したというのはファンの間では有名な話。大御所女優が「からくり人」や「仕事人」のレギュラー出演するきっかけとなったわけである。
ただ、山田と瑳峨の関係は複雑である。瑳峨は山田と俳優・月田一郎の間にできた娘だが、7歳の時に二人は離婚。親権は月田が得て彼女を引き取るが、終戦直後の45年9月に月田はメチルアルコール中毒で死亡してしまう。瑳峨は10歳にして両親のいない環境で育つことになり、山田には捨てられたのだと思うようになったようだ。芸能界で同じ女優として再開しても「山田さん」と呼ぶなどそのわだかまりは最後まで消えなかったらしい。
19話「生かして勝負」悪役ゲストが池玲子で、瑳峨もそうだったが、悪女がメインゲストだとおせい(草笛光子)が手をくだすことが多い。もう一人の悪役が井上昭文で、被害者役が水谷邦久。「レインボーマン」の主役タケシと師匠ダイバダッタのコンビなのである。
20話「負けて勝負」はイカサマ師・伊三郎(津川雅彦)対仕事屋のポーカー勝負。調べたところ一応、江戸時代にはトランプは存在していたようだ。伊三郎に負けて自害したのが但馬屋(小坂一也)。津川と小坂は木下惠介の「惜春鳥」(59年)で共演して以来の仲で、この当時は不明だが最終的に小坂は津川のグランンパパプロに所属していた。
この回のポーカー勝負は秀逸で、半兵衛(緒形拳)は眠らされ(寝たふりだったが)、素人のフリをした政吉(林隆三)との一騎打ち。伊三郎もイカサマができなくなり、実力で勝負。キング(殿様)のフォーカードを得て、負けるとしたら1(A)のフォーカードのみ。掛け金は五千両に跳ね上がったが政吉は一向に降りようとしない。ついには、伊三郎が自分の持ち札を見せても政吉は五千両勝負するという。その態度に逆にはめられたと感じた伊三郎は勝負を降りるしかなかった。しかし、政吉の持ち札はバラバラで、1ペアですらなかったのである。「博奕で殺す」というエピソードで、実際の殺しは行われなかった「必殺」としては珍しい回である。
24話「知られて勝負」の伊八(浜畑賢吉)の正体は公儀の隠し目付。いつもは悪役の川合伸旺を身軽な動きで殺害する。公儀を相手にするのはマズイとおせいは躊躇するのだが、半兵衛と政吉は伊八との対決を決意。動きを封じるために細い路地に誘い出し、前後から二人が攻める。強敵相手にしては意外と勝負はあっさりと決着する。
これで、残りは後2話。仕事屋が崩壊へと向かっていくのである。

 

必殺必中仕事屋稼業

「暗闇仕留人」の後番組がシリーズ第5作「必殺必中仕事屋稼業」(75年)である。ようやく「必殺」の文字がタイトルに復活した。
本作以降は中村主水(藤田まこと)シリーズが主流となって行くので、2クール放送された非主水シリーズは本作が最後であり、以降は1クール13話前後が基本となる。
主演は「必殺仕掛人」以来の緒形拳で半兵衛役を演じる。相方の政吉役は林隆三で「仕掛人」「仕置人」でゲスト経験があった。元締めとなるのが飛脚問屋嶋屋のおせいで、裏家業で仕事屋を行っており草笛光子が演じる。その番頭利助が岡本信人で、仕事屋の密偵・つなぎ役である。仕事屋メンバーはこの四人のみで、半兵衛も政吉も殺しなどやったことのない素人だった。武器も半兵衛が剃刀、政吉は女物の懐剣と小ぶりで、二人がかりで一人を倒すこともある。政吉の使う懐剣は実は幼少期におせいが別れ際に渡したものであり、おせいは彼が自分の実子であることに気づく。しかし、母親だと名乗ることはない。
他のレギュラーだが、半兵衛の内縁の妻であるお春(中尾ミエ)、半兵衛とは幼馴染の岡っ引き源五郎(大塚吾郎)、政吉の行きつけの飲み屋の女主人あまき(芹明香)がいる。半兵衛は蕎麦屋を営んでいるが、政吉は正業のない博奕打ち。半兵衛も賭博には目がなく、ギャンブルが番組の重要な要素になっている。
第1話「出たとこ勝負」では仕事屋にスカウトされた半兵衛と別口で頼まれた政吉が北町与力・三村(石橋蓮司)の命を狙い、二人が同時に彼を殺す。気になったのはその直前の場面。二人のお供の同心を半兵衛はどうしたのかが気になった。気絶させたのか殺したのか描かれていない。前者だと解釈していたのだが、不意を突いたとしても、どちらにしろ至難の業ではないだろうか。この第1話のみ藤田まことのエンディングナレーションがついている。
第2話「一発勝負」には「助け人走る」で殉死した住吉正博がゲスト出演。第3話「いかさま大勝負」には和田浩治と桃井かおりがゲスト出演。和田が田舎娘の桃井を騙すというようなストーリー。この回のみサブタイが「大勝負」となっている(他の回は「勝負」)。第4話「逆転勝負」のゲストは菊容子。悪女役だが、仕事屋に殺されることはなかった。菊容子はこの放送から約三か月後に交際中だった男優に絞殺されてしまう。24歳の若さであった。
第9話「からくり勝負」の悪役は山城新伍。時代劇出演の多い山城だが、何故か必殺シリーズには縁がなく恐らくこの1話のみだと思われる。第12話「いろはで勝負」では長谷川明男、小笠原良知、東野孝彦(=東野英心)が登場し、一番善良そうな東野が一番のワルだったという話。長谷川と小笠原は映画「ザ・ガードマン東京忍者部隊」(66年)で共に映画版のみのガードマンを演じていた。
本作は関西地区では視聴率30%前後を記録し続け好調な勢いだったのだが、ここで「影同心」の項などでも書いたが、ネットチェンジ(腸捻転解消)を余儀なくされてしまう。関東でいえば、13話まではTBS系土曜夜10時放送だったのが、14話からはNET(現テレビ朝日)系金曜夜10時放送になってしまうのである。もちろん、制作スタッフも視聴者の流失を防ごうと13話と14話を前後編にしたり、字幕スーパーで局曜日の変更を知らせたりしたのだが、当時の視聴者には伝わらず14話の視聴率は半分以下の13%まで落ち込んだのである。せめて同じ曜日時間帯であればここまで下がらなかったと思うが、土曜から金曜への移動は大きかったようである。

 

暗闇仕留人 その3

さて、再開第1弾である。と言っても引き続き「暗闇仕留人」(74年)である。
第17話「仕上げて候」では、仕上げ屋の吉岡宗達(内田朝雄)が登場。VS仕留人と形となるが、関係のない貢(石坂浩二)の妻あや(木村夏江)が殺されてしまう。この仕留人では、中村主水(藤田まこと)が強い相手とやり合うことはほとんどなかったのだが、今回は五人の用心棒を斬り捨てている。貢はあやの形見の簪で、宗達を仕留める。妻との生活の為仕留人を始めた貢だったが、生きる意味を失った形となり、以降は暗めのキャラとなっていく。
14話から17話の間に半次(津坂匡章=秋野太作)、おみつ(佐野厚子)、そして今回の糸井あやと相次いでレギュラーが降板する形となっている。
以降の回は個人的には印象が薄いのだが、19話から貢の武器が仕込み矢立に変更となっている。
第20話「一途にて候」には、小林昭二、石田信之、坂口徹=坂口祐三郎という特撮ファンにお馴染みの面々ががいずれも同心役で登場。坂口のみ悪役で主水にあっさりと斬られる。21話「仏に替りて候」は今井健二、藤岡重慶、外山高士、志賀勝と必殺常連悪役の顔ぶれが揃っている。
22話「怖れて候」は大吉(近藤洋介)が一人で熊蔵(山谷初男)のいる山中へ乗り込む。まずその手下(大橋壮多)を倒し、続けて熊蔵と対決する。いつも通り心臓を潰そうとするがまさかの空振り。ひょっとしたら熊蔵は右に心臓があるのでは、と予想した大吉の考えは的中。この右胸心と言われる人は1万2千人に一人の割合でいるらしく、思ったより多いという印象だ。
24話「嘘つきにて候」のゲストは金子吉延に潮健児。「河童の三平」コンビとでも言おうか。監督も「仮面の忍者赤影」の倉田準二である。前述の坂口祐三郎が赤影で金子が青影だ。ちなみに白影の牧冬吉は第8話に、宿敵幻妖斉の天津敏は26話に出演している。
最終話「別れにて候」。貢は裏家業に懐疑的となり、これで最後にしたいと言い出す。しかも相手は開国派の若年寄松平玄蕃頭(戸浦六宏)で殺したくない相手だった。主水の殺しなど緊張感のないもので、動物のなきマネで呼びよせた福田豊土と千葉敏郎を斬り捨てる。大吉も根岸屋(武周暢)を仕留め、貢が松平を仕留めようとした刹那「わしを殺せば、日本の夜明けが遅れるぞ」の言葉に貢の手が止まる。そこをつかれ逆に松平に斬られてしまう貢。松平は主水と大吉が仕留めるが貢に息はなかった。16話でも見せた大吉の心臓マッサージで一瞬目を覚ますが「すまなかったな…」の一言で息絶える。貢の遺体を海へ流した後、終わりを告げる主水。大吉とおきん(野川由美子)は何処へか旅立って行く。松平の娘役で主題歌「旅愁」を歌う西崎みどりがゲスト出演。貢の死は唐突な気もしたが、妻のあやが死んだ時点で貢の死も決まっていたのかもしれない。
これで4作連続出演だった津坂匡章と野川由美子は完全降板し、以降のシリーズに出演することはなかった。

 

報告

ご無沙汰しております。
予告もなく、更新が止まっていたのは自分の意志ではありません。
道端で倒れ、救急車で搬送、そのまま有無を言わさず入院ということになり、三週間以上PCに触れない生活を送ることになってしまいました。
すんなり入院というところからもコロナではないということになります。循環器系の疾患でしたが、倒れた際の打ちどころが悪くそちらで入院が長引いた感じです。
とりあえず退院したので、明日あたりから再開の予定ですので、またよろしくです。