必殺仕事人Ⅴ旋風編
「必殺仕事人V激闘編」の後は、秀(三田村邦彦)を復活させ主人公に添えた「必殺まっしぐら」(86年)が1クール放送されたが、個人的にはそのタイトルだけで見る気にはならなかった。
それに続けて始まったのが「必殺仕事人Ⅴ旋風編」(86~87年)である。「激闘編」の続編となるのだが、仕事人で継続して出演するのは中村主水(藤田まこと)と鍛冶屋の政(村上弘明)だけである。実はこの間に、映画「必殺Ⅲ!裏か表か」が公開され、そこで竜(京本政樹)、壱(柴俊夫)、参(笑福亭鶴瓶)が死んでしまうのである(弐(梅沢富美男)は登場せず)。「激闘編」の最終話でやればいいのではとも思ったが、必殺初期の頃と視聴者層が変わってしまったようでハード路線への回帰は受け入れられず、仕事人たちが死んで行く話をテレビでやるのを避けたのかもしれない。
この「旋風編」は、また「ぬるい」路線へと戻さざるを得なかったようで、西順之助(ひかる一平)を復活させている。順之助は受験生から無事に歯科医となっており、演じているひかる一平も22歳となり、本作では殺しを行うようになる。竹製の大筒を持ち、当初は相手が爆死してバラバラになるような描写だったが、すぐに細めの弾丸が体を貫通するような描写に変わっている。
新キャラとして登場したのが夜鶴の銀平(出門英)である。殺し技が説明しにくいが、釣り竿の通した糸の先に金属製の折鶴が付いており、それを相手の首に巻き付けて刺すというもので中々決まらなかったという。知っている人は多いかと思うが、出門英はヒデとロザンナのヒデである。そして加代に変わる密偵キャラとして便利屋お玉(かとうかずこ)が登場する。くノ一ではないが、跳躍力があり身軽である。
新たな布陣でスタートした本作であったが、視聴率は低迷を続け、出門英もスケジュールの都合で降板することになったため14話での打ち切りが決定した。もちろん主水シリーズでは初めてのことである。まあ、原因は色々あろうが視聴者に迎合しすぎということだろうか。たとえばサブタイだが、「主水エスカルゴを食う」「主水、りつラブホテルに行く」「主水バースになる」など個人的には見る気をなくすものだった。やたら、現代風俗を取り入れようとするのもどうかと思った。
あまり覚えているエピソードはないが、最終話となった14話のラストの方だけ覚えている。大火の中、仕事を終えた銀平と順之助が小舟に乗るが、順之助が携帯していた火薬の袋に引火し爆発してしまう。一人舟に乗っていなかった政が流されていく銀平の姿を見つけ、橋から手を差し出すが、銀平は水の中に沈んでいった。順之助の姿は見えない。残った三人はただ茫然とし、主水は「この五両は高くついたな」と呟いて終了。久々にテレビシリーズで殉職者が出たわけで、ハードな作風ではなかっただけにこのラストは意外に感じた。ちなみに、順之助は再登場も考慮してあくまでも行方不明扱いのつもりだったらしいが、その機会はなかったので、視聴者の中では彼も死んだことになっていると思う。
「旋風編」は終了となったが翌週からほぼ同じキャストで「風雲竜虎編」が始まるのである。
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