お宝映画・番組私的見聞録
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なぜか初恋・南風

前回の「熱愛一家・LOVE」の後番組が「家路~ママ・ドント・クライ」「家路PART2」で、その次が近回の「なぜか初恋・南風」(80年)である。
主演は「熱愛一家」と同じ森光子である。彼女が演じる梶道子はパリに住んでいたが、夫を亡くし、18年ぶりに日本に帰国して生まれ育った東京・日本橋人形町でクレープ屋「南風堂」を開店するというお話。クレープって日本ではいつ頃から出てきたのか調べると、76年渋谷、77年原宿にクレープ店が開店したのがきっかけに流行り出し、定着したようである。
当時、森光子はちょうど還暦の60歳。その亡き夫駿介役はホームドラマのイメージが薄い中村敦夫で当時40歳。設定年齢は不明だが、森光子は若々しいかもしれないが、中村敦夫とだとやはり10歳は離れているように見える。まあ年の差夫婦という設定かもしれんが。
他の出演者だが、義理の父・梶大介内田朝雄。実は森と同じ60歳である。この人がいるとサスペンスドラマのように感じてしまう。駿介の弟・恭介広岡瞬で当時22歳。前年にデビューしたばかりで、石野真子の再婚相手だったのを覚えていいる人はいるだろうか。彼女と離婚したタイミング(96年)で広岡も芸能界を去っている。
これ以外のキャストはウィキペディアでは、下の名前だけ出ていて、その関係性が分からない。独自に調べてみた結果、大体は判明した。牛乳屋「桃乳舎」関係が杉浦直樹桃乃井一彦)、緋多景子桃乃井登美)、大場久美子桃乃井めぐみ)。船宿「網忠」関係が荒井注三杉忠八)、朝丘雪路三杉英子)、池上季実子三杉藍子)、比企理恵三杉理恵)、新井康弘(泉玄太)。荒井と緋多は森とは「時間ですよ昭和元年」(74年)でも共演。荒井は森の亭主で、緋多は銭湯の客のおばさんといった感じの役だった。大場と池上と言えばホラー映画「HOUSE」(77年)を思い出す。池上は本作では家業ではなくスチュワーデス(現・CA)をやっている設定のようだ(当時のポスターより)。その妹役の比企理恵は当時15歳のアイドル歌手。ただ、歌手としてはヒットがなかったので、早々と見切りをつけ翌81年からは女優業一本にシフトしている。本作がドラマ初出演のようだが、今も活動中のようだ。新井康弘は当時は「ずうとるび」のメンバーでもあった。本作では舟宿の従業員の役だと思われる(当時のドラマ台本より)。
後は役柄は不明だが、左とん平榊原六郎)、増田葉子榊原洋子)、田中星児藤巻青児)。とん平の娘が増田でその彼氏が田中のようだ。増田は当時人気のお天気キャスターで、後にセクシー路線へ。田中の「ビューティフル・サンデー」が大ヒットしたのは76年のこと。ドラマ出演は本作が初だったようである。森との会話シーンがあり、田中があまりにも手を動かすので「視聴者の人がどこを見ていいかわからなくなるでしょ」と怒られたという。松山英太郎河原国夫)は先のポスターで「南風堂」のエプロンをしているので、その従業員ということなのだろう。松原智恵子毬子)、谷隼人研二)も先のポスターより、松原は芸者、谷はボクサーのようである。ちなみに、谷は本作では岩谷隆弘名義で出演しているが、数年で元の谷隼人に戻っている。

あと、恭介の家庭教師役で青木明子という人が出演しているが、直前までの芸名は岸田奈帆子だった。「特捜最前線」で二谷英明演じる神代警視正の娘・夏子を演じたのは彼女である(二代目であり、初代は志摩みずえ)。登場して二回目にして射殺されてしまうのだ。現在は青樹明子名義でノンフィクション作家として活動しているようだ。
本作は視聴率的には苦戦し、23話まで放送されたが、実は打ち切りであったという。おそらく3話分短縮されたのだろう。

熱愛一家・LOVE

順番が前後しているのだが、「家路~ママドントクライ」の前番組となるのが「熱愛一家・LOVE」(79年)である。個人的にタイトルだけは聞いたことがあったが、一度も見たことは無い。
主演は森光子で、当時59歳。彼女がいつも通り「日本のお母さん」を演じているコメディタッチのホームドラマである。彼女が演じる石本千代はスナック「ままや」のママ。二男二女の四人の子供を女手一つで育て挙げた。元歌手であり、「懐かしのメロディー」系の歌番組への出演依頼が絶えない。
石本家の四人の子供はそれぞれに恋愛中である。柴俊夫長男・謙)‥牛丼店・吉田家の店長。生真面目な役の多いだが、本作では今日子と未来子を二股にかけて付き合っている。浅茅陽子長女・茂子)‥妻子ある男性と不倫の末、その子を身ごもる。太川陽介次男・彰)‥大学生だが、ほぼ行かずにタウン情報誌「ぴぴ」のアルバイト記者として働いている。高校時代の恩師である女性教師と恋に落ちる。太川は当時20歳。NHK「レッツゴーヤング」ではサンデーズ(他に川崎麻世、倉田まり子など)のメンバーだったが、ほぼ本作が始まったタイミングで司会に昇格した。石野真子次女・みどり)‥15歳の高校生だが、16歳になったら和夫と結婚すると宣言する。石野は当時18歳で、本作がドラマデビューとなる。
水沢アキ鈴木今日子)‥の恋人の一人だが、重い心臓病を患っている。岡崎友紀中村未来子)‥もう一人のの恋人。今日子の友人でもあり、謙との関係にも気付いている。彼女の病気を気遣い身を引こうとしている。長谷川初範長谷川和夫)‥長距離トラックの運転手でみどりと結婚することになる。長谷川は前年にデビューしたばかりで、本作きっかけで翌年「ウルトラマン80」の主演に抜擢されることになる。
とまあ、はっきりしているのは長谷川石野のカップルだけで、最終話では一家全員がそれぞれ結ばれるらしいのだが、番組を見ていない自分には、その他のカップルについては不明である。ただ、YouTubeに本作の短い動画が挙がっており、水沢との結婚を急ごうとするが、彼女は「私の身代わりなんかじゃない」と岡崎との結婚を薦めるのである。余命の短い自分と結婚しても…ということだろう。ちなみに、Wikiにの役名は「」となっているが、動画では「けん」と呼ばれているので字面の似ている「謙」が正解ではないかと推測した。
他のキャストだが、松山英太郎中沢保)、西田敏行(大門孝太郎)、左とん平信夫中)、泉ピン子藍野いづみ)、輪島功一など。とん平とピン子は付き合っており、輪島は元ボクサーで近所の団子屋の店主という役なのでほぼ本人である。松山は役柄不明だが、浅茅の相手だろうか。西田は歌手時代の千代のファンという設定だが、これも動画で森光子のお相手は西田であると言ってよさそうに思えた。動画を挙げたのはどうやら、この場面で挿入歌を歌っているHe-Story(ヒストリー)というグループのメンバーのようだ。
ドラマの本来の脚本とは無関係に、たびたび国内外の大物芸能人がゲスト出演として登場し、自分の最新出演作品の宣伝などを寸劇スタイルで森光子と数分間やり取りした。ゲスト出演者には、海外からはキャサリン・ロス、ソフィア・ローレン、ホイ三兄弟(マイケル、リッキー、サミュエル)、国内では若山富三郎、沢田研二、おすぎとピーコ、タモリなど。ホイ三兄弟は当時流行った「Mr.Boo」がらみだろうが、キャサリン・ロスやソフィア・ローレンは何の作品かは不明だ。若山は「衝動殺人息子よ」絡みだったようだ。沢田は「太陽を盗んだ男」がこの年に公開されているが、番組放送時期とは半年ほどずれがある。アルフィー(THE ALFEE)桜井賢が単独で出演し、サングラスを外したりもした(らしい)。
 

家路~ママ・ドント・クライ その2

前回の続きで「家路~ママ・ドント・クライ」(79年)である。
主題歌はクリエイションの「ママ・ユードン・クライ」という微妙に番組タイトルと違っているタイトルの曲である。81年に藤竜也、草刈正雄主演のドラマ「プロハンター」の主題歌「ロンリー・ハート」がヒットするのだが、その時のグループ名はクリエーションであり、ボーカルもGSのカーナビーツで活動していたアイ高野を迎えており、本作とは違った雰囲気を感じる。
本作で挿入歌として使われたのが郷ひろみの「マイレディー」である。こちらは大ヒットしたので、主題歌をこっちにしておけば、視聴率ももう少し上がったかも。作詞作曲が郷の役名である唐沢晴之介となっているが、実際は網倉一也の作詞作曲だという。
また、高見知佳の「セザンヌの絵」も挿入歌として使用されたという。歌手としてはあまりパッとしなかったイメージがあるが、この曲以外にも番組主題歌や挿入歌に使われた曲が数曲ある。最大のヒット曲は資生堂のCMソングとなった「くちびるヌード」である。アイドル歌手というよりは、バラドルのイメージだろう。22年には突然、参議院選挙に立候補して落選。翌23年には子宮がんが判明したが、かなり進行しており、入院した翌月に亡くなっている。60歳であった。
味楽苑の店員役の白石まるみは「ムー一族」(78年)で主演の郷ひろみの恋人役オーディションで2位に選ばれたのがきっかけで芸能界入り(1位は桂木文)。オーディション時はまだ中学生だった。芸名は顔も目も鼻も丸いから「まるみ」と番組スタッフらが名付けた。「白石」も全体的なイメージだというが、別に太っているわけではない。彼女の娘が守永真彩で、競馬番組以外ではあまり見かけない。
番組サブタイは5話までなく、6話になって「久米宏の満漢全席」というサブタイが付いている。勿論、ゲストは久米宏だったようだ。8話には岡田真澄が吸血鬼の役、さらにYMOの三人が出たという。気になるのが12話の「学習院OG奮闘す」というもの。レギュラー陣には学習院卒はいなさそうだが、誰をさしているのだろうか。ちなみに、この回の視聴率が4%を切っていたようで、低視聴率だったことがわかる。翌13話が最終話となったのである。
その翌週からスタートしたのが「家路PART2」(79年)である。出演者と役名はほぼそのままなのだが、設定は大きく変わったという。どう変わったのかはわからないのだが、中華屋ではなくなったようである。wikiやテレビドラマデータベースなどを見ると白石まるみや子役の安孫子里香の名は見当たらなくなっている。だから、出ていないとは限らないのだが。森マリアや小林アトムが新たに加わったようだ。小林アトムについてはよく知らないが、舞台中心の人で。テレビや映画出演は少ない。この15年後に劇団四季に入団したようだ。ちなみに、下條アトムは本名だが、こちらは芸名である。ゲストでは、篠ひろ子、はしだのりひこ辺りが目立つ程度で、最終話は何故か山本麟一のようだ。
要するにテコ入れを行ったわけだが、出演者も変わらない状況では、視聴率が伸びることもなく、PART2も13話にて終了したのである。

家路~ママ・ドント・クライ

郷ひろみでTBSの「水曜劇場」と言えば、「ムー」とか「ムー一族」とかは有名だと思うが、そのちょっと後に放送された「家路~ママ・ドント・クライ」(79年)を覚えている人はいるだろうか。まあ、自分も全く見たことはないのだけれども。
東京湯島にある傾きかけた中華屋「味楽苑」が舞台のホームドラマということだが、主演は京マチ子唐沢雪子)で、その夫が佐野浅夫唐沢鶴吉)である。当時のビジュアルを思い出すと、佐野の方がかなり爺さんっぽくて年長に見えるのだが、当時は55歳、佐野は54歳だったのである。共に大正生まれの1歳違いだが、これはが若々しかったというべきだろう。
その子供たちだが、長女が梶芽衣子唐沢薫)、長男が郷ひろみ唐沢晴之介)、次女が浅野温子唐沢渚)、三女が安孫子里香唐沢ヒカル)というキャスティングである。は「おやじ山脈」に続いて佐野の息子役となるが、梶と浅野は当時のイメージからいうとホームドラマのタイプではないと思う。梶はやはり「女囚さそり」のイメージが強かったと思うし、浅野は当時18歳。後には「あぶない刑事」やトレンディドラマで、コミカルな一面も見せたりするが、この時点では直前に公開された映画「高校大パニック」で、犯人の男子生徒(山本茂)の人質となる女生徒役のイメージではないだろうか。映画は見てなくとも結構テレビCMも流れていた記憶があるので、あのシリアスな顔の美少女という感じだったのではないだろうかと勝手に予想する。つまり、暗い影を背負ったニコリともしない姉妹を想像してしまうのだ。ちなみには当時24歳だが、浅野とは二卵性双生児であるという設定になっている。設定年齢は不明だがどちらに合わせたのであろうか。そして、三女役の安孫子は本作がデビューとなる子役で当時6歳である。実年齢で言えば、とは26歳の差がある。まあ、京と佐野は50代なので、こういう構成もあり得はするけれども。ちなみに、安孫子は翌80年スタートの「池中玄太80キロ」の三女役でお茶の間に知られるようになる。
他のキャストだが、紺野美沙子柳瀬美佐子)、伴淳三郎鈴木大作)、李礼仙鈴木美代子、鮫島リラ二役)、近田春夫李斉足)、高見知佳李梅子)、白石まるみ生井米子)、小林亜星唐両世)、タモリ庚朱慶)、岡田英次増沢)、池部良立花宗一)などである。
梶、浅野に加え李礼仙(後に李麗仙)もホームドラマっぽくない役者である。伴淳の娘役だが、何故か踊り子リラとの二役である。その李礼仙が出演している中、近田春夫と高見知佳が李姓の兄妹を演じている。ちなみに近田はミュージシャン、高見はアイドル歌手である。タモリはまだお茶の間に浸透していない頃だと思われる。サングラスではなくアイパッチの時代だったかも。役名からして当時よく芸としてやっていた怪しい中国人なのかもしれない。ちなみに近田とタモリはオールナイトニッポンのパーソナリティでもあった。
そういえば、京と梶の共通点を思い出した。それは独身であること。は大映のスター女優であったが、肉体派でもあり男を引き寄せそうなものだが、一度も結婚することは無く19年に95年の生涯を終えている。は現時点(25年)で、78歳だが未婚状態である。実はこのドラマの5年程前に結婚寸前まで行った相手がいたそうだが、結局破談となってしまう。その相手から「誰とも結婚するな。仕事は死ぬまで辞めるな」と言われたのを、いまだに義理堅く守っているのだと言われている。

銀座わが町 その2

引き続き「銀座わが町」(73~74年)である。
映像だが、この時代のNHKドラマとしては珍しく全49話のうち、37話、45話、最終49話の3本が現存していたという。また、NHKが推進している番組発掘プロジェクトにより、第1話に関しても制作関係者から映像が提供されたという。
さて本作は最終的には何組かのカップルが生まれる話なのである。以降は正直言ってほぼウィキペディア情報だ。まずは、島田陽子銀子)と原田大二郎伸介)のカップル。出演者で島田陽子とバランスが良さげなのは原田くらいしかいない。小倉一郎恭介)だと何か違う気がするのである。(恐らく)最終話にて、島田と原田の結婚式のシ-ンがある。
その小倉一郎は、竹下景子演じるデパート店員をナンパ男から助けたことがきっかけで知り合いとなる。島田はその兄(原田)と付き合っていたこともあり、竹下とも親しくなる。そして竹下は最終回では島田が開店する菓子店の店員に転職することになる。
江戸春の従業員同士の森光子三津江)と藤岡琢也富三)も恋仲となっていく。森光子は海外で挫折して帰国し、照れくさいものだから当初は自分で店を出していた。それを藤岡琢也が見つけるのだ。藤岡は彼女の店の指導・応援に暫く通うことになり、やがて彼女に求婚することになる。
志垣太郎はチンピラと揉めていたところを藤岡に助けられたことをきっかけに江戸春に務めることになる青年の役。実は日本舞踊の家元の跡継ぎで、その家元である父親が自分の憧れていた女性と再婚したことにショックを受け家を出ていたのである。しかし、その父が病に倒れたことで家に戻っていく。
店主同士の中村玉緒(雪)とフランキー堺王介)も物語中盤から近づいて行く。フランキーが盲腸炎になった際に、たまたま一緒にいた玉緒が献身的に看病したことから恋愛関係になる。フランキー玉緒が悪徳金融業者に騙されそうになったところに駆けつけ彼女を救ったりするのだ。
そして最終話では、先代主人同士の宇野重吉春吉)と北林谷栄松代)もかつて恋愛関係だったことが判明する。若い頃、二人は駆け落ちしようとしたのだが、互いに待ち合わせの場所(団子屋)に来なかったと主張する。その真相は同じ名の二件の団子屋があり、それぞれ別の店に行っていたというものだった。ある意味、しょうもない理由で江戸春とごんざ亭は長い対立に陥っていたわけである。
主要キャストが次々とカップル化していく中、黒柳徹子八重)と海老名美どり(かおる)には浮いた話がなさそうである。実は本作は峰竜太のドラマデビュー作である。海老名美どりと言えば「おはよう!こどもショー」での共演がきっかけで結婚したというのは有名だが、本作でも共演していたのである。まあ、がどんな役で二人に絡みがあるかどうかは不明なのだが。
 

銀座わが町

「おやじ山脈」の後に、郷ひろみが出演したドラマが「銀座わが町」(73~74年)というNHKドラマである。
舞台はタイトル通り銀座で、老舗の天ぷら屋「江戸春」とレストラン「ぎんざ亭」の両家を中心に、関わる人々の人間模様や騒動を明るくコミカルなタッチで描いたホームドラマである。主役級の俳優が何人も出ていることで当時、話題になっている。と言っても個人的にはタイトルを聞いたことがあるといった程度で、もちろん見たことはない。
出演者だが、「江戸春」側は中村玉緒篠宮雪…当代で女将。未亡人)、宇野重吉篠宮春吉…先代で大旦那)、黒柳徹子篠宮八重…春吉の娘でカメラマン)、海老名美どり篠宮かおる…春吉の娘)、鮎川由美篠宮ひかる…春吉の娘)、森光子三津江…女中頭・仲居)、藤岡琢也富三…板前)、三木のり平野呂平作…篠宮家の親類)。「ぎんざ亭」側はフランキー堺国分王介…当主)、北林谷栄国分松代…先代で王介の母)、原田大二郎国分伸介…長男で新聞記者)、小倉一郎国分恭介…次男でコック)、相吉賢一国分賢介…三男)となっている。つまり、両家は男女が全く逆になっている家族構成になっている。先代、当代四人ともに伴侶を失っており、江戸春は三人娘、ぎんざ亭は三人息子となっている。ちなみに両者は何かと対立する関係にある。出演者を見ると、この時点で主演級俳優が中村玉緒、森光子、フランキー堺、三木のり平と顔を揃えている。ちなみに、森光子は最初に顔を見せると、すぐに渡米ということで姿を消し、後半になって再登場するようだ。これは「時間ですよ」が並行して放送されていたからであろう。小倉の演じる国分恭介だが、同姓同名の騎手がJRAに存在する。まあ偶然だとは思うけれども。鮎川、相吉は詳細不明だが子役ではなかろうか。黒柳徹子はこの頃は普通にドラマに出演していたが、「徹子の部屋」が始まった辺りで、悪女役をやったりすると悪い女の人がインタビューしていると思われるかもしれないと思い、ドラマ出演は辞めたそうである。
本作は1年の長丁場で、もちろん主要キャストはこれだけではない。中村玉緒森光子に並ぶヒロインとして登場するのが島田陽子溝口銀子)だ。当時20歳だが、既に「新・氷点」(71~72年)の陽子役などで注目されていた。役名の銀子は何となく女番長っぽいネーミングだが、銀座の子という意味のようだ。ドラマは彼女が祖父が銀座で開いていた菓子店を再興する夢を持って田舎から出てくるところから始まる。彼女の祖父は宇野、北林とも親友だった。彼女の下宿先を巡って二人は互いに「ウチだ」言い争う。結局、彼女は1か月ずつ交代で、江戸春とぎんざ亭に下宿することになる。
他には、有島一郎有馬一六…和菓子店の店主)、役名のみ判明しているのが、岸田今日子谷四季子)、新藤恵美江見和子)、そして郷ひろみ南郷弘)など。この辺は役者の名前をもじった役名になっているようだ。さらに、芦田伸介、峰竜太、志垣太郎、加藤嘉、竹下景子、青木英美、奈良岡朋子、藤木悠、加藤武、下條正己、志村喬など。後、フォーリーブスの青山孝森光子が経営する酒屋の店員役として単独で出たようだ。主題歌も彼のソロだったらしい。当時はグループとしての人気も好調だったはずだが、ソロ出演があったのは意外な気がする(実際彼のソロ活動は少なかったようだ)。まあ歌唱力はグループで一番だと評価されていた。

次回へ続く。

おやじ山脈

若干時代が戻るのだが、郷ひろみの出演しているドラマに「おやじ山脈」(72~73年)というのがある。「木下恵介アワー」の一作で、同枠で人気を呼んだ「おやじ太鼓」(68~69年)の続編といえるドラマである。
おやじ太鼓」と言えば、鶴亀次郎進藤英太郎)と妻・愛子風見章子)の夫婦と四男三女の子供たちがおりなすホームコメディであったが、本作でも登場するのは亀次郎・愛子の他は兄弟では末っ子である三女のかおる沢田雅美)だけのようである。他には伯母(亀次郎の妹)の正子小夜福子)、鶴家のお手伝いお敏菅井きん)、運転手の黒田小坂一也)は引き続きの登場である。
あまりホームドラマの類を見てこなかった自分だが、「おやじ太鼓」は夕方によく再放送をやっており、自然と見ていたのである。ただし「おやじ山脈」については見たことはないと思う。
本作では鶴家に加えて愛甲タイル店を営む愛甲家が登場し、専らこちらが中心になりそうである。ちなみに「愛甲」と言うと愛甲猛(横浜高→ロッテ)を思い出す人もいるかもしれないが、彼の活躍は80年代になってからである。
さて、その愛甲家のメンバーだが、父・源四郎佐野浅夫)‥本作では彼が主役扱いになるのだろうか。母・信子織賀邦江→三宅邦子)織賀は撮影中に肺癌で死去。50歳の若さであった。11話より三宅に交代している。
次男・良介林隆三)…長男は既に亡くなっているという設定。物語上意味はあるのだろう。長女・順子秋山ゆり)‥秋山は「おれは男だ!」での吉川操早瀬久美)の姉役が有名だろうか。三男・三郎小倉一郎)‥大学で考古学を専攻している。鶴家の三男も三郎津坂匡章=秋野太作)だった。四男・清司吉田次昭)‥彼も大学生である。五男・正明郷ひろみ)‥設定では中学生。デビューしてまもない頃だが、実物は17歳である。家族は以上だが、タイル店に勤務する職人や店員がいる。木全健一郎峰岸隆之介=峰岸徹)‥タイル店の職人で、かおると恋仲である。小野川公三郎)…タイル店の職人。小野川は「レッドファイター」の人。光男山田隆夫)…タイル店の店員。節子三島千枝)‥タイル店の店員で、後に轟と結婚する。他にゲストかレギュラー化も不明だが、葵テルヨシ、相原ふさ子などの出演記録がある。は郷と同じ(当時)ジャニーズ事務所のアイドル。この時点ではレコードデビュー前である。元祖ジャニーズのあおい輝彦とよく似た芸名だが、本名が浅井照善で名古屋出身ということもあり葵テルヨシになったようだ。
かおると結ばれるのが、愛甲家の兄弟ではないのがポイント。峰岸と沢田では不釣り合いな気もするが、とにかく物語の中では彼女の妊娠が発覚して騒ぎとなるようだ。
主題歌は郷の3枚目シングルである「天使の詩」。個人的には記憶にない曲だが、フランスで発売された「Baby Chorus」という曲のカバーである。ちなみに「おやじ太鼓」では。あおい輝彦が同タイトルの曲を歌っている。

次回の更新は9月の6日か7日になる予定。

あこがれ共同隊 その2

引き続き「あこがれ共同隊」(75年)である。7話で西城秀樹扮する竜也が死んだ後、どうなるのかと言うと、恋人だった桜田淳子扮する明子は、郷ひろみ扮する広介に励まされているうちに恋人関係になるのだという。
当の桜田淳子は「いい役だけど、秀樹クンとひろみクンのファンが怖い」と語っていたようだ。実際に何かされたという情報はないけれども。
8話には出演予定だとされていた吉田拓郎が登場した。本作の主題歌「風の街」は出演者でもある山田パンダが歌っているが、作曲は拓郎である。テレビ嫌いとして知られていた為、注目度も高かった。登場シーンは原宿ペニーレーンで店員役の山田パンダに「飲み代をツケにしろ」などと迫り、結局勘定も払わず出ていくというような困った客の役だったようだ。
そして、10話からは浅田美代子扮する庄司洋子が登場しレギュラー入りする。本作においては拓郎と浅田の共演シーンはないと思われるが、当時既に二人は交際中との噂はあったようだ。本作の最終話は直前に山田太一脚本の単発ドラマ「なつかしき海の歌」(75年)で、二人は本格的に共演するのである(主演は加山雄三)。拓郎は既に既婚者であり、要するに不倫状態だったわけだが、二人が叩かれていたような記憶はない。単に自分が芸能ニュースをあまり見ていなかっただけこもしれんが。77年に二人は結婚し、浅田は21歳で芸能界を引退するのだが、83年になり拓郎森下愛子の不倫報道が取りざたされる。結局、拓郎と浅田は84年に離婚するのだが、一足先の83年中に浅田は芸能界に復帰している。
話を戻すと、「あこがれ共同隊」のその後の展開だが、11話で黒柳徹子扮する竜也の母・晴子長門裕之扮する鶴岡と再婚する。13話では広介に悲劇が。チンピラに絡まれて殴られ、失明してしまうのである。絶望に陥る広介明子、洋子、そして三田佳子扮する明子の姉・令子が愛情を注ぐという展開になるらしい。つまり、広介の心変わりがあるのかも、というまさかの状況に。
というような鬱展開も影響したのか、視聴率は当初から低迷。最大の原因は本作の放送時間は金曜20時だったこと。当時は裏番組に「太陽にほえろ」が君臨していたのである。そのため、全26回の予定が17話に短縮されることになったのである。
ところでこの作品、今だ一度も再放送されていないとされる。無論、ソフト化もされたことはない。72~73年辺りででVTR撮りなら、テープの上書きにより映像がこの世から消えてしまうということもあったのだが、75年くらいだと映像は保存されるのが普通になってきたと思う(100%ではないだろうが)。
映像は残っているとしたら、権利関係の問題だろうか。主演の三人は所属事務所も違うし。もしかすると、桜田淳子の統一教会問題絡みもありえるのだろうか。ただ、CDとかに関しては2007年くらいから復刻されたりしているし、あまり関係はないかも。

いずれにしろ、幻の番組と化しているようである。

あこがれ共同隊

70年代アイドルの郷ひろみ、西城秀樹、桜田淳子の共演で話題を集めたのが「あこがれ共同隊」(75年)である。当時人気絶頂だった新御三家と花の高二トリオの共演が実現。企画自体はもっと前からあったようだが、なにしろ売れっ子アイドルなので、スケジュール調整に1年を要したという。中三トリオだった昌子、淳子、百恵も高二になっており、進級するごとに呼び名も進級していったのである。個人的には、新御三家はもちろん、このトリオにあまり興味がなかった(歌は好きなのもあったが)こともあり、この番組は見ていない。
出ていたのは三人だけだっけと思ったが、第1話には山口百恵もゲスト出演していたようなので、彼女も出演していたイメージがあったのである。百恵に関しては「赤い疑惑」が控えていたため、ゲストという形になったようだ。アイドルの出演は彼等だけではなく、シェリー、浅田美代子(10話から)もレギュラー。そしてフォーク・ニューミュージック系からも吉田拓郎、山田パンダも出演したことが話題となった。現在はSHELLYというハーフタレントがいるが、シェリーの元祖?はこちらで、ハーフであることは一緒だ。
配役と他のキャストだが、郷ひろみ八田広介)が主人公扱いで、西城秀樹(畠山達也)、桜田淳子黒沢明子)は恋人同士という関係。高橋昌也八田洋介・広介の父、高級紳士服店を営む)、田中邦衛八田雄二郎・広介の叔父)。広介と洋介は対立し、広介は家を飛び出してて裁縫工として働いている。シェリー正子)はその工場の従業員で、裁縫工場の社長が品川隆二吉之助)である。
西城演じる達也は酒屋の息子で、その関係者が黒柳徹子畠山春子・達也の母)、玉川良一達也の祖父)、森本レオ志郎・酒屋の従業員)である。志郎と前述の正子は恋人関係にある。
淳子演じる明子は高校生だが、三田佳子黒沢令子・明子の姉、ブティックとコーヒーショップを営む)。彼女は広介の父・洋介と愛人関係。明子とは異母姉妹である。その関係者が大和田伸也郷太、ブティックRの主任)、せんだみつお海老蔵、コーヒーショップRのバーテン)だ。
他に長門裕之鶴岡武造)、黒沢久雄黒川邦彦)、常田富士男花本勝)、山田パンダ花本修)などがいる。常田山田は風貌が似ているからか親子の役なのだろう。ちなみに、実年齢では8歳しか違わない。
トップアイドル主演のドラマだし、明るい青春ドラマが繰り広げられるのかと思いきや、かなり暗い展開になっているようである。まず第7話にして、西城演じる達也が死んでしまうのである。簡単に言えば、西城のスケジュールが取れなくなくってしまった為の降板であった。不治の病に冒され、自分の死期を悟った彼は、好きなマラソンをして死にたいと病院を抜け出して走り出す。そして力尽き神宮外苑の池の中で死んでしまうというものだった。ファンが押し寄せては撮影にならないと、早朝6時からのロケにしたのだが、ファンを舐めてはいけない。携帯はもちろん、SNSなどという言葉も存在しない時代でも、どこからか情報を嗅ぎ付けて、ファンが殺到し、現場は大混乱に陥ったという。
池の中はかなりの汚水だったそうだが、西城は自分から言った手前引くにひけなかったという。彼だけでなく後を追ってきた恋人役の淳子も池の中で彼を抱きかかえて号泣するのである。ファンの悲鳴が響く中、ディレクターは早く撤収させようとOKを出したが、西城は納得がいかずやり直しを要求したりで、二人は汚水の中で一時間ほど頑張ったらしい。
西城は後に「騒ぎが凄いので、おちおち死んでいられなかったよ」と福本清三に先んじて語っていたそうである。次回に続く。
 

ちょっとしあわせ

てんつくてん」(73~74年)のあと、司葉子和田アキ子が再び共演したドラマが「ちょっとしあわせ」(74~75年)である。正直、調べてたらたまたま見つけたもので、全く聞いたこともないドラマである。というわけで、ウィキペディアにある概要では、都電荒川線沿いにある柚木家が経営する「太陽保育園」が主な舞台となっている。柚木家の三女鈴子酒井和歌子)と弟の和久郷ひろみ)には暗い出生の秘密があるという。だから、全く明るいドラマというわけではなさそうだ。
都民の人なら知っているだろうが荒川線は現在都内を走る唯一の都電(路面電車)。この放送時点で、他の路線はほぼ廃止され、唯一の存在になっていたようである。
酒井和歌子で「太陽」保育園だと「飛び出せ青春」を思い出してしまうが(舞台は太陽学園)、そのメインライターだった鎌田敏夫が本作でも脚本に関わっているし、校長役だった有島一郎もゲストで登場するようので、クレジット上にはないようだが東宝も関わっていたのだろうか。
出演者だが、鈴子と和久の母・綾子司葉子、父・忠基田中春男、祖父で保育園の園長・紋平がアラカンこと嵐寛寿郎である。アラカンこういうドラマに出ていたのは意外に思ったりする。田中春男宇治みさ子の父としても知られるが、実年齢で言うとアラカンと10歳しか違わない。当時の田中のビジュアルはわからないが、入り婿という設定もありうる。ヒロインの鈴子は三女と書いたが、長女・ちどり林美智子次女・かな子結城美栄子四女・まゆみ野口みどりとなっている。野口の詳細がわからないが、おそらく(当時19歳)より年下ではないだろうか。
他の出演者については役柄は不明なので、名前だけ並べるが、和田アキ子高沢順子、芹明香、内田あかり、丹阿弥弥津子、遠藤幸吉、森本レオ、高岡健二、今井和子、植木等、二谷英明など。和田アキ子の役名だが、野中小百合というらしい。似合わないな思いつつ、野中小百合というアイドル歌手がいたなあと確認すると、本作終了の数か月後に同名の歌手がデビューしているのである。野中は渡辺プロで、和田はホリプロだが、植木や高岡は渡辺プロだったので、偶然とも考えにくいので、この役名を拝借した可能性はある。そういえば、植木高岡はこの後「二人の事件簿」(75年)でも共演することになる。
内田あかりは73年に大形久仁子から改名したタイミングで歌った「浮世絵の街」がヒットしたところであった。遠藤幸吉は元プロレスラーで、力道山とタッグを組んでいたことで知られる。当時は既に現役を引退しており、プロレス中継の解説などを務めていたようである。どんな役で出たのかは不明だ。
あと概要を見ると郷が演じる文久は、年上の女性に憧れて愛を知って傷付きながらも成長していくとある。キャストを見て対象になりそうなのが高沢順子くらいだろうか。芹明香がこういったドラマでメインどころになるのは考えにくいし。ただ、高沢と同じ55年生まれで、年上って感じにも見えない気がするのだが。余談だが、酒井和歌子について、「本当にいい人で、すごく好きだった」と証言しているらしい。
全15話で終了しているが、2月の2週目が最終話で中途半端なので、打ち切りだった可能性も高い。本作を知っている人は少ないだろうし、再び陽の目を見ることもない気がする。

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