たんとんとん
前回の木下恵介アワー「二人の世界」の後番組となるのが「たんとんとん」(71年)である。脚本は山田太一が引き続き全26話を一人で担当している。出演者は前作とはガラリと変わり、主演は青春スター森田健作であり、その母親がミヤコ蝶々で、この母子を中心にドラマは展開する。タイトルの「たんとんとん」はわかると思うが、「母さんお肩をたたきましょう~」の「たんとんとん」を表している。
ただ大変失礼ながら、この二人だと婆ちゃんと孫という関係に見える。ミヤコ蝶々は当時51歳だが、既に60代くらいという感じに見えるのだ。蝶々と森光子が実は同い年と考えると森光子が若造りだったと言えようか。
逆に森田健作は当時22歳だが、高校生にも見え、今回も高校生の役だ。と言っても学園ドラマではない。
森田が演じる尾形健一(緒形拳ではない)は大工の棟梁の息子。しかし、その父親が急逝。大学進学を目指していた健一だったが、高校を辞め父の跡を継ぐ決意をするのだった。というのがあらすじ。
つまり主な舞台となるのは健一と母・もと子(蝶々)の住む「尾形工務店」である。工務店の関係者が棟梁・堀田(花沢徳衛)、父の弟子だった生島新次郎(杉浦直樹)で、堀田の妻・咲子(杉山とく子)、堀田の娘・ゆり子(丘ゆり子)、新次郎の妻・とし子(松岡きっこ)という顔ぶれ。丘ゆり子は馴染みがないと思うが、浅草の軽演劇出身で、ずんぐりした体形が特徴。20歳前の役だが、当時29歳。終盤重要な役割を演じる。松岡は杉浦と15歳離れた妻という設定だ。ここに腕のいい若い大工・江波竜作(近藤正臣)が加わる。設定では20歳だが、近藤も前述の丘と同じ29歳だった。彼と健一は馬が合わず、悉く対立する。
ヒロインとして登場するのが、蕎麦屋に務める石井文子(榊原るみ)。実は竜作とは同郷で、しかも同じ養護施設の出身ということで、おそらく顔見知り。竜作に好意を持つが、彼はあやふやな態度をとる。そのせいか、健一とデートしたりもする中々の小悪魔だったりする。終盤に竜作の父・竜造役で登場するのが由利徹だ。
建一の高校での友人として登場するのが磯田(岩上正宏)。演じる岩上は近藤も出演していた「柔道一直線」では丸井円太郎なる柔道選手を演じた。その名前の元になったであろう役者が丸井太郎で「図々しい奴」が有名。その少年時代を演じたのが岩上である。その彼が告白して振られるのが夏川雅子(岩崎和子)である。彼女も健一の元クラスメートで歯医者の娘。榊原るみと岩崎和子と言えば「帰ってきたウルトラマン」だ。実は本作は全く同時期に放送されていたので、榊原は掛持ちだったと思われる。さらに、彼女はこの後「気になる嫁さん」への出演が決まり、「帰って来たウルトラマン」を宇宙人に殺されるという形で降板する。そして、入れ替わるように登場したのが岩崎和子だったのである。「たんとんとん」においては榊原は結局は近藤とうまくいくようだ。
この他にも「尾形工務店」に家造りを依頼した夫婦(中野誠也、井口恭子)や健一の叔母親子(加藤治子、朝倉宏二)等も登場。朝倉はアニメ「キックの鬼」で、主人公の沢村忠を演じたり、声優活動の方で知られている。
そして終盤に長髪にヒゲのバンドマン園部(朝比奈尚之)が登場し、ゆり子と結婚することになる。最終話はこの二人の結婚がメインになるようで、竜作と文子ではないのだ。
竹脇・栗原コンビと違い、視聴者的には馴染みの薄い役者二人の結婚で盛り上がったかどうかは不明だが、山田ドラマで不評なコメントはあまり聞いたことがないので、悪くはなかったのだろう。