先月(6月20日)に行われた、全米共通学力基準・PARCCの会議で議論されたCollege Readinessについて。
Testing Group Wrestles With 'College Readiness' Meaning
College Readiness Determination Policy and Performance Level Descriptors
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これ、会議で使ったプレゼンのPDFファイル版(まさかこれが公に公開とは知らず、記事のサイトで見つけてビックリ!!・・・なんせこのプレゼンを作ってプレゼンしたの、私の上司なので・・・汗)。
超久々の日記(多忙に加え、なんと夏風邪にかかり大変でした。おかげで、PARCCの会議を1日休んだくらい)。全米共通学力基準の会議が先月は3つありました(私が休んだLeadership Team Meetingと、今日お伝えするGoverning Board Meeting、そして教員評価方法&学力の伸びに関する会議)。
今日のテーマはCollge Readiness(大学に進学&勉強する準備ができている)というコンセプトについて。
以前にPerformance Level Descriptors(学力テスト結果に判断される学力レベルのこと)をお伝えしましたが、その後いろいろあり、5段階に分ける・・・ということまでは各州政府の賛同がとれたのですが、その続きが今回の会議。
Governing Board Meeting
と言われる全米共通学力基準プロジェクトの一つ・PARCCの最も重要事項を決める会議が行われ、一般公開され、もちろん記事になり、今回私のブログでも遠慮なくお伝えすることにしました。
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余談ですが、このGoverning Board MeetingはPARCCの決議権を持つ全18州政府の事実上トップ(教育省ナンバー1か、ナンバー1の代わりに来たナンバー2か3)が集まる会議で、さすがに各州政府のトップが集うだけあって豪華顕在って感じでした。で、いつもながら参加者唯一のアジア人である私は隅っこの方で座って聞いてました・・・。
ちなみに、この会議の休憩中に私、偶然自己紹介して話した一人がワシントンDCのトップ・Hosannna Mahaley(私のブログでも紹介したワシントンDC元教育長ミシェル・リーさんが辞めた後に引き継いだ人であり、ミシェルリーの改革をストップして前のDCの教育状況に戻した正に張本人・・・笑)。
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<5段階のレベル>
今回の会議では午前中だけがOpen to Publicということだったので、この午前中は完全にCollege Readyにまつわる話だけに終始することになりました。
ではまずPerformance Level Descriptorsの最新ドラフトを見てみると、
1.レベル5の内、4以上がProficient(習熟している)と認定されるベレルに達している
2.レベル別に言うと、
レベル5:Superior Command of Knowledge, Skills, and Practices embodied by the Common Core State Standard assessed by the grade level
レベル4:Solid command of・・・
レベル3:Partial Command of・・・
レベル2:Limited Command of・・・
レベル1:Very limited Command of・・・
3.上記のレベルを高校レベルで定義
レベル5:Very likely to Suceed in entry-level, credit-bearing courses・・・
レベル4:Likely to succeed to
レベル3:May Suceed to
レベル2:Unlikely to suceed to
レベル1:Very unlikely to succeed to
4.小学3年生から8年生までの定義
レベル5:Very well prepared to engage successfully in further study
レベル4:Well prepared to
レベル3:May need some targeted support
レベル2:Will likely need targeted support
レベル1:Will likely need intensive intervention
ということでかなり具体的にまとまってきた感じです。
小学3年生から8年生は、(テスト結果がCollege Readinessの判断に入る前の段階というわけで)レベル別の説明もサポートが必要かどうか、ということがレベル別の違いです。
他方、高校レベル(9年生から12年生)はPARCCの目玉コンセプトであるCollege & Career Readiness、つまり大学で勉強する、又は高校卒業後働く準備が学力上できているか?という判断になるので、レベル別の説明もSucceddかどうか、ということが重要になっています。
とまあ、これはリンク先のプレゼンテーションのファイルを見れば分かるので、詳細はそちらをご覧下さい(ちなみに、プレゼンした張本人であるボスに「I am so surprised to see that presentation file. Is that ok to upload it in public」って言ったら、取材に来たEducation Weekの人に今回は思い切ってファイルまで渡したんだって笑いながら言ってました・・・)。
<College Readinessと5段階のレベル>
プレゼンの後、(Career Readinessはまず置いておいて)College Readinessにフォーカスした、大学関係者の代表がプレゼンに加わり、このレベルの内容についての修正された部分の説明がありました。
簡単に説明すると、5段階レベルの内のレベル4は当初、
テスト結果からレベル4に達している生徒の内67%が大学入学1年目の授業で(成績がA、B、C、そしてFailまでの評価方法において)B以上の成績を収めることができる
という内容でしたが、それを
67%から75%くらいまで上げることになった
というのが修正後であり、それは高等教育側からの要請でした。レベル4とテスト結果から判断された生徒の内、75%の生徒が大学1年目においてBを取れるだろうというくらいの厳しい(つまり生徒にとっては難しい)判断基準でないと、大学側もPARCCのテスト結果を信用できない・・・というような要望です。
実際、記事にあるように、オクラホマ州の高等教育代表者から、
currently about half the students who pass state college-placement tests earn Cs in entry-level courses
-現在、College-placement test(アメリカの大学生が入学して最初に受けるテストで、これで大学で基本となる授業を受ける必要があるのか?といったことを判断するテスト)でCを取る生徒は約半分くらいしかいない)
という根拠からもレベル4の基準を上げるのはある程度の説得力があることです。
<5段階レベルと各州政府の要望>
ここまでは無事滞りなく終わったのですが、問題はここから各州政府のトップ連中による批評、要望、クレーム等が始まりました。
議論のポイントは
the proposed language to describe students’ level of mastery
そう、私の上司が中心に作り、そして行ったプレゼンで提示した、(上に示した)各レベルの学力状況を説明した説明文の内容に意見が集中しました。
例えば、
高校・5段階レベルのレベル5の“Very Likely to Succeed"、大学1年生レベルの授業で満足いく成績をおさめる可能性が極めて高い・・・という趣旨の説明文ですが、PARCCのAssessment(=学力テスト)だけでそんなことが断定できるのか?(←高等教育の代表者からのコメントですが、もちろん州政府を代表して参加してます)
小学3年生から8年生までのレベル別説明を高校のレベル別の説明文にも当てはめてはどうか?(つまり、高校のレベル別の説明文は不必要ということ)。
説明文にあるPreparation(準備が出来ている)ということは、Good Performance(学業成績が良い)ということを明確に示すべき(ロードアイランド州のトップの発言)
などなどが飛び交い、その中でも一番もめたのが、
レベル3の説明文
というのも、アメリカで重要な目安となる(最低でもNo Child Left Behindでは明確に示されている)Proficiency(習熟)レベルがPARCCではレベル4に設定されており、レベル3以下は、小学3-8年生では何らかのサポートがいる、と明記されているからです(つまり期待される学力に達していないという判断がレベル3より下、というわけです)。
それ故、レベル3がある意味微妙なレベルであることは言うまでもなく、それが各州政府のトップにはスンナリ納得いかない、というわけです。
実際、インディアナ州トップはレベルは5段階でなく、4段階の方が良いのでは?と提言したくらいです(←余談ですが、インディアナ州トップは私が参加した過去3回の会議でもかなり鋭い意見を述べていた州政府トップであり、上記のコメントはかなり無理のある提言ですが、別に頭の悪い方ではありません・・・・)。
メリーランド州トップは、レベル3に判定された生徒に関して、ズバリ「Are you likely to succeed?」(大学で成功する可能性があるのか?(←ベレル3の生徒はどのように判定された、と説明すべきなのか?とほのめかしている発言です)、とまで言う始末。
レベル3はまさにこのような微妙な判断がされるレベルなので、各州政府ともに、レベル3の言葉使いには大変気をつけなければいけない・・・という程度しかコンセンサスが取れない始末・・・。
プレゼンをした私のボスはレベル3のCollege Readinessについて、極めて微妙な判断であり、白か黒か?というような判定はできないレベル、と説明。(←一見あやふやな回答に聞こえますが、この発言をした私の上司、州政府の代表ではないですが、元PARCCの州政府の一つのナンバー2(Deputy Commissioner of Education)で、経験値だけなら、各州政府のトップを凌ぐ方なので、これはこれで現場の状況を知った上での説得力のある発言です)
それ以外にも記事にはなっていませんが、ニューヨーク州、ワシントンDC、オクラホマ州のトップなどもレベル3に関してはいろいろ意見を述べていました・・・というわけで、このレベル3でもめにもめたことは確かです・・・。
<総評>
ともあれ、なんとか終了した今回のPARCC・Governing Board Meeting。分かったことは、高等教育関係者の意見&各州政府の意向・要望を再収集してもう一回凝り直さないといけないってことです・・・。
まー私はリサーチ&データ分析の担当なので、このPerformance Level Descriptorsの議論は見守るしかできないですが、また進展があればこのブログで紹介したいと思います。