こんにちは

前回の続きで

お孫さんができた皆様に向けて

ワクチンのお話をさせていただきます



前回の記事で、育児知識が昔とは変わってきた点について書かせていただきましたが

ワクチンも昔に比べて変化してきました

赤ちゃんが生まれたら

ロタウイルスワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、B型肝炎ワクチンに始まり

4種混合ワクチン(百日咳、ポリオ、ジフテリア、破傷風)にBCG、

1歳を超えたら水痘、麻疹風疹、おたふくかぜワクチンをうち

3歳をこえたら日本脳炎ワクチンをうちます。

昔よりもワクチンの数は増えており、現代の赤ちゃんはおお忙しです

赤ちゃんの頃からたくさん注射されてかわいそうなかんじはしますが、

かわいそうなのに、あえて注射をする意味というのは

それはこれらワクチンで予防すべき病気が

死ぬ病気であったり、

治らない病気であったり、

重大な合併症を起こす病気であったりするからです





ヒブや肺炎球菌は細菌性髄膜炎の原因となり

死の危険と後遺症の危険があります

百日咳は無呼吸発作をおこして乳児を死にいたらしめますし

ポリオはかかってしまうと、もとにはもどらない小児麻痺を発症します

おたふくかぜは軽症というイメージがあるかもしれません

確かに発熱と耳の下が腫れる耳下腺炎を発症しますが

1週間くらいの経過で治るので

ほとんどのお子さんは軽症です。

しかしこの病気はしばしば合併症を起こします

1つは髄膜炎です。これは20人に1人の頻度で起こり

激しい頭痛と嘔吐を呈して、多くの場合入院となります

2つめは精巣炎卵巣炎です。

これにより将来的に子供をつくれなくなる可能性があります

そして3つめに一番重要なのは難聴です

頻度は比較的まれではありますが

おたふくかぜにかかってしばらくしてから

返事をしてもふりむかないなどの症状が出現して、

難聴となっていることがあります

これが一番重大な合併症ですが

これはワクチンで防ぐことができます

自然に感染した場合難聴になる可能性がありますが

ワクチンを接種していれば難聴になることはほぼありません

昔はよく、感染している子どもがいたら一緒に遊んで病気をもらってきなさい!

と言われることもありましたが

それでは難聴のリスクを背負うことになります

ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐのが一番です

B型肝炎も重要です

B型肝炎は感染して保菌者になりますと

慢性肝炎となり

将来的に肝硬変や肝臓ガンのリスクとなります

そしてB型肝炎の治療は難しく、

現代の医療でも決定的な治療はまだありません

ワクチンで予防することが一番の対策になり

ガンの予防という意味でも重要な意味があります


ロタウイルスは冬にはやる腸炎ですが、高度の下痢嘔吐などで

脱水を起こし入院となります

ときに高度の脱水や、脳炎の合併などで亡くなるお子さんもいます

ワクチンで防ぐことが重要ですが

残念ながら

おたふくかぜ、B型肝炎、ロタワクチンは公費で受けることができません



B型肝炎は2016年4月生まれ以降のお子さんには10月から公費が出るようにはなっていますが

それ以前に生まれたお子さんには適用されません

おたふくかぜ6500円×2回=約13000円 (値段は施設により若干異なります)

B型肝炎7000円×3回=約21000円

ロタワクチンは2回接種もしくは3回接種ですが合計約27000円

を自費で払う必要があります

ワクチンはとても高いですが、死や治らない病気や合併症を防いでくれるので

それだけの価値はあると思います。

しかし、皆ワクチンの重要性は理解されていますが

子育て世代には、負担の大きい出費であり

金額の大きさにためらって

打ちたいけれど打てないのが現状で

現状すべての患者さんに打てている状況ではありません

そこで私から提案があります



お孫さんにワクチンをプレゼントしませんか?






注射をプレゼントするなんて・・・


と思われるかもしれませんが

プレゼントするのは痛い注射ではなくって、

病気に抵抗する、ワクチンの抗体です

ワクチンを接種して病気に対する抗体、つまりバリアをプレゼントするのです

生後6週間から開始のロタワクチンは出生祝いにちょうどいいかもしれません

(ちなみにロタワクチンは注射ではなく、甘いシロップです)




1歳で1回目、5~6歳で2回目を打つおたふくかぜワクチンは

1歳の誕生日祝いや

卒園祝い、小学校入学祝いなどに適しているかもしてません

かわいいお洋服やおもちゃなどがプレゼントとして選ばれることが多いと思いますが

ワクチン抗体は長らく体の中に残り

お孫さんを守り続けるので

お洋服やおもちゃに負けない価値を持っていると思います

普通にいけば、私たち父母世代も、皆様祖父母世代も

お孫さんより先に死んでしまいます

でもワクチン抗体をお孫さんに残すことで

ずっとお孫さんを守ることができますし

それだけではなくって

ワクチン抗体は、お孫さんを大切に思うその「思い」とともに

お孫さんの体の中で役割を果たします

ワクチンの費用は基本的に国が負担すべきものとは思います

しかし現状、この国の財政状況からは難しい点もあり

自費で打つしかない状況です。

決して小さな出費ではありませんが

その価値はとても大きいです

ワクチンを打ってあげたくても打てない

私たちの世代に

力を貸していただけないでしょうか?