「へぇ、映画が好きなんだ。一番好きな映画って何?」
こんな質問を受けた時、あなたなら何と答えますか?
困りますよね。
映画ファンなら誰もが「そんなの即答できるわけない!」と思うはずです。
そもそも、質問者が映画ファンなら、こんな事は言いません。
「最近何を観ました?」とか「どんなジャンルが好みなんですか?」といった質問で探りを入れるのが普通でしょう。
たいして映画に興味の無い人間の、反射的で思い入れの無い質問なのです。
適当に返答すれば良い。
「ニューシネマパラダイスの劇場版かな」なんてマジな返答をしても、「ハァ?知らねえし。バージョンまで言うとか、キモオタかよ」と心の中で蔑まれるまであります。
かと言って「いや~、たくさんあって決められないよ~」とか笑顔で言っても、「うわ、だるい!」とか思われるし。
決めておけば良いのです。
最初から。
この質問にはこれ、と。
僕は0.5秒で「バタリアンです」と答えるようにしています。
好きな映画は他にもたくさんありますよ、もちろん。
でも、誰でも知ってそうだし、本当に好きだし、自分という人間を誤解されない最適解はコレだと思っています。
「バタリアン」には、映画に必要なものがすべてあります。
ホラー、アクション、サスペンス、ブラックコメディー、社会風刺、人間ドラマ、エロス、パンク、ゾンビ、ミサイル、全滅エンド。
よくぞここまで全部入れましたね、と感心します。
映画ってこうすれば良かったのか!という「気付き」だけで構成された、まさに教科書。
しかも、薄い(91分)!
ちなみに「コマンドー」と同じ上映時間です(日本公開時はなんと同時上映でした!)。
テレビで「バタリアン」を観た時は、まだ小学生から中学生になった頃だったと思います。
まだホラー映画に免疫が無く、「最後まで観られるかなあ?」と恐る恐る観た記憶が。
滅茶苦茶面白くて、次に放送された時はビデオに録画して、何度も観ました。
翌週放映された「バタリアン2」にはガッカリしましたが・・・(今は好き)。
金曜ロードショーで放映されたのですが、吹き替えが素晴らしかったのです。
そして、その吹き替えが収録されたブルーレイが、先日遂に発売されました!
長かった・・・。
絶対にいつか出ると、信じて疑わなかったです。
特典でスタッフ・演者のインタビューまであって、大満足です。
久々に観返しましたが、やっぱり面白い。
見所しかない。
笑えるシーンは何度観ても笑えるし、特殊効果のリアルさや、個性豊かなクリーチャーの造形は今でもまったく古びないのです。
人間側も個性派ぞろいで、しかもそれぞれのエピソードも素晴らしい。
同じ状況に置かれても、千差万別な行動をとるのです。
一番印象的なのは、ゾンビになってしまったのを悲観して、自ら焼却炉に入って自殺する男です。
ちょっとおかしくて、かなりせつない。
ここの演出は音楽も含めて本当に最高です。
そう、今回改めて感じたのが、音楽の素晴らしさです。
実は結構キツイ話ではあるのですが、音楽が常にアゲアゲなので、あんなラストなのに「イエ~イ!」といった感じで楽しく終わるのが最高なのです。
パーティーはまだまだ終わらないぜ!
そして何より、ブラックなあの終わり方。
序盤からちゃんと伏線を張ってあるのですが、あの演出の素晴らしさ。
こういう辛辣なメッセージを、ちょっとしたジョークみたいに見せるのは、本当に理想的です。
映画を観てもらうと、自分が「こういうのが好き」というのを全部知ってもらう事ができる映画、それが「バタリアン」なのです。
なのに。
最近じゃもう、この映画を知らない人が多すぎる!
もっとテレビでこの映画をじゃんじゃん放映するべきです。
クソみたいなバラエティーや、政府提供によるニュース番組よりも、よっぽど健康的で教育的です。
生きる活力も湧いてくるし!
そうだ、都庁のプロジェクションマッピングでこの映画を上映したらどうでしょう?
炊き出しに並ぶ人にも元気を与えるはずです。
オバンバの顔が小池都知事になって、脳みその代わりに票とカネを求めたら楽しそうです(得意のアラビア語で)。