とりあえず、できるといってみよう! -2ページ目

スキップレベル 1 on 1

というのは、上司の上司との面談のことです。

 

今の上司の上司は、遙か7年前、連載開始第三回に登場したJ1です。

(その頃の記事を読んだことのある人は殆ど居ないと思う。)

http://ameblo.jp/takkainseattle/entry-10409689562.html

 

J1は今ではエンジニアリングで一番の古株、J2は一度やめて出戻りをしてたり、その他のブログ初期の登場人物はほぼ全員会社を去っていたりと、時の流れを感じますが、まあ、それはおいておくとして。

 

彼が上司の上司になってから初めての 1 on 1を僕の方からリクエストして、色々とぶっちゃけてみました。上司についてとか、今の仕事について感じていることとか、今後についてとか。アメリカの会社でここまでぶっちゃけていいのか、リストラフラグが立ったのかは知る由もありませんが、とりあえず言いたいことは言ったので少しスッキリしました。もし首になったらその時になってから考えることとしましょう。

たららららたったったー レベルが上ったよ!

10月1日付けでのプロモーションなので、それまでにクビになると無効なのですが、社内的にはもうアナウンスされたので名乗ってもいい感じ。

 

5年前来た時から、Software Quality Engineer -> Sr. Software Engineer -> Principal Software Engineer -> Consultant Software Engineerと上がりました。いやー、めでたい。個室くれるって言われたけどそれは分不相応なので断っておきました。普通に目についた仕事をしていただけなので、あまり実感はないのですが(以前社内の10%くらいBug登録してたけど、今はそれほどでもないし)、周りに認めていただけるのはありがたいことです。

 

この上にはSr. Consultant Engineer -> Lead Engineer / Distinguished Engineerとありますが、いわゆるリーダーとか論文とか特許とかの人たちなので、ここが上限だろうなー、というのは感じており。こういう場合、どうやってキャリアパスに線を引くもんなんすかね。5年で、プログラミングもテストの知識も英語もあんまり上達していないので、次は給料半分でもDevよりの仕事につきたいな、なんてことも思ったり。(でも半分だと息子の学費が稼げない)

 

色々思いめぐる夏の終わりです。

 

 

# それにしても、アメブロだと非技術臭がすごい。でも移動も面倒なのでこのまま。

 

 

面白い試み

ひょんなことから日本の非常に優秀な大学院生とやりとりすることがあり、海外志向があるようなので、あわよくばうちに入ってもらえないかな、と思って、ヌバヌバ株式会社(仮名)の偉い人にも聞いてみたのだけれど、いくつかの理由から偉い人の腰が重かったので、それでは、面接の練習だけでもしてみます?といって、電話インタビューをやってみました。それに絡めてちょっとしたまとめなどを。


大学生が直接USの企業を受けようと思った場合のビザについて


コンピュータサイエンス(や、数学や物理など)を選考している学生の場合、H1Bビザで米国に渡ることができます。最近は毎回抽選になっていて、4月に抽選をして、当たれば10月から働き始められます。もし外れると、また来年。日本に支社がある会社の場合、外れたら、日本で1年働いて、翌年の4月に社内転勤ビザ(L1ビザ)で渡米するのが最短でしょうか。

日本に開発部署があるUSの会社、というのは意外にすくなくて、Googleと、マイクロソフトディベロップメントとか。Amazonは転籍前提の採用は行ってなさそうなイメージだけど、わりと転籍する人は多かったり。今時は日系でもシリコンバレーオフィス()を持っている会社が増えていますが、いざ渡米できてもGCサポートしてくれるかが重要で、そこは事前に確認しておくと良いと思います。

日本に開発部隊がなくても、日本支社さえあれば、そこに席だけおいてL1を目指すことはできます。その場合、採用プロセスは本社と直接行うことになります。


採用プロセス

1.リクルータか社員に履歴書を送る

もし社員に知っている人がいれば、社員経由で応募しましょう。そのほうが有利になるということはあまりありませんが、社員が紹介ボーナスを貰えることが多いです。

ピッカピカの英文履歴書を送ります。が、私が過去に一回だけ受けたことのある他社の採用面接(落ちた)では、履歴書は無しでLinkedinのリンクだけで進みました。

ちなみに、リクルータには「要件を見て、いい人を探す人」と、「LinkedInなどでSpamを投げるひと」の2通りいます。GoogleとかからLinkedInでコンタクトがあって、その人の経歴が?な場合、後者です。Spamで引っかかったひとをリクルータに渡して、実際に選別します。スパマーもGoogleくらいになると正社員でかかえていて、割と給料が良いようなので、金髪美人が(略

2.電話面接をする

Skype + コーディング用のWebサービスを使って面接をします。

3.現地面接をする

現地のオフィスにいって面接をします。一日かけて、5−6人と面接です。お昼にはだいたいマネージャーとおはなしをしてマッチングを見られます。

4.だいたい3までで結果が決まるのですが、決めかねた場合には、もう一度面接や電話面接を行う場合もあります。ちなみに私が昔他社をを受けた時は、2回追加の電話面接をした挙句に「必要となる要件の不一致」という理由で(平たく言うと実力不足で)落ちました。。ま、いい経験です。


面接の中身

と、いうことで前置きが長くなりましたが、面接の中身です。 詳しくはRyuさんの「エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢」とか読むと良いでしょう。

面接で聞くことは、履歴書の内容、コーディングテスト、それと、私の職種はSDET (Software Development Engineer in Test)なので、テストに関することを聞いたり。あとは、一般的なIT知識を聞いたり。

私の場合、(自分のコーディング力がへなちょこなので)コーディングの判断基準は、自分よりコードが書けること、が条件です。

今回は、SDE(Software Development Engineer)採用の練習なので一般的な内容として、履歴書チェックとコーディングテストの2つをやってみました。コーディングテストは、以前私が受けたときの問題をパクってます(笑)。自分が受けた時は全然駄目だ、と反省しきりでしたが、他の人にだしてみると、限られた時間だとみんなそんなにスラスラできるわけでもないことがわかります。

今回面接させてもらった学生は、流石に優秀で、英語もコーディングもなかなかのものでした。練習すればどんどん解けるようになるだろうな、という感じ。

問題を出された直後に答えを書き始めるなんてことは当然期待していなくて、質問をして、筋道を立てて、なにかしら正解に近づいていくこと、基本的なコーディングとアルゴリズムとデータ構造の知識があることを見せられること、Computational Complexity(O(logN)とかね)を理解していること、あたりでしょうか。

学生の場合は、本来はずっと単純な問題を出したりするのですが、今回はもう少し面白い問題を選んでみました。

もう少しシステムよりになると「mallocを設計してみましょう」とかになるようです(汗)
これがWeb系だったらまた違うでしょうね。



面接の結果判断


細かいところは会社によってまちまちだと思いますが、面接を行ったあと、フィードバックをマネージャーかとりまとめのリクルーターに送ります。私の場合、Strong Hire, Hire, Weak Hire, No Hire.の4種類が基本で、Hire if ... など条件をつけたり。Strong Hire は、年に1人か2人。「だれかがもしNo Hireっていったら戦うよ?俺は。」という意味合いがあります。まあ、大体の場合はみんなの意見はだいたい一致しますが。

だれしもその人の(短期とはいえ)人生に責任をもつのは気が引けるので、よければHire、微妙ならWeak Hireとなることが多いです。私の場合、「僕のWeak HireはNo Hireって意味だよ」と事前にマネージャーに言っちゃってたりします。No Hireっていうのは、リクルーターに対して「お前のスクリーニング全然なってねーよ、どういうことだよ」という意味も含んでたり含んでなかったり。(個人差)

で、評価が一目瞭然で一致している場合は、そのまま決まり、評価が割れている場合はミーティングで話し合ったりします。



最後に


もしこれからUSの会社を直接受けようという学生がいたら、履歴書、履歴書の説明、コーディングクイズは練習すると良いと思います。やりすぎると、もはやそれが本来の実力なのか、という話はおいておいて、受かるのにプラスならしない手はないでしょう。最初のビザの話に出たように、日本から人を雇うと、最悪1年以上先に来られる人を雇うことになります。一方でUSの学生は在学中のインターンでだいたい職を決めますので、いろいろハンデがあります。が、道はあります。ぜひ挑戦してみて欲しいです。渡米して合わなかったら帰ればいいので。




みょらみょらに入社して10年経った

3月1日で、入社から10年がたった。まさかの10年。入るときには5年続くかわからない会社だったのに。せっかくなので振り返っておこう。


2006 みょらみょらに入ったきっかけ

新卒で入った会社でNTTデータ(なぜそこは実名…)に常駐し、それが完了して会社に帰るも、扱いづらい人カテゴリに入れられ、リストラの候補にも入らず、微妙に手もちぶさただった時に、前年に会社をやめてみょらみょらの日本法人の立ち上げをしていた師匠に呼ばれたのであった。当時は日本オフィス8人目、ワールドワイドで159人目、IPO
が見えていたとはいえ日本法人は特別快調ということもなく、5年後の存在を危ぶみながらも入社したのであった。職種はフィールドセールスエンジニア。いわゆる外資系ベンダーのプリセールスエンジニア。時は2006年。AWSも10周年らしいが、クラウドの盛り上がりも見つつも、10年間一貫してプロプラ製品もバカスカ売れている。面白いものだ。


2008 早々と職にあぶれる

師匠も同僚もとても良くできる人だったので、僕は特にすることもなく、新バージョンの検証などをしていたところ、「このやくたたずが!本社でバグでも見つけてろ」、と言われてシアトル滞在1ヶ月半。今考えると入社してからほんの1年半しかたっていなかったのか。


2009 プリセールスエンジニアとして限界に突き当たる

というか飽きた。日本支社内もゴタゴタがあって、もう無理かなー、と思うも受けてみた会社にはお断りされ、どうしたもんかと思ったら開発への転向の話があってこのブログが始まったのであった。


2010 リモート作業は大変

まえにかいた
ので繰り返さないけど、リモートでの開発はなかなか大変であった。途中SEに戻ったりもして、もう無理かなー、と思っていたところ


2011 渡米が決まる


まさかの急展開で渡米が決まり


2012 必死で働く


夢中で働き


2013 まだまだ働く

わりと活躍できて


2014 ちょっと中だるみ

そろそろ飽きたかも、と思いつつ


2015 わりと元気

また少しやる気を出して


2016 現在

今に至る。

匿名ブログという立ち位置で始まった関係上、あまり書くこともなかった。

と、いうわけで、8割方冗談だが、振り返ってみた。実際には、スナップショット、重複排除、クローン、inode、キャッシュ、あたりをテストしている。最近はさらにジャーナル、ロッキング、グループメンバーシップ、プロテクションなども見たりしている。つまり全部だ。


仕事はおもろいし、会社はとても良い環境だけど、いかんせん10年は長い。国を変えることでリセットしてなんとかやってきた。

去年辺りの目標が、「スープの味見をする仕事はしない」だったのにもかかわらず、「スープの味見最高責任者」みたいな立場になってしまっている。あまりよろしくないので近いうちに改善予定。













記録:アワードもらった。

しばらくこのブログの本来の趣旨から離れた記事が続いてきましたが、2つほどマイルストーンとなる出来事があったので記録。


1つ目。2年間難航していたプロジェクトがとうとう完了し、先日のリリースパーティーでアワードをもらいました。パチパチパチ。昔はMVPと呼ばれていたもので、最近ではリリースチームは必ず全員もらえたりともらえる人数が増えて呼び方も単にアワードになりましたが、依然として普通のエンジニアがもらうためには、2~300人中10人ちょっとの限られた賞です。ルーキー賞、MVPの後、3リリース連続で受賞を逃していたので今回は狙ってました。名前を呼ばれて壇上に上がってエンジニアリングのトップと握手する瞬間。僕はこういうベタなのが好き。

2つ目。FS部門のボスから、FSリーダーシップチームにはいってくれる?と言われて、末席に加わることになりました。ボスと、FS開発の上位3人と、私。別に私が4番目、というわけではなく、Test側からのインプットをするため、という位置づけですが、それでも呼ばれることは悪い気はしないですね。リーダーシップチームにはマネージャーがいない、というのも面白いな、と。

ステータス的には、みょらみょら(この匿名ブログにおける会社の呼称)でできることは、あと一個グレード上げるくらいかな、という感じで、あと1ヶ月で入社10年、次どうするかな、と思いつつ。

「外資系IT企業に勤める一介のプリセールスSEが、本社の開発陣にまぎれこみ、 プロのソフトウェア開発者になることをめざす。そんなブログ。」 実力ない割に、わりと、上手く行ったほうだよね?後は転職ができたら、みょらみょら以外でも働ける、転職先でも活躍できたら、みょらみょら以外でもやっていける、で、数学的帰納法(?)により、プロのソフトウェア開発者かな、という気がしてるけど、どうでしょう。

さて、どうすっかねー。

リモート開発と、時差ありのリモート開発

Twitterを見てたらそんな話がサラッと流れてたので、ブログにもまとめておこう。こちらのブログは一応匿名ブログだが、まあ、あれだ。

リモート開発。遠隔地で開発。スタバで開発。自宅で仕事。今時は、大して珍しくもないし、難しくもない。なにかあればメール、IRC、その他でコミュニケート。ミーティングも動画付きで参加。昔はヒトデ(じゃ若い人に伝わらんか)がないと声が聞こえなかったけど、今時はPCがあればなんとかなったりする。週に一回、月に一回顔を出すだけでも多分大丈夫。

なので、特にリモート開発について語ることはない。それと、時差ありのリモート開発は少し話が異なる。

日米の時差は実はそこまで大変じゃなくて、日本人が少し早起きすれば割と重なる。インドとアメリカの間とか、どうやったってまともな時間にミーティングをセットできない時差になっていて、かなりきつい。うちはそうじゃないけど、オフショアでインドの協力会社と一緒に開発してる人とか、金払ってる側が強いかとおもいきや、相手はあくまで通常業務の一環で仕事を請け負ってるので、むしろ相手に時間外を頼みづらかったりする模様。

同じ会社の社員同士で対等だった場合、どちらかが無理をする必要がある。日本人の感覚だと支社側が折れるのが普通なのだが、そういうのが通用しない人たちも居て、普通にこちらの夜11時にミーティングをセットしてきたりする。日本でアメリカと仕事をしていた経験から言うと、信じがたい光景だ。インド人強い。ま、僕はそういうの突っぱねるわけだが。「Sync upってなんだ?そんなことにいちいち電話会議が必要なら、そもそもリモートオフィスの存在自体失敗なんじゃないか?」とか直球で投げたりしてる。が、まあ、このブログは愚痴を言う場ではないのでそこにはあまり触れない。

今時は、そもそも全員がリモートで開発することを前提とした集団(a.k.a. after OSS era)もあって、はじめからそうであれば、少し話が違うと思う。なので、「うちの会社はそんなことない」と言われても、「そうですか」としか言えないので、予めご承知おきください。

すでに1つのオフィスに300人が働いていて、自分が他の国で働き始める、という状況はそれほど簡単ではない。5年前の僕は、まさにその状況だった。その時点で5年日本でSEとして働いていたとはいえ、開発チームに知り合いが多いわけでもなく、僕のリモートワークは実績0ではじまった。今でこそうちの会社(というか部門)も複数拠点、複数タイムゾーンが当たり前になってきたが、当時は非常にレアケースであった。(当時はまだ買収もされていなかった。)

別の国に開発拠点を作ったり、他の国にオフショアをする場合、大抵は本社側のPMか、リモート側のマネージャーが頑張ってる気がする。3タイムゾーンに拠点があれば3交代で24時間開発を進められる、なんていうのを見たが、元MSの知り合いのブログを現役時代に覗いていたら、まさにそういう開発体制を支えるためにその人自身は「この人、24時間働いてるんではなかろうか」、という感じであった。リモート側のマネージャが頑張るパターンでは、リモート側にある程度まとまったチームがあって、そこに割り当てられた仕事とヘッドカウントがあって、マネージャーが必死で成果を本社側に示し、示せなければ部署ごと解散、みたいなやつ。(このご時世、Tw社の日本開発拠点のトップとかお腹痛くなりそう。)

さて、話戻ってチーム単位ではなく、一人でリモートで働いていて、組織がそれに慣れてない場合の話。
当時、色々工夫をした。

・チームミーティングにリモートの参加者ということ自体がそのチームでは初めてだったので、マイクに向かって喋ってもらえるように頼む
・メールは、彼ら彼女らにとっての深夜に届いても埋もれるので、タイマー設定で彼らのコア時間帯に送られるようにする
・必要であれば早起きや深夜に働くが、それだけではジリ貧なので、「アメリカ側が寝てる間にできちゃった!」みたいなことが起こるよう心がける。
・とにかくがむしゃらに働く

が、結果を言えば、まったく手応えがなく、自分の存在意義を感じられない日々に陥った。それが2010年の終わり。このブログには書かなかったが、あのまま行けば遠からず転職して、ネットアップあたりでプリセールスSEをやってただろう。2011年の頭に渡米のチャンスを得たのはとてもラッキーだった。

今はうちの会社も違う。世界各国で、リモートでいいので優秀なFSエンジニアを探している。拠点も増えた。それでも、Visibility, 昇進のしやすさ、意見の通りやすさ、Ship blockerでスクランブルがかかってリアルタイムで詰めていく場に呼ばれるか、どうしても3分以内にCR(レビュー)がもらいたいとき、などなど。リモート、特に別のタイムゾーンで働くことに不利がないか、と言われると。。今はまだ過渡期で、これからさらに変わっていくのかもしれない。前述のように、組織がそれ前提で立ち上がれば話は変わってくるだろう。ただ、スタートアップの殆どは、若者が一箇所で立ち上げるものだというのもまた事実。遠くの親戚より近くの他人、なんて言葉があったりなかったり。

ある会社で、時差ありのリモート開発が本当にうまくいっているかを知ることは難しい。本社に移ったらうまくいった、リモートになったらうまくいかなかった、という例を挙げることは容易い。が、「リモートに移っても問題なかった」はすでに関係が構築できてしまっているので参考にしにくい。また、「本社に移っても別に何も変わらなかった」というのはまず聞くことができない。なぜなら、それって、「俺、苦労してビザとって本社来たけど、なんにも違いがなかった。別に来る必要なかったな。おや、まてよ?もしかして、うちの会社のリモート開発はとてもうまくいってたんだ!すばらしい!」っといってる人を見つけるってことだから。そんな人、いないでしょ。苦労バイアスがかかるのでそういう考え方にはなりづらい。「同じ人が本社とリモートで働くサンプルである必要はなくて、本社とリモートの開発者を比べればいいだけでは?」と、もっともな意見もあるかもしれない。シリコンバレー本社と東京支社(もしくはバンガロー支社)、同じ給料はらってますか?というのが一つの回答かな、と。これ、たとえ物価調整したとしても、そうとう大きな差がでる気がする。

リモート開発、自宅勤務が普通になったように、正攻法で時差開発を進化させるのが本筋かもしれない。会社全体、業界全体であればそうかもしれない。個人ベースでみると、僕はいろいろな工夫を試したうえで、一番簡単かつ効果の高い方法が引っ越しだった。学びも何もない。身も蓋もない結論。

ということで、僕は時差開発から逃げてしまった人間だ。偉そうなことは言えない。開発の中心に引っ越す、という簡単なことで手に入れたのは、MVP2回と昇進2回と2倍の給料。どれも、リモートでは得られる見込みがなかった。残念ながら僕の実力では。







魔法の世紀を読んだので、書評のようで書評じゃないものを

落合博士(以下、普通にさん付け)による「魔法の世紀」を読み終えた。Kindle版半額というのは海外在住者には嬉しい。

落合さんには幸運にも一度(見かけたのを含めると2度)お会いしたことがあり、それ以来陰ながら応援している。あれは、SIJP(シアトルIT Japanese プロフェッショナルという、シアトル在住のエンジニアの集まり)で、古川さんの講演についてきていた。その場で次回の講演を打診され、快く(かどうかは当事者でないので知らんのだけど)引き受けてくださり、落合さんが行った講演は素晴らしかった。その前にTEDで話してたのとちょっと話題になったブログを読んだことはあったけど、実際に話を聞いて、うわ、この人は本物だ、と思った。SIJPはやけに豪華なスピーカーが無料で話してくれる謎の会なのだが、落合さんの話は先日のJames Whittaker氏の講演と並んで、僕の中でのトップ2です。

話は脱線するが、当時そのブログを見て、このひと優秀なんだから、日本を憂うよりMSRで最高の環境で高給もらいながら最高の研究すればいいのに、と思っていた。というか、今もそう思っている。が、その後、この人は本気で人生賭けてるんだ、ということがわかったので、とりあえず応援はしている。

さて、話は脱線したままなのだが、僕が陰ながら応援している若き天才は3人居て、@ochyai, @kumagi, @hidekishima の3人。それぞれ全く異なる方向性で進んでいるのだけれど、全員素晴らしい逸材です。

落合さんの研究者としてではなく、一人の活動家としてすごいな、と思うのは、客寄せパンダ、もしくは道化としてテレビなどで持ち上げられることを、わかってやっているところ。それによって自分の研究分野もしくはメディアアートへの世間の関心と、お金を獲れば、それを全部研究・教育につぎ込んでやれ、と。そのための手段として、本人が魔法の世紀の前、映像の世紀と定義する、いわば前時代の象徴のTVを利用しているのは興味深い。そして、この本はさらに前のテキスト媒体を利用しているのも興味深い。宣伝もインタビューというテキストとTwitterというテキスト(メディアとしては違うけど)。

さてさて、脱線したまま書評に入ろうかと思ったけど、考えてみると、別に評することは特になかった。僕のようなおっさんになると、本を読んで何か新しいことを学ぶ、ということが減ってくる。もちろん、知らないことはたくさん書いてあるのだが、それを記憶する脳みそはもう無い。一つは、脳に刺激を与えること。そして、ふだんぼんやりと頭に浮かんでいて、それでいて言語化できないものを、誰かが必死こいて文字で表現してくれたのを読んで、点と点を線で結ぶこと。後は純粋に、才能あるひとが命を削って書いたものを短時間でおいしく食べること。むしゃむしゃむしゃ。ごちそうさま。

そういう観点でいうと、本書は良書だ。わりととっつきにくい教科書的な話から入って、読み続けさせるのは、著者がそれに対して持っているワクワクが伝わってくるからなんだろうな、と思う。ちなみに、以前Web版でちょっと読んだ際には、全体的に先走り感がすごくてお世辞にも理解しやすいとは言いがたかったのだが、本にするにあたってかなり噛み砕いてあった。そういう部分は、出版物の良さでもあるな、と。

と、いうことで、内容については特に触れないのだけど、人間が場として定義されたらそれから生み出されるお金を最大化する計算をとけば大金持ち、とかいう下世話な感想を持ったのであった。




ゆるぬるエンジニアのススメ

世の中、スーパーエンジニアによる「どうやって問題に打ち勝つか」という話で満ちています。それ自身はとてもいいことで、自分もそうありたいと思うのですが、残念ながらそうなれそうにないので、逆説的になりつつも、ゆるくてぬるいエンジニアの生き方をまとめてみます。基本的にはUS志向で書いてます。

1. 資格や既得権益やジョブセキュリティを積めるだけ積もう

ソフトウェアエンジニアは、USでは基本的には資格職(CSの学位です。日本ではそうではありませんが、上澄みを見ると、CSか、数学、物理などの学位を持っていることが多いです。楽したければ、CSの学位、できれば修士博士を取りましょう。能力が足りない人は、とりあえず通ってれば学位くれる微妙な大学でもいいでしょう。

英語は、一旦USに渡ってしまえばいやでも使うのであまり関係ありませんが、駐在や転籍を目指すなら、小手先のテクニックでTOEICの点をあげたりしておきましょう。小手先だけで300点は上がると思います。本気で才能ない人でも100点は上がると思います。なら、あげましょう。

ジョブセキュリティは積めるだけ積みましょう。こいつがいないと困ると思わせるのは意外と簡単です。普通の人はそれを避ける傾向があるので。積みすぎると身動き取れなくなって吐き気がしてきます。気をつけましょう。こいつは首にできないとおもってくれるひとを社内に増やすこと、いざとなったら雇ってやろうと思ってくれる人を社外に増やすこと。

コネとジョブセキュリティは大体同じ話です。人は、あなたが同窓とか、同じ血液型とか、あなたが頑張って焼きそばを焼いたとか、ホームパーティーで美味しい焼きそばを食べさせたとか、そういう理由ではあなたを守りません。あなたがいないとその人にとって不利益になる、その一点で守ってくれます。

2.働き方

自分が一番技術力が低い環境で働きましょう。これは、ジョブセキュリティの話と矛盾するように思えるかもしれませんが、技術力以外でジョブセキュリティは保てます。自分がチームで一番できる人でいると、技術を磨くのに、自分で勉強したり、社外の勉強会に行ったりしないといけません。それは大変です。自分よりはるかにできる人に囲まれて、なんとかついて行ってるうちに自然に技術力がアップするのが理想です。採用面接では、自分よりコードが書けない人は落としましょう。若者は、若さから学べる場合があるのでその限りではありません。

自分の限界の60%くらいで働きましょう。100%出そうとすると大変です。もし実力がついてしまって50%で大丈夫になったら、環境を変えましょう。もし70%常時出さないといけなくなったら、しょうがないので実力をあげましょう。

楽して働けるようになる目的以外で、残業や休日の勉強をするのはやめましょう。休みの日は、漫画や映画やFBの感動記事を読んで、自分より才能のある人を見て感動しましょう。が、彼らはあなたではありません。

3. うまくいかないときは

うまくいかないときは、ちゃぶ台を返すか、土俵を変えるしかありません。後者の方がエネルギーが少なくて済みます。自分が移動しなくても、土俵を変えることは可能です。俗に言う、ゲームのルールを変えるというやつです。

でも、本当に移動が必要になったら、一番活気があって、一番景気がいいところに行きましょう。今ならアメリカ、ビッグデータです。5年後には違うでしょう。そのときのベストをミーハーに選びましょう。

最後に、人のせいにしてはいけません。その結果は、日本政府のせいでも、アホな上司のせいでも、IT業界の構造上の問題でも、このブログのせいでも、ましてやあなたのせいでもありません。単に運が無かったと思って、次の機会を待ちましょう。

壁はある

渡米して四年も経つと、出会った人より別れた人の方が多いんじゃないかという錯覚に陥るくらい、人が去るのを見送ることになる。駐在の人、留学の人、研究員として大学に来ている人、MSインターンの人。会社でも、100人以上は見送ってるんだろうな。SNSで繋がることはあっても、基本的には一期一会。国に帰る人は、満足して帰る人、志半ばで帰る人、初めから帰るつもりだったから別に、という人、様々。

ソフトウェアエンジニアとして(僕がまだ半人前でソフトウェアエンジニアと呼べない程度なのはとりあえず置いておいて、)アメリカはいいとこだ。僕は、実力があるのに日本で腐ってる人には、無邪気に「きた方がいい」という。これは宗教みたいなもんだ。結婚も、宗教も、渡米も、自分が良いと思うものを勧めずにいられない、良かった漫画を勧めるくらいの感覚。その点、竜さんの本はとてもバランスよく書かれていた。みんな宗教勧誘には辟易という感じか。

壁はある。ビザの壁、言語の壁、学歴の壁、人種の壁、才能の壁。学歴も、細かく言えば、専攻の壁、学士、修士、博士の間の壁、日本の大学か、アメリカの大学か。配偶者による制限、子供による制限、親による制限。景気や、会社の方針や、アクティビストによる突然の変化。たぶん一つ一つ検討していくと、悪いことの方が多い。みんな、壁を乗り越えるか、避けるか、当たっても無かったことにして、今日も「アメリカきた方がいいよ。給料高いし、仕事楽しいよ」と言うほかない。自分がいつ越えられない壁に当たって弾き飛ばされるかは知らない。その時が来たら、その時考える。

グーグルのお給料

(1/30/2016追記) 聞くところによると、GoogleやFBなどのRSUは、入社時に4年分を付与され、その後は、更新のような形で、毎年1/4+αを4年後のRSUとして付与される、という形のようです。なので、下に書いたブースト型ではないですね。新人はベース(MBOボーナス含む)100K-120K + RSU 40K-60Kで2000万円、中堅エンジニアは、ベース150-200K、RSUが毎年60K-100Kくらいもらえて、年収2500万から4000万円、という感じでしょうか。さすがシリコンバレー。給料の序列は、大手企業 < ユニコーン < Google, FB みたいな感じなので、あくまで特別な会社ですが。

1.はじめに

私はGoogleファンでも、Googleアンチでもありません。また、働いたことも、多分将来働くことも無いでしょう。単にデータを見てみただけです。

前回最終回を迎えたはずの給料ネタを掘り返してきたのは、「シリコンバレー給料高い」「グーグルは東大生に1800万円提示した」「グーグルのプログラマの30代の平均給料は3000万円」なんていう根拠の無いうわさ話をよく見るので、実際のところどうなのかな、と、いうだけです。

また、ここで利用する情報はあくまでPERMの値(グリーンカード申請における値)なので、アメリカ人や、すでにグリーンカードを取得している社員が、年収1億円だったとしても、全く驚くことではありません。このブログの趣旨はそういう話ではありません。

2.RSUとは

PERMで「このポジションの給料の上限、下限」として公開される値は、株やボーナスは含まないそうです。これを、Base(ベース)といいます。ここでいうボーナスとは日本的なかならずもらえるボーナスではなく、あるときハイパフォーマーにポン、と上げるタイプのボーナスです。株は、上場前や上場直後の場合はストック・オプションとして、上場後、会社が大きくなってからはRSUとして受け取ることが多いと思います。

RSUとは、たとえば、5年5万ドルのRSUというと、「今日の価格で1万ドル分の株を、これから5年間毎年あげるよ」という約束のことを言います。貰う前にかいしゃをやめればもらえません。(A社などは、毎年同じずつではなく、後半に多くもらえるようになってるらしいですが、ここでは省略)

5年5万ドルのRSUは、年あたり1万ドルのボーナスで、年収1万ドルアップ、とかんがえることもできます。
が、RSUは(うまくいけば)次の年も、また次の年も新しい「5年5万ドル」が付与されるので、長くいる人にとって、年5万ドルの給料アップ、とかんがえることもできます。また、株が上がっていけばその分増えます。(株が下がれば下がる。)

私の観測範囲では、RSUのパーセンテージは、年収の0%から100%くらいだと思います。100%というのはとびきり多いと思いますが、「そのくらい普通だよ」という方は、こっそり教えて下さい。Netflixは超給料が高い代わりに250K - 400Kくらいもらえる、ただしRSUは無い、という話を聞いたので、他の会社が給料150K、RSUが年辺り50Kなら5年後400Kなので、1年あたり年収の30%でも相当多めじゃないかな、と思ってますが、こればっかりは闇の中。

さて、以下本題。

3.GoogleのSoftware Developerのお給料

前回はいくつかのWebを組み合わせて、HTMLパーサーを書いて、とやってたんですが、そのものずばりのエクセルが公開されていることを教えてもらいました。(前回も探したんだけど。。)

http://www.foreignlaborcert.doleta.gov/performancedata.cfm

すばらしい!今回は、2014年分のデータを使います。

・Software Developerに限る。
・マウンテンビュー(本社)勤務に限る
・給料がFromとToで表示されている場合はToの値を使う。

早速結果です。



平均$129030、中央値 $128000. 125円計算で1600万円?

で、問題のボーナスが、年300万円分として、4・5年いれば3000万円になるかな?という感じ。RSUを4・5年かけてもらい続けてフルブーストモードになるエンジニアがどれだけいるのか知りませんが。

さて、このデータだと経験年数がわからず(グレードはでてる)、グリーンカードを申請する人の多くが大学出たての若者だということを考えると、シニアはどのくらいもらえるのかがわからないので、前回使った、CAで中国人のグリーンカード申請の中からグーグルのものを抽出して、「最終学歴からの年数」を調べてみました。

すると、

経験年数5年未満のエンジニアの平均年収(ベース) $127K
経験年数5年以上のエンジニアの平均年収(ベース) $148K

となりました。(データの母集団が違うので上の平均と少し整合性が取れない)

これにRSUとボーナスを足したのが実際の年収ですね。なので、30歳のエンジニアがGoogleに転職した場合、転職ボーナス数万ドルで初年度は2000万円くらい、その後数年ずーっとパフォーマンスを発揮していけば、3000万円くらいはいくのかな?さすがシリコンバレーですね。