酒とバラの日々 -62ページ目

ポルトでの嬉しい再会*10/2

夜8時、メルキュール・バターリャのロビーにて、あのときのお姉さま方を待つ。

先日ナザレの地にて、偶然ご一緒に食事をすることができ、さらには次の日には我らと同じポルトにいると言う。

泊まるホテルも我らが泊まるメルキュールのお隣りのホテルとのことで

今晩はポルトで夕食をご一緒する約束をしたのだ。


雨は止まない。

ポルトガルに来てはじめての雨だ。

お姉さま方が定刻どおりにロビーに現れる。

なんと!約束をしたのだから当たり前のことなのかもしれないが、自分にとっては何か感動的なこの再会。

ナザレで知り合うことが出来た唯一の日本人のお姉さまがたと、こうして次の日にポルトで会う奇跡。

日本からは地球の裏側と言っても過言ではないこの国で、こうして再び再会することができた。


まずはお互いの旅の報告を。

お互いのナザレ以降の旅の話、本日のお互いのポルト観光の話。

ポルトガルの料理はとにかく量が多いという話。

だからこそ、ポルトガル料理は4人がちょうどよい。


さて、雨が止まなかったため、我らはお互いのホテルのちょうど真ん中に位置する『A Brasa(ア・ブラザ)』というレストランに行くことにした。

お互いのホテルから徒歩1分もかからない位置に、地元客が足しげく通う古くからあるレストランがあるというのだから、なんと全てがうまく回っているのだろう。


ここの名物は店先で焼いているローストチキン。

早速注文する。

ポルトガルの鳥は味がしっかりしているとのこと。

味が濃かった記憶があるが、全体的にとても美味しくヴィーニョヴェルデがまたしてもすすんでしまった。

この後もあまりにヴィーニョヴェルデがすすんでしまい、その後は赤のヴィーニョヴェルデも頼んだ記憶がある。

そしてお姉さま方が、わたしたちのあまりの飲みっぷりに驚いていたこともまた記憶にある。


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4人だったおかげで、これまでのどのレストランよりも色々な食事を堪能することができた。

こちらはSopa de Legumes(ソーパ・デ・レグーメス)。

ポテトスープをベースにニンジン、青菜などを煮込んだポタージュタイプのスープ。

どこか懐かしい味のスープ。

その後もポルトガルのスープは何度か飲んだ覚えがあるが、野菜たっぷりで飲みやすくて好きだ。

(ここのお店のスープは少し塩気が強かった記憶もあるが。)


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お姉さまたちが1番すきだと教えてくれた、こちらがそのヴィーニョヴェルデ。

ポルトガルのスーパーでは必ず置かれている定番モノのよう。

あまりにも飲みやすく危険な飲み物である。

安いのにとても美味しい。キンキンに冷えているとさらに危険でごくごく飲めてしまう。

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そしてポルトガル名物のバカリャウ(干しダラ)。

バカリャウ料理は色々と調理方法があり、なるべく色々なものを食べてみたかったわたしたちはハーフサイズのバカリャウ料理を2品注文した。


手前はBacalhau a Bras(バカリャウ・ア・ブラス)

バカリャウとたまねぎを炒め、千切りのフライドポテトをあわせ、卵でとじた素朴な家庭料理。


奥はBacalhau na Brasa(バカリャウ・ナ・ブラサ)

ナ・ブラサとは炭火焼の意。

つまりはバカリャウの炭火焼だ。

あまりにも付け合せのじゃがいもの量が多すぎて、本当に度肝を抜かれる。


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これでハーフサイズだというから驚きだ。

この一皿だけで1人でお腹一杯になってしまうこと間違いない。


古くからあるこのお店は、最近改装したそうで、中は綺麗だった。

最初はお客が少なかったが、夜が深まるほどに客は徐々に増え、わたしたちがいた2階は賑わいを見せていた。

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さて、閉店までいたわたしたち。

1番最後の客だったような記憶がある。

これだけ食べて飲んで、4人で€49。

1人あたりの金額を考えると驚きを隠せない。


お姉さま方は沢山のことを教えてくれた。

それはポルトガルの話からはじまって、これまでの旅の話、サッカーの話、沢山の旅のこと。

やはり料理は素材や味も重要だが、何よりもまず一緒に食べる人なのだ。

賑やかな食卓は、これまでの2人の食卓とは違って、本当に楽しかった。

心をオープンにして、色々なことを受信して、目の前に起こる出来事全てをありがたく受け入れることで

旅はこんなにも楽しくなる。


連絡先を交換し、お互いのこの先の旅が楽しくなることを祈って、お別れとなった。

今でもお姉さま方は、私のこの日記を読んでくれていて、そしてポルトガルのテレビ情報を教えてくれる。

そのたびに私はあのときのあの風景や一緒に食べた時間を思い出し、心にぽっと小さな火が灯って温かくなる。

それは、この地に行かなければ生まれなかった出会い。


旅はまだ続くけれど、ここまででも沢山の人と出会えた。

日本人、ポルトガル人、人間の心に国境はないのだ。

日本人との出会いもとても嬉しかったし、ポルトガル人との出会いもとても嬉しかった。

ベッドに入り、眠る直前に沢山のことを思い出した。

そして明日の出会いをまた楽しみに想いながら、旅の疲れのせいかすぐに眠りについた。


お別れする頃にはポルトの雨はすっかりあがっていた。

明日は晴れに違いない。





夏祭り

お義母さんと、だんなサマと3人で向かう夏祭り。


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河原から見る花火。

土手に座っておしゃべりしながら。

あまり花火がメインではなくなってきた。

ビールとレモン味のカキ氷と焼き鳥。

世間話に花がさく。


近所の小規模のお祭りなので、いつも行く花火大会ほどの凄さはないのだけれど

それにしてもあの席はあまりにもよかった。

後ろに座っていた家族連れ。小さな男の子の歓声と感想が、いちいちツボにはまる。

「なんていい子なんだろう」と3人でじーん。

小さな花火があがるたびに、「うわー!!!すっげー!!!」と。

ハートの花火があがれば「ハート!!」と近くの子供たちと大合唱。

小さな花火でも1つ1つに感動してくれる後ろの少年にじーんときました、ほんと。

花火師に聞かせたかったです、この少年の声を。


小さい頃は、わたしもこんな子供だったわーと心の中で感慨にふけっていると、

「あなたはそんな子供じゃなかった」と息子に向かって嘆くお義母さん。

小さい頃のだんなサマは、花火に連れてきても、花火そっちのけで妹さんたちと走り回っていたのだそう。

3人でその素晴らしく純情で素直でまっすぐな少年を見るために振り返ってみた。

そこにいたのは、本当にいい目をした少年。

「きみ、かわいいね、いい子だね」

とお義母さんが話しかけると、その少年は照れてしまう。


少年のおかげで何倍にもいい花火に見えた真夏の夜。


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浴衣は自分の力で着ることはできず(頑張ったのですが、なにせ不器用でして、不甲斐ない。)

結局お義母さんの力を借りて、無事着ることができました。

浴衣とビールとカキ氷と少年と花火。

ちょっとしたいい夏の日。

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そういえば、いろんな花火があがったなかで、2個ほど何の形かわからないものが。

少年たちが困っていたから、「へびー」と助け船を出したら

「へびだへびー!!」と少年たちは調子を取り戻した。


変なうずまきがあがったら、お義母さんが「蚊取り線香ー」と。

少年たちは「?」

どうやら蚊取り線香を知らないらしく、お義母さんが凹んでおりました。


帰りに寄った居酒屋にて、わたしとお義父さんが会社の話をする一方で、

お義母さんとだんなサマは仲良く酔っ払っていつものパターンに。

みんなでふらふらになりながら帰る道。

こんな夜も悪くないなとふっと思う。


さて、今日は資格試験の日も近づいてきたのでお勉強しないと。

充電終了。がんばりまする。




タクシー運転手の災難な日*10/2

その後、メトロに乗ってドウロ川北岸のポルトの街に戻ってきたわたしたち。


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サン・ベント駅のよく仕組みのわからないコインロッカーに、重かったポートワインやらその他荷物を置くことができたため、ウィンドーショッピングを楽しむこととした。

夕刻になったため、そろそろ駅に戻って荷物を取り、ホテルにチェックインするか、と思った矢先、


ポツポツ…

ザー!!!!!


本格的な雨が降りだした。

突然の雨に大慌て!!!


しかもコインロッカーに傘も何もかも置いてきてしまった!なんということだ!

なんで傘を置いてくるのー!!!

とお互いにお互いを責め合いながら走る走る、雨の中を走る。

咄嗟に唯一の荷物であった『地球の歩き方』を頭にかぶってみるわたし。

そんなことをしたせいで、余談ではあるが我が家にある『地球の歩き方』は見るも無残にボロボロである。

このガイドブックを見るたびに、この日の激しい通り雨を思い出す。

世界にひとつしかない、旅の思い出付きガイドブック。


なんとかサン・ベント駅に再び戻ることができたが、わたしたちは全身ずぶ濡れ。

絞ったら水が出てきそうなぐらいのずぶ濡れ、しょぼん。

走って疲れてずぶ濡れのところに、沢山のポートワイン。

重すぎる。


さて、わたしたちがポルトで一泊するホテルの名は『メルキュール・バターリャ』

地図で見ると駅からとても近いのだが、ここで気をつけるべきなのは地図ではわからない坂道。

地図では駅横の細い道をまっすぐ行くだけでホテルに着けるように見える。

確かに間違ってはいないのだが、実際にその道を見て驚く。

開いた口が塞がらないほどにとてつもない坂道。

たとえ荷物がなくたって登れない。

さすがポルト、坂の街。


ここで我ら2人ともギブアップ。

直線距離は非常に近いのだけれど、あえて大回りして、タクシーで大通りからホテルを目指すことにした。

これほど坂が恨めしいと思ったことはないだろう。


さあタクシーを拾おう、と思ったがサン・ベント駅、タクシーが止まっていない。

しかしよく見ると一台だけ車が。

高級ベンツ、中は革張り。でも確かにタクシーと書いてある。

ああもうお金なら払いますからとにかく乗せてください、と藁でも縋る思いでタクシーに乗り込む。

『メルキュール・バターリャ』

と行き先を告げるとタクシーは進みだした、やっと落ち着く。

タクシーの運転手はとても仕立てのよい服をきた若い青年。

革張りのこれまた仕立てのいい座席が濡れてしまうのがとても申し訳ない。


バカみたいに大回りをしてしまったが、とにかくタクシーのおかげでやっと目指すホテルに着くことができた。

ああありがとうー、と指定された金額(素晴らしく高級な内装と外装だった割に料金は普通)を払おうとして

財布を開ける。


あ…小銭が全然ない。


非常に申し訳ないけどしょうがない、と大きな額のお札を渡す。

すると、「ノー!ノー!」

受け取ってもらえない。


え!!だめなの?


お釣りがないとのこと。


ガガン!どうしよう。二人で顔を見合わせるが、見合わせたところで小銭が出てくるわけもない。

とにかく持っているお金をすべて見せてみろ、と言われたので

ああ全部盗られるのかしら、怒られるのかしら、とうとう旅先でトラブル発生か、と

びくびくしながら手持ちのお金を見せてみる。


タクシー運転手、大きくため息。


ああこんな異国の地で、こんな好青年に大きなため息をつかせてしまった、こんなに落胆させてしまった。

その顔は呆れ顔。

久々にこんなに呆れられたように思う。


もしかしてこのまま降ろしてくれないのかしらと絶望的になっていたそのとき

なんと!

唯一のわたしたちの手持ちの小銭、1ユーロと何セントかを青年は手に取り

「もうこれでいいよ、さあ降りた降りた!」と我らを降ろして行ってしまった。

素敵なベンツが走り去るその姿を見ながらポカンとするわたしたち。


あれ、タクシー代、1ユーロちょっとで済んじゃった…。

実際の金額の何分の一だったかな、ほとんどタダですんでしまったようである。


普通お金多く取ったりするものじゃないのだろうか。

呆れた挙句、おまけしてくれるタクシー運転手。

なんとどこまでポルトガル人はいい人たちなのだ!!


ベンツに乗り込むときに、ぼったくられたらどうしよう、なんてことを一瞬考えていた私を激しく呪った。

次回からは、タクシーに乗る際にはきちんと小銭を用意しておこうと誓った雨の夕刻。

好青年なタクシー運転手を呆れさせてしまったことにとても悲しくなったが、

泣きたかったのはきっとタクシーの運転手だったに違いない。

ほとんどタダ乗り、そのうえ素敵な座席もややびしょ濡れ。


そんなこんなでやっとたどり着いた『メルキュール・バターリャ』は小綺麗でとても快適なホテル。

約束のディナーの時間までは少し余裕があったので、早速熱いシャワーを浴びて生き返る。

部屋の片隅には、びしょぬれになったジーンズと一緒に、

ずぶ濡れでふにゃふにゃ、無残な姿の『地球の歩き方』が干されていたのであった。


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