西村賢太「苦役列車」(新潮社2011年刊)
私は長い間、私小説と言うジャンルの作品は読んでいなかった。何冊か読んでも、感動も受けず、エンターテイメント性も感じなかったためだ。私小説を発表しようとする背後には、自己顕示欲、露悪趣味、ペダンティシズムなどが渦巻いているような気がして、楽しい気分にはならない。
それなのに「苦役列車」を読んでみようかと思い付いた。昨年度の芥川賞受賞作であり、著者が中卒のフリーターで前科もあると言う特異性に興味を持ったからだ。
読んでみるとまさに私小説であり、港湾労働で日銭を稼ぐ日々の実態が事細かに記されている。しかし、読み進めても気分は暗くなるばかりであった。また、著者が「慊い(アキタリナイ)」、「叱呵(シッカ)」、「嵩押し(カサオシ)」、「我儘者(ワガママモノ)」、「黽勉(ビンベン)」などとやたら難しい単語を多用する事も気に入らない。中卒でもこんな漢字を駆使できるのだと言う顕示欲が透けて見えるように思えた。
住む世界が狭まる
累計51日と言うのが、今年の夏(7月1日~9月30日)に私が碁会所で過ごした日数である。気分的には殆ど毎日入り浸っていたような気がするのに、数えてみると意外に少ない。しかし、暑い夏の日々の大半を碁会所で凌いだのは例年通りであった。
以前は誰とでも対局したが、一、二年前から相手を選ぶようになった。打っていて不愉快な思いをした人とはそれ以降打たない事にしたのだ。残り少ない人生を出来るだけ気分よく過ごしたいと言う思いからである。
ペットボトル入りの日本酒
酒類のディスカウントショップで日本酒の棚を眺めていて、ペットボトル入りが並んでいる事に気が付いた。以前、ペットボトル入りの輸入ワインを見かけた事があったが、日本酒にお目に掛かるのは初めてだ。製造元は灘の大手で、1.5リットル入りとなっている。手に持ってみると、当然の事ながら軽い。さっそく買って帰って試飲したが、予想通り瓶入りと同じ味だった。ラベルの説明を読むと、ペットボトルは瓶と同様に空気を通さないので酒は変質しないとあった。
村川七段が新人王に
今日、第36期新人王戦決勝3番勝負の第2局が行われ、村川七段が安斎六段に1目半勝ちして新人王のタイトルを得た。今期の開幕当初から優勝候補と目されその重圧も相当だったと思われるが、ト-ナメント戦を勝ち抜き、決勝3番勝負も連勝で終えたのは見事であった。
新人王のタイトル獲得は、一流棋士に仲間入り出来た事を意味する。と言うのは過去の新人王に錚々たる顔ぶれが並んでいるからである。小林光一
、石田 章
、宮沢吾朗
、王 立誠
、片岡 聡
、依田紀基
、今村俊也
、小松英樹、趙 善津
、結城 聡
、三村智保
、山田規三生
、山下敬吾
、張 栩
、蘇 耀国
、溝上知親
、金 秀俊
、松本武久
、井山裕太
、内田修平
、李 沂修
、白石勇一
の各棋士が過去の新人王である。日本のビッグタイトルホルダーの殆どはこれらメンバーで占められて来た。
村川が近いうちにビッグタイトルマッチに登場する確率は非常に高いと思われる。
村川七段のパワー
碁友の訃報
ハプニング
昨日の午後の碁会所で、十数人いた客が一斉に手を止めて受付に視線を向けた。救急車の出動を要請するオーナーの声が響いたからである。消防署からの問いかけに氏名、症状、年齢などを伝えている。碁を打っていて突然身体が動かなくなったらしい。間もなく救急隊員が現れ、ストレッチャーに患者を載せて運び出した。
平日の午後だから、碁客はすべて高齢者だからみんな他人事ではない面持ちであった。たまたま自分でなかっただけで、誰が救急搬送されてもおかしくないと感じたからだろう。
流星の絆
東野圭吾著「流星の絆」(講談社)が面白かった。この著者がベストセラー作家である事は知っていたが、作品を読むのは初めてであった。
発端で、洋食屋を経営していた夫妻が強盗によって殺害され、小学校6年の長男、4年の次男、1年の長女が残される。3人は養護施設で育ち成人して社会人となったが、強盗殺人事件は未解決のままで間もなく時効を迎えようとしている。そんな中、3人は偶然に強盗犯だと確信出来る男を見付ける。しかし、警察に捜査を要請するだけの確実な証拠がない。3人は力を合わせて、警察が再捜査に踏み切ってくれるように努力を重ねるが、やがてこの事件は意外な結末を迎える。簡単にまとめるとこのような筋である。
この小説を読んで著者の人気の高さの理由が分かったような気がした。
・読み易い文章
・人物描写の巧みさ
・適度のスリルとサスペンス
・結末の意外性
・作品の根底に流れるヒューマニズム
第28回阪神6都市囲碁対抗戦
毎年恒例の阪神6都市囲碁対抗戦が今日、西宮市役所の大会議室で開催され、私も宝塚市選手団の一員として参加した。定刻の10時に6都市から各30名、計180名の選手と世話役や来賓が集結した。まず、東日本大震災の犠牲者に黙とうを捧げ、今年の主催市である西宮市の市長と市議会副議長が歓迎の挨拶があり、昨年度優勝の尼崎市囲碁協会から優勝杯が返還されて、対局が始まった。各選手が3局ずつ打つ変則リーグ戦である。私は1勝2敗で今年も宝塚チームの足を引っ張ってしまった。