鎮痛剤から解放
第66期囲碁本因坊戦七番勝負第5局
冲方丁著「天地明察」角川書店刊
冲方丁(うぶかた とう)が吉川英治文学新人賞と2010年本屋大賞を受賞した時代小説である。主人公は囲碁棋士の安井算哲で、三代将軍家光から七代家継に至る時代を生き抜いた。彼が本業以外に数学、暦学、神学、朱子学及び測地学に深い知識を有している点が見込まれ、幕府の特命を受けて改暦の大事業に挑む。当時は文化を大陸からの伝来に依存していた時代で、暦も中国からのものが用いられていた。しかし、日食や月食の時刻の予測が外れたり、夏至の日が実際と異なったりする事から正確な暦を作り出そうと言う機運が高まって来たである。
彼は大きな挫折にも耐えながら22年の歳月を掛けて、大和暦を完成する。それにより貞享元年に改暦が実施されるに至る。この偉業により、算哲は暦学者としての渋川春海の名で後に知られるようになる。
ピーター・フォークの訃報
「刑事コロンボ」シリーズでコロンボを演じていたピーター・フォークが、23日83歳で亡くなられたとの事。
第36期碁聖戦五番勝負第1局
久し振りの碁会所
原発の「安全宣言」には呆れた
一昨日、海江田経済産業相が『各原発ではシビアアクシデント(過酷事故)対策が適切に取られている』として、休止中原発の再稼働を地元自治体に要請する考えを示した。
実に無責任な、根拠に欠ける考えではなかろうか。確か、福島第一原発が見舞われた規模の津波に耐えられる原発は一基も日本にはなかった筈だ。その後100日余りの短時日に防潮堤が整備される筈もない。単に非常用電源を高い場所に用意したのが対策の実態だろう。それで適切だとの判断は、国内はもちろん国際的にも受け入れるとはとても思えない。さらに、シビアアクシデントであるテロに対する備えは何かされたのだろうか。国内法規上、原発に武器を置き原発職員が使う事は出来ない。そのため2、3人の熟練した武装テロリストだけで原発を制圧する事は十分に可能だろう。テロに対処するためには自衛隊の原発常駐しか手段がないように思われるが、その動きは全く見られない。
また、福島原発の事故収束作業も遅々として進まない中で、臆面もなく「安全宣言」を出す無神経さには不気味ささえ感じる。
政府が十分な根拠もなしに安易に「安全宣言」をして再度原発事故が起こっても、「想定外」で済まそうとするのだろうか。近畿の水がめの琵琶湖と敦賀原発および若狭原発との距離は20km前後と短い。琵琶湖が放射性物質で汚染されたら滋賀、京都、大阪および兵庫の広い範囲にわたって何十年もの間壊滅的な被害が続く事になる。
今日IAEA閣僚会議で、海江田経産相が出席し日本の取り組み状況を報告したが、各国の閣僚から手厳しい批判を浴びたようだ。これを機に、国民よりも電力業界を大事にする姿勢を改めて欲しいものだ。(11.6.20)
第66期囲碁本因坊戦七番勝負第4局
福島の酪農家の自殺に思う
東日本大震災に伴う数多くの悲劇を、マスコミの報道で知らされてきた。しかし、福島の酪農家自殺のニュース程やり切れなさを感じさせたものはない。40年間ひたすら酪農に勤しんで来た50代男性が、県内全域の放射能汚染による牛乳出荷停止命令を受けて酪農を続ける事を断念し廃業した。フィリピンから来た奥さんは男性との間に出来た二児とともに放射能汚染を恐れて母国に避難中だそうだ。その男性は出荷出来なくなっても絞らねばならなかった牛乳を泣きながら棄てていたそうだが、昨日自殺体で発見された。黒板に白墨で書かれた遺筆には「原発さえなければ」、「生きていく気力を失いました」などと記されていたそうだ。
酪農以外の生きていく術を高年になってから見出す事は至難であっただろう。愛する家族とは別居を強いられ自死以外の途を選べなかったこの男性の哀れさに思わず涙した。
雫井脩介著「犯罪小説家」双葉文庫刊
新進作家・待井・涼司の出世作「凍て鶴」が奇才・小野川充の監督・脚本・主演で映画化される事になった。小野川は自らのモチベーションを高めるため、待井に近付き、この小説を書くに至るまでの精神遍歴や物語の背景を知ろうとする。しかし、自分の世界に立ち入られるのを好まない待井と小野川のせめぎ合いが、意外な展開につながると言うあらすじだ。
この小説の大半が饒舌な小野川と口数の少ない待井との会話で構成され、女性のフリーライターが言わば狂言回しの役割を務める。