冲方丁著「天地明察」角川書店刊 | 暇老身辺雑記

冲方丁著「天地明察」角川書店刊

 冲方丁(うぶかた とう)が吉川英治文学新人賞と2010年本屋大賞を受賞した時代小説である。主人公は囲碁棋士の安井算哲で、三代将軍家光から七代家継に至る時代を生き抜いた。彼が本業以外に数学、暦学、神学、朱子学及び測地学に深い知識を有している点が見込まれ、幕府の特命を受けて改暦の大事業に挑む。当時は文化を大陸からの伝来に依存していた時代で、暦も中国からのものが用いられていた。しかし、日食や月食の時刻の予測が外れたり、夏至の日が実際と異なったりする事から正確な暦を作り出そうと言う機運が高まって来たである。

 彼は大きな挫折にも耐えながら22年の歳月を掛けて、大和暦を完成する。それにより貞享元年に改暦が実施されるに至る。この偉業により、算哲は暦学者としての渋川春海の名で後に知られるようになる。

 この小説には天才数学者の関孝和、水戸光圀、本因坊道策、山鹿素行、会津藩主の保科正之、大老酒井雅楽頭など大勢の有名人が登場し、それぞれが個性豊かな人物として描かれていて面白い。