【その2】ウクライナがEUに入ると、人材流出して国が衰退する
~米国が譲歩妥協しないから、「リスクを高め、継続させて」、今なお「死屍累々たる死傷者のリスクが無くならない」のではないか?
2022.2.16-2.23修正-2.26解題追記

【解題】
NATOが東方に拡大しないことを、米国が拒否している。
未だに、非西欧文明との「文明化の衝突と世界秩序の再創造」が政治軍事戦略か?
今ある国・指導者を引き摺り降ろせば、オートマティカル(自動的)に良い国家に置き換わる訳ではない。
米国主導の方針は「死屍累々たる失敗」で、「独裁・専制やテロよりも多い紛争被害者を出して」、「いくつも破綻国家を作り、難民を生じさせた」。
米国が譲歩妥協しないから、「リスクを高め、継続させて」、今なお「死屍累々たる死傷者のリスクが無くならない」のではないか?
G7外相の「主権と領土の一体性を侵害」というワンフレーズは、二重基準、三重基準
「基本的人権」「幸福」etc.普遍的基準・考え方を押さえながら、「即効的でなくても、より悪くなるリスクを注意深く避けながら、ベターな政策選択を、飽くことなく続けるしかないか。

〔はじめに〕
(1)ロシアはNATOが東方に拡大しないことを求めるが、米国が拒否している。
(2)欧州は、ウクライナがEUやNATOに入ると、得か損か?
(3)そもそもウクライナは、何故EUに入りたいのか?EUに入れば問題解決するのか?
~結局「ウクライナはEUもNATOも入らず、中立でいるのが良い」だろう。
 以下、検討する。
(筆者注記:ただし今回は、あまり根拠を引用しないで、所感になるため、よろしく)

1 米国は、何故NATOを東方に拡大したいのか?
(1)「民主主義VS専制主義」
中国が米国を抜いて覇権国になることを目指している。
 中国が覇権国になったら、南シナ海(牛の舌)、東シナ海(尖閣諸島)等で拡張して、また周辺国を昔の宗属関係に置こうとするだろう。
ロシアは、東西冷戦期に、1949年、NATOに対抗して、1955年、ワルシャワ条約機構、8か国を作ったが、ソ連崩壊後に、改めて1992年、CSTO、6か国を作った。ベラルーシ(R大統領が長期政権、ロシアとは「敵対しつつ連携」)が入っている。
 近隣国の内政に介入したのは、2008年、南オセチア紛争(ジョージア(旧グルジア)の飛び地の内紛で、後に分離独立した)。
 また大統領選挙等で対立候補になりそうな、国内反対派の弾圧が見られる。
~日本から見れば、中国の覇権よりも、米国の覇権の方がベターだろう。米国の方針にダブルスタンダードがあっても。
(2)NATOの拡大が戦略的に妥当か?
~ロシアがNATOの拡大に圧迫感を受けているのは事実だろう。前記の「近隣国に介入」は、所謂緩衝地帯が欲しいのだろう。
 NATO拡大を、反対を押して進めれば、軍事的緊張が高まり、緊張緩和に逆行する。軍縮も進まない
~NATO、1949年は、当時の欧州が、「米国を引き込み、ロシアを閉めだし、(第二次大戦後の)ドイツを抑え込む」ために作った集団安全保障の枠組みで、地域的には限界があるはずだ。
 本来は、国連・安全保障理事会が紛争に対応するのが第二次大戦後の枠組みだろう。
 常任理事国間の対立・考え方の違い・拒否権行使で機能しないために、有志連合等が動くことがあるが基本原則からは望ましいことではない。
EUもNATOも大きく成り過ぎると弊害が出る。
(3)独裁的指導者を除いても、破綻国家にして難民を生じさせるだけ
~また有志連合等の結果から見ると、誤りが多い。2001-2021アフガニスタン紛争、2003-2011イラク戦争、2011-リビア内戦、2011-シリア内戦。
 「紛争を解決して、民主的国家を作る」はずが「破綻国家にして、大量の死傷者を出し、難民を生じさせた」だけか?
 リビア内戦は、NATOが反体制派を支援した。
~所謂2010-2012「アラブの春」以降、大量の難民を生じさせて、2015-「欧州の難民危機」(シリア、アフガ二スタン他多数国から)になった。
~「(イラク)2003-サダムフセインを除けば・(リビア)2011-カダフィを除けば・(シリア)2011-アサドを除けば、民主的国家になる」との判断は誤りで、「破綻国家にして・破綻国家にしかけて、大量の死傷者を出し、難民を生じさせた」。
~元々は、イラクもシリアも、反対派を抑えた上で、選挙はして与党が圧勝していた。
~ちなみに、イスラエルはパレスチナ人を追い出して「民主的選挙」(!!)をしている。ユダヤ教徒・ユダヤ民族専制国家だろう。
(4)NATOを拡大してロシアに圧力を掛けるつもりか?
~仮に「(ロシア)プーチンを除けば」と目論む者が居るなら、其奴は「死屍累々たる失敗に学ばずに思考停止」している。

2 欧州は、ウクライナがEUに入ると、損だろう
(1)EUは欧州統合の理念が有るにしても、損得勘定は要る
~ギリシャは財政破綻2011年で、EUの重荷になった。
~ウクライナも経済が自立しているとは言い難い。
(2)EUに東欧が入った結果、EU内の移動の自由で、既存のEU国に労働力流入があった
~英国が離脱した理由のひとつでもある。
~ドイツへの流入が多い模様。欧州一番の工業国で、出身国に比べて高い賃金を期待できる。外国人労働者・移民受入の制度も手厚い模様。

3 ウクライナがEUに入ると、人材流出して国が衰退する
(1)東西統合した東ドイツは西独に人口流出して、元々の東独で廃れている地域がある模様
(2)バルカン半島のブルガリアは2004年にEUに入った。ボスニア・ヘルツェゴビナは、EUとNATO入る希望がある。
~一人当たりGDPはドイツがブルガリアの4.6倍になる。賃金が高い。大学等の教育制度も充実。
 過去30年で人口の2割が国外流出したという。移住先はドイツ、フランス、英国。
ボスニア・ヘルツェゴビナの医師は、高い月収を求めてドイツに移住する。その結果、医師不足になり、専門医が居ない、手術ができない、救急搬送できない。
(3)ウクライナのZ大統領が2022.2.14にビデオ演説した。「16日にロシアによる侵攻があるという情報を得ている」「この日を国民連帯の日にする」。次いで「国外に避難した政府当局者や政治家、実業界のリーダーらに、連帯を示すために24時間以内に帰国するよう呼び掛けた」。(えっ!!)
~他国からの侵攻が有り得るとなれば、個人の選択としては、国外退避もあるだろう。非国民とか言ってはいけない。
 しかるに「政府当局者・政治家・実業界のリーダー」(えっ!!)・・・。
 しかも個別に「帰れよう!!」と連絡するのではなく、「大統領がビデオ演説で大っぴらに(公開で)呼び掛ける」(えっ!!)・・・。
(参考)
ウクライナ大統領、要人に帰国呼び掛け 「16日に侵攻との情報」(ロイター2022.2.15)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-zelenskiy-idJPKBN2KJ1ZA
ウクライナ大統領 国外避難のリーダーに24時間以内の帰国呼びかけ(TBSNEWS2022.2.15)
そういう国が、「ロシアへの経済制裁で、欧州に天然ガスが入らないリスク、欧州・世界経済が沈没するリスク」を負おうとしている他国に、なお経済支援を求めている
 ロシアと友好関係を維持すれば、ロシアの天然ガスパイプラインの経由料金収入が安定的にずっと続く。ロシアと離反して、ロシアが北極海経由パイプラインに切り替えて、ウクライナ経由を廃止すれば、収入は無くなる。
(4)そもそもEUに入ると何が変わるのか?何故入りたいのか?
~単純には「EU内の移動の自由」で、「何の手続も無く、賃金が高いドイツ、フランス、(英国は離脱)に移住できる」
 技術技能が有る専門職から、非熟練労働者も、「国を捨てて」移住できる。だからEUに入りたい?
 前記の「政府当局者等」のように、大統領がビデオ演説で呼び掛ければ戻る?戻らない?
EUに入ると「EU内の貿易関税等が無くなる」。強みのある産業は輸出・出荷増できる。しかし弱い産業は関税や為替で守られない。産業衰退・空洞化する。ウクライナの産業は強いか弱いか?
 何も考えていない・シュミレーションしていないか?(もう国外移住するから、どうでもいいか?)
~欧州統合で、EU内の工業は、ドイツの独り勝ちになった。課税・為替による国内産業保護をできない。
 EU共通の規制・基準を守る義務がある。用意できているか?
(5)いや今まで「欧米とロシアの綱引き・介入で、国内政治が不安定だった」。(政治家に毒薬投与の疑いもあった)(親欧州政権ができたが、内部抗争で崩れた)
~そういうことがEUに入れば解決する?いや解決しないだろう。EUと国境を接することになったロシアは、今まで以上に警戒して、政治・軍事の対策を図るだろう。「欧米とロシアの綱引き・介入はずっと続く」。
 EUに限らず、加えてNATOに入るとより悪い反応(リアクション)・政治的軍事的緊張が続くだろう
~むしろ「恒久的に中立になった方が、欧州ともロシアとも、安定した関係を長期的に築く可能性がある」
 為替政策や二国間条約による関税で、「強みのある産業・弱い産業」の調整をして、国内産業を育成できる。
 軍事的・政治的に安定すれば、国外からの投資を受けることも有り得る。(不安定な国に、誰も産業の投資をしない)
(6)前記(3)のビデオ演説について
~Z大統領は、東部出身で、ロシア語で活動するコメディアン・俳優だった。大統領になるドラマ配役そのままに、当選した。法学部を出ていて、社会人経験もあるから、大統領も務まるだろう。
 気になるのは、ニュースに「大統領の首席補佐官の顧問」という表現が出てくる。補佐官が居たり、顧問が居るのは不思議ではない。
 ただ前記ビデオ演説は、今も、誰かが書いた脚本を演じているような印象がある

4 今ある国・指導者を引き摺り降ろせば、オートマティカル(自動的)に良い国家に置き換わる訳ではない
(1)前記1(1)~(4)のとおり、「望ましい国に置き換える」、「実績ある確実な・手っ取り早い方法を持ち合わせていない」。むしろ米国主導の方針は「死屍累々たる失敗」で、「独裁・専制やテロよりも多い紛争被害者を出して」、「いくつも破綻国家を作り、難民を生じさせ・難民流入を生じさせた」
(2)中国は「関与政策」で「経済発展すれば、民主化も進む」と想定したが、「第二次天安門事件」1989年が頂点で、「中国は政治体制を変えられない」という結果になった。
【参考】
1954年、中国・インド「平和5原則:領土、主権の相互尊重・相互不可侵・相互内政不干渉・平等互恵・平和共存」(東西冷戦下の米ソ対立の中での第三世界諸国の存立の基本として合意・提唱)
1955年、アジア・アフリカ会議共同声明「平和10原則:1.基本的人権と国連憲章の尊重、2.全ての国の主権と領土保全の尊重、3.人種平等と大小国家の平等、4.他国の内政不干渉、5.国連憲章による個別的・集団的自衛権の尊重、6.集団的防衛を特定利益に利用せず、他国に圧力を加えない、7.侵略脅威・武力行使で領土や政治的独立を侵さない、8.国際紛争は平和的手段で解決、9.相互利益、協力を促進、10.正義と国際義務を尊重」
(ア)1956年、「スターリン批判」、1956年「第一次百花斉放・百家争鳴」(毛沢東統治が揺らぐ)
1964年・1975年、周恩来「四つの近代化(現代化):農業・工業・国防・科学技術」
(イ)第一次天安門事件:1976年、周恩来を追悼する花輪が撤去され抗議を鎮圧(文化大革命の失敗)
1979年、鄧小平「四つの基本原則:社会主義の道・人民民主主義独裁・共産党の指導・マルクス・レーニン主義と毛沢東思想の堅持(欧米型の民主主義制度と自由の導入に対して)
1984年、中曽根内閣総理大臣:北京大学講演「「平和友好、平等互恵、長期安定」の3原則に「相互信頼」を加える」
(ウ)1985年、ソ連、ゴルバチョフ「ペレストロイカ」、1985年、中国、胡耀邦「第二次百花斉放・百家争鳴」(文革失脚者の名誉回復・チベット政策失敗を謝罪・親日政策・言論自由化・政治改革)
(エ)第二次天安門事件:1989年、胡耀邦を追悼し、政治改革を求めるデモを武力鎮圧(言論自由化・政治改革が頓挫)
(3)東西冷戦が終わった後に、一時は1996年「文明の衝突」(非西欧文明、イスラム圏、ロシアetc.)が言われ、後に2011年「テロとの戦い」になる。今は2022年、アフガニスタン撤退後「専制との戦い」か?
「専制」とは競争ではあっても、戦いは違うだろう。(だってサウジアラビアはどうするの?)軍事的緊張を高めて、双方が不利益を被る。
~マレーシアのМ元首相は、「テロが起きる理由を見ることを要する」と言う。
 更に「軍事的緊張を高めて、紛争を起こして、難民を生じさせる」ような、誤った政策選択をしないことも要する。

【参考】「文明の衝突」(1996年、米国、原題「文明化の衝突と世界秩序の再創造」、米国陸軍勤務、ハーバード大学1996年「変容する安全保障環境と米国の国益」、1977-1978米国安全保障会議安全保障担当)
約8個の主要文明(西欧・イスラム・中華・東方正教会・ヒンドゥー・日本・ラテンアメリカ・アフリカ)
~「政治的独立を勝ち取った非西欧文明は西欧文明の支配を抜け出そうとして、西欧文明との均衡を求める。イスラム文明や中華文明は挑戦する存在として西欧文明と緊張関係にあり、場合によっては敵対関係になる。一方でロシア文明、インド文明、日本文明は中間的であり、状況によっては協力的にもなり、対立的にもなる。ラテンアメリカ文明やアフリカ文明は西欧文明に対して劣勢であり、また西欧文明に依存的な態勢であるために対立することは考えにくい。つまり最も衝突の危険が高いのはイスラム文明と中華文明である」 へえ~!!
~この文脈で、結果を客観的に評価すれば、「アラブの春も、イラクもアフガニスタンも、西欧文明の押し付けが無理筋・見当違いで、死屍累々たる破壊をもたらした」ということか?
日本文明が単独なのは、ちょっと嬉しい?日本では「徳川幕府260余年の平和」が普通だからね。「状況によっては、協力的にもなり対立的にもなる」か、う~ん、そうだね。1941年、昔は無謀に挑戦したけどね(「日米最終決戦」とか言って)。原爆(「死屍累々たる破壊」)で黙りました。これからは「富国有徳・修正資本主義」だよ

(4)これまでの「死屍累々たる失敗の原因」、「どの政策選択が誤りだったのか」も共通理解としては、明らかではない。
~容易には「望ましい国に置き換えられない」原因は、「(イラク)宗派対立か、(中国)国家規模か、(ロシア)民族性か」。
或いは「望ましい国(強欲資本主義・猛獣型資本主義)」が、そもそも望ましくないからか?
(5)ある方向・ある方針を立て皆が従い、問題が生じて、やがて時が来て、「パラダイムシフト(規範的考え方の入れ替わり)」「イデオロギー転換」があり、良い方向になったり悪い方向になったりする
~「植民地主義VS民族自決」「自由貿易・グローバリズムVS保護主義・反グローバリズム」「人件費削減・中間層没落VS金融所得課税・所得再分配」
(6)その中で「基本的人権」「幸福」etc.普遍的基準・考え方を押さえながら、「即効的でなくても、より悪くなるリスクを注意深く避けながら、ベターな政策選択を、飽くことなく続けるしかないか

【参考研究】
(ア)「21世紀日本の安全保障環境と進むべき道-今蘇る梅棹忠夫の生態史観-」(2020.12防衛研究所、第148号)
「文明の生態史観序説」(1957.2中央公論):「第一地域(ユーラシア大陸の両端、日本・西欧)生活様式の発展が自成的、適度の気温雨量」「第二地域(ユーラシア大陸の中央)他成的、乾燥地帯、破壊と征服の歴史」
アジア体験(探検探訪)を重ねた結論として、日本は(西洋でも)アジアでは(でも)なく別のもの。だから元々「脱亜」を要しない。
日本は元々海洋国家で、歴史的に大陸アジアと係わり碌なことはなかった(白村江の戦い、秀吉の朝鮮出兵、日清・日露・日中戦争も無残な結果)。大陸アジアは生易しくなく、手を出してもうまくいかない。
西・大陸でなく、南・海洋に関心を持つべきだ。「西太平洋同経度国家連合」提唱(1975年)。(日本-インドネシア-ミクロネシア連邦-フィリピン-パプア・ニューギニア-オーストラリア-ニュージーランド)
 「西にむかって大陸に手を出すことはもう考えるな、これが日本民族の生きる道」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary148.pdf
(イ)「帝国以後」(アメリカ・システムの崩壊)(2002.9エマニュエル・トッド、藤原書店)
2050年までにアメリカの覇権が崩壊する。イスラム原理主義も識字化の移行期危機で一時的だ。アングロサクソンは人種や民族を違うものと見做す差異主義だ。米国と欧州の利害は対立する。(他方、米国の科学技術は優位、中国を取り上げていない、という批判もある)
(ウィキペディア)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E4%BB%A5%E5%BE%8C
(ウ)「エマニュエル・トッド「問題は英国ではない、EUなのだ」を読む」(2016.10日本経済研究センター)
グローバル化の限界、移民同化政策の失敗、国家の再興
https://www.jcer.or.jp/j-column/column-hayashi/20161012-2.html

5 ロシアがウクライナ東部の親ロシア地域の独立承認した(2022.2.21)
(1)「欧米が、ロシアの基本的要求を無視したため、脅威が高まった」「即ち(ア)NATOの拡大停止、(イ)ロシア国境近くへの攻撃兵器の配備取り止め、(ウ)NATO軍の配備を拡大前の1997年時点に戻すこと」。これを独立承認した理由と説明した。
(2)併せて、同地域と友好協力・相互援助条約を結び、ロシア軍基地を置く権利を持ったとした。
(3)また2015年、停戦等の「ミンスク合意」(東部地域に「特別な地位」を認めた上で、対ロシア国境管理をウクライナ政府に返す)は、ウクライナが合意履行しないで放棄した、とした。
(4)前稿「【その1】ウクライナはEUもNATOも入らず、中立でいるのが良い」のように、ウクライナが、(ア)予めミンスク合意を履行していたら、どうだったか?(イ)今後もEU、NATOに入らず、中立にすると宣言したら、この先、どうなるか?(ウ)前稿6のように、米国が譲歩妥協しないから、「リスクを高め、継続させている」上に、今なお「死屍累々たる死傷者のリスクが無くならない」のではないか?
~個人の社会生活でも、国家の外交でも、譲歩妥協しないで済ますという方針は、誤りではないか?

6 G7外相の「主権と領土の一体性を侵害」というワンフレーズは、二重基準、三重基準
(1)前記4(2)【参考】1954年、1955年のように、元々、冷戦下で二大国に挟まれた中小国が、自国の利益を守る目的を含意して提唱した。「国境画定交渉」や「住民投票を経た独立」であれば、領土の範囲は合法的に変わる
(2)中国について、(ア)チベットは独立するのが良いのではないか?独自の言語・文化の抹消、漢民族化で良いのか?(イ)台湾は、諸外国と中国本土との国交回復のときに、中共も中華民国も「ひとつの中国」を主張して、各国も認めた。前記のワンフレーズで、どう解決するのか?
(3)インドのカシミール州は、本国がヒンドゥ教が多いのに比べて、イスラム教が多い。インド、パキスタン、中国に国境紛争がある。独立時の帰属が間違いで、宗教からはパキスタンに属した方が良いのではないか?住んでいる人は、それを望んでいるのではないか?前記のワンフレーズで抑え込むのか?
(4)イスラエルは、パレスチナ人を追い出して(1948年、ナクバ)建国した上に、今もパレスチナの占領地に入植地を拡げている。国際社会は、全てを飲み込む底無し沼か、ブラックホールのように静かだ。米国に遠慮している?そうだよね、皆んな大人だ。
(5)クルド人が住む地域は、欧米が分割した国境で、イラク、トルコ、シリア、イランに分かれている。関係国が、部族対立・党派対立を利用して連携を妨げてきた。独立を目指すと干渉した。本来は、クルド地域でまとまって独立すべきだ。前記のワンフレーズでは解決できない。抑え込むだけだ。
(6)二重基準、三重基準は無くならない。皆んな大人だから。でも、もう少しベターな譲歩妥協をした方が良い。

〔おわりに〕
 「ウクライナがEUに入ると、人材流出して国が衰退する」
 結局「ウクライナはEUもNATOも入らず、中立でいるのが良い」だろう
 それを自ら宣言して、周辺国が担保する。


〔関連ブログ〕
【その1】ウクライナはEUもNATOも入らず、中立でいるのが良い
~今、再び、ウクライナは誤った政策選択をしようとしている
(ア)2022.2.24ウクライナにロシア侵攻(戦争理由)NATO不拡大協定を米国が拒否(無能な国連)
(イ)2014~ウクライナに米国が武器供与・軍事訓練(国内の反露・親露の対立に介入)
https://ameblo.jp/t1997/entry-12726088927.html
【その2】ウクライナがEUに入ると、人材流出して国が衰退する
 ~米国が譲歩妥協しないから、「リスクを高め、継続させて」、今なお「死屍累々たる死傷者のリスクが無くならない」のではないか?
【その3】ウクライナのシリア化(外国人戦闘員による内戦)を米国が主導した
~ウクライナが無条件降伏した上で、Z大統領が失策の引責辞任する。これによりウクライナ国民の紛争被害、欧州および世界の紛争危機を止める。
【その4】ウクライナ、あまり見ない資料若干「民族浄化」「非ナチ化」「オレンジ革命」他
(追記分:近年の偽旗作戦と住民虐殺)
【その5】ウクライナ、サハリン2は事務的に対応できるのではないか?
~外交解決しないで、「経済制裁・敵か味方か」と、世界を二分して、コロナと重なる流通停滞・食料不足、値上げ・インフレに、発展途上国を含む世界中を巻き込んで、「対ロシアの揺さ振りの道具」にしているのが誤り。
~通常兵器の衝突をエスカレートさせる先に「世界大戦、核戦争に至る危険がある」と何故?、米欧(日)が考えないのか?何という愚かな政策選択か?
【その6】戦術核で製鉄所跡を破壊すると、通常兵器での戦闘を終わらせられるか?(未定稿)
~米英・欧州が、ウクライナでの代理戦争で、戦況に応じて高度な武器提供にエスカレートして「世界大戦、核戦争に至る危険がある」。
(「ロシア・P大統領は核戦争をしない理性的判断をする」見込みに依拠しているか?世界を賭けのチップにする何という愚かな判断か?)
https://ameblo.jp/t1997/entry-12753374572.html
●「ウクライナ南東部、クリミア半島と国後島、択捉島」
~クリミア半島を分離して、ロシア圏に入れることが、絶対的な誤りとは言えない。
~黒海艦隊の基地であるセヴァストポリ軍港は、ソ連崩壊でウクライナ領になった。基地の使用権に関する協定が、ウクライナ国内の反露・親露の対立で不安定になった。
~ウクライナ経済は、ロシアからの安いエネルギー資源と原料供給、ロシアや中国への輸出によって成長した。西欧ともロシアとも、良好な関係を維持しないと、経済が成り立たないのは明らか。
~南千島(国後島、択捉島等)については、(1)歴史的経緯〔1945年 2月ルーズベルトからスターリンあての書簡及び米英ソのヤルタ会談(米ソのヤルタ協定)で「樺太南部と千島列島をソ連が領有することを認める」としたことの変更〕、(2) 南千島を日本及び第三国が軍事利用しない保証(1945真珠湾攻撃の空母艦隊は択捉島から出港した)、(2)ロシア系住民の権益保護、が要点になる。
https://ameblo.jp/t1997/entry-11802971061.html


イスラエルが侵略者・占領者で、パレスチナの抵抗行為、戦闘行為は「自衛戦争」
パレスチナの人々に普遍的人権を保障~「住居を破壊されない、労働・買い物など日常生活ができる、教育・医療を受けられる、国内外を自由に移動できる」
「パレスチナ1948 NAKBA(ナクバ)」
https://ameblo.jp/t1997/entry-11384583279.html
「ならず者国家=イスラエル」
http://ameblo.jp/t1997/entry-11910659931.html

「50年単位の国益」相互互恵の「開かれた国益」を目指すこと(イラク開戦の前)
イラクが決議に違反していて、国連をないがしろにすると言うが、イスラエルもそうだ。パレスチナの占領を、国連を無視して続けている
http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-50nentanikokueki.htm

中東を破綻国家にするのは、イスラエルを守るために、アラブ復興を目指すバアス主義政党を解体するため
・・・その先にユダヤ教原理主義の大イスラエル主義
https://ameblo.jp/t1997/entry-12098937254.html

【参考、リンク】
「外交の断絶・劣化がある。外交が必要なときに、老成した政治家は世代交代で去り、影響力を持っていない。不安定な政権は、マスコミがフィルタリングした国民世論に押されて、ワンパターンの硬直化した、歴史の来し方行く末の洞察を欠いた対応をして、事態を悪化させる。」
「過渡的な民族国家で、国境を考える誤り」
https://ameblo.jp/t1997/entry-11385605315.html
「国境の長期の解決方針」
https://ameblo.jp/t1997/entry-11427933315.html
「国境の長期の解決方針を導いた考え方」国境領土を考える注意点
https://ameblo.jp/t1997/entry-11553449279.html
「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・「尖閣諸島」前編
https://ameblo.jp/t1997/entry-11753460318.html
「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・「尖閣諸島」後編
https://ameblo.jp/t1997/entry-11753729772.html
「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・詳細年表「竹島」
https://ameblo.jp/t1997/entry-11572999043.html
「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・詳細年表「南千島(国後島、択捉島)」
https://ameblo.jp/t1997/entry-11567474428.html


【その1】<朝鮮半島、核・弾道ミサイル開発、南北会談、米朝会談~2018.7>
Ⅰ【朝鮮半島、核・弾道ミサイル開発~2017】、Ⅱ【南北会談~2018.7】
「2017年の核・弾道ミサイル危機~北朝鮮の核・弾道ミサイル開発が、日本上空を通過したり、北朝鮮が攻撃意図を持って発射すれば、現実的な脅威になる段階になった。Jアラートが鳴り、非難訓練をした自治体もある。」
https://ameblo.jp/t1997/entry-12403152597.html

#今の緊急事態は、【その1】2013年、麻生太郎「ナチスの手口に学べ」から始まっていた(未定稿)2020.5.14
「いまでは「全権委任法」ばかりが注目されますが、それ以前に複数の法律をひとまとめにした閣議決定でワイマール憲法を骨抜きにしたことを忘れてはなりません。」
https://ameblo.jp/t1997/entry-12597104325.html

映画紹介その1:戦争・・・を考える「少年H」(2013.8)(66号)
もし人間に理性があるなら、「肉体を物理的に破壊しあう」戦争など、とうの昔に無くなっていそうでありながら」
https://ameblo.jp/t1997/entry-11910337336.html

映画「CASSHERN(キャシャーン)」渾身の力(思い)を込めた作品・・戦争が無くならないのは、「敵」も自分と同じ喜怒哀楽の中に生活していることを知らないから
http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-casshern.htm

「厭離穢土、欣求浄土(えんりえど、ごんぐじょうど)」
「強欲と争いの穢土に在って普通でない国を目指そう」
「三方良しを日本文化の基礎にしよう」
徳川260余年の平和が日本にとっての普通、「人種不平等・「啓典の民」1神教の分派抗争・強欲資本主義」の欧米に追従するのは誤り。国造りの価値観・目標を、「猛獣型資本主義・市場原理主義」から「富国有徳・修正資本主義」へ、明確に軌道修正しよう
https://ameblo.jp/t1997/entry-12108487279.html

【結語】
「政策市場」基本理念、政党運営・・・与党野党を問わず、「こういう課題には、こういう政策を実現してほしい。」
1 <美しい明日を作る>人は人の足を踏んでいては幸せになれない。全ての人が幸せに、自己を実現できる社会を作る。
2 <経世済民>政治は世の中を治め、民を助けるために行う。
3 <富国有徳>国造りの方針を富国有徳にする。
4 <修正資本主義>経済政治制度は修正資本主義にする。神の見えざる手は、猛獣型資本主義・市場原理主義の修正を命じている。