(メールマガジン2012年12月から)

 本当に日本の政権はころころ変わりますね。与党は党内抗争で分裂、離党して、野党は政局を作り出すために、法律をまともに審議しない。窮鼠猫をかむように、首相が衆議院解散に打って出たので、東京では、知事とダブル選挙になります。
 衆議院の任期は4年なので、いったん首相を指名したら「半分の2年間は解任できない」「不信任には特別多数決が必要」と何らかの制約を設けた方が、政策論争にまともに取り組むのではないでしょうか?知名度、人気が左右する大統領制は日本向きではないだろうから。
 世界をより良く変えられるか?それは鏡の中の貴方、私次第(man in the mirror)


 中国が党大会で次期幹部を選びました。「核心的利益」という主張は党方針として継続したので、南シナ海を始め戦略的に軍備増強を続けます。尖閣諸島の棚上げも止めたようで、実効支配の機会を伺い続けるでしょう。軍事衝突も有り得るが、事態を混乱させるだけで解決にはなりません。
 竹島か独島かはともかく。韓国は第二次大戦と冷戦による南北分断国家であることが続いていること、毎年、夏に来る光復節に、韓国人が何を思うか、日本人はその思いを汲むことが必要です。
 ロシアの大統領が変わり、今後数年続きます。領土の解決に意欲を持っているようなので機会を逃さないことが必要です。
 2012.9-10中国での反日暴動と呼応して、日本でもナショナリズム、排外主義が拡がりそうです。前回「過渡的な民族国家で、国境を考える誤り」を書きました。政治家はワンパターンの硬直化した強い姿勢を示し、マスコミは国民世論をフィルタリングして、悪い循環を作っていて、この中からは何も解決しません。
 歴史の来し方行く末を見通して根源的な発想からどう解決するか、「国境の長期の解決方針」を考えましょう。


 「国境の長期の解決方針」
  〔1〕歯舞群島、色丹島は、日本に帰属する、南千島(国後島、択捉島)は、面積二等分線で分割する
  〔2〕竹島と尖閣諸島は、各島の中央二等分線を国境にする


〔1〕南千島(国後島、択捉島)の面積二等分線で国境を引く
 なぜ?・・・
 南千島はアイヌ民族の土地で、日本のもともとの固有の領土ではない。
 ポツダム宣言受諾、サンフランシスコ条約で敗戦の現実として放棄している。1945年2月ヤルタ協定は米英ソの合意だが、終戦をする上で連合国には必要な対応だった。カイロ会談(1943年11月22日米英中)、テヘラン会談(1943年11月28日米英ソ)と並んで戦争処理を方向づけた。サンフランシスコ条約にソ連が署名していれば、南千島まで放棄したことは争う余地は無く、結果としてロシア領になっただろう。
 ヤルタ協定を否定するならば、1875年樺太・千島交換条約で得たウルップ島(得撫島)以北の千島列島全島や、1905年日露戦争講和で得た南樺太(サハリン)も返還交渉になるが、日本はそう言っていない。
 日ソ(露)平和条約を締結できないのは、北方領土が未解決だからだが、これはヤルタ協定を結んだにも係わらず、冷戦下での日ソの接近を望まない米国が、サンフランシスコ条約で千島列島の範囲を曖昧にして作った仕掛けである。
 ソ連が参戦して、南千島等を占領して、関東軍をシベリア等に抑留したのは、連合軍の進駐統治を安定して行うために、関東軍を日本に帰らせないことを、米ソが合意して行ったと考えるのが道理に適っている。戦争の拡大抑止、終了を日本人の手でできなかった不明を恥じる他ない。
 第一次大戦中、1918-1922年日本は、日米英仏伊による対独牽制とロシア革命妨害のためにシベリア出兵を行い、ウラジオストク、北樺太、沿海州、満州、バイカル湖東部、西部イルクーツクを4年間占領した。占領地に傀儡国家を画策した。1925年まで北樺太を占領した。村落を焼き払った。軍紀が退廃して不法行為もあった。ロシアの歴史認識、国民感情では、忘れていない。そういう歴史の上にソ連参戦がある。
 もともと千島列島は南千島を含めて、ポツダム宣言受諾、サンフランシスコ条約で放棄している。相手国にも世論がある、日露戦争をもう一度やるならともかく、交渉で妥結するなら、敗戦の現実を基に妥協することだ。
 南千島(国後島、択捉島)の面積二等分線だと、択捉島に国境を引くことになる。
択捉島は国境を接する島として、島内は両国民が旅券の携帯だけでビザなし往来を可能にして、観光、友好の島にするのが将来にとって良い。
 原発からのエネルギー分散のため、天然ガス輸入を含め、日本の外交経済にとって、日露の関係改善が望ましい。


〔2〕竹島と尖閣諸島は、各島の中央二等分線を国境にする
 なぜ?・・・
 竹島と尖閣諸島は、元々どちらにも帰属しなかった島を「独り占め」した(国際法「無主の地、先占の法理」)。
(1)竹島
 もともと境界の無主の地。漁業など両国が利用していた。
 日本が編入したのは、満州南部、朝鮮半島を戦場にする日露戦争中で、韓国併合の過程であり、韓国から異議を申し立てる余地は無かった。
 韓国から見れば植民地支配に至る最初の一歩であり、歴史問題であり、韓国にとって、民族の負の歴史を繰り返さないという決意が掛かっている。他方、日本にとっては特別な意味がある島ではなく、経済問題として漁業協定が解決すれば良い話だ。
 境界の島をいずれかが占有するのは理に適わないから、各島の中央二等分線を国境にする。
 韓国は、第二次大戦後、冷戦に巻き込まれて朝鮮戦争になった。ソ連、中国と米国の代理戦争になり、38度線で分断国家になった。南側の韓国には米国が駐留している。中国は、米国との緩衝地帯として、北朝鮮が崩壊することを望まないため、分断国家が続いている。
 毎年8月15日は、日本にとっては敗戦記念日だが、韓国にとっては日本の植民地支配から解放された光復節だ。かつて日本で8月6日広島原爆、8月9日長崎原爆、8月15日終戦記念日と、新聞の一面が続いたように、韓国にとっては、植民地解放を祝い民族の独立を誓う日になっている。南北統一を願う日でもある。
 中央二等分線を国境にすることで、日韓で不戦を誓う日、国境を接する友好を誓う島として、島内は両国民が旅券の携帯だけでビザなし往来を可能にして、観光、友好の島にするのが、将来にとって良い。
 いずれ朝鮮半島の非核化、外国軍の撤退によって、南北の連邦制、自由往来、将来の平和的統一へ、環境整備する必要がある。
(2)尖閣諸島
 主な島をそれぞれ中央二等分線を国境にする。
 もともと境界の無主の地。台湾と琉球が渡航する境にある島だった。
 日本が編入したのは日清戦争のとき。戦利品としての台湾は、下関条約により日本の植民地にしたが、尖閣諸島は、無主の地だったので、国際法により領有、編入という別の手続きにした。だから日本は、植民地戦争の結果ではないと言うが、当時、清国が異議を申し立てる余地は無かった。
 今、中国で支配的なのは漢民族だが、清朝は満州族の国。もともと台湾本島は漢民族の土地ではなく、台湾原住民が居て、誰でも行ける船舶の寄港地、倭寇の根拠地であり、明朝が滅亡した残党が1662年にオランダの東インド会社を駆逐上陸して統治し、その明朝残党を撲滅するために清朝が台湾制圧して1684年に福建省に編入した。ましてや台湾の先の尖閣諸島に漢民族の統治は及んでいない。琉球が日本になったのは、幕末と明治維新。つまり中国本土にとっても、日本にとっても、もともと固有の領土ではない。
 中国が主張し始めたのは「石油が出てから」と言うが、およそ100年以上前の1879-1890年に、琉球藩を廃止して鹿児島県を設けた日本の明治政府が清朝と琉球の範囲について交渉して以来の見解の相違・平行線が今も続いている。
 日本が国際法により編入したというのは、理屈としては成り立つ。最近では教科書にも載せるようになっている。しかし小学生に教えるには、別の理屈の方が、子供のためになる。そもそも食卓の上に、誰の物でもないまんじゅうがあったとする。先に私のだと言って取れば、独り占めできるというのが日本の主張する国際法の理屈。しかし小学生に教えるには、仲良く半分ずつにしなさい、と言うのが当然。ましてや相手の意見も聞かずに、勝手に独り占めするのは行儀が悪い。
 更に1994年に海洋法が発効して、従前の領海12カイリ(22キロ)の他に、排他的経済水域200カイリ(370キロ)で経済的利益を独占できるようになった。
(22キロは東京ー鶴見間、370キロは東京ー名古屋間に相当する。)
 小学生で言えば、食卓のまんじゅうをひとり占めにすると、ケーキもまるまる付いてくるようなもの。これこそ仲良く分けなければいけない。
 特に海洋法が後からできたことによる不公平さを国境に関連して言うと、もともと台湾と琉球が往来渡航する境にある島だったので、線を引くと島の中央線で分けることになる。日本が島を編入しても、島の周囲22キロが領海になるだけだ。ところが海洋法で島の周囲200カイリ(370キロ)が日本の経済圏になり、中国から見れば、もともと無主の地のときは島の中央線だった境界が、370キロ中国側に入り込むことになった。
 沖の鳥島のような、大海の中であれば200カイリでも他国の権益を侵食することはないが、大陸の沿岸に位置する尖閣諸島では、中国から見れば後からできた海洋法により侵食された結果になる。
 改めて言うが、日本の主張は理屈としては成り立つ。しかし海洋法200カイリは「棚から牡丹餅」のルール変更、「坊主丸儲け」のやり方だ。小学生のけんかなら許されない、「仲良く半分ずつ」が当たり前。小学生の教科書で「理屈で勝てば独り占めしていい」と教えるのは誤り。中央二等分線の国境で握手して、協力して共に発展するのが、養うべき国際人。
 あくまで自分の利益だけを主張するのは品格ある国とは言えない。
 ましてや中国にとっては、現状は日清戦争下で異議申立もできなかった結果が固定している。納得できないのはもっともだ。
 だから日本は石油等経済的利益の共同開発、漁業協定など、共存共栄を積極的に提案する必要がある。
 他方、近年の中国は、南シナ海他あちらこちらで核心的利益を主張しながら軍備増強をしている。法治国家でない中国は、第二次大戦の反省に立って作った国連憲章が、加盟国が自衛戦争を除いて、自国の主張を通すために戦争することを禁じていることを理解していない。中越戦争など、戦争は政治の延長、自国から見た懲罰の手段だ。更に一党独裁体制を続けるために、貧富の差、特権幹部への不満を反日感情に転嫁する必要もある。このため戦争は現実の危険である。日本としては一方的に国際司法裁判所に提訴して、中国の戦争を予防するのが得策だ。
 もちろん台湾、中国の歴史感情、日本による中国侵略の記憶を考えれば、冒頭に書いたとおり、主な島を面積二等分で国境を引いて、日中で不戦、友好を誓う国境の島として、島内は両国民が旅券の携帯だけでビザなし往来を可能にして、観光、友好の島にするのが将来にとって良い。
 それから国際共産主義、インターナショナル・・・もともと共産主義は「万国の労働者、団結せよ」と呼び掛け、国境は無い、インターナショナルなものであっただろうに。近年、中国があちらこちらで「核心的利益」を主張しながら、軍備増強をしているのは残念なことだ。


〔3〕(参考、補足)
(1)メールマガジン・バックナンバー

60号) 「過渡的な民族国家で、国境を考える誤り」

https://ameblo.jp/t1997/entry-11385605315.html?frm=theme

61号) 「国境の長期の解決方針」

https://ameblo.jp/t1997/entry-11427933315.html

62号) 「国境の長期の解決方針を導いた考え方」〔1〕国境領土を考える注意点

https://ameblo.jp/t1997/entry-11553449279.html?frm=theme

63号) 「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・詳細年表「南千島(国後島、択捉島)

https://ameblo.jp/t1997/entry-11567474428.html?frm=theme

64号) 「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・詳細年表「竹島

https://ameblo.jp/t1997/entry-11572999043.html?frm=theme

65号) 「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・詳細年表「尖閣諸島」前編

https://ameblo.jp/t1997/entry-11753460318.html?frm=theme

65号) 「国境の長期の解決方針を導いた考え方」事実経過の認定・・詳細年表「尖閣諸島」後編

https://ameblo.jp/t1997/entry-11753729772.html?frm=theme

●「ウクライナ南東部、クリミア半島と国後島、択捉島」
~南千島(国後島、択捉島等)については、(1)歴史的経緯〔1945年 2月ルーズベルトからスターリンあての書簡及び米英ソのヤルタ会談(米ソのヤルタ協定)で「樺太南部と千島列島をソ連が領有することを認める」としたことの変更〕、(2) 南千島を日本及び第三国が軍事利用しない保証(1945真珠湾攻撃の空母艦隊は択捉島から出港した)、(3)ロシア系住民の権益保護、が要点になる。
https://ameblo.jp/t1997/entry-11802971061.html

(2)引用者のWebサイト
(ア) 随想
「50年単位の国益」相互互恵の「開かれた国益」を目指すこと(イラク開戦の前)
   http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-50nentanikokueki.htm
 8月15日を「平和を祈念する日」に
   http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-815heiwakinen.htm
 映画「CASSHERN(キャシャーン)」渾身の力(思い)を込めた作品
   http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-casshern.htm
 コソボ(旧ユーゴ)紛争ー民族主義、排外主義ー
   http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-kosobofunsou.htm
(イ) 「究極の目標」http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/m-kyuukyokunomokuhyou.htm
(ウ) 「米を食う虫、美しい明日」http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/m-utukushiiasu.htm