Ⅰ【朝鮮半島、核・弾道ミサイル開発~2017

1 2017年の核・弾道ミサイル危機

2017 年に、北朝鮮は「核・弾道ミサイル開発が実戦配備まで完成した」としている。日本上空を通過したり、北朝鮮が攻撃意図を持って発射すれば、現実的な脅威になる段階になった。Jアラートが鳴り、非難訓練をした自治体もある。

20177月、北朝鮮が【大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の火星14をロフテッド軌道で発射】し、日本海の排他的経済水域(EEZ)内に落下。8月、日本上空を通過するミサイルを発射。北朝鮮が「ソウルを火の海にしてやる」などと韓国を脅迫。


BBCニュース201793日〕「朝鮮北東部で日本時間3日午後029分ごろ、大きい揺れが観測され、6回目の核実験を実施した可能性が指摘されている。」【朝鮮中央テレビは「重大報道」として、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載のため、水爆実験に完全成功した」と発表。】

https://www.bbc.com/japanese/41139629

NHKクローズアップ現代201794日:北朝鮮“水爆実験”の衝撃 危機の行方は.

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4026/index.html


【参考Webサイト】

『核攻撃サバイバー』「テポドンの核弾頭が発射、テポドンの到達時間は5分、テポドンの着弾予想が東京新宿中央公園上空、
1分で生きると覚悟を決めろ、2分で上着を着て水を持て、3分で地下鉄に走り出せ、4分であきらめずに滑り込め、
母さん姉さん僕に構わずに走ってくれ、迷わず地下鉄へ、広島原爆ドームからたった170メートル、閃光と衝撃波を地下室で避けて生き延びたサバイバー、その人の名前は野村英三さん、
テポドンの爆発半径2km、新宿に落ちても渋谷は無事、国家機能麻痺する打撃にならない、救助隊の到着待て、
1分で線路を奥まで走れ、2分で換気口に蓋をしろ、3分で鼻と口に布当てろ、そして暗闇と寒さに耐えろ、最愛の人よ 僕を探さずに隠れてくれ、49時間は地下鉄で、放射線は最初の7時間で10分の1減衰するから、
49時間後は100分の1、その理論の名前は「7の法則」 

https://www.youtube.com/watch?time_continue=117&v=v-If62OTq-U

【北朝鮮弾道ミサイル10分間シュミレーション 池上彰】

https://www.youtube.com/watch?v=9CWsovlY5ts

〔総務省消防庁:核兵器攻撃〕

「核兵器攻撃(放射性物質を用いた攻撃を含む。)「国民の保護に関する基本指針」における核兵器攻撃の際の避難のポイント

http://www.fdma.go.jp/html/intro/form/pdf/kokumin_hinan_02_s2-1.pdf#search=%27%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%E6%B6%88%E9%98%B2%E5%BA%81+%E6%A0%B8%27

〔国民保護における避難施設の機能に関する検討会報告書〕

http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h20/2007/200703-2houdou_z.pdf#search=%27%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%E6%B6%88%E9%98%B2%E5%BA%81+%E6%A0%B8%27

〔内閣官房、国民保護ポータルサイト:武力攻撃やテロなどから身を守るために~避難にあたっての留意点などをまとめました(パンフレット)〕

http://www.kokuminhogo.go.jp/gaiyou/shiryou/hogo_manual.html


20181月:新年の挨拶で「核兵器は北朝鮮の強力な宝剣」と宣言


~核放棄をしないことは度々表明している。20182月労働新聞「私たちの共和国(北朝鮮)が核を放棄することを望むのは、海の水が乾くのを待っているよりも愚かなこと」。 ⇒ 【北朝鮮が言うように、「対話により核放棄させる」というのは愚かな方針】

~北朝鮮の考えは、「北朝鮮の非核化」ではなく、アメリカによる韓国への、核の傘提供を止めさせ、最終的に在韓米軍の撤退による朝鮮半島の非核化を言う。 

~米朝交渉で、米国要求は【完全で不可逆的で検証可能な非核化】だが、北朝鮮の方針は【「核開発と経済発展の並進路線」で、「段階的かつ(制裁解除・経済支援と)同時並行的な交渉を行い」核放棄はしない。】


2 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発

~北朝鮮はNPT(核拡散防止条約)を、1993年脱退、2003年再脱退。2005年核兵器保有宣言。核実験実施は、2006年、2009年、2013年、20161月、20169月、2017年。水素爆弾か強化原爆も2013年以降実験。核弾頭を積むためのミサイル発射実験は、1993年以降継続。前記の【2017年の核・弾道ミサイル危機】に至る。

~北朝鮮の核開発は朝鮮戦争休戦後、1956年、旧ソ連と平和利用限定の原子力開発基本合意を行い、科学者を旧ソ連に派遣。実験用原子炉を寧辺に建設。アメリカが旧ソ連に働き掛け北朝鮮がNPT加盟、国際原子力機関 (IAEA) 監視下になるが、核開発疑惑は続く。アメリカの偵察衛星写真から、1982年以降、寧辺に新たな原子炉、1986年、円筒状クレーター、爆発実験の痕跡。黒鉛減速炉建設も判明し国際問題化していく。

~核保有は、アメリカから「体制保証」を得る、また各国から経済支援を得る外交カードのひとつにもなり、前記のとおり「核・ミサイル開発凍結」を約束しては、日米韓から制裁解除・食糧支援・経済支援を得ながら、裏で開発を続けるため、【対話と援助による核放棄交渉は失敗を繰り返した。】

~【中国の優先順位では、第1に緩衝地帯としての北朝鮮の存続、第2に核開発阻止になる。中国の主張は「双暫停」(北朝鮮は核・ミサイル開発を、米韓は軍事演習をそれぞれ暫時停止する)・・・核不拡散は重視する、そうしないと「日韓の核武装を否定できない」から。(引用者注:後記の統一朝鮮は西側東側どちらになるか不確定だから、それ以前に非核化することは中国の利害にも合う。)】


〔以下、対話と援助による核放棄交渉の失敗の経過を再掲する〕

20031月:核拡散防止条約(NPT)からの脱退を再度宣言。1994年の枠組み合意を破棄。アメリカは1994年からの、北朝鮮への重油供与を停止。
20052月:北朝鮮が核兵器の保有を宣言。
20056月:金正日総書記が平壌で韓国の統一部長官に、「我が共和国(北朝鮮)は核兵器を持つべき理由がない」と初の非核化の意思表明。
20059月:中国を議長国として日本、米国、韓国、ロシア、北朝鮮が参加した第四回6カ国協議で、【北朝鮮が全ての核兵器を廃棄すると約束した共同宣言を採択。】共同声明時点で、裏では地下施設で高濃縮ウランを使った核爆弾の開発が進んでいたため、不要で放置状態だったプルトニウム抽出用の5メガワット原子炉をわざと整備工事をした。これは後に20086月に「核開発を放棄した」との嘘を国際社会に発信するための冷却塔爆破パフォーマンスに利用することで北朝鮮は時間稼ぎに成功。
20072月:北朝鮮への重油提供と「原子炉停止・年末までに核開発活動の全てを公表」と、第五回6ヵ国協議で合意。アメリカのブッシュ大統領に凍結された、在米資産2500万ドル(約26億円)の返還要求。
20076月:在米資産2500万ドル(約26億円)が北朝鮮に返還されたが、北朝鮮は「核開発活動の公表」の約束を守らなかった。

2008 5月:北朝鮮はアメリカにテロ支援国家の指定解除を要求。

20086月:アメリカのブッシュ大統領によるテロ支援国家指定解除表明を受けた措置として、北朝鮮はアメリカ国務省朝鮮部長らを参加させ、半月以内に再建できる寧辺にある1986年建造した5000kW黒鉛減速炉の冷却塔を爆破する現場にCNNや日本のTBS、韓国MBCテレビなど国外のマスコミ招待した。そして6者協議の成果を誇る狙いと「政治的ショー」を目的に冷却党爆破を報道させた。これは既に地下施設での高濃縮ウランを使った核爆弾開発に移行していたため、必要なくなった原子炉冷却塔の爆破で「単なるショー」だった。北朝鮮は翌年の5月には2回目の核実験を実施。

201011月:プルトニウム方式よりも効率の高い高濃縮ウラン方式で核開発を進めている事実が発覚した結果、北朝鮮はジュネーブ合意を破棄宣言。北朝鮮は「ウラン濃縮施設は保有していない」と強く否定していた。しかし、その高濃縮ウラン方式での核開発が終わったため、寧辺のウラン濃縮施設を米国の核専門家で国際安全保障協力センター(CISAC)専任研究員のジークフリード・ハッカー博士に、施設内1000台以上の遠心分離機を公開し、HEU核兵器開発能力を誇示。2017年末にハッカー博士は「金正恩が米朝首脳会談を提案した理由は、単に『核・経済並進路線』を実行に移すためでしかないだろう」とし、「核開発は十分に進んだので、今後経済発展の方向にワシントンを利用したい」と判断したのだろう。

2012
2月:金正恩体制で、アメリカと北朝鮮が協議して、【北朝鮮がウラン濃縮や核実験やミサイル発射を中止、国際原子力機関(IAEA)による監督を受け入れることを条件に、アメリカは北朝鮮に24tの食糧援助を行うことを合意。】しかし、2カ月も経過していない4月に長距離ミサイルを発射して米朝合意不履行。

2012
4月:最高人民会議で朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法が改憲され、「我が祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国に変える」と、【憲法に自国は核保有国と明記。】 光明星31号機「人工衛星を打ち上げ」として、長距離弾道ミサイルを発射。国連が非難声明、北朝鮮が2月の米朝合意を破棄。


20181月:金正恩が新年の挨拶で【核兵器は北朝鮮の強力な宝剣】と宣言、「北朝鮮が永久的な核強国という現実を米国は認めなければならない」とした。

20182月:平壌市内で開催された金正日総書記の誕生を祝う中央報告大会で、金正恩の最側近の党副委員長が【核開発と経済発展を同時に進める並進路線を維持し、自衛的な核抑止力をさらに堅固なものにする】と演説して朝鮮中央テレビで放送。


Ⅱ【南北会談~2018.7

~これまで南北の会談は、いずれも保守系ではなく革新系の大統領だった。一般的に緊張対立よりも緊張緩和・対話が望ましいのは当然だが、結果で見れば、革新系の首脳会談の度に、北朝鮮への経済支援を行い、北の窮地を救い、核・弾道ミサイル開発の資金を提供したことになる。


〔1〕保守系大統領のときの軍事攻撃

1 朴正煕(パク・チョンヒ)19631979

19681月、朴大統領暗殺を狙った襲撃(青瓦台襲撃未遂事件)

2 全斗煥(チョン・ドゥファン)19801988

1983年、核開発に必須な高性能爆薬実験開始。

198310月、ビルマを訪問していた全斗煥大統領と韓国閣僚などを狙った爆破事件(ラングーン事件)

198711月、日本人を偽装した北朝鮮工作員が、大韓航空旅客機を飛行中に爆破した(大韓航空機爆破事件)

198712月、ホワイトハウスでの米ソ首脳会談でレーガン大統領にゴルバチョフ書記長が北朝鮮の依頼を受けて、「南北が署名する不可侵宣言」「休戦協定を平和協定で代替」「核兵器を含めたすべての外国軍隊の朝鮮半島からの撤退」「南北が第三国と締結した民族の団結に反するあらゆる協定・条約の破棄」「南北で構成する連邦共和国の創設」「連邦共和国の単一国号で国連加盟」「南北各10万人未満に兵力削減」「南北の軍統合」との北朝鮮の要望伝達。

3 盧泰愚(ノ・テウ)19881993

199112月:金日成は、共産主義国の退潮を背景に、「南朝鮮革命論から連邦共和国論」を主張するようになった。最終的に「南北の体制認定と相互不可侵」「朝鮮半島における非核化」を含む【基本合意書】を作成した。南北合意第1条「体制保障」で「武力使用の禁止」を明記、「非核化共同宣言」も出され、「南北は核兵器やその製造施設も持たない」と約束した。合意時に金日成は「自国は核開発をする能力も意図もない」と表明。北朝鮮は「国際原子力機関 (IAEA) と核査察協定」をする代わりに、「米韓軍事演習中止」と「韓国にあった核兵器の撤去」に成功した。韓国では2018年時点でも合意は有効としているが、金日成一族は韓国の北朝鮮への統一を不可能にしている「在韓米軍撤退」が入らなかったことから、「体制保障」が入ったにも関わらず、 合意後も、「南南葛藤」を起こすために「韓国武力攻撃」や「核開発」など合意不履行。

4 金泳三(キム・ヨンサム)19931998

19969月、北朝鮮の武装工作員がサンオ型潜水艦で韓国に密入国して浸透攻撃(江陵浸透事件)

5 李明博(イ・ミョンパク)20082013

~李明博政権では20106月まで76500万ドル(約8600億ウォン)を北朝鮮に送金。

20122月、「天安」爆沈や延坪島砲撃事件などの、韓国挑発を成功させた功績を祝い、北朝鮮は金正日の誕生日に合わせて金英哲を昇進させる。

6 朴槿恵(パク・クネ) 20132017

201312月、金正日・金正恩体制で実質的ナンバー2だった張成沢を、甥の金正恩が命令して機銃掃射で処刑後に、遺体を火炎放射器焼却。

20172月、金正日の長男の金正男が、マレーシアのクアラルンプール国際空港で、マカオへの出国手続きをしているときに、金正恩の命令を受けた北朝鮮工作員がテレビ番組と称して依頼したという女性2人に毒殺される。


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【その2】<朝鮮半島、核・弾道ミサイル開発、南北会談、米朝会談~2018.7

【米朝会談~2018.7

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