高齢者問題講演資料 2006年9月の高齢者情報から | NPO法人生涯青春の会

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NPO法人生涯青春の会の会報及びイベントの紹介をいたします。
ここに収録する記述は、会報、エッセイ「癒しの森」、高齢者情報、日々の映像のまとめなどです。

1、認知症高齢者の家庭内の虐待(2)

2、認知症は脳をつかわない生活習慣病なのである。(2)

3、認知症患者の4割経済的な援助を受けている 

4、あるおばあちゃんの生き様の学ぶ

5、男性長寿日本一:田鍋さん111歳の誕生日「まだまだ生きたい

6、若年性認知症(2)

7、思い出話で脳を活性化

9、認知症の肉親を持つ家族の悲劇(2)






1、認知症高齢者の家庭内の虐待(2)

 2006年08月28日 14:01


高齢者福祉情報の記述はあくまでも健常者向けのものである。10年・20年後もし自分が認知症になったら、どのような悲劇が待っているのかを、現在の報道などを通して予見すべきでないかと思う。2006年5月15日の日々の映像で高齢者の家庭内の虐待の実態を書いた。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=135365925&owner_id=3230765  

 特筆されることは虐待を受けた高齢者の79%が認知症だったのである。認知症の高齢者の10人中8人が家庭内で虐待されているのである。この事実を重く受け止めなければならない。そもそも高齢者虐待防止法は、介護施設での虐待が問題になって作られた法律である。家庭でも虐待の危険、施設に入っても施設によっては、虐待の危険が潜んでいるのである。生涯青春の会で常々訴えているように、認知症にならない生き方をしなければならないのである。

ンチャさんこと比嘉 道直さんから虐待する人は「明日は我が身」との視点での次の書き込みを頂いた。

「虐待と、ホームレスの関連性について考えたことがあります。私が東京に行った時一番驚いたのは、駅の片隅にみすぼらしい格好をした一人の老人が倒れていたのに、誰もが見ないふりをして通り過ぎていったことです。私が声をかけようとしたら、東京に住んでいる知人が「しっ、ああいう人には関わるな」と私を強く制止しました。私としては、大変なショックでした。これでは日本の将来が危ぶまれると思ったものです。

 人間の習性として「慣れ」があります。赤の他人が苦しんでいることに慣れてきたら、身内が苦しんでいても、以前ほどは気にならなくなるということです。これは、科学的な事実です。 虐待も慣れです。いきなり最初からひどい仕打ちをする人はいません。少しずつエスカレートしていくのが、常です。

 ホームレスの人々を助けることもできない社会では、幼児や高齢者の虐待は必ず起こるようになります。ひずみは、弱者に向かってくるものだからです。自分の親を大切にしない者は、子供に「年よりは大切にしなくても良い」と教えているようなものです。明日は我が身です。「情けは人のためならず(人に情けをかけておくと,巡り巡って結局は自分のためになる)」ということをより多くの日本人が知り、実践すべき時期に来ていると思います」

「情けは人のためならず」を実感して行動したいものである。






2、認知症は脳をつかわない生活習慣病なのである。(2)

                      2006年08月30日 06:33


 7月30日に「使わなければ退化する」と題して書いた。このことは実に重要なことなので、一部を引用し専門家の書き込みを掲げたい。

「真実は単純な法則なのだ。使わなければ退化するだけなのである。少し前京都大学教授だった人がなぜ認知症になるの・・という書き込みがあった。医学的な仮説もあるようだが、「使わなければ退化する」という法則に支配されただけのように思う。
 
 NPO法人「亀田ボランテア」のまとう恵子さんと懇談する機会があった。「使わなければ退化する」に関連したことで次の話をしてくれた。「石田さん、使わないと本当に退化は早いのです。80歳以上の人で一人暮らし、ほとんど話す機会がない場合は30日で言葉を失うのです」詳しくは省略するが僅か30日で話すことが出来なくなってしまうという。まさに、真実は単純である。「使わなければ退化する」するのである。これば高齢者だけのことでなく若い人も「脳は使わなければ退化する」という生物の法則を深く自覚しなければならない」

 この記述に対してナース岩下さんの書き込みを紹介したい
「いろいろな意見があるとは思いますが、 私の現時点での考えは、使えば、90代の方でも退化するどころか、若返ります。歩けなかった方が、歩けるようになることもあるし、周囲でほかの人々が話している内容に関心をもっていなかった人が、会話に反応するようになりますし今日は、新聞を自分でとって、読んでいらっしゃいました。私が予想している以上にいろいろなことを一人でできるようになる場合もあるのです。今日の新聞事件は、びっくりするくらいの進化ですよ☆」

 特筆すべきことは90代の方でも「使えば退化するどころか、若返得る」という現実があることを心肝に刻みたいものである。

 沖縄のンチャさんこと比嘉 道直さんから提示を頂いた砂糖健康学入門
http://www.sugar.or.jp/health4/0203.shtml
によれば人間の脳細胞は70歳を超えても増えるという。
 「1999年にアメリカでエリクソン博士が、「人間の脳細胞は70歳を超えても増える!」という画期的な研究結果を発表しました。しかも、海馬の細胞が、もっとも増えることがわかってきています 脳細胞を増やし、脳の働きをよくするためには、常に脳を使って鍛えることが重要です」

 ここで私の補足は必要ない。脳を使うことに尽きるのである。同じことを何回も書くが、認知症は脳を使わないことによる顛末と理解できるのである。認知症は脳を使わないことによって起こる生活習慣病なのである。


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3、認知症患者の4割経済的な援助を受けている 

                                 2006年09月06日 06:10

 生涯青春の会の発足は2005年6月11日のであった。この時の私のスピーチは、認知症問題一色であった。夫婦のどちらかが認知症になった場合の経済的な問題を次のように触れた。「『生涯青春の会』発足の第3の動機はボケ老人が出た時の家計の経済的な負担であります。厚生年金の平均的な受給額は174000円であります。夫婦の一方が痴呆になって施設に入ると、現在の負担額は90000円前後が、まもなく改正されて、130000円余りの負担になるのです。174000円の年金で、130000円の負担が出ると残り44000円ですから、家計は完全に破産するのです。平穏な老夫婦の家庭が一遍に生活弱者になってしまいます。それゆえ「痴呆老人なるな!」と声を大にして叫びたいのであります」と。

 認知症の人と介護する家族をつなぐ唯一の全国組織「認知症の人と家族の会」(京都市上京区)が、家族の立場から認知症の人の収支を聞き取り調査した結果、「預貯金を含めて本人の収入だけで生活している人は58%にとどまり、残る42%が家族や親類から経済的援助を受けて暮らしている実態が明らかになった」(8月24日・京都新聞から)という。4割以上が、収入や預貯金の取り崩しだけで生活費や介護費をまかなえず、家族・親類から月平均約6万円の援助を受けているのである。(ここでのデータは、認知症であるが夫婦で暮らしている例である)

 家族〈子ども〉兄弟などの親類から援助を受けられる人はまだ幸せといえる。これが出来ない高齢者はどうしたらよいのだろう。100000円少々の年金で暮らしている夫婦もいる。このような人の中では、夫婦どちらかが倒れたら生活保護を受けるしかないと思っている人が多い。将来生活保護を想定している人は、それなりの身辺整理をしなければならない。今までは自宅を所有している人でも生活保護を受けられた例があったが、これからは難しい。生活保護を受けるには無資産であることが立証されなければならない。常識的な判断は自宅を売却して公的な住宅に移る必要がある。ここで言いたいことは、年金のみで老後の生活が困難と思われる人は、60代前半で準備しなければならないのだ。

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4、あるおばあちゃんの生き様の学ぶ

                       2006年09月15日 09:21


9月7日「まえちゃん」という方からメールを頂く
「早々にご返事いただき有り難うございます。mixi名、さっそく『まえちゃん』に変更しました。『生涯青春の会=認知症にならない会』『癒しの森』に是非参加させてください。私の母も13年間寝たきりで3年前、96歳で亡くなりました。足は動きませんでしたが最後までボケることなく、気丈にも自分で工夫しておむつの交換が出来る人でした。とても簡単に真似の出来ることではありませんが、せめて認知症にだけはなりたくありません。母を支えていたバックボーンがなにであったのか、これから私は何をしたらよいのか、皆様と語り合えたらと思います。次はどのようにしたらよいのかお教え下さいませ。」

 足は動かなかったが最後までボケることなく、気丈にも自分で工夫しておむつの交換が出来る人でした・・この一節にわれわれは何を感じたらよいのだろう。どんな状況になっても「自立する、人の世話にはできるだけならない」という固い決意が「自分で工夫しておむつの交換」をしたように思う。

「人の世話に出来るだけならない」この決意と行動が、13年間も寝たきりの状態で認知症になら理由のように思う。80歳以上の人が骨折などで入院すると2~3ヵ月で認知症になってしまう例が多い。至れり尽くせりの病院では、たちまち認知症になる例が多いのだ。おばあちゃんの生き様の中に認知症にならない真実が紛れもなく光っている。


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5、男性長寿日本一:田鍋さん111歳の誕生日「まだまだ生きたい

                        2006年09月22日 23:48

私は67歳である。生涯青春の会で一番人気のある人は梅田千代さん90歳である。この人がスピーチをすると止まらない。それでいて内容があるのだ。私が梅田千代さんの年齢まで元気で活動できるとすると、あと23年間もある。こう考えると、人生は実に長く充実しているように思う。

 ここで一回書いたが男性長寿日本一は田鍋友時さん111歳である。「敬老の日」の18日、111歳の誕生日を迎え、家族や市長らの祝福を受けた。田鍋さんは「長生きできるのは皆さんのお陰。自分一人では生きられません。まだまだ生きたい」と元気なところを見せていたという。田鍋さんの長寿の秘密の一つに、「毎日欠かさずつけている日記」がある。長寿の秘けつを尋ねられると「たばこをのまず、お酒を飲まないこと」と、張りのある声で持論を繰り返したという。田鍋さんは、体調は良好で新聞をじっくり読むなど社会への関心も衰えていないというから素晴らしい。111歳になっても認知症になることもなく、皆と会話が出来るにだから驚きである。

 とても考えられないことであるが、私がもし田鍋友時さん年齢まで元気で活動できると、あと44年間もある。こう考えると、人生は実に長いものである。梅田千代さんの年代まで壮健であれば、わが人生悔いなしといえる。



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6、若年性認知症(2)

                                    2006年09月22日 23:53


 高齢者福祉情報の書き込みに「私の施設での入居者が100歳の人、70歳代の人、そして50代の人が2人います。まるでおじいさんとお孫さん一緒に入所しているみたいです」(要旨)という書き込みがあった。この書き込みがあったので、交流にあるボランテヤ亀田のまとう恵子さんに長寿の方はもしかする「孫までが認知症なる時代ですね」と話したら、「40代の認知症の方に遭遇した」という話を聞いた。

 働き盛りなのに物忘れが激しくなり、社会生活を営むのが困難になる「若年性認知症(痴呆)」は深刻である。認知症は高齢者の病と思われがちだが、若くして発症すると一般的に進行が早いというから厄介である。家計への打撃どころか家庭が崩壊するである。
 
 若年性認知症 認知症のうち65歳未満で発症するケースを指す。旧厚生省の研究班が1997~98年度に行った調査では、患者数を全国で約2万6000人(18~64歳)と推計した。その後、全国的な調査は行われていないが、10万人程度と指摘する専門家もいるのである。金子痴呆研究所のデータでは、50代の5%が認知症の症状を示す(コミ・生涯青春の会・脳いきいきセミナー資料に詳しい)というから認知症列島といわねばならない。 


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7、思い出話で脳を活性化

                       2006年09月25日 07:13

 思い出話で脳を活性化させる「回想法」が科学的に検証されている。北陸先端科技大学院の藤波努准教授(認知科学)らは認知症の高齢者に思い出話を語らせて脳を活性化させる「回想法」を科学的に検証している。このことは以前から多く指摘されて来たことである。認知症高齢者は最近のことを忘れていても昔のことは覚えているケースが多い。古い道具や写真を見せながらテーマを持って思い出を語らせることで、記憶の断面を物語として結び付かせ、「その人らしさ」を取り戻す試みが「回想法」なのだ。
 
 問題は思い出話で脳を活性化させる「回想法」を施設でリードできるスタッフが問題であると思う。このリードが如何に大事であるかは、「スピーチの会」で十数名にスピーチさせてしみじみと思う。スピーチの会の参加者が50名余りであるので、全員が話すことが出来ない。将来的には参加者は最大で25名のスピーチの会のグループを纏めて行きたいと思っている。参加者全員に3~5分のスピーチをして貰うのが良い。毎月のスピーチの会で3~5分間皆さんの前で話をすることが決まると、その準備でどれだけ脳を活性化させるか計り知れない。繰り返すようであるが生涯青春の会が主催する「スピーチの会」は「認知症を予防する」具体的な活動なのである。10月から「脳いきいきセミナー」を開くが、全員発言の機会を作るため参加者を最大25名に限定している。             〈コメント12件〉

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=10554540&comm_id=698599  



8、<介護保険>利用者440万人 過去最多を更新

2006年09月25日 20:41


9月21日茨城県の水戸へ行ってきた。このページの書き込みでお世話になっているナース岩下さんの経営する「おおぞらデイサービス水戸」の見学にいってきたのだ。岩下さんは2ヵ所の施設を経営している。社会全体の動向の質問をすると「新規のグループホームの許可は難しい」と話していた。ここでは特に取り上げなかったが、有料老人ホームの建設許可が大幅に圧縮されている。簡単に説明すれば、介護保険を利用する人が多く介護保険で徴収する資金ではどうにもならなくなってきているのである。

 厚生労働省は9月22日、05年度に介護保険のサービスを利用した人は439万8400人で、前年度から26万2100人増え、過去最多を更新したと発表した。04年から比較すると介護保険を利用する人が26万人も増えているのだ。65歳以上に高齢者は2640万人(総人口総人口1億2772万人の20.の20.7%)であるから高齢者の約17%の人が要介護の判定を受けていることになる。65歳以上の人は要介護者にならないように努力しなければならないと思う。




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8、認知症の肉親を持つ家族の悲劇(2)

                     2006年09月29日 22:33

 認知症の肉親を持つ家族の悲劇が絶えない。強気に残っているのは7月25日に書いた「認知症の母殺害・長男に猶予判決」である。涙を誘うような事件であった。介護疲れと生活の困窮から合意の上で認知症の母親=当時(86)=を殺害したとして、承諾殺人などの罪に問われた長男の無職片桐康晴被告(54)=京都市伏見区=に対する判決公判が21日、京都地裁で開かれた。東尾龍一裁判官は「結果は重大だが、被害者(母親)は決して恨みを抱いておらず、被告が幸せな人生を歩んでいけることを望んでいると推察される」として懲役2年6月、執行猶予3年(求刑・懲役3年)を言い渡した。(7月25日の記述から)

相模原・認知症の妻を絞殺事件の判決が出た。
横浜地裁(栗田健一裁判長)は今年4月、介護していた認知症の妻(当時70歳)を絞殺したとして、殺人罪に問われた相模原市相模台、無職、仙宅重喜被告(71)に対し、懲役5年(求刑・懲役8年)を言い渡した。43年間連れ添った妻を殺害するまでどのような心の葛藤(かっとう)があったのだろう。その一端を書き留めて置こう。
「・・・・妻が夫以外の介護を嫌がることや経済的負担を考えてためらい、自らの体調悪化にも悩み、4月中旬には妻と無理心中するしかないと考え始めるようになった。
仙宅被告は4月22日午後2時ごろ、妻が自宅を訪れた妹すら思い出せなかったことにがく然とし、無理心中を決意。家族に迷惑をかけるため外で殺そうと企てた。
 妻に睡眠薬を飲ませ、車に乗せて殺す場所を探したが、元気だったころの妻との生活を思い出し、殺害できないまま帰宅した。だが、午後9時すぎ、今後の介護を再び悲観。同20分ごろ、寝ていた妻の首を電気コードで絞め、窒息死させた。・・・・・」
(9月27日毎日から)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060927-00000080-mailo-l14