前年の名作『It’s Like You Never Left (忘れえぬ人)』の次に出たソロ・アルバムです。さわやかで軽快なナンバーを得意としながら、決して軽薄な印象を与えることなく、英国人らしいフォーク・ルーツと抜群のポップ・センスを兼ねそろえているところは自分にとって理想的な立ち位置すね。そういうセンスはアル・スチュワートにも通じていて、2人とも派手には売れず、そこそこ渋さを感じさせるところが大好きっす。この人の特徴である過去の曲の再録音として、前述のアルバムから“Every Woman”が入っています。ここではペダル・スチールをガンガンにフィーチャーして、よりカントリー・ロック的な味わいが出ています。そういえば2年前にあの傑作『Alone Together』をまるまる再録したそうですね。ついに行くとこまで行きましたがな。ディランのカヴァー“All Along The Watchtower”がメイソンの路線にすごくハマっていてめっちゃカッコいいす。なぜかB面の1曲目でサム・クックの“Bring It On Home To Me”をカヴァーしているんですが、これはどうすかね?メイソンらしく軽い仕上がりとなっていて悪くはないんですけどね、さすがに原曲がすごすぎて… あとはほとんどがメイソンのオリジナル作品ですばらしい楽曲が並んでいます。バッキングはデイヴ・メイソン・バンドとクレジットされていて、メンバーは私の知らない人ばかりでした。いかにもスタジオ・ミュージシャンちゅう感じのプロフェッショナルな演奏です。裏ジャケの全員の写真を眺めていたら、ん?なんだこの手は?なんでこんなところにあるんや?心霊写真か?と思いましたが、これおそらく思いっきり狙ったんでしょうね。カッコ笑い
問題作で名作だった『アイリッシュ・ハートビート』の次にリリースされたアルバム入手しやした。オランダ・オリジナルす。クリフ・リチャードとの掛け合いが聞けるオープニング・ナンバーに始まって、徐々に楽曲のレベルが上がっていくようなアルバムで、B面にいたっては全曲“Caravan”っちゅう感じですね。んなアホな。前作の『ハートビート』を経てアイルランド人としてのヴァンのソウルと、ゼム時代から続く音楽的ルーツとしての黒人音楽がうまいこと融合した作品やと思います。未聴ですが、ロッド・スチュワートがカヴァーした“Have I Told You Lately”なんて、インプレッションズの“People Get Ready”同様、いかにもロッドが歌いそうな名曲タイプですよね。ほんで改めてすごいと思うのが、全曲ヴァンのオリジナルで固められたところっす。40代半ばにしてこれだけのクオリティを維持する人なんて、ロック界にそうそういないと思います。80歳近くになる現在まで新作をリリースし続けるわけですな。近年必ず目にするようになったオルガンのジョージー・フェイムの参加も、このアルバムから始まったのかしら?80年代後半という英米音楽界にとっては末期的飽和状態的息切れ的祭りのあと的状況、どっちかというとレコードからCDへの移行という、音楽よりも音楽ソフトの方に関心がいっていた時代でしたから、さすが我が道を行くヴァンの面目躍如といったところです。現在まで好調が続くヴァンの第2の原点といえると思います。あと全体にわたって聞こえるストリングスの音って、もしかすると時代背景を考えると、人力ではなく全てシンセかもしれませんね。わかりませんが。
彼女たちの最終作のUSオリジナル盤入手しやした。当時流行していたニュー・ソウルやファンクの背景を考えれば、やや古色蒼然とした印象をもたれたのかなっちゅうのは容易に想像できますね。同じモータウン仲間だったスティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイが、うまく時代に乗って実験やメッセージを取り入れて成功したり、新進のジャクソン5がアイドル性を押し出して成功したりする中で、ある意味会社の販売戦略に完全に乗って60年代中期~後期にかけてガンガン大ヒットを飛ばしていたこの人たちやシュープリームスやフォー・トップスらは、この時期にやや息切れ状態となって失速していった感じがします。マーサ・リーヴスはダイアナ・ロスやスモ-キー・ロビンソンのようにソロとして大成功することもなかったわけですが、ここで聞けるバンドと一体となった真っ黒なグルーヴは、60年代初頭から続く彼女らの最後の輝きちゅうか、当時から半世紀以上たった今聴くと、逆にニュー・ソウルの時代にも左右されない自分たちの売りを頑固に押し出した作品として考えることもできると思います。たしかに過去の数々のヒット曲と比較すれば、個々の楽曲としてはちょっと弱いかもしれませんし、相変わらずやっつけ気味な60年代モータウンのアルバムの制作方針がうかがえるビートルズのカヴァー(“Something”)やジャクソン・ファイヴの“I Want You Back”が入っていたりするんですが、とにかく!マーサのソウルフルなヴォーカルとズッシリ重いリズム隊だけは全く健在であって、それだけで価値ある作品やと思いますね。おわり
67年当時出た国内盤で原題は『When I Was Young』なんですが、オリジナルのアメリカ盤のタイトルは『The Best Of Eric Burdon And The Animals Vol.2』となっています。つまり日本では原題を変更し、それに『若い思い出』という邦題をつけていたことになりますね。曲順も一部だけ変えてあります。このタイトル・トラックだけが当時最新のシングルで67年5月のヒット、あとのトラックは全て66年録音、英デッカと米MGMの音源が混在しています。66年のアニマルズは英デッカと米MGMでそれぞれ『Animalisms』と『Animalism』(最後のsがない)というアルバムを発表していて、内容も全く異なっています。その2枚の中から数曲ずつ、それにオリジナル・アルバム未収のヒット・シングルは全て入っているので、66年のアニマルズを手っ取り早く聴くには便利なアルバムっす。67年以降の重要なヒット・シングルである“Good Times”や“San Franciscan Nights”や“Sky Pilot”などは入っていないので気をつけましょう。このレコの中でレアなのが、シングル盤除く他の編集LPでもなかなか聴くことができない、シングル“When I Was Young”のB面に入っていた“A Girl Named Sandoz”(僕のサンドーズ)やと思います。いかついファズ・ベース(?)の入った、67年独特のいかがわしさがあってサイコーです。それではトラック・リストっす。
Side A 1. When I Was Young 2. Don’t Bring Me Down 3. A Girl Named Sandoz 4. She’ll Return It 5. See See Rider 6. The Other Side Of This Life
Side B 1. Hey Gyp 2. Help Me Girl 3. That Ain’t Where It’s At 4. You’re On My Mind 5. Inside-Looking Out 6. Cheating
本当は『River Deep Mountain High / Ring Of Fire』という長ったらしいタイトルですが、実はオリジナル作品の2枚組『Love Is』と全く同内容で(ただし曲順は変えてある)、ジャケットも変更され、おそらく70年代半ばくらいにドイツで再発されたレコです。この10年後にポリスで大ブレイクするアンディ・サマーズが参加しています。全9曲中“I’m Dying, Or Am I?”と“The Madman”以外全てカヴァーで成り立っていて、おまけに2枚組、さらに前作の『Every One Of Us』と前々作の『The Twain Shall Meet』も68年リリースでしたから、新曲を作るよりもとにかくアルバムを発表したくてたまらん!っちゅう… 創作意欲よりも露出欲の方が優ってしまった感じです。長尺ナンバーが多く、必然的にアレンジメントと演奏力に焦点を合わせた作りになっていて、全体になかなかの力作やと思います。“Gemini”~“The Madman”はほとんどウェールズのマンのようなプログレ・サイケな展開が出てきたり、同時期のヴェルヴェット・アンダーグラウンド(の2nd)を思わせる混沌としたサウンド展開になったりします。アイク&ティナのタイトル・トラック、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの“I’m An Animal”、ビー・ジーズの“To Love Somebody”、トラフィックの“Coloured Rain”どれも濃厚なアレンジが施されていて、ちょっとクドいほどなんですが、エリックの全盛期といえるソウルフルなヴォーカルを楽しむことができます。ただし!スティーヴ・マリオットやスティーヴ・ウィンウッドやヴァン・モリソンのような同世代のブルー・アイド・ソウル・シンガーたちに漂うスマートさを求めてはあきません。もっとドンくさくてエゲツなくて過剰な、誤解を恐れずにいえばより黒人に近いヴォーカル・スタイルを求めるならこの人に決まり!っす。
しばらくアニマルズ特集したいと思います。67年の前作『Winds Of Change』に続くアルバムで、依然エリックがヒッピー思想にどハマリしていた頃です。どでかいベースとベース・ドラムの効いたぶっとい音作りとシタールの多用は前作と同じです。このアルバムからは“モンタレー”と“スカイ・パイロット”がヒットしました。特に後者が大変すばらしく、個人的には彼らの最高作や思てます。この1曲があるだけで名盤といってもよいくらいの出来なんですが、ジャケットにはPeaceやWARといった文字、有刺鉄線、白い鳩、顔を手で覆う兵士らしき人の横顔などがコラージュされていて、視覚的にも聴覚的にも当時のベトナム戦争と反戦運動が色濃く反映された、重た~い雰囲気がアルバム全体に漂っています。ただ“Just The Thought”、“No Self Pity”、“Orange And Red Beams”などレコA面に関しては、語りの多かった前作と違ってそれなりにツボを押さえたコンパクトな楽曲が並んでいて、けっこう聴きやすいんじゃないかと思います。レコB面はトップの“Sky Pilot”に続く残り2曲がほとんど瞑想(サイケデリック)ナンバーといってよく、スコットランドのバグパイプとインドのシタールを並列させているところは、アルバム・タイトルの意味にも通じる西洋と東洋の交わりをわかりやすく表現してるんやと思います。個人的にはこのアルバムはとにかくでっかいベースが気持ちよくて、ベースばっかり聴いてます。
エリック・バードンがサンフランシスコのヒッピー・ムーヴメントにハマって結成した新生アニマルズとしての最初のアルバムです。これの前に出ていた『Eric Is Here』というアルバムも同名義でしたが、厳密にはエリックとドラマーのバリー・ジンキンスにオーケストラという布陣でしたので、バンドとしてはこちらがデビュー作になります。上の写真はUKオリジナル盤ですが、所有のレコはおそらく80年代に再発されたドイツ盤す。文字だらけのジャケからもわかるように、ちょっと重い印象のある作品です。特にA面は語り部分が多いので、メッセージが直に入ってこない大半の日本人にとっては、よけいに取っつきにくいかもしれませんね。実際自分にとってもあまりターンテーブルには載らないレコです。ただ67年当時限定の雰囲気に浸りたい時はもってこいのアルバムではあります。A面のハイライトはストーンズのカヴァー、“Paint It Black”で、本家以上にインドを感じさせるクドくてドンくさいアレンジメントが最高っす。あとA面ラストの“Yes I Am Experienced”はジミヘンの“Are You Experienced?”の文字どおりのアンサー・ソングで、これは即興風のハードなサウンドがもろジミヘンでめっちゃカッコいいです。B面はシングル・ヒットした“San Franciscan Nights”と“Good Times”含め、ぶっといベースに重いドラムスのリズム隊にアコースティック・ギターが絡むという、個人的には大好きな楽器編成の曲が多いので気に入っとるんですが、このへんは好みが別れそうですね。最後の“It’s All Meat”だけが、全体を通して最も‘らしい’サイケデリック・ロックです。決して普遍的なメロディがたくさん詰まっているわけではないものの、ところどころ光る部分のあるアルバムちゅうところですかね。えらそうに。