ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファースト・アルバム『The Velvet Underground & Nico』に参加していたドイツ人シンガー/女優/モデルのニコのアルバムっす。プロデュースを担当したのが、ヴェルヴェッツのジョン・ケイルと彼の友人だったあのジョー・ボイドです。ほとんど自画自賛に近いですが、ジョーがこのアルバムを大絶賛しているのを発見、ぜひとも聴いてみたいと思い、ヤフオクで70年代半ば頃に再発された英国盤をけっこう安く入手することができました。一聴して好き嫌いがはっきり分かれるような内容やとは思いますが、ジョーが過去にプロデュースを担当してきたインクレディブル・ストリング・バンドやニック・ドレイクが好きな人ならまずバッチリな作品だと思います。バッキングはニコ自身のハーモニウムだけでほとんどが占められていて、たまにジョン・ケイルによるピアノやヴァイオリンや他の効果音がちょこっと入る程度です。しかしそれだけに例えば“The Falconer”の途中から入ってくるピアノなど、ヒジョーに印象的に使われています。全体でたったの30分弱の長さで、ちょっと中東あたりの民俗音楽を思わせるような重た~い楽曲が並んでいるんですが、やたらとメロディが美しく、そういうところは全曲を書いているニコのソングライターとしてのすんばらしさやと思います。美人でシンガーソングライターで女優でモデルという、完全に「天は二物を与えず」の逆をいっているような人に見えますが、1988年に自転車から落ちて49歳で死んでしまうという…切ないですな。