前年の名作『It’s Like You Never Left (忘れえぬ人)』の次に出たソロ・アルバムです。さわやかで軽快なナンバーを得意としながら、決して軽薄な印象を与えることなく、英国人らしいフォーク・ルーツと抜群のポップ・センスを兼ねそろえているところは自分にとって理想的な立ち位置すね。そういうセンスはアル・スチュワートにも通じていて、2人とも派手には売れず、そこそこ渋さを感じさせるところが大好きっす。この人の特徴である過去の曲の再録音として、前述のアルバムから“Every Woman”が入っています。ここではペダル・スチールをガンガンにフィーチャーして、よりカントリー・ロック的な味わいが出ています。そういえば2年前にあの傑作『Alone Together』をまるまる再録したそうですね。ついに行くとこまで行きましたがな。ディランのカヴァー“All Along The Watchtower”がメイソンの路線にすごくハマっていてめっちゃカッコいいす。なぜかB面の1曲目でサム・クックの“Bring It On Home To Me”をカヴァーしているんですが、これはどうすかね?メイソンらしく軽い仕上がりとなっていて悪くはないんですけどね、さすがに原曲がすごすぎて… あとはほとんどがメイソンのオリジナル作品ですばらしい楽曲が並んでいます。バッキングはデイヴ・メイソン・バンドとクレジットされていて、メンバーは私の知らない人ばかりでした。いかにもスタジオ・ミュージシャンちゅう感じのプロフェッショナルな演奏です。裏ジャケの全員の写真を眺めていたら、ん?なんだこの手は?なんでこんなところにあるんや?心霊写真か?と思いましたが、これおそらく思いっきり狙ったんでしょうね。カッコ笑い