しばらくアニマルズ特集したいと思います。67年の前作『Winds Of Change』に続くアルバムで、依然エリックがヒッピー思想にどハマリしていた頃です。どでかいベースとベース・ドラムの効いたぶっとい音作りとシタールの多用は前作と同じです。このアルバムからは“モンタレー”と“スカイ・パイロット”がヒットしました。特に後者が大変すばらしく、個人的には彼らの最高作や思てます。この1曲があるだけで名盤といってもよいくらいの出来なんですが、ジャケットにはPeaceやWARといった文字、有刺鉄線、白い鳩、顔を手で覆う兵士らしき人の横顔などがコラージュされていて、視覚的にも聴覚的にも当時のベトナム戦争と反戦運動が色濃く反映された、重た~い雰囲気がアルバム全体に漂っています。ただ“Just The Thought”、“No Self Pity”、“Orange And Red Beams”などレコA面に関しては、語りの多かった前作と違ってそれなりにツボを押さえたコンパクトな楽曲が並んでいて、けっこう聴きやすいんじゃないかと思います。レコB面はトップの“Sky Pilot”に続く残り2曲がほとんど瞑想(サイケデリック)ナンバーといってよく、スコットランドのバグパイプとインドのシタールを並列させているところは、アルバム・タイトルの意味にも通じる西洋と東洋の交わりをわかりやすく表現してるんやと思います。個人的にはこのアルバムはとにかくでっかいベースが気持ちよくて、ベースばっかり聴いてます。

 

大昔とりあげたことはあるんですが、“スカイ・パイロット”の歌詞があまりにすんばらしいので、改めてここに紹介したいと思います。「Sky Pilot」はここでの戦闘機の操縦士っちゅう意味以外に、「従軍牧師」という意味があります。つまり聖職者のことです。それを前提に読むとさらに重く響いてきます。「なんじ殺すなかれ」なんてところはキョーレツな皮肉となっています。それではどうぞ。

 

彼は整列した兵士たちを祝福する

拳銃の油の匂いと彼らがぴかぴかにみがいた銃剣

彼は兵士たちに手を差し伸べるためにそこにいる

できるかぎり自分たちが必要とされる人間だと思わせるために

彼はすばらしき神に仕える人間

 

スカイ・パイロット スカイ・パイロット

どれくらい高く飛べるかい?

でも絶対に空には届かないだろう

 

彼は若き兵士たちに微笑みかける 心配はいらないと彼らにいう

彼は目の前に迫った兵士たちの恐怖を分かっている

まもなく血が流れ 多くの者が死ぬだろう

故郷にいる母さんと父さんは泣くだろう

 

スカイ・パイロット スカイ・パイロット

どれくらい高く飛べるかい?

でも絶対に空には届かないだろう

 

彼は祈りのことばをつぶやく 祈りの最後には笑顔を浮かべる

町の中心部へ移動せよと命令が下る しかし彼は後方へとどまり 瞑想するだろう

瞑想は血を止めないだろうし 憎しみを消しはしないだろう

若者たちは戦闘地帯へ出発する

彼には神がついているから安心 私は独りではない

彼は疲れを感じ ベッドに横たわる 男たちが勇気を見つけることを願いながら

それは彼が兵士たちに話したことだ

 

スカイ・パイロット スカイ・パイロット

どれくらい高く飛べるかい?

でも絶対に空には届かないだろう

 

君たちは神の兵士 それを理解しなければいけない

この国の運命は君たちの手の中にある

神よ 力を与えたまえ 任務を達成せよ その価値は時がたてば分かるだろう

朝になって兵士たちが戻ってきた 目に涙を浮かべながら

死臭が空へと立ち上る 一人の若い兵士が牧師に向かって敵意の表情を浮かべる

「なんじ殺すなかれ」ということばを覚えているか

 

スカイ・パイロット スカイ・パイロット

どれくらい高く飛べるかい?

でも絶対に空には届かないだろう

 

スカイ・パイロット スカイ・パイロット

どれくらい高く飛べるかい?

でも絶対に空には届かないだろう

でも絶対に空には届かないだろう

でも絶対に空には届かないだろう