ウェールズ出身の男女フォーク・デュオの唯一作です。2007年にスペインのバルセロナにあるワー・ワー・レコード(Wah Wah Records)というレーベルから再発されたアナログ盤で、最後にボーナス・トラックが1曲追加された全10曲です。オリジナル・レーベルは、英フォーク・マニアにとってはウィズ・ジョーンズで有名な(有名なわけあるかい)ヴィレッジ・シングです。偶然なのか曲によっては、再発レーベルのスペインにふさわしくフラメンコを思わせる演奏が出てきます。このアルバム、今年になってヨーロッパかアメリカか分からんですが、Wiseraven(ワイズレイヴン?)というレーベルから限定再発されていたんですね。さっき知りました。ジャケに貼りつけてあるシールの紹介文には、インクレディブル・ストリング・バンド(ISB)やティア・ナ・ノグなどを思わせるようなことが書いてありますが、いわゆるアシッド・フォークを絵に描いたようなISBほどひねくれてラリッた感じではなくて、もっとストレートで美しいメロディを主体としたフォークです。アコギ主体でカズーなんかの使用に、たしかにISBと共通するところはあります。本編最後の“Death”の陰険な雰囲気は最高だし、2人とも歌はうまいし美声だしで、特にフィーメイル・フォーク・ファンにとってはたまらん要素バッチリやと思うんですが、個人的にはいまひとつメロディの引っかかりに欠けるというか、この手のフォークでは最高峰だと思っているトレイダー・ホーンやゲイ&テリー・ウッズに比べると、ちょっと物足りなさは残りました。ただ好き者の琴線には間違いなく触れるでしょう!ジャケは上下フリップ・バックで、オリジナル盤についていた歌詞カードも復刻されている大変ていねいな仕様で好感もてます。おわり

 

オリジナル・メンバーとしての最終作となったセカンド・アルバムです。残念ながら数年前にヴォーカルだったテリー・ホールは60代前半という若さで亡くなってしまいましたが、間違いなく英国ロックの歴史に残る名バンドでした。70年代後半に起こったネオ・モッズ・ムーヴメントの一部というかセットで復興したスカを、マッドネスとともに体現した代表的バンドでした。前作ファースト・アルバムはより純粋なスカの名盤でしたが、こちらは早くもそこから発展した音楽性が爆発しています。もちろん基本はスカなんでしょうが、曲によっては同時期のモノクローム・セットを想起させるような、エキゾチックで風変わりな肌ざわりがあります。これ、当時個人的にはわけのわからないジャンルだったんですが、よくいわれていたジャンルであるモンドとかラウンジっていう範疇に入るんですかね?この方向性はリーダーだったジェリー・ダマーズの意向だったようです。結果的には、この方向性を快く思わなかったテリーや他のメンバーとの対立によってバンド分裂となってしまいました。しかしアルバム自体はとてもよくできていて、オリジナル、カヴァー問わず大変印象的なメロディがガンガン飛び出してきて、何度も聴きたくなるような名盤やと思います。もしかするとファーストよりもいいんじゃないかな~と思うほどですね。てなわけで、“Rat Race”や“Ghost Town”などアルバム未収のヒット・シングルが入ったベスト盤(『The Singles』)も手に入れたいと思いやす。それでは投票行ってきます。クソ自民クソ維新死ね。

 

72年にキング・レコードから発売された2枚組のレコです。このシンガー/ギタリストは今になって初めて聴きましたよ。解説を書いているフォーク・シンガー/ギタリストの中川五郎さんによると、彼の周りのフォーク・シンガーたちは全員この人からの影響を受けていて、特にあの(故)高田渡さんへの影響は大きかったそうです。黒人であることと、芸名としてあたまに‘ミシシッピ’とついていることからイメージされる、いわゆるあのドロドロの3コード・デルタ・ブルースとは全く違っていて、なるほど一聴してディランやディランのパクり元である英国フォークの人たち全員のルーツの1人なんかなと思わせる、トラディショナル・フォークに近い音楽で、今さらながら少々ショッキング&そっこうでハマりましたよ。こういった自分の先入観をいい意味で裏切ってくれる音楽に出会うのは楽しいもんす。個人的にはほんの数曲しか聴いたことはないですが、レッドベリーを思い出しました。こういった白人のカントリー、ヒルビリー・ミュージックを聴いて育ってきた黒人ミュージシャン/シンガーたちは、サザン・ソウルの世界では昔から広く知られていましたが、当然こういう土着のブルースの世界にも当たり前のように自然に存在していたわけっすね。フォーク・ブルースという大きなくくりとして、例えば中古レコ屋さんなんかではロバート・ジョンソンやビッグ・ビル・ブルーンジーなどといっしょにエサ箱に放り込まれてると思いますが、音楽性からいうと180度違うわけですね。やさしくてあたたかい歌声と、コードとリードを同時に弾くような複雑で繊細なスリー・フィンガー・ピッキング・テクニックは、大好きなウィズ・ジョーンズを思わせるほどでした。オススメ!

 

アンディ・パートリッジは完全に引退してしまったんですかね?まだちょうど70歳ですから、もうちょいがんばってほしいものです。これはXTCとしてのサード・アルバムで、もともと初回プレスに付いていた7インチ・シングル込みで2020年に再発された重量盤です。残念ながらオリジナルの歌詞付きインナーバッグまではついてませんでした。ちゃんと聴くのは今回が初めてです。次作『Black Sea』で正体を現わすことになるキンクス、ビートルズなんかの英ポップ王道路線が、一発目のコリン・モールディング作の“Making Plans For Nigel ”にわずかに感じられます。このへんの変化は前作『Go 2』まで在籍していたキーボードのバリー・アンドリュースが脱退して、代わりにデイヴ・グレゴリーが加入したことが大きいんですかね?デビュー作と『Go 2』はまともに聴いたことがないんで、そのあたりの変遷はよく分かりません。あとプロデュースを担当したスティーヴ・リリーホワイトとエンジニアのヒュー・パジャムによる、当時大きな話題になった特徴的なドラム・サウンドが挙げられると思うんですが、次の『Black Album』での同コンビによるドラムと比べると、本作ではまだそれほどドスドスのドラムでもないんですね。U2のデビュー作『Boy』もその2人に手がけられていて『Black Sea』と同じ80年作でしたから、おそらくその年にドカンと一気に花開いたドラム・サウンドだったんじゃないかと思います。そんなわけで、これがXTCだ!っちゅう条件が全てそろった最初の作品であり、のちの音楽性にまでつながる原点としての作品であり、7インチ・シングルの2曲含めて、各曲にフックの効いたメロディが備わるようになったのが大きい作品と思います。おわり

 

英ギタリスト/フォーク・シンガーのアラン・テイラーが結成した3人組のバンドによる唯一のアルバム入手しやした。「ケイジャン」ですからイメージ的にはアメリカ南部やニューオリンズの音楽が頭に浮かびがちですが、全体的にはフェアポート・コンヴェンションやアルビオン・バンドに近いブリティッシュ・フォークでした。まず出だしからして、実は後から知ったんですが、あのザーッというドラムのフラム・ロールがフェアポートのデイヴ・マタックス自身のプレイだったっちゅうわけで、さもありなんです。おまけにプロデュースとエンジニアを担当しているのが、フェアポート、ニック・ドレイクを始めとする数々の英フォーク名盤のプロデュースとマネジメントを担当した、あのジョー・ボイドと黄金コンビを組んでいたジョン・ウッドですから、その筋の人にとっては聴く前から想像できますし、実際そのとおりの音です。基本は英トラッド、ところどころにアメリカンな明るさが漂う作品ということで、考えたらこのアルバムの3年前にリリースされたアランのサードで、文字通り『The American Album』とほとんど同じ路線といっていいと思います。ん?ならば何故にわざわざバンドを組んだのか?と思わんこともないですが、アランの中でいろいろあったんでしょう。個人的には彼のアルバムはここまでしか聴いたことがないですが、初期4枚はどれもすばらしいです。2010年代後半までコンスタントに新作をリリースし続けているという息の長い活動を続けています。

 

アイルランド北部デリー出身のパンク・バンド、アンダートーンズのデビュー作で、UKオリジナル盤です。元々はメンバーのモノクロ写真を使った違うジャケでリリースされたんですが、シングル・ヒットした“Teenage kicks”と“Get Over You”を加えて約半年後に、このザ・フーの『My Generation』風ジャケで出し直されたレコです。その追加された2曲がともに大変すんばらしい楽曲なので、厳密にはオリジナル1stアルバムではないものの、こちらの方が内容的に強力なのは違いないです。実はワシ、こっちはアメリカ盤で出し直されたやつだと勘違いしておりましたが、イギリス盤でも出てたんですね。メンバーたちのお気に入りでもあるラモーンズとバズコックスのような、ポップなメロディを得意とするパンクロックが好きなら、めっちゃオススメのバンドです。当時は82年くらいだったかにリリースされた4枚目の『The Sin Of Pride』で、思いっきり当時流行りのブリティッシュ・ソウル路線に日和ってしまい、おそらくですが、それまでのファンも離れていき、新しいファンもつかなかった結果、見事にコケてしまい解散してしまったちゅうのが実情だと思います。結局のところ、カルチャー・クラブやスタイル・カウンシルやワム!には遠く及ばんかったと… しかし!3枚目まではヒジョーにすばらしいんすわ。これホント。80年前後のパンク/ニュー・ウェイヴの作品には名盤がたくさんありますが、アンダートーンズの初期3枚も間違いなく名盤やと思います。個人的には次のセカンド『Hypnotised』(邦題:僕のいとこはパーフェクト)が彼らの最高傑作だと思ってます。しかしこういうパンク/ニュー・ウェイヴ系のUKオリジナル盤も最近じわじわと高騰してきましたなあ。

 

1990年に英国の再発専門レーベル、シー・フォー・マイルズから出たEP集です。デビューから68年までにリリースされた5種類のEP収録曲がたぶん全て入っていて、オリジナル・アルバム未収曲も含まれていると思います。なんと片面10曲、計20曲も収録されています。20曲っちゅうことは4曲入りのEPが5枚分入っているのかというと、実はB面1曲目の“Turquoise”だけが普通の7インチ・シングルからでした。同じスコットランドのフォーク・シーン出身ということで、あのバート・ヤンシュと親交があったようで、バートの曲を2曲カヴァーしています(“Oh Deed I Do”と“Do You Hear Me Now”)。ただ“Oh Deed I Do”はバートがレコーディングすることはなかったそうです。バートによれば、ドノヴァンの2人組のマネージャーがかなりのやり手だったようで、先の2曲をドノヴァンがカヴァーするための出版契約にいわれるがままにサインしたところ、バートには印税が一銭も入ってこなかったそうです。ここにも収録されている“Hurdy Gurdy Man”はドノヴァンによれば、ロバート・プラント以外のツェッペリンのメンバーが参加したそうなんですが、実はベースのジョン・ポール・ジョーンズによれば、ドラマーはジョン・ボーナムではなく、セッション・ドラマーのクレム・カッティーニちゅうのが真相らしいです。67年にはビートルズにくっついてインドに行ったり、最近では60年代当時のことで、ああだこうだと自画自賛弁当持参しとるんですわ。ど~もこの人には胡散臭さがつきまとうっちゅうか、そういうのがヒッピー自体の胡散臭さにもつながる一因にもなっているような気がせんでもないです。まあしょせん音楽業界というか興行の世界はそういう側面がつきものですから。音楽自体はすばらしいので目をつぶろうと思います。いいのかそれで。

 

1988年に英Demon Recordsから出たサザン・ソウルの名門レーベル、‘ハイ’のコンピレーション盤です。たしか同時期だったと思いますが、同じDemonから初期ハイの『The R&B Sessions』というレコが同じようなデザインで出てましたから、これはそれの第2弾みたいなものっす。収録アーチストはアル・グリーン、シル・ジョンソン、OVライト、ボボ・ミスター・ソウル、ウィリー・ミッチェル、クワイエット・エレガンス、オーティス・クレイ、アン・ピーブルズ、フィリップ・ミッチェル、マスカレイダーズ、ジョイント・ヴェンチャー、そしてジョージ・ジャクソンです。‘ソウル・イヤーズ’というあまりに当たり前なタイトルだけではこのレコのコンセプトが全く分かりませんが、おそらく個々のアーチストのオリジナル・アルバム未収のシングルやそのB面などのレア・トラックをメインに集めたものやと思います。69年~76年ちゅうハイ全盛期ど真ん中ということで本当に全曲すんばらしいです。なぜかシル・ジョンソンの“Back For A Taste Of Your Love”、オーティス・クレイの“Trying To Live My Life Without You”、アン・ピーブルズの“I’ve Been There Before”など、どこでも聴けるただの代表曲やんけ!てのも入ってますが、これは何のためですかね?単なる客寄せか?特に当時シングルのみでアルバムを出さなかったクワイエット・エレガンスの2曲と、ジョージ・ジャクソンの2曲が貴重です。謎なのが女性ヴォーカルと男性コーラスのグループと思われるジョイント・ヴェンチャーで、これがまためちゃめちゃカッコいい!それではトラック・リストです。

 

SIDE ONE

1. AL GREEN - Strong As Death (Sweet As Love)

2. SYL JOHNSON - Back For A Taste Of Your Love

3. O.V. WRIGHT - I Don’t Do Windows

4. BOBO MR. SOUL - She’s My Woman

5. WILLIE MITCHELL - Teenie’s Dream

6. QUIET ELEGANCE - After You

7. QUIET ELEGANCE - You Got My Mind Messed Up

 

SIDE TWO

1. OTIS CLAY - Trying To Live My Life Without You

2. ANN PEEBLES - I’ve Been There Before

3. PHILIP MITCHELL - Turning Over The Ground

4. THE MASQUERADERS - Wake Up Fool

5. JOINT VENTURE - When The Battle Is Over

6. GEORGE JACKSON - Let Them Know You Care

7. GEORGE JACKSON – Aretha, Sing One For Me

 

デトロイト出身のアンダーグラウンド・バンド、ストゥージズのベスト盤です。ベスト盤といっても、最初のエレクトラ・レーベルの2枚『Stooges』と『Fun House』からの抜粋です。73年にイギー&ザ・ストゥージズとして『Raw Power』で復活することになりますが、この2枚で彼らはいったん解散してしまいます。今では同郷のMC5とともに、パンク・ロックの元祖として認知されている偉大なバンドっす。イギー・ポップはおそらくまだ現役のはずですね。相変わらず上半身をさらしながら歌っていると思いますが、さすがに70代後半なので往年のムキムキ体型とはいかず、下っ腹がポコッと出てました。イギーはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルと関係があったり、ドアーズが好みだったり、のちにデヴィッド・ボウイと仲良くなったりと実は繊細な側面も大きかったりして、それは最初の2枚のアルバムでも反映されているんですが、ここでは圧倒的なヴォーカリストとしてのイギーの側面が大きくフィーチャーされています。全曲毒のかたまり、頭にこびりつくリフの反復、そして個人的には『Raw Power』(ガラッと印象の変わったリマスタリング・ヴァージョン含めて)よりもこちらのサウンド・プロダクションの方に軍配が上がります。ほんでこの凶暴なヴォーカルと演奏を聴いていると思い出すのが、これより3年ほど前から存在したアメリカ西海岸のガレージ・バンドのミュージック・マシンです。そのヒット曲“Talk Talk”がまたストゥージズ以上にエグいので、イギーのヴォーカルが好きな人で未聴でしたら絶対的オススメっすね。それでは以下トラック・リストです。“1969”に始まって“1970”で終わる完璧なコンピレーション盤です。ジャケも最高!

 

SIDE 1

1. 1969

2. Real Cool Time

3. No Fun

4. Dirt

 

SIDE 2

1. Down On The Street

2. Loose

3. T.V. Eye

4. I Wanna Be Your Dog

5. 1970

 

現在ジャムのライヴ・アルバムはCD含めるとたくさんの種類が出ていますが、これは解散した82年にリリースされたバンド初のライヴ盤やったと思います。当時は初期のライヴといえば、英国オリジナル・シングルの“The Modern World”のB面に入っていたライヴ音源くらいしかなかったはずですから、一発目の“In The City”でそら興奮したもんです。正直全部初期で固めてほしかったですが、解散に向けての総括的ライヴ盤っちゅうコンセプトだったようで仕方のないところです。所有のこれは数年前に買い直した(またかい)UKオリジナルで、難波の中古レコ屋さんで2000円もしなかったと思います。盤はジャケ真ん中のダイ・カット部分から見えるようにカッチョいいカスタム・レーベルになっています。ほんで裏ジャケが上下フリップ・バック仕様になっていて、これは当時普通の仕様だった国内盤しか知らなかったのでちょいびっくりでした。やはりポール・ウェラーの意向なんでしょうかね?選曲に関しては、おそらくファンからしたら大いに不満の残るところやないかと思います。なんで名作『Setting Sons』からは“Private Hell”1曲のみで、しかも82年版やねん!とか、そもそもB面7曲中、79年の“Standards”除いて全てが82年のライヴなんて、あまりに多すぎるやないか!とか。そんなわけでこれは完全にリアルタイムのジジイ世代向けの思い入れレコであり、ジャムの決定版ライヴといえるのは2015年にリリースされたCD6枚組の『Fire And Skill』でしょうな!おわり