Surf’s-Up -20ページ目

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

かなりの雨模様でしたが、今年初のハーフ。


先日の洞爺湖での反省を生かそうと、前半を抑え気味に、残りの5キロでスパートを、とプランニング。


しかし、序盤は下り坂が続く美瑛では前半を抑えるのが難しい。気が付けばキロ4分を切るペース。


名物「心臓破りの坂」まで温存しようと思っていた体力をかなり使ってしまった。


でも、ペースは思ったほど落ちず、坂以外はキロ4分10秒ペースで走ることができた。


結果は自己ベストに30秒ほど足りなかったが、久しぶりに1時間30分を切ることができた。


そのことで最初は満足だったんだけど、レストランに入り、注文が来るまでの間に悔しさがムクムクとわき上がってきた。


今まで同じ大会では年々タイムを更新することができていたのに・・・って。


確かに今年は体調のせいで練習をあまり積んでいない。致し方ないことだとはわかっていても。


ってことを考えながら帰ってきたんだけど、気が付けば帰宅後家を飛び出していました。


走りに行ったのです。


この余力を使っておけばなぁ。情けない。


体力は下降してるかもしれないけど、向上心は未だメラメラです。

最近の自分といえば


・花粉症がひどい

  下を向けば、鼻水が垂れて来るという有様。仕事してる時間より、鼻をかんでいる時間の方が長いかも。イライラの絶頂です。こんな鼻、いらん!!


・貧血が

  定期検査に行ったけど、あまり芳しくない結果。まだまだ経過観察が続きそう。


・それに伴い

  ランニングのタイムも上がってこない。大会近いのに。


・最近のお気に入りは

  ダントツにこれです。


Django Django/Django Django

¥2,239
Amazon.co.jp

何度聞いても飽きないですねぇ。

こればっかり聞いてるから、レビューが進みません(^^;)


Surf’s-Up
 TFCのジェラルド・ラヴ、Lightship名義の初ソロアルバム。ご存じの通り、TFCでもノーマン、レイモンドに負けず劣らず名曲を数多く生み出したソングライターである。で、明らかにいくらでもソロ作を作る力は持っているのに、今まで目立ったソロ活動はしてこなかった。


 しかし今回、満を持して初めてのソロ作品が完成した。レコーディングはTFCの最新作「Shadows」のセッションが終わった後から開始された。そこではプロトゥールを使い、デモを作ったのこと。しかし、そこからバンドでバックトラックを作りたいという気持ちが沸き上がり、ブレンダン・オヘアやボブ・キルデアなどグラスゴー人脈で編成していった。


 そういう自分の思ったことが理想的な形になっていったことで、余裕も生まれたのだろう。このアルバムは良い意味で肩の力が抜けた、そしてジェラルドの音楽に対する誠実さが伝わってくる作品になっている。


 オープニングトラック、Two Linesはメロトロンと思われる幻想的なイントロから、儚げなジェラルドのヴォーカルが淡く溶けていく。TFCでの彼と変わらないと言えば変わらないが、若干サイケデリアへの接近を試みているようにも感じる。2曲目Muddy Riversも完全にTFCにありそうな感じであるが、どことなく非現実的な空気を醸し出している。そういう意味ではこれもまた、ソフト・サイケなテイストのある曲だ。


 Sweetness In Her Spark、Stretching Outといった「TFCのジェラルド」的な曲もしっかりあるのだけど、どこか慎ましげで、やはり儚い。こぼれ落ちそうな音の滴を、こぼさぬように丁寧にすくい取っているようなサウンド・プロダクション。そんな表現をしたくなるような、きらめく美しさがこのアルバムにはある。TFCと比べるとギターサウンドはやや後退し、代わりに管楽器(特にフルート)やシンセがキーサウンドとなっている。ジェラルドの紡ぐ職人的メロディーとは非常に相性が良く、極上のメロウへと昇華させている。


 最初に聴いたときから「素晴らしい」と確信を持ったけど、聴けば聴くほど味わいの広がるアルバムである。同時に時と場所を選ぶことのないアルバムだとも思う。ジャケット緑ですから。エヴァーグリーンとはこのことでしょう。


 ★★★★☆(28/05/12)






走ってきました洞爺湖マラソン。


昨年は雨による土砂崩れで、まさかの20km短縮。


しかし今年は、無事に開催。


朝は涼しかったけど、10km過ぎあたりから日差しが強くなって暑かった。


ペースはキロ5分にして抑えめで行こうと思っていたのですが


前半は4分45秒くらいでも、なんでもなくて、


「行けるじゃん」と思ったら、大いに甘かった。


30km前にして足がきつくなり


ラストの2kmは6分近くなってしまった。


タイムも3時間35分と実に平凡。


それでも、貧血の関係であまり走れていなかったことを考えると、


自分でも「よくやった」と思う。


もう走れないかも、と思っていたから。


実際、そうなりかけていたし。


こういう時間が、ひょっとすると失われていたのかもしれないと考えると


ぞっとする。


まぁ、とにかくよかった。




とある温泉宿に来ています。

ミスチルコンサートのせいか、ドーム周辺が結構混んでいて、札幌を出るのが遅くなってしまいました。夜に来たので宿をなかなか発見できず、暗い湖に面した道路を何往復もしてしまった。

明日、今年初のマラソンです。しかもいきなりフルです。

貧血がひどくならないように負荷をかけた練習をしなかったので、非常に不安です。

でも、緊張はしていない。完走できればいいや、くらいの気持ちで。

それにしても、温泉宿にいるのにビールも飲めず、とっても寂しい。

そういえば、先日知り合いに「ランニング婚活」ってのがあるぞ、と言われました。余計なお世話だい(>_<)










iPhoneからの投稿

Surf’s-Up
ムーンライダース、35年目のラストアルバム、となるかどうかはわからないけど、活動休止宣言後にリリースされた21作目。日本ロック界のパイオニア的存在であるが、2011年11月11日に突如無期限の活動休止を発表。元々ソロとしてやっていけるだけの力量を持った人たちがそろっているわけで、そういう人たちがこんな風にバンドをやっているって事が僕は素敵なことのように思っていたので、すごく残念である。

 全12曲、メンバーが均等に2曲ずつ書いていて、半分は鈴木慶一選、そして半分は自選という構成になっている。最後と言うことで、公平性を重視したのかもしれないが、これが実に良いバランスを生んでいる。つまりはポップなものから、アヴァンギャルドなサイケまでムーンライダースの音楽性のあらゆる側面を味わうことのできる構成になっている。


 1曲は良明さん作のwho's gonna be reborn first?クールな変拍子と不穏な響きのサックスがねっとりと絡み合う。この、いきなりのぶっ飛び具合。挨拶代わりの1曲としては最高にかっこいい。良明さんのもう一つの曲Masque-Riderは一転して、大人のメランコリアを渋い味わいで聴かせる。


 2曲目無垢なままで、はくじらさんの作品。彼らしいチェンバーポップな1曲。もう1曲の弱気な不良 Part-2はややロックよりかつラーガな感じ。ムーンライダースのエキゾチックな側面は彼が担っている部分が大きいんだと言うことがよくわかる2曲である。


 3曲目Mt.,Kxは慶一さんの曲。ヨーロッパの民謡のような癖のあるメロディーが特徴的だ。もう1曲は、タイトルが慶一さんらしい、主なくとも 梅は咲く ならば (もはや何者でもない)。「主なくとも 梅は咲くならば/いてもいなくても 同じじゃないか」という歌詞が、何か今回の活動休止を指しているような気もするが、その先が決して終わりや暗い情景ではないということを感じさせる1曲だ。


 4曲目ハロー マーニャ小母さん ~Hello Madam Manya~は岡田徹作。軽妙なポップサウンドが彼の作風であるけど、この曲はその中でも白眉の出来だと思う。そして歌詞が素晴らしい。震災後に書き直されたらしいが、現代社会への風刺を忍ばせているあたりはさすがだ。ラストの、蒸気でできたプレイグランド劇場で ~The Vapor Theatre "Playground"~も彼の作品。これまたポップな曲調なんだけど、歌詞はもろに「終わり」の歌。


 5曲目Pain Rainはかしぶち哲朗作のスローナンバー。ジャパネスクな歌詞と切ないメロディーが、壮大に展開していく。そして活動休止発表時に公開されたラスト・ファンファーレも彼の手による曲。鳥が雄々しく孤高に空をどこまでも飛んでいくような、そんなイメージが浮かぶ。壮大なシンフォニック・ナンバーだ。


 6曲目折れた矢は鈴木博文作。ソフト・ロックっぽくて、どこか不条理感をはらんだサウンドである。一方、オカシな救済は肩の力が抜けて、スイート・ソウルなテイストさえ感じさせる。どちらもアルバムの中で異彩を放っている。


 と、勢い余って全曲のことを書いてしまったのは、このアルバムをトータルで計ることがどうしてもできなかったからだ。変な話、メンバー各人の顔がすごく見えるバンドなので、トータル感はどの作品でも薄い。でも、逆に言えば、いつだって「ホワイトアルバム」なのである。それぞれの世界観を、バンドとしてどう料理するのか、または破壊するのか。そういうスリルがムーンライダースにはあった。そのぎりぎりのバランスを保ち続けるのは大変だったろうと思う。またいつか、出会えるという期待も持ちつつ、各々の今後の活動にもまだまだ期待したい。


 ★★★★☆(15/05/12)



Surf’s-Up
 ブルース・スプリングスティーン、3年ぶり通算17作目。

 ズシリと響く四つ打ちドラムミングに、遠雷のようなギター、そしてキラキラなグロッケンのイントロで始まる、リードトラックのWe Take Care Of Our Ownがいち早く公開となり、それを聴いたときは前々作「Magic」、前作「Workin' On The Dreams」から続いてきたスタジアム・ロック的エッセンスを上手くブレンドした、抜けの良いロックンロール・アルバムになるに違いないと確信した。というのもこのWe Take Care~のわかりやすさといったらないからだ。ループなビートにはねるメロディー、一度聴いたら忘れないほどキャッチーなサビ、今のボスは自分のキャリアを振り返る中で、この路線に表現欲求を見いだしているんだなと強く思わせる、そんな1曲だと思ったのだ。


 しかし、その予想は見事に外れた。確かに前作のようなポップさを維持しつつも、グッと骨っぽいサウンドに回帰している。フォークやアイリッシュ・トラッドなど土着的なテイストが強くなった。近作での軽やかに風を吹かせるようなブルースも個人的には好きだが、今作のはまり具合、王道感はとてつもないすごみを感じさせる。


 高校生の頃、The Poguesにはまっていたので、アイリッシュ・トラッド風なナンバーにやはり心惹かれる。


Shackled And Drawn、Death To My Hometownなど、どこか哀愁漂うメロディーとボスの声はよく合う。でも、こういう表現スタイルが取られたのは、単なる相性と言うよりは、ブルースの表現欲求に寄るところが大きい。


 それは、雑誌や本人の言葉からたびたび語られているとおり「怒り」だ。冒頭のWe Take Care~では「俺たちは自分たちでなんとかしなければならない」と、何度も叫ぶ。誰かに救いを求めてもどうにもならない現実が目の前にあるからだ。リーマン・ショックによって浮き彫りになった、社会格差。金持ちが上手く責任逃れを済ませていく中で、貧困層はますます劣化へと進んでいくアメリカ。それは何もアメリカに限ったことではないが、そんな現状を一個人の怒りとして表現しようとしたら自然とこういう骨太なスタイルに行き着いたのだろうと思う。


 個人的に着目したいのは、元々メロディーセンスに定評のあるブルースであるが、齢60を超えてなお、円熟と進化を見せていることだ。これだけ「怒り」のアルバムと呼ばれているにもかかわらず、聞き終わった後に重々しさを残さないのは、根幹である「良い曲を書く」という課題をクリアしているからだと思う。例えば、祈りとも悟りとも取れるようなシンプルな言葉を、丁寧に紡いでいるRocky Ground。サンプリングや女性のラップなど異色のナンバーに仕上がっているが、一番耳に残るのは繰り返されるサビの優しげなメロディー。


 以前からステージでは披露されていた、Land Of Hope And Dreamsも今回スタジオ・ヴァージョンを収録。サックスは、あのクラレス・クレモンズ。この曲はE Street Bandと再び組むことになったときに書き下ろされた曲らしいが、僕も大好きな曲だ。「希望と夢の国」なんて、やや青臭いように思われるかもしれないが、勝者だろうが敗者だろうか、善人だろうが悪人だろうが、全ての人を乗せて列車を走らせてやるとブルースに歌われると、やっぱりたまらない。


 トータルで見ると、ブルースのルーツ的なもの、クラシカルなスタイルのものに加えて、新しいスタイルにも挑戦しているといった感で、人によっては詰め込み過ぎと思われるかもしれない。しかし、音楽のプリミティヴな力強さが未だ失われていないことを感じるには、これくらいやってるほうがダイレクトに伝わるような気がする。


 ★★★★(13/05/12)







Surf’s-Up
 ジェイムス・イハ、14年ぶりのセカンド。ファーストをリリースした頃は、まだスマパンのギタリストとして活動していたのだけど、ファーストのライナーノーツでは、ツアーやレコーディングで毎日のようにディストーション・ギターを弾いていると、その反動でプライベートな時間はアンプを通したくなくなるいうような発言をしていた。それを読んでとても納得したのを覚えている。


 隠れた名盤と言われるファーストであるが、個人的にはそれほど聞き込んだというわけではない。流麗なアコギの調べと、イハの頼りなげな歌はそれなりに好みではあったが、ちょっとまとまりすぎのような気もした。


 で、スマパン脱退後はティンテッド・ウィンドウズやパーフェクト・サークルなどでギターを弾いていたものの、さほど目立った活動をしていなかったように見える。シンガーソング・ライターとして確かな力を持ちながらも、この長き空白の時があのファーストは偶然の産物だったのかと思わせるようになった。


 そこでいきなりの新作リリース。オープニングのMake Believeの朴訥としたアコギのイントロを聴くと、確かに14年前にタイプスリップするような気持ちになる。変わっていない、と一瞬思う。しかし、聞き込んでいくうちにそうではないことがわかる。


 ギタリストらしく、ギターとの相性の良いグッドメロディーを基調にするという所は変わらなくても、表現スタイルは驚くほど多彩になっている。そして、深みを増している。浮遊するシンセ音に柔らかなメロディーが展開していくチルウェイヴっぽいSummer Days、ニュー・ウェーヴの影響を感じさせるTo Who Knows Where、ブルースやジャズの香りを漂わせるAppetiteなど、振れ幅の大きいサウンドに挑戦しているが、アルバムのトータル感を損なうことなく、前作よりもずっとイハという「人間」が感じられる作品になっている。


 今はディストーション・ギターへの反動という所ではなくて、もっと素直なポジションで音楽に取り組んでいるように見える。そういうニュートラルな気持ちで表現していることが彼の音楽性をさらなる開放へと導いたのではないだろうか。Geminiでは思いっきりオーバードライブなギターが炸裂しているし、アコースティックなサウンドへのこだわりがない方が、彼のポテンシャルを測り知るには良いと思う。


 個人的には「ヨルダン・ザ・カムバック」、「アンドロメダ・ハイツ」期のPrefab Sproutに近いものを感じる。星屑をつかみ取れるところに居るんじゃないかっていうような、澄んだ世界に息づく音楽。前作同様に長く愛される名盤になるかどうかはわからないが、今作の方が僕はずっと好きである。


 ★★★★(10/05/12)








Surf’s-Up ノルウェー出身の男女混合6人組バンド,Team Meのファーストアルバム。中心人物のマリウスが、コンテストの最終選考でライブをやるために友人達に声をかけて即席のバンドを組んだところからスタートしたというユニークな経歴を持つバンドである。


 昔から感じているのだが、北欧や日本などロック・シーンのメインストリームから少し離れた地で活動しているバンドの中には、良い意味で音楽性の縛りが少ない。ピッチフォークに低い点数を付けられることもないから、臆面なく好きなものをまんまやれてしまう土壌がある。Team Meもそんな中で、自分たちの音楽性を育んでいったと思うが、彼らはアルバム前にリリースしたEPを世界中で売りまくった。そういう意味ではリスナーに正当に評価されているバンドである。


 北欧らしい、美しくてぬくもりのあるメロディーにスケールの大きいサウンドスケープという音楽性はアーケイド・ファイア、がむしゃら感あふれたポップネスはロス・キャンペシーノスあたりが引き合いに出されているが、一つの音楽性にとどまらない多様性をこのバンドは持っている。


 いきなり8分超えのRiding My Bicycle (From Ragnvalsbekken To Sørkedalen)でアルバムは幕を開ける。重厚なビートとハンドクラップ、聖歌隊のようなコーラスとインパクトも十分。確かに降り注ぐような多幸感はアーケイド・ファイアに通じるものがあるかもしれないが、僕はむしろ同じ北欧はデンマークのMewが描いているような、陶酔的な音世界を彼らも作り出そうとしているように感じる。


 そのせいか、サウンドスケープがめまぐるしく変わる、サイケデリック・ポップ調の曲も多く見受けられる。ただ、アニコレほど振り切れたものにはなっていないし、ドラッギーな感覚もあまりない。でも、メロディーが親しみやすいものばかりなので、むしろそこに重心をかけすぎないようにしたことが、結果的に彼らの魅力をよりアピールできる結果につながっていると思う。


 個人的ハイライトは壮大なスケールのWeathervanes And Chemicals泣きのメロディーにトライバルなビートが徐々に展開していくFool,Dear Sisterの中盤の3曲の流れ。今後格段の成長を見せたり、大化けするような感はないが、安定感は十分。このキラキラしたポップネス、いつまでも失わずに!


★★★★(09/05/12)








Surf’s-Up
 米ミネソタ州、ミネアポリス出身の5人組ロックバンド、Howlerのデビューアルバム。メンバー全員20歳そこそこながら、ラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが即契約にこぎ着けた、という事実だけで自分は買ってしまった。今年の新人勢の中でもかなりの注目株のようだが、今年のフジロックにも参戦ということで、どんなライブをやるのか今から楽しみである。


 音楽性はざっくり言ってしまうと、ガレージかつサーフなギターロック。そんなバンド、掃いて捨てるほど居るんだけど、サウンドはほぼ全曲ギター中心に展開されていて、確かにここまで正面切ってギターロックをやっているバンドも今では珍しい。


 オープニングはもろガレージ・サーフなBeach Sluts。サビへの傾れ込み方がリバを彷彿とさせる。続くBack To The Graveは暗黒世界のBeach Boysのよう。ノイジーなギターと清涼感のあるメロディーがぎりぎりのバランスを保っている。デビューシングルである、イントロのギターリフがクラシカルなかっこよさを見せるThis One's Differentはやはり出色の出来。クールに風を切っていくような、疾走感が心地よい・・・


 Deerhunterのブラッドフォード・コックスをちょっとポップ目にしたようなヴォーカルと天衣無縫なメロディーライン、遮二無二かき鳴らされるギターサウンドは実に相性が良い。よくストロークスあたりが引き合いに出されているようだけど、個人的には最近のWAVVESに近いものを感じる。キャッチーなメロディーをラフに、ノイジーにやりきることで、できるだけギターロックのダイナミズムを増幅させようとする姿勢がかいま見られるからだ。


 おそらく90,00代の豊穣なインディー・ロックにたくさんふれる機会があったのだろう。それほどバンドの個性を強調せず、自分たちが親しんできたロックを純粋培養したような素直なアレンジの曲が多いように感じる。でもそれが凡庸に写らないのは、メロディーが実に良くできているからだ。キャッチーという点では十分合格点を与えられる。同年代のインディー・ロック・ファンだけでなく、幅広い層にアピールできるだけの魅力を持っている。


 惜しむらくは、アルバムを通すとやや一本調子な感があるところか。The Drumsは表現のテーマの幅を広げることで、同じ1stでその点をクリアすることができたが、Howlerは強烈な個性を打ち出していない分、そこが弱い。


そこは次作に期待。絶対にセカンドを出して欲しい。


 ★★★★(07/05/12)