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Q 決算から半年後に大口の顧客がなくなる可能性があり、定時株主総会で半年後から役員給与を減額する

Q 決算から半年後に大口の顧客がなくなる可能性があり、定時株主総会で半年後から役員給与を減額する決議をしました。この場合、役員給与全額を損金計上することは可能でしょうか?


 定期同額給与の要件として、「改定前の各支給時期と改定後の各支給時期における支給額が同額である」というものがあります。

 以下、決算期が9月で、定時株主総会が11月25日に行われたと仮定して説明します。
 今回の件では、11月25日の定時株主総会で4月から役員給与を減額する決議をしたことになります。上記の要件を満たすためには、11月25日以後に最初にくる給与支給日で改定されることが要件となっているため、定期同額給与に該当しません。
 そのため、10月から3月まで支払われた給与のうち4月以降支払う給与との差額が損金不算入となってしまいます。

 定時株主総会で決定するのではなく、なくなる事実が決定した後に臨時株主総会を開催し、役員給与の減額を決定することも可能です。
 しかし、定期同額給与として認められるのは、「経営が著しく悪化したことその他これに類する理由」がある場合に限られており、要件が非常に厳しいものになっております。そのため、否認される可能性もあり、否認されれば上記で述べた結果と同じように損金不算入となってしまいます。
 ただし、「経営が著しく悪化したことその他これに類する理由」が具体的にどのような場合かは法令には明示されておらず、税務署の判断となるため、事前に問い合わせるなり、調査でしっかり説明ができるように根拠を持っておくなりの対応が必要となります。

 事を安全に進めたいのであれば、定時株主総会後の最初の支給日から変更をするか、「経営が著しく悪化したことその他これに類する理由」の根拠を持って減額決定するべきでしょう。

Q 退職時に消化しきれなかった年休を買い上げることにしました。この場合、税金はどのようになるので

Q 退職時に消化しきれなかった年休を買い上げることにしました。この場合、税金はどのようになるのでしょうか?


 まず、年休の買い上げの所得がどの所得になるかが問題です。

 退職することによって発生していることから考えますと、退職所得になる可能性が高いです。
 そこで、退職所得になるかどうかですが、判例によると次の要件を満たせば退職所得となるようです。

 1.退職によってはじめて給付されること
 2.従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること
 3.一時金として支払われること

 今回の年休の買い上げについては、上記の3つの要件を満たすことから退職所得になると考えられます。

 支給する金額によりますが、よほど高額なものにはならないと考えられるため、ほとんどの場合は源泉徴収する必要はないと考えられます。

Q 不動産を取得し、その不動産を賃貸しています。不動産所得を計算する際、この不動産の登記費用は必

Q 不動産を取得し、その不動産を賃貸しています。不動産所得を計算する際、この不動産の登記費用は必要経費になるのでしょうか?


 登記費用については、以前は必要経費に算入することができなかったのですが、平成17年に所得税基本通達37-5が一部改正されたことにより、登記費用の必要経費算入が認められることになりました。
 不動産の取得の方法については売買による取得だけでなく、相続、遺贈又は贈与によって取得した場合についても同様に必要経費に算入することができます。
 
 建物等のように減価償却資産になるものについては注意が必要です。
 登記費用を取得費に含めた場合は減価償却で費用計上されるため、登記費用を必要経費にすることはできません。しかし、取得費に含めない場合は、必要経費に算入することができます。
 つまり、取得費として減価償却の対象にするのか必要経費として計上するのか選択できることになります(所得税基本通達49-3(2))

【国税庁HPより】
(固定資産税等の必要経費算入)
37-5 業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭51直所3-1、直法6-1、直資3-1、平5課所4-1、平17課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113改正)

(注)
1 上記の業務の用に供される資産には、相続、遺贈又は贈与により取得した資産を含むものとする。

Q 私は63歳で年間約80万円の公的年金をもらっています。それ以外に給料をもらっていますが、確定

Q 私は63歳で年間約80万円の公的年金をもらっています。それ以外に給料をもらっていますが、確定申告は必要でしょうか?


 上のQにありますように、年金で源泉徴収されている場合には確定申告をすることによって税額の精算を行うことになります。
 ただし、源泉徴収されていない場合は、年金額によっては確定申告をする必要はありません。

 1箇所から給与の支払いを受けている人で、給与所得、退職所得以外の所得が20万円以下の人は確定申告をする必要はありません。
 今回の場合でいいますと、公的年金は雑所得にあたります。また、公的年金は公的年金等控除額があります。63歳で80万円ですと、控除額が70万円あり、雑所得が10万円となります。ですから、年間20万円以下の雑所得となるため確定申告の必要はありません。

 公的年金等控除額についてはタックスアンサーをご覧ください。

Q オーナー社長からの借入金を放棄する方法と資本に振り替える方法があると聞きました。どのような違

Q 当社は財務状況が悪く、改善を図りたいと思っています。その方法として、オーナー社長からの借入金を放棄する方法と資本に振り替える方法があると聞きました。どのような違いがあるのでしょうか?


 借入金の放棄と資本への振り替えでは税務上の取扱いが大きく違ってきます。

 借入金の放棄の場合、放棄した金額分だけ債務免除益が計上されるため、この部分については当然に課税されてしまいます。しかし、財務状況が悪いということですので、繰越欠損金の範囲内で放棄するのであれば実質課税されることはなくなります。

 資本への振り替えの場合、税務上課税されることはありません。ただし、債権の現物出資をすることによって資本を増やす形になるため、500万円超の振り替えをする場合は弁護士等の専門家の証明が必要になるため余計なコストがかかることになります。

 どちらの方法をとるにしても自己資本比率は上がり、財務状況は改善されます。
 どちらの方法をとるかは、会社の財務状況を考えると、振り替える金額や繰越欠損金の額などを考えて、より資金の流出の少ないほうをとるべきだと思います。
 
 ただし、当たり前のことではありますが、数字上改善されるだけで、実質は何も変わりません。
 売上を伸ばす、コスト下げるなどの方策を考え、利益を生む体質にしなければ意味がありません。
 見た目上の財務指標の改善よりも、会社経営の中身を根本的に見直すことのほうが得策だと思います。