******研修医MASAYA******

医学生をテーマにした小説

登場人物、名称等は全て架空ですので、偶然にも同じ名称がありましても、本小説とはいっさい関係がありません。


第一話は

http://ameblo.jp/supergauss/page-35.html

ここから始まります

Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

研修医MASAYA

小学校に入学したばかりの丈太郎は、天気の良い日曜日には、いつも一人で近くのボート池へ遊びに出かけた。ボート乗り場には木造りの桟橋があり、腹這いになり板の隙間から水中をのぞき込むと、透き通った水の中にタナゴやオイカワなどいろいろな魚が群れをなして泳ぐのを見ることができた。昆虫や魚や植物が大好きな丈太郎にはとっておきの秘密の観察場所だった。 ある日曜日、いつものように魚を観察していると、近くで魚取りをしている上級生の声が聞こえた。池の縁の浅いところに降り、杭木が縦に並べられた土止めの間に手を入れて魚を捕っている。自分もあんな風にすれば魚を手で捕らえることができるのではないかと思った丈太郎は、上級生達が立ち去ったあと、杭に捕まりながら水の中に足をおろした。そこは砂地で心地よい感触が足の裏に伝わってくる。わくわくする気持ちで杭と杭との隙間に手を差し込んだ。小魚が手にぶつかってくるが捕らえることができない。魚取りに夢中になっているうちに、足下の砂が崩れ突然目の前が真っ青になり、きらきら光る波がとてもきれいに見えている。泳ぐことのできない丈太郎は手足を動かしたが体は沈んでいく。しかし不思議なことに丈太郎は怖いと感じなかった。万華鏡を覗いているような美しい世界が丈太郎の心を捉えた。(どうしたんだろう?)まだ幼い丈太郎には何が自分の身に起きたのか解らなかった。


「コード・ブルー、コード・ブルー521、コード・ブルー、コード・ブルー521」突然、院内放送が聞こえた。遅い昼食を医局で済まし、ソファーに横になり一休みしていた丈太郎は、はっと目が覚め、急いで5階の21号室に走った。丈太郎が部屋に着くとすでに5,6人の研修医と指導医がドア越しに中を覗いている。丈太郎も覗いてみると、同僚の川口が挿管をしようとしていた。患者は90歳の心不全のある肺炎のお婆さん。すでに心停止になっている。この病院では、一番はじめに駆けつけた研修医が挿管をさせてもらえることになっている。傍らに立つ指導医から手順や挿管のコツを伝授されながら挿管実践の権利が与えられる。そんな訳で「コード・ブルー」の放送が入ると、手の空いた医師は全員駆けつけた。とくに研修医にとっては挿管の練習をさせてもらう良いチャンスなので、急いで駆けつけるのが常だった。無事に蘇生に成功すると、みな忙しそうに自分の仕事に戻っていった。 丈太郎はうらやましそうに川口の挿管するのを見ていた。自分も一番に駆けつけ挿管を実際に経験したかったのだ。挿管練習はすでに外科手術見学の時に、静脈麻酔で意識を落としてある患者で、麻酔医から左手に持ったスタイレットに沿って、声門を目で確認しながらチューブを挿入することを教えられた。麻酔が掛かっているので筋肉の緊張も無く簡単に挿管できた。しかし救急の場合ではそれほど簡単でないことを、同僚が苦労しながら挿管する姿を見ていたのである程度は解っているつもりだったが、やはり実践でないと本当のことは解らないと常々思っていた。(こんどこそ一番乗りでやらせてもらおう)と心の中で呟いた。

源 義経 (その三) (小説部屋投稿小説)

その後の牛若は源義経と名を改め、奥州平泉へと下り奥州藤原秀衡のところに身を隠していた。
兄頼朝が平家打倒の兵を挙げると、いち早く兄の頼朝のところに馳せ参じ、共に平氏を討つことを約束した。
一ノ谷の戦いの功績にて、後白河法皇は義経を左衛門少尉と検非違使少尉(判官)に任官し、従五位下の地位を与え院への昇殿を許した。
一ノ谷の戦いに勝利をおさめた義経は、京の町中を馬に乗り凱旋した。
京の町は、義経の姿を一目見ようと朱雀大路は黒山の人だかりになった。
人だかりの中、自分を見つめる一人の女に気づいたが、すぐにその姿は人混みの中に消えてしまった。その後暫くして、河越太郎重頼の娘(郷御前)と結婚した。


ある年、日照り続きで農作物が実らず、飢饉になるのも時間の問題であった。
そこで、後白河法皇は神泉苑にて雨乞いをしていた。
義経もその席に招かれた。
後白河法皇は100人の僧に読経させたが全く効果がない。
そこで100人の容顔美麗な白拍子に舞わせ雨を祈らせた。
99人まで舞わせたが効験がなかった。
しかし水干姿の静(静御前)が舞ったところ、たちまち黒雲が現れ3日間雨が降り続いた。
(美しいおなごだ、しかし、前にあったことがあるような気が・・・・)
義経はじっと靜の姿を魅せられたように見続けた。
静も舞いながら、義経の顔を微笑みながら見つめる。
二人の目と目が合ったその瞬間、義経は全身を貫くような心地よいしびれを感じた。

後白河法皇に、静を今夜の夜伽にとお願いした。


その夜は、静の舞いの念力で激しい雨が降り続いている。
激しい雨音の中、夜具を前にして二人は互いに顔を合わせて座っている。
義経も静も昔からの知り合いのように、懐かしさを感じながら微笑んでいる。
言葉は交わさないが目と目で会話している。
しばらくそんな状態が続いたのち、義経はしづかに口を開いた。

「静と申したな。以前どこかで会ったことがあるような気がするが・・・」
「ええ、一ノ谷の戦いの後、京の町中をお馬に乗られた凛々しいお姿をお見かけいたしました。」
はっと思い出す
(確かに、あのとき見つめる一人の女がいた・・)
「そうか、京の町中か。あのときの女が静だったのか・・・」

再び無言で見つめ合う。

襟元から眩しいほどに白い肌が見える。
胸の高鳴りを押さえつつ、じっと静の目を見つめる。
静も同じく見つめていた。
無言で静の体を引き寄せる。
静の肩を抱き、目を見ながらそっと唇を重ねると、静はまぶたを閉じ体の力を抜いた。
夜着の襟元より、そっと右手を滑り込ませる。
手に吸い付くような肌と弾力のある乳房が触れる。
静の体が熱くなり、上気した表情でかすかなあえぎ声がもれる。
そっと着物を肩から脱がすとしなやかな雪のように白い上半身が露わになった。
体の奥底から沸き上がる熱い感覚がどんどん膨らんでくる。
自らも着物を脱ぎ、静の体を抱きしめると理性を失ったかのように激しく静を求めた。
・・・・・・・・・・・・・・
一刻あまり経ったであろうか、静は腕の中で目を閉じている。
ふと、静の胸にある、かすかに赤い丸いアザがに目が止まった。
(はて、先ほどまでは無かった・・・)
なにげに自分の胸を見ると、同じようなアザが浮かび上がっている。
(不思議なこともあるものだ・・・)
「しずか」と呼ぶと、静は目を開ける。
「胸にある印はいつからあるのだ?」
静は急いでそのアザを隠した。
「子供の頃のことでございます。ある夜、光る玉を見つけて手にしたところ、金色に輝き胸の中に入ってしまいました。それからというもの心に念じて舞うと願いが叶うようになりました。そして体が温まるとこの印が浮かび上がるようになりました」
「そうか、静にも同じことが起きたのか・・・」
「え!義経様も?」
「そう、不思議なこともあるものだ。二人は前世より、強い絆で結ばれているのだろうか・・・」
静は嬉しそうに頬を自分の胸にあててきた。
そして再び、愛を確かめ合うようにさらに激しく互いを求めた。

源 義経 (その二) (小説部屋投稿小説)

不思議な銀色の玉の力を得た牛若は、その後、僧兵たちの厳しい武術修行にも苦もなくついていけるようになり、ひと月もも経たないうちに、もはや牛若にかなう僧兵は居なくなってしまった。
僧兵達も、牛若のめざましい成長にただ驚くばかりであった。
牛若はこの不思議な玉のことは誰にも話さず秘密にしていた。


十六歳になった牛若は、平清盛の所にいる母常磐御前の様子と平氏の動きを知るために京の町に出ることを決意し、鞍馬寺の東光坊阿闇梨の許しを得て鞍馬山から京の町に下りた。
牛若は、大きな袖のうす紅色の水干、薄紫のササリンドウの模様を染め抜いた袴、さらに薄絹を被り姿で、腰には東光坊阿闇梨から頂いた刀を差した。

町中には、平氏に背く者を見付けては密告する禿童(かぶろ)がそこかしこで見張っているので、昼間は人混みに紛れるように、夜は真夜中過ぎ人の姿のない時を選んで出かけた。
京の都には、大男が明け方まだ暗いうちに刀強盗が出没する噂が流れていた。
その噂話を耳にした牛若は、ひと目見てみたいと思い、明け方まだ暗いうちに五条大橋を静かに笛を奏でながら歩いていた。


望月がまだ西の空に明るく輝いている。
月明かりの下、噂どおり橋の上で長刀(なぎなた)持つ僧兵姿の大男の姿が見える。
近づくと、顔は頬髭で毛むくじゃらで、身のたけは一丈もあろうかと思われる大男。
その横を、何食わぬ顔をして通り抜けようとすると、牛若の腰にある月明かりに照らされ輝いている立派な刀に目を止めた。
「小僧!おぬしの持つ刀を置いてゆけ。さもなくばここを通すわけにはゆかぬ!」
牛若が男を無視して通り抜けようとすると、牛若の胴をめがけて轟音と共に長刀を振り払った。
寸前のところでひらりと宙に舞い、大橋の欄干に舞い降り立った牛若は、再び笛を口に当て静かな曲を奏した。
笛の音は、大男の心だけでなく体さえも釘付けにした。
暫くして我に返った大男は、何度も牛若めがけて大長刀を振り下ろす。
そのたびに、牛若はふわりと舞っては欄干に降り立つ。
一刻ほど続くと、さすがの大男も息が切れてきた。
長刀の手を休めたその瞬間、牛若は、大男の持つ長刀の柄の上に降り立ち、右手に持った扇子で大男の額に一撃を与えた。
一瞬の出来事に、大男は体が動かなくなり、その場に座り込んでしまった。
千本にあと一本のところで悲願成就ならなかった大男は、泣きながら家来にしてくれるよう牛若に懇願した。男の名は「武蔵坊弁慶」。


武蔵坊弁慶は、自分の強さに自惚れていて、藤原秀衡が名馬千匹鎧千匹持っていたことにあやかり、自分は名刀を千振り持ちたいと思いたったが、お金を持っていないので太刀強盗で千振り集めることにして、夜な夜な京の町中を歩き刀を集めていた。
後一本で千本になるという夜、弁慶は五条の天神にお参りし、立派な刀が手にはいるよう願をかけた。そして五条大橋で待っていた。


こうして、牛若は弁慶を家来にして諸国行脚の旅に出た。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>