線路沿いの道 -6ページ目

父の面影

果たして俺は、自分の父を好きだったのだろうか?

今でもよく分からない。


俺が幼いころは、厳格な父だった。

それがどうしたことか、10歳くらいになって

「これからは叱らないことにする」

と、突然の宣言をした。


今でも、その理由は皆目見当がつかない。


死んでしまった父に、いまさら聞くことはできないけれど

そんな話をしておけば良かったな、となぜか思う。


さて、夕食の支度をしよう。

助手席

街へ出かけるときよりも

山の中や、田舎道を走るときのほうが

みほは元気が良い。


野草だとか木だとか

あるいは、畑に咲く花などを見つけて

俺に教えてくれるのだ。


時折、ここで停めて、と云い、

土の上を散策していた。


やがてしばらく走ると

助手席で寝息をたてている。


大事にするべきなのは

そういう毎日だ。

ひとり暮らし

気楽だから、一人の方がいい。

俺は、ずっとそう思っていた。


適当に流れて、流されるまま

気楽のまま、人生を終える。

そういう生き方が似合うと思っていた。


一人暮らしにも慣れている。

自炊とお惣菜を半々程度に

そこそこうまいものを食べて

あとはゲームやパソコンがあれば

長い時間のんびりしていることができた。


誰かに干渉されることは、恐怖だった。

誰にも干渉しない引き換えに、干渉されない自由を

守るタイプの人間だったのだ。


さっき、夕食を食べた。

もちろん、一人で食べた。


それが今は、たまらなく寂しい。