線路沿いの道 -7ページ目

夜の想い

また夜が来る。

生まれてからずっと、夜が好きだった。

だから、夜の仕事をしていたのかも知れない。


酔っ払いが往来する街を

小走りに歩くことは、それほど悪い感じではなかった。

そう、俺は夜が好きだった。


夜が好きな自分を、俺は嫌いだった。

夜は、甘えでもあった。

あり得ない値段で、商売が成立する。

夜の世界に許された、甘えの構造。

その世界にいる自分が、たまらなく嫌いだった。


それらも今は、どうでも良いことか。

おやすみ

おなかがいっぱいになると眠くなる。

まるで子供みたいなところがみほにはある。

それも、かなり激しい。


その日の日課だとか出かける予定でさえも

時には眠気で却下してしまう。


かといって、昼寝ができる性質ではなくて

眠そうな目をこすり、ぼやぼやとしている。


昼寝は案外、俺のほうが得意で

疲れたときはいつでも眠れた。

そして目が覚めると

一日が無駄になった、とみほが嘆いている。


俺は苦笑いして

晩御飯を作ってやるのだ。

湯気の中で

ラーメンやうどんをみほが食べていると

すぐに汁がなくなってしまう。

どうやらスープを先に飲んでしまうのが

癖のようなのだ。


さらにしばらくすると

食べ切れなくて余った麺を

「あげるよ」

と云って、俺のどんぶりに入れる。


すっかり伸びてしまった麺なのだが

黙々と俺は食べる。

「太らせるなよな」

と、笑いながら。


今夜、俺はひとりでうどんを食べた。