戸隠の旅ー忍法資料館、中社参拝
「屋根にヒラリと飛びのる術をマスターしたいな」とか「芸者に変装して悪代官をお風呂に誘う術を会得したいな」などとしゃべりつつ、隣の忍法からくり屋敷へ。忍者姿のスタッフが親切に迎えてくれました。中ではいろいろなからくりをクリアしながら進みます。
民俗館には昔の家具や調度が沢山。歌舞伎俳優の写真を貼った屏風には暮らしを楽しもうとした昔の人の息づかいを感じます。おみやげにちびっこ忍者のタオルを買いました。
宿は戸隠中社近くと思っていましたが実は宝光社近くの間違いでした。次のバスまで一時間あったので中社に参拝。境内のさざれ滝には清浄なパワーを感じました。
夕刻で鳥居脇の灯籠のあかりに心も照らされるようでした。
トランス・アーツ・トーキョー「徳川十五代菓子づくし」
11月9日、神田で催されていたトランス・アーツ・トーキョーの徳川十五代将軍に
ちなんだ和菓子のコーナーを訪れました。
お菓子も歴史も好きなので。実物の模型が展示されていたのは家康の「天下餅」。
三代将軍は「家蜜」
あの綱吉公はもちろん「お犬様人形焼」
個人的においしそうだと思ったのは幼くして世を去った7代将軍家継
の「つぐ世餅」。画像が横でごめんなさい。
このコーナーの後、通りをへだてた向かいにある旧東京電機大学跡の地下の
展示を観ました。大学の建物の解体作業中のクレーンが動いているところを
見ながら入っていきます。なんとなく怪獣に近づくようなふんいき。
展示作品名は「天空の織姫」。
木製のロケットに着物を着たお人形が乗っています。解体作業のがれきも
作品の一部。ちょっと円○プロダクション風のアートでした。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)完結編
ヴァルドン: (メイファンに)メイファンさん、私の知っている限りアンドロメダ座あたりから地球に来る女性には、こちらの主任さんのような、劇団の書類選考に落ちそうな方はあまりみかけないのですが?
メイファン: そうなんです。父の研究室のファイルに入っているアンドロメダ星雲人の女性は皆、ひらひらしたドレスが似合うような感じの、もっとかわいいというか?
ヴァルドン: この国の言葉でいう容姿端麗ですね。
メイファン:それからたいてい大きな宝石のついたヘアーバンドとかペンダントとかステッキとかを持っているんです。
ヴァルドン: それで何か気にいらないことがあると宝石から光を出して攻撃したりしますよね・
メイファン: 私も不思議に思って長岡主任の髪の毛と写真を父に送って分析してもらいました。確かに一般の地球人とちがうところがあるけど、アンドロメダの血は四分の一だけだからルックスはおそらく御祖父さんの方に似てしまったのだろうと父は言っていました。
ヴァルドン: 主任のおばあさんはもっとメリハリのついた体型だったのでしょうか?
たとえばこの方のような。(キミエが置いていった演劇史の本の表紙の女優を見る)
メイファン: 主任は何も超能力はないって言っているけど、社長や部長や課長が主任と話をした後、必ずうなり声をあげて頭を抱えています。
ヴァルドン: 近づく者全てに頭痛を起こさせる―それは超能力かもしれませんな。
キミエ、子機を持って再び登場。
キミエ: それではヴァルドンさん、今日はお疲れ様でした。検討した上で後日、採用かどうかのご連絡をさしあげます。
ヴァルドン: ありがとうございました。
ヴァルドン、テレポーテーションで退場。キミエ、電話をかける。
キミエ:ああもしもし、社長ですか? 今面接終わりました。すごい語学力の持ち主ですね。
それに巨大ヒーローと戦った伯父さんとちがって優しい、いい人です。ただ、やはりうちの客層にはああいう人の接客は向かないのではないでしょうか? お年を召した方も多いので眼から出す光線で本を動かしたり、領収証なんか発行したりしたら腰をぬかしたり、卒倒されてしまう方もいるかもしれません。あの方にはもっといい働き口があるのではないでしょうか。
ナレーション: その夜、ジェレミー・ヴァルドンは祖父のサイラスにメールを送った。
ヴァルドン:(声のみ) 御祖父ちゃん、元気ですか? 今日、面接を一件受けました。もしそこに採用されたら上司になる女性は御祖母さんがアンドロメダ53星雲から来たとのことで我々の立場にも理解があるようでした。ただ短いスカートとか正義の組織のびったりした制服が似合うスラリとしたスタイルとか、ケガをした人に自分のスカーフでさっと手当してあげられる手際の良さを持った女性に対して強烈なコンプレックスを抱えているようで、こういう人の下で働くのは気が進みません。これからも就活がんばります。いつかきっと、御祖父ちゃんを登用してくれたセリカ王国のヒースク王のような人がぼくの実力を認めてくれると信じています。
ナレーション: ジェレミー・ヴァルドンはフォルモサ書房には採用されなかった。しかし藤堂社長の紹介で聖ミカエル大学言語学研究所に迎えられ、現在は民族言語と古代セリカ文字の研究にいそしんでいる。
―とりあえず完―
作中に登場する個人名、団体名はすべて架空のものです。古代文字、演劇史に関する学説も創作です。(筆者)
参考文献
川村花菱 『松井須磨子―芸術座盛衰記』(青蛙房・1968初版・2006新装版)
斎藤美奈子『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』(筑摩書房2001)
渡辺保 『明治演劇史』(講談社・2012)
円谷プロダクション監修『ウルトラヒロインズ』(角川書店・2013)
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その6 アンドロメダの近代演劇史
ヴァルドン:この国の女優第一号といわれる町井すわ子は…アンドロメダから来たのですか?
キミエ:この本を書かれた蓋鍋荷持先生さえご存じありませんわ。すわ子は風邪をこじらせて死んだ恋人の篠村優月の後を追って首つり自殺したとされていますけど…本当は…。
ヴァルドン:自殺ではなく他殺?
キミエ:いわゆる正義のヒーローに殺された後、自殺に見せかけて吊るされたのです。
ヴァルドン: 確かに正義のヒーローにつけねらわれても仕方ないようなところのあった人だったようですね。
キミエ:妻子のある優月と恋に落ちて恩師鶴内黄葉の劇団を脱退しましたし、自分より注目を浴びる女がいると露骨に嫉妬するし―。
ヴァルドン: ずいぶんと強欲で、ファンから差し入れでもらった飲み物や果物を劇場で客に売っていたそうですな。
キミエ:優月が肺炎で亡くなったのもすわ子が彼の容体が悪いと知りながら本妻に奪い返されるのをおそれて病院に入れなかったからだとも言われています。
ヴァルドン:しかし首つり自殺に見せかけて殺すとは正義のヒーローらしくない犯行ですな。
キミエ: 祖母が言うには、その頃はヒーローも人目につかないように正義を行っていたのだそうです。赤や桃色の派手な服を来た白浪五人男気取りの連中が飛び回ったり蹴ったり大っぴらに殺しをするようになったのは、70年代後半かららしいですわ。
ヴァルドン: そういえば江戸時代にはそういう殺しは『なにがし仕事人』という人々が夜分にひっそりと行っていましたね。すわ子の時代にはまだそういう風習があったのでしょう。
キミエ: この国最初の女優がこういうスキャンダラスな強烈な個性の持ち主だったからから、新演劇は多くの観客を呼ぶことができたんです。もし日本で最初の女優がすわ子でなく、正義の組織の女性隊員役が似合うような優しい清純派だったら、この国の演劇の近代化はどうなっていたでしょう。
ヴァルドン: この国の三大舞台女優として尊敬されている方々もすわ子の体当たりな生き方の恩恵を受けているのかもしれませんね。
キミエ:祖母は私に「もしお前が女優になったらアンドロメダ星雲に祈るといい。そうしたらいい役が来るかもしれないから」と言い遺しました。
本の整理をしていたメイファンが驚いてふりむく。
メイファン: え、主任は女優を目指していたんですか?!
キミエ: まあ少女まんがだと私は女優を目指す―はずなんだけどね―劇団研究生募集に願書は送ったけど書類選考で落ちちゃった。
電話が鳴る。メイファンが子機を取る。
メイファン: はいフォルモサ書房です…いつもお世話様でございます。長岡ですか?少々お待ち下さいませ。(キミエに向かって)聖ミカエル大学の大岡先生からお電話ですけど、どうしましょう?
キミエ:出るわ。(ヴァルドンに向かって)ちょっと失礼いたします。店の中の本でもごらんになっていて下さい。(メイファンから子機を受け取って)もしもし、お電話替わりました…。
キミエ、子機を持って退場。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その5 アンドロメダから来た女優?
キミエ: 不思議ですね。地球人の男性がそういうことを口にするとうっとうしく思いますけど、ヴァルドンさんに言われると素直に心に入って来ます。
ヴァルドン、キミエの顔を静かに眺める。
ヴァルドン: 主任さん、あなたはもしや?
キミエ: お察しの通り、私は祖母がアンドロメダ53星雲カタヅケムリナ星の出ですから、いくらか地球外生命体の方の心はわかるつもりですの。
ヴァルドン:やはり異星人の血をお持ちでしたか? おばあ様はやはり地球に侵略しに?
キミエ:たぶん、そうじゃないと思います。
ヴァルドン:それでは、自分の星を滅ぼした怪獣をたおすために飛来なさったとか?
キミエ:そういうんでもないらしいんです。どちらにせよ巨大化して建物を壊したりはしませんでした。ただ五人の男の人生をめちゃめちゃにしました。
ヴァルドン:おばあ様は今もお元気ですか?
キミエ: いいえ、20年前に亡くなりました。
ヴァルドン:私の伯父のようにいわゆる正義のヒーローの手にかかって?
キミエ:いいえ、老衰でした。
ヴァルドン:あなたはおばあ様から何か超能力を受け継いでいますか?
キミエ:いいえ祖母のような力は私には―せいぜい今までに男性を一人、心療内科へ通院させたぐらいかしら?
ヴァルドン:おばあ様は魔法が使える指輪とか、呪文を唱えると変身できるコンパクトなどを形見に遺されましたか?
キミエ:いいえそういう便利な物は何も―でもある秘密を受け継ぎました。
キミエ、立ち上がって演劇書の棚から分厚い本を持ってきて、ヴァルドンに表紙を
見せる。表紙にはクレオパトラに扮した女優の写真がある。
キミエ:(写真の女優を指さして)祖母が亡くなる前に私に言いました。この人は自分と同じ星から来たのだと。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その4 冷え症あるいは接触性皮膚炎
キミエ:なんだかあの業界って男女交際が面倒らしいですわね。この間医学書を買いにいらした来た女性のお客様が昔、地球防衛軍のメディカルセンターで働いていた時、妙に角ばったメガネを持っていた男性に恋して苦労したっておっしゃっておいででしたわ。
メイファン:私もインターンシップに行く前、母からそういう変なメガネを持っていたり、ライオンの顔の指輪をしていたり、寒くもないのにスカーフをしている隊員とは深みにはまらないように言われていました。
キミエ:でもそういう人に限ってイケメンだったりしない?
メイファン:そうなんですよ。だから深みにははまらなきゃいいかなって思って、ライオン指輪の人にはパスタを食べさせてもらった次の日にスカーフしている人と映画に行きました。そしたら父に「お前にはこの仕事は向いていない」って家に連れ戻されました。
キミエ:確かにメイファンみたいにロマンスを渡り歩くタイプには向かないわよね。
メイファン:別に二人とも巨大ヒーローに変身したり、地球を守る使命を背負った人じゃなかったんですけどね。スカーフの人の方はその人のお父さんも昔隊員で、同僚に夏でも冬でも白いスカーフをしていた人がいて、いつもパトロールの時、美人の女性隊員とペアにしてもらっていたんですって。お父さんの話をきいて自分も隊員になれたからまねしてみただけだって。
キミエ:(いじわるそうに)そういう男って自分が手首にケガをした時、ペアの女性隊員が自分のスカーフをはずして包帯がわりにして手当をしてくれても平気だったりするのよね。
ヴァルドン:メイファンさんと映画を観た男は軽薄ですが、そのお父さんの同僚が年中スカーフをしていたのにはやむを得ない事情があったのかもしれません。地球人は私どもに比べて皮膚が弱い。あの手の組織の制服は首が窮屈なデザインの上に柔らかくない素材でできているでしょう。首に接触性皮膚炎ができても不思議ではありません。その人も皮膚炎対策にスカーフをつけていたか、元気そうに見えても実は風邪をひきやすい体質で首をあたためている必要があったのかもしれません。冷え症体質はすべて女性とは限らないのです。
キミエ:もしそうなら自分のスカーフはつけたままで、同僚のスカーフでケガの手当をしてもらっていても、一概には責められないのですね。
ヴァルドン: そういう事情があるのかもしれないと考えもせず、「男女の役割の押しつけだ」とか「自分のケガぐらい自分のスカーフで手当てしなさい」などと言うのはいかがなものかと―。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その3 女性隊員のインターンシップ
メイファン:もしかして淡星山遺跡から発掘された眼の飛び出た青銅の像のモデルはヴァルドンさんの星の方ですか?
ヴァルドン: 地球人の方によくそうきかれるんですけど、うちの一族じゃないんです。
メイファン: (残念そうに)そうですか? 六年前にあの遺跡が発見されて以来ずっと父が研究しているんです。あの文明を地球にもたらしたのは宇宙人じゃないかって?
キミエ:メイファンのお父さんは栄河大学の宇宙生物学部の教授ですの。
ヴァルドン:もしやあのリー・シャンヤン博士のお嬢様でいらっしゃいますか?
メイファン:そうです。父をご存知ですか?
ヴァルドン:お目にかかったことはこざいませんが宇宙生物学の世界的権威としてのご高名はかねがね……シャンヤン博士のお嬢様ともあろうお方がほこりくさい本屋で時給の安いアルバイトをなさっていらっしゃるとは……。
キミエ: そうなんですの。お客様も皆不思議がりますのよ。宇宙生物学とか宇宙工学の博士の娘さんっていうのはよく地球防衛軍系の組織で通信係とか保健係とかしてますよね。(いくらか意地悪そうに)ああいう業界って女子は縁故就職が多いんですよね。
メイファン:私も日本に留学する前、インターンシップで有害巨大獣攻撃隊の北部中国支部に入ったことがありますけど。
キミエ:え、ああいう仕事のインターンシップってあるんだ。
メイファン:でも失敗しちゃって。隊員の一人がフィアンセを連れて隊長にあいさつしているところにプーアール茶を出したら、そのフィアンセ、プーアール茶のにおいが苦手でせきこんじゃって。
ヴァルドン:あのにおいは好き嫌いがありますからね。
メイファン:で私あわててドジってレーダーの機械の上にお茶のポットをひっくり返しちゃって……。
ヴァルドン:それは大騒ぎになったでしょう。
メイファン:しかもプーアール茶をぶっかけられたショックで隊員のフィアンセの正体がメルロン星人だったことがわかってしまって。
キミエ:それって御手柄なんじゃないの?
メイファン:ちがうんです。その隊員は彼女がメルロン星人だってわかっていてもやっぱり好きで一緒になりたかったんです。
もらい泣きするヴァルドン。
ヴァルドン:そんな優しい男性にめぐりあえたメルロンガールがうらやましい……いつも我々が地球人に姿を変えて地球防衛軍関係者とデートをすると、基地を破壊したり新型兵器の設計図を盗むのが目的だって決めつけられますから。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その2 ヴァルドン星人驚異の知性
ヴァルドン宇宙人:あの時テレビに映ったのは私の伯父のトマスです。今では私たちが侵略しなくても地球が危なくなってしまいました。
キミエ:本当、M○○とかT▽▽とかウ○ト×警備隊とか、それで足らなきゃ巨大ヒーローにに平和を守ってもらえた頃がなつかしいですね―(履歴書を読んで)、人目につきやすいルックスではなく、知性と教養を生かせる仕事につきたいとは立派な志ですね。それからずいぶん語学が御出来になりますのね。英語に中国語、韓国語ばかりかイタリア語にフランス語にロシア語にモンゴル語にチベット語も……。
ヴァルドン、視線を本棚に向け、眼から光線を出す。本棚に並んでいる本の一冊がひとりでに抜けて、ヴァルドンの手元に飛んできてテーブルの上で開く。キミエとメイファン、眼を
まるくして驚く。
ヴァルドン:はさみ状の手で、店頭の仕事ができるかどうかと思っておられるでしょうが、このように目から出す光線で物を動かすことができます。レジやコンピューターは眉間から出す光線で操作できますから。ペンを操作して領収書だって書きます。
ヴァルドン(本を開いて眺める)
ヴァルドン:ほう、これはカマシ族に伝わる人生訓ですな。「男も女も美を保ちたくば欲をつつしむべし」
キミエ:カマシ文字もお読みになれるんですか!?
メイファン:世界でカマシ文字が読めるのは日本じゃアセダ大学の松山先生だけだし、世界でも他にアメリカのハンバート大学のクリステル教授とイギリスのアップスコード大学のベイマー教授だけのはず。
ヴァルドン、本棚のやや大型の本が並んでいる一角に目からでる光線をあてる。すると
一冊の本がそこから抜けてヴァルドンの手元に飛んできて開く。中には古代文書の大きなカラー写真。
ヴァルドン: ひとときの祭りによりて民のまことの幸せは得られず……。
キミエ: そ、それは古代セリカ文字…何世紀も解読されなかったのを、去年亡くなった文化功労者の石田奈津男先生が生涯をかけて研究してやっと―。
ヴァルドン: もともとセリカ文字を制定したのはセリカ帝国の二代皇帝に登用されていた私の祖父のサイラスです。石田先生のグループも我々一族に相談してくれたらよかったのですが。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その1
登場人物 長岡キミエ フォルモサ書房店売主任:37歳
リー・メイファン アルバイトの中国人留学生 25歳
ジェレミー・ヴァルドン:ヴァルドン星からきた宇宙人 年齢不詳
藤堂社長(声のみ)70歳前後
ナレーション: 今は昔、もう少し景気がよかったころのこと―アジアからの輸入書を扱うフォルモサ書房の看板娘、留学生のリー・メイファンが修士論文と就活のためにでアルバイトを退職することになった。
フォルモサ書房店内、背景に高い本棚、その手前にカウンター中央にテーブルと椅子が二つ。テーブルの上には本のかたまりがあり、メイファンがはたきを片手に本の整理をしている。キミエはテーブルでファイルを見ている。
キミエ:あなたのの後任のアルバイト、あちこちに求人出してるけど、ちっとも応募がないわねえ。
メイファン:大変な仕事のわりには、時給900円ってのが安いと思うんですけど。
キミエ:この待遇で週2回働いてくれる人なら宇宙人だってやとうわよ。
電話がなる。
キミエ:(受話器を取って)はいフォルモサ書房です。
社長:もしもし、藤堂だがね。
奈美:おはようございます。
社長:おはよう。アルバイトなんだがね。いま一人、応募者が来てね。面接しました。非常に知能が高い人でね。英語に中国語に韓国語、モンゴル語もチベット語もマスターしているらしい。
キミエ:すごい人ですね。言語学者の卵ですか?おいくつぐらいの方?
社長:年がね~よくわからないんだよ。今、店に向かわせたから、話をしてみてください。
キミエ:年がよくわからないって一体?
電話切れる 受話器を置くキミエ
突然、入り口の自動ドアが開いて茶碗を二つ並べたような大きな眼とハサミ状の手をもつ宇宙人が、履歴書の入った封筒を抱えて現れる。息をのんで凍りつくキミエとメイファン。
宇宙人:はじめまして、ジェレミー・ヴァルドンです。麗華アジア学院の求人広告をみて来ました。
キミエ: は、はじめまして店売主任の長岡キミエと申します。こちらはアルバイトのリー・メイファンです。
メイファン:は、はじめまして・・・。
宇宙人:よろしくお願いします。
キミエ:おかけになって。ちらかってますけど。
キミエと宇宙人、向かいあってすわる。
キミエ:私、あなたが大変有名な方であることは存じ上げておりますのよ。でもあなたがたが地球の侵略に失敗なさった時のお話は知りませんのよ。なにせ2つの時だったもので・・・




