戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その4 冷え症あるいは接触性皮膚炎
キミエ:なんだかあの業界って男女交際が面倒らしいですわね。この間医学書を買いにいらした来た女性のお客様が昔、地球防衛軍のメディカルセンターで働いていた時、妙に角ばったメガネを持っていた男性に恋して苦労したっておっしゃっておいででしたわ。
メイファン:私もインターンシップに行く前、母からそういう変なメガネを持っていたり、ライオンの顔の指輪をしていたり、寒くもないのにスカーフをしている隊員とは深みにはまらないように言われていました。
キミエ:でもそういう人に限ってイケメンだったりしない?
メイファン:そうなんですよ。だから深みにははまらなきゃいいかなって思って、ライオン指輪の人にはパスタを食べさせてもらった次の日にスカーフしている人と映画に行きました。そしたら父に「お前にはこの仕事は向いていない」って家に連れ戻されました。
キミエ:確かにメイファンみたいにロマンスを渡り歩くタイプには向かないわよね。
メイファン:別に二人とも巨大ヒーローに変身したり、地球を守る使命を背負った人じゃなかったんですけどね。スカーフの人の方はその人のお父さんも昔隊員で、同僚に夏でも冬でも白いスカーフをしていた人がいて、いつもパトロールの時、美人の女性隊員とペアにしてもらっていたんですって。お父さんの話をきいて自分も隊員になれたからまねしてみただけだって。
キミエ:(いじわるそうに)そういう男って自分が手首にケガをした時、ペアの女性隊員が自分のスカーフをはずして包帯がわりにして手当をしてくれても平気だったりするのよね。
ヴァルドン:メイファンさんと映画を観た男は軽薄ですが、そのお父さんの同僚が年中スカーフをしていたのにはやむを得ない事情があったのかもしれません。地球人は私どもに比べて皮膚が弱い。あの手の組織の制服は首が窮屈なデザインの上に柔らかくない素材でできているでしょう。首に接触性皮膚炎ができても不思議ではありません。その人も皮膚炎対策にスカーフをつけていたか、元気そうに見えても実は風邪をひきやすい体質で首をあたためている必要があったのかもしれません。冷え症体質はすべて女性とは限らないのです。
キミエ:もしそうなら自分のスカーフはつけたままで、同僚のスカーフでケガの手当をしてもらっていても、一概には責められないのですね。
ヴァルドン: そういう事情があるのかもしれないと考えもせず、「男女の役割の押しつけだ」とか「自分のケガぐらい自分のスカーフで手当てしなさい」などと言うのはいかがなものかと―。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その3 女性隊員のインターンシップ
メイファン:もしかして淡星山遺跡から発掘された眼の飛び出た青銅の像のモデルはヴァルドンさんの星の方ですか?
ヴァルドン: 地球人の方によくそうきかれるんですけど、うちの一族じゃないんです。
メイファン: (残念そうに)そうですか? 六年前にあの遺跡が発見されて以来ずっと父が研究しているんです。あの文明を地球にもたらしたのは宇宙人じゃないかって?
キミエ:メイファンのお父さんは栄河大学の宇宙生物学部の教授ですの。
ヴァルドン:もしやあのリー・シャンヤン博士のお嬢様でいらっしゃいますか?
メイファン:そうです。父をご存知ですか?
ヴァルドン:お目にかかったことはこざいませんが宇宙生物学の世界的権威としてのご高名はかねがね……シャンヤン博士のお嬢様ともあろうお方がほこりくさい本屋で時給の安いアルバイトをなさっていらっしゃるとは……。
キミエ: そうなんですの。お客様も皆不思議がりますのよ。宇宙生物学とか宇宙工学の博士の娘さんっていうのはよく地球防衛軍系の組織で通信係とか保健係とかしてますよね。(いくらか意地悪そうに)ああいう業界って女子は縁故就職が多いんですよね。
メイファン:私も日本に留学する前、インターンシップで有害巨大獣攻撃隊の北部中国支部に入ったことがありますけど。
キミエ:え、ああいう仕事のインターンシップってあるんだ。
メイファン:でも失敗しちゃって。隊員の一人がフィアンセを連れて隊長にあいさつしているところにプーアール茶を出したら、そのフィアンセ、プーアール茶のにおいが苦手でせきこんじゃって。
ヴァルドン:あのにおいは好き嫌いがありますからね。
メイファン:で私あわててドジってレーダーの機械の上にお茶のポットをひっくり返しちゃって……。
ヴァルドン:それは大騒ぎになったでしょう。
メイファン:しかもプーアール茶をぶっかけられたショックで隊員のフィアンセの正体がメルロン星人だったことがわかってしまって。
キミエ:それって御手柄なんじゃないの?
メイファン:ちがうんです。その隊員は彼女がメルロン星人だってわかっていてもやっぱり好きで一緒になりたかったんです。
もらい泣きするヴァルドン。
ヴァルドン:そんな優しい男性にめぐりあえたメルロンガールがうらやましい……いつも我々が地球人に姿を変えて地球防衛軍関係者とデートをすると、基地を破壊したり新型兵器の設計図を盗むのが目的だって決めつけられますから。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その2 ヴァルドン星人驚異の知性
ヴァルドン宇宙人:あの時テレビに映ったのは私の伯父のトマスです。今では私たちが侵略しなくても地球が危なくなってしまいました。
キミエ:本当、M○○とかT▽▽とかウ○ト×警備隊とか、それで足らなきゃ巨大ヒーローにに平和を守ってもらえた頃がなつかしいですね―(履歴書を読んで)、人目につきやすいルックスではなく、知性と教養を生かせる仕事につきたいとは立派な志ですね。それからずいぶん語学が御出来になりますのね。英語に中国語、韓国語ばかりかイタリア語にフランス語にロシア語にモンゴル語にチベット語も……。
ヴァルドン、視線を本棚に向け、眼から光線を出す。本棚に並んでいる本の一冊がひとりでに抜けて、ヴァルドンの手元に飛んできてテーブルの上で開く。キミエとメイファン、眼を
まるくして驚く。
ヴァルドン:はさみ状の手で、店頭の仕事ができるかどうかと思っておられるでしょうが、このように目から出す光線で物を動かすことができます。レジやコンピューターは眉間から出す光線で操作できますから。ペンを操作して領収書だって書きます。
ヴァルドン(本を開いて眺める)
ヴァルドン:ほう、これはカマシ族に伝わる人生訓ですな。「男も女も美を保ちたくば欲をつつしむべし」
キミエ:カマシ文字もお読みになれるんですか!?
メイファン:世界でカマシ文字が読めるのは日本じゃアセダ大学の松山先生だけだし、世界でも他にアメリカのハンバート大学のクリステル教授とイギリスのアップスコード大学のベイマー教授だけのはず。
ヴァルドン、本棚のやや大型の本が並んでいる一角に目からでる光線をあてる。すると
一冊の本がそこから抜けてヴァルドンの手元に飛んできて開く。中には古代文書の大きなカラー写真。
ヴァルドン: ひとときの祭りによりて民のまことの幸せは得られず……。
キミエ: そ、それは古代セリカ文字…何世紀も解読されなかったのを、去年亡くなった文化功労者の石田奈津男先生が生涯をかけて研究してやっと―。
ヴァルドン: もともとセリカ文字を制定したのはセリカ帝国の二代皇帝に登用されていた私の祖父のサイラスです。石田先生のグループも我々一族に相談してくれたらよかったのですが。
戯曲?アルバイトの面接(ウルトラゾーン風)その1
登場人物 長岡キミエ フォルモサ書房店売主任:37歳
リー・メイファン アルバイトの中国人留学生 25歳
ジェレミー・ヴァルドン:ヴァルドン星からきた宇宙人 年齢不詳
藤堂社長(声のみ)70歳前後
ナレーション: 今は昔、もう少し景気がよかったころのこと―アジアからの輸入書を扱うフォルモサ書房の看板娘、留学生のリー・メイファンが修士論文と就活のためにでアルバイトを退職することになった。
フォルモサ書房店内、背景に高い本棚、その手前にカウンター中央にテーブルと椅子が二つ。テーブルの上には本のかたまりがあり、メイファンがはたきを片手に本の整理をしている。キミエはテーブルでファイルを見ている。
キミエ:あなたのの後任のアルバイト、あちこちに求人出してるけど、ちっとも応募がないわねえ。
メイファン:大変な仕事のわりには、時給900円ってのが安いと思うんですけど。
キミエ:この待遇で週2回働いてくれる人なら宇宙人だってやとうわよ。
電話がなる。
キミエ:(受話器を取って)はいフォルモサ書房です。
社長:もしもし、藤堂だがね。
奈美:おはようございます。
社長:おはよう。アルバイトなんだがね。いま一人、応募者が来てね。面接しました。非常に知能が高い人でね。英語に中国語に韓国語、モンゴル語もチベット語もマスターしているらしい。
キミエ:すごい人ですね。言語学者の卵ですか?おいくつぐらいの方?
社長:年がね~よくわからないんだよ。今、店に向かわせたから、話をしてみてください。
キミエ:年がよくわからないって一体?
電話切れる 受話器を置くキミエ
突然、入り口の自動ドアが開いて茶碗を二つ並べたような大きな眼とハサミ状の手をもつ宇宙人が、履歴書の入った封筒を抱えて現れる。息をのんで凍りつくキミエとメイファン。
宇宙人:はじめまして、ジェレミー・ヴァルドンです。麗華アジア学院の求人広告をみて来ました。
キミエ: は、はじめまして店売主任の長岡キミエと申します。こちらはアルバイトのリー・メイファンです。
メイファン:は、はじめまして・・・。
宇宙人:よろしくお願いします。
キミエ:おかけになって。ちらかってますけど。
キミエと宇宙人、向かいあってすわる。
キミエ:私、あなたが大変有名な方であることは存じ上げておりますのよ。でもあなたがたが地球の侵略に失敗なさった時のお話は知りませんのよ。なにせ2つの時だったもので・・・
日中’楊貴妃‘の響演
4月21日、日本橋公会堂で『日中‘楊貴妃’響演』を観ました。
崑劇、京劇、日本舞踊の中に描かれた楊貴妃の悲劇。語り手として登場するのが玄宗皇帝の楽師だったが今は落ちぶれて流浪している李亀年。最初は崑劇からヒロインが皇帝の貴妃に迎えられ、愛を誓い合う「定情」のシーン。その後京劇のポピュラーな演目「貴妃酔酒」。玄宗に酒宴の約束をすっぽかされた楊貴妃がヤケ酒を飲んで酔っ払い、廷臣たちを困らせる色気とユーモアのあるシーン。日本人には中国の古典劇=京劇と思っている人が多いのですが(私もそうだった)京劇は北京の地方劇で、本来中国の演劇の「母」と言われるのは江南地方(長江下流の南岸)に発祥した崑劇なのだそうです。両者の目立ったちがいは劇中音楽の主役の楽器。崑劇はしっとりとしたメロディを奏でる横笛なのに対して京劇はにぎやかな胡弓の響き。
中国の伝統演劇を生で観るのは初めての経験です。必ずしもストーリー全体の上演でなく、場面ごとでも楽しめ、鑑賞できる点が日本の歌舞伎と共通していると感じました。庭園で楽しく歌っている玄宗と楊貴妃に安禄山の反乱軍襲来の報がもたらされる「驚変」の場面は栄華が突然終わり、危機に直面するドラマ。そして楊貴妃の死を描く「埋玉」の場。玄宗の兵士たちが「国を傾けた楊貴妃を殺さなければ皇帝の命令にも従わない」と迫っていると告げられたヒロインは、はじめは嘆き、怯え、ひたすら玄宗にすがって命乞いをします。何だか日本の歌舞伎や浄瑠璃に登場する女性たちに比べて「往生際が悪い」と思いました。ところが玄宗が「貴妃を失って天下を取り戻しても何になるだろう。どんなことをしても楊貴妃を守る」と宣言したことが、逆に楊貴妃の心を目覚めさせ、死に立ち向かう勇気を与えるのです。古代中国では自害を命じる時、首吊りに用いる白い長い絹の布を受刑者に渡します。その白い練り絹を廷臣から受け取り、皇帝の身を気遣う言葉を遺す貴妃の姿。権力者のペットに過ぎなかった女性が本当の愛を知り、苛酷な運命を受け入れる自立した存在へ変貌してゆくさまが歌と踊りで表現されます。なぜ楊貴妃が千年以上もの間人気を保つヒロインなのか理解できました。
唐の武将郭士儀と謀反人安禄山との戦闘シーンの後、三幕目は日本舞踊、長唄の「楊貴妃」。年老いた玄宗がさびしい夜を過ごしているところへ、楊貴妃の亡霊が現れます。夜明けまでの間だけでも昔のように過ごそうと玄宗に語る楊貴妃。登場人物たちの衣装は通常の日本の着物に帯、袴ですが玄宗役の男性の着物に中国の皇帝風の模様の衿がかかり、楊貴妃役の髪飾りも中国風です。海をへだてた日本人にも愛され、日本の風土に転生した楊貴妃の物語。
日本と中国の確かな絆を感じさせるとても巧みに構成されたすばらしい企画でした。しかし風雨が激しい上に寒い天候のせいか観客が少なく、はじめは二階の自由席で観ていた私にスタッフの女性が「一階の端の席に移動してかまいません」と案内してくれました。それからこのスタッフの皆さんが全員きりっとした着物姿だったこともすてきでした。
現在のような政治情勢の中で、こういった公演を遂行した演じ手、制作者の皆様に心からの敬意と感謝を表したいと思います。
おひなさま展と鎌倉の花々
3月ももう終わり。今月最高のリフレッシュ体験は中旬に友人と北鎌倉古民家ミュージアムの「おひなさまと吊し飾り展」を観たことです。
ミュージアムの建物もすてきでしたし、なによりうれしいのは歴史をたどりながらいろいろなひな人形が見られたこと。御殿のようなドールハウス?に飾られているもの、三人官女がそれそれに竹、松などのちがう模様の衣装を着ているもの、笑ったりして表情豊かなもの。私も子供の頃は人並みにひな人形を持っていたのですが、田舎の家をひきはらう時にお寺で供養していただいてしまいましたのでさびしいかぎり。
五月の節句の武者人形のコーナーもありました。「これ秀吉にしてはハンサムだよね」、「ほんとサルっぼくない、黄金の茶室を売ったお金で美容整形したのかな?」。「これ義経にしては太りすぎじゃない?」「でも五月人形って出世を祈ってのものだから、あんまり滝沢秀明や神木隆之介みたいな人よりいくらかふくよかな方がいいのかも」などと友人と話しました。
ミュージアムの庭の水仙を楽しんだ後、北鎌倉のオーガニックレストランでランチをとりました。竹藪の向こうに鎌倉の景色が見えるすてきな席で、デザートは桜のアイスクリーム。
その後は鎌倉在住の友人の案内で切通しを散策しながら鎌倉駅まで歩きます。途中海蔵寺に立ち寄り、
五月には菖蒲が美しいという池や花海棠の濃いピンクの蕾を眺めます。写真は海棠の木の近くの低い灌木の花。たぶんユスラウメの花ではないかなと思うのですが…花が終わった後、桃を小さくしたような形の赤い実が実れば正解です。
風が強くて写真を撮るのも大変でした。
「歌舞伎展」とお花見
女優の星光子さんのブログを拝見したところ、六本木ヒルズで夜桜を楽しまれたとのこと。私も先週同じ場所でお花見をしたので光栄な心持ちがいたします。サントリー美術館の『歌舞伎ー江戸の芝居小屋』展のついででした。歯の治療が終わった後、午後1時過ぎにミッドタウンに着きました。平日なのに人でいっぱい、ランチを食べようにも私の経済力にで入れそうなお店には空席がありません。仕方なくパンを買って外のテーブルで食べることにしました。雨上がりでぬれた椅子に持ちあわせた新聞紙をしいて座っておりますと雀が三羽、テーブルに止まりました。ありふれた鳥ですがこんなに近くで見るのは初めてです。茶色の地に黒が飛んでいる羽、白い顔。人目を気にしながらパン切れを落としてやると嬉しげについばみます。
雀たちを観察しながら食べておりますと鳩も一羽寄って来ました。鳩とランチを共にするのは気が進まないので早々に美術館へ。
『歌舞伎展』の一番の収穫は「花下遊楽図屏風」を見られたこと。意外だったのはロザリオが展示されていたことです。カトリックの祈りの道具ですが出雲の阿国の時代のかぶき者たちは首にかけてファッションアイテムにしてしまったようで。歌手のマドンナが日本で知られはじめた頃、やはりロザリオをつけて歌っていたのを思い出しました。400年たってもかぶき者が考えることは同じなのでしょうか?
今年の観劇よりシアター・クラシックス・ドラマティック・リーディング『セブン』
11月初めにこれを観てからブログに書こうと思いつつ、いろいろと忙しくてPCに向かう時間がとれませんでした。
今年観た舞台の中で最も印象的な公演でした。
公演の詳細は下記をごらんください。
シアタークラシックスのHP
http://tcrep-japan.com/info.html
マリーナ役の女優、星光子さんのブログ
http://ameblo.jp/ucoyukoyu-ko/entry-11395954985.html?frm_src=thumb_module
リーディング、つまり朗読劇ですが架空の物語ではなく、現在世界で起こっていること
その渦中で生きている7人の女性たち自身の言葉でできています。
演出家の三田地里穂先生と7人の女優さんたちはたった3日、24時間でこの作品を仕上げたそうです。時間がとれないからではなく、これが「ドラマティック・リーディング」の手法とのこと。それから終わった後で観客も含めてのディスカッション・セッションが
あるのも普通の演劇とちがう点です。
観劇から一か月以上たった今になって見えてきたのですが、この手法だからこそ表現できるものがあるのです。
つまりもしもっと時間をかけてしっかりと稽古し、女優さんたちが役作りを仕上げてしまうとそれは本当のお芝居になってしまって現実から距離ができてしまうのではないでしょうか?
演出も演技もいわば未消化の状態であえて発表することにより、7人の語ることが今まさに世界で進行中のことであり、観客たち自身にも無関係ではないということが伝わってくるのです。
私は11月2日夜7時からと11月3日5時からの2回を観ました。同じ公演を2回観るというのははじめての経験で、これも1500円という手ごろなチケット代だからできたことです。やはり1回目と2回目でそれぞれちがうものが得られました。
ごらんになった方にはなぜそうなるのかという説明もないままいきなり会話が始まり展開していくのが難解であるという感想をおっしゃっている方もいらっしゃいますが、私はまったく難解さを感じませんでした。むしろ世界というのはこんな風にあちらこちらでいろんなことが起きている、それが呼応し、影響しあって動いていくまさに歴史そのものが舞台にのっていると感じさせられました。
子供時代からの恩人?の女優星光子さんが演じられたロシアのマリーナ・ピスコクラコヴァ・パルカが語る夫の暴力がもとで寝たきりになった女性からの悲痛な電話。マリーナ自身が家族や夫の愛にめぐまれていたけれど、そうでない女性たちのために立ち上がります。
赤やピンクのケシの花をみると「私の国は美しい」と感じるというアフガニスタンのファリーダ・アシジ。でもそのケシのミルクがおとなしくさせるために母親から赤ん坊に与えられることは問題だと言います。ファリーダのお話で衝撃的だったのは旧ソ連のアフガン侵攻で家のリビングが爆撃されたこと。今の日本も近隣諸国との折衝をまちがえば、そんなことが起こってしまうかも。
それを防ぐヒントになりそうなのは北アイルランドのアイネーズ・マコーミックの言葉。
「異なる意見の人々を尊重することこそ真の民主主義」
お願い、日本の政治家の皆さん、隣国を刺激したり非難することをやめて下さい。あの人たちがああいうのには深い歴史の問題がからんでいるのですから。
カースト上位の男たちにレイプされ、「あの馬小屋の1時間が私の人生を破壊した」と感じたパキスタンのムクタラン・マイ。訴えようとして役所にいくと「自分がレイプされたなんてことは口にしてはいけない」と言われてしまう。私は幸いにレイプされたことはないけれど、今まで生きてきてムクタランと同じように何かを話すと「そんなことは言うと損だ」という反応を示されたことがありました。ムクタランの訴えは取り上げられ、男たちは罰せられて国から償いの金を与えられますが、彼女はいいます。「私に必要なのはお金じゃない、学校だ」と。
一番ずきんと来たのがカンボジアのム・ソクーアの言葉。
「ベトナムの戦争が自分の国にまで及んでくるなんて思いもしなかった。ビートルズを聴いていたのよ」
漠然と戦争が起こる国はもともと民主的ではなくて人々が圧政に苦しんでいるというイメージがあったのですがカンボジアはそうではなかった、とりあえず今のところ国内は平和の日本も気をつけないと。私事ですが中国と韓国に関係した会社で働いています。まさにム・ソクーアと同じ気持ちです。「あの著名な俳優を弟に持つ老政治家の言動が自分の職場を危機に追い込むとは思いもしなかった」
ナイジェリアのハフサット・アビオラの父は「貧困脱出」を掲げて大統領に当選しますが軍事政権に殺されてしまいます。でも彼女は「私はパパやママがなぜ死んだかは問題ではないの。問題は彼らがどう生きたかよ」と言い、抑圧されている女性たちに手をさしのべています。アビオラは老人にむりやり嫁がされそうになって逃げてきた少女を助けます。彼女は少女の家族と向き合い、少女が結婚ではなく、医学の勉強をしたがっていることを語り、了解を得ます。男社会に怒るだけではなく、勇気をもって対話していくべきなのですね。ハフサットはリーディングの最後で「私たちは立ち止まっちゃいけない、休んでちゃいけない」と言います。
私も「セブン」を観たからにはしっかり生きていこうと思うのです。
南夕子に関する考察?
星光子さんの出演されるシアタークラシックスのステージを観る日が近づいています。とても斬新な
形のリーディングとあって楽しみです。
さて2012年10月13日付の星さんのブログに、ご自身では処分したつもりでいた『ウルトラマンA』の
台本をお母様が保存されていたことが綴られています。それによれば南夕子が月へ去る28話まで
でなく、夕子が登場しない30話までの台本が渡されていたとのことです。
このことから考えられること―俳優に台本を配る係、いわゆる制作事務方とでもいうのでしょうか―
つまり現場の末端の人々が撮影が始まる間際まで夕子がいなくなることを知らないまま、星さんに台本を渡していたことになります。 30話まで保存されている台本は「自分の降板について事前に何一つの話もなかった」とおっしゃる星さんの言葉が真実であることを証明する物的証拠になるのではないでしょうか。
さらに主役の一人がいなくなるという重大な変更が、俳優ばかりか制作現場に周知されていなかったと
いうことは、南夕子の「運命」が視聴率や子どもの遊びへの取り入れが難しいなどの事情を考慮、検討を
重ねた結果ではなく、突発的な何らかの事態、あるいは権力の働きによって変わってしまったことを
物語っているように思います。
以上、いくらか「歴女」な私、星さんのお母様秘蔵の台本をヒントに1972年当時の「歴史」の謎を
考察してみました。夕子ファンの皆様はどうお考えでしょうか?
何のエピソードの時か記憶が確かではないのですが、負傷した北斗星司さんの手首に夕子さんが
自分の黄色のスカーフで包帯をしてあげているシーンがありました。 あの頃の私は大きくなったら
自分もケガをした人にこんなことをしてあげるような優しいお姉さんになりたいなと思うカワイイ
女の子でありました。
今は男性の夕子ファンの皆様とちがって、ついつい「ジェンダー」の視点であのシーンを思い出して
しまいます。北斗さんに向かって「あなた自分のケガなんだから、自分のスカーフで包帯すれば」と
言いたくなってしまうのです。![]()
嫌なおばさんに育ってしまってごめんなさい。


