【早速追記です】

本日、公式より映画本編冒頭 約10分の映像が配信開始されましたので、本記事の最後の方に貼りました

 2020/03/19/20:40

 

 

 

今回もこの話題でニコニコ

 

劇場版 SHIROBAKO


早いもので今週末でもう公開から4週目に入るし

今回はネタバレを交えつつ映画を見てきた中で気付いたことや作品からのメッセージなどについて色々と考察してみたいと思います

ネタバレ全開ですのでその点ご注意ください

そして今回は

とおーーーっても 長文です (;^_^A

好きな作品のことを書いているとどうしても長くなってしまってアセアセ

その点もはじめにお詫びしておきますm(__)m
 

 

 

 

 

 

『SHIROBAKO』って、ある意味で金字塔的な作品ではないかな?と私は思います

 

以前のブログ『SHIROBAKO』はいいぞ!!でも書いたのですが、『SHIROBAKO』テレビシリーズではアニメ業界の内情を赤裸々に描いているとともに、そこに出てくる要素は働く人なら誰もが共感・そして思い当たるところがあるような、自分事として置き換えて考えさせられる普遍的なテーマとして受け止めることが出来る、

 

仕事で壁にぶつかったり厳しい現実で心が折れそうになった(または折れてしまった)人にこそ突き刺さるガチなエピソードの数々と、それを乗り越えていくのはスーパーヒーローでも何でもない、とにかく努力してあがいてでも前に進むしかないんだ という

 

働く人すべてへのそんなメッセージが詰まった物語

 

それがTVシリーズ『SHIROBAKO』だと思います

 

働くことに対してここまでストレートに刺激を受け共感出来て、そのうえで見ていて楽しく感動出来るシリーズって、自分はなかなか出会ったことが無いなあ と

 

だから自分的にはお仕事アニメの金字塔的作品と思っているのですが

 

 

そのSHIROBAKOの、今回は劇場版

 

ざっくり言えばTVシリーズのときは劇中でTVシリーズアニメを制作していく過程を描いていたのに対し、今回の劇場版では劇中で劇場版アニメ制作に立ち向かう物語が展開する

 

そんなお話なのですが

 

テレビシリーズのSHIROBAKOの時には現実のテレビシリーズを制作する過程の描写がわかりやすく登場してくることで、アニメ業界の裏側を覗き見る 的なアニメ好きにとっての楽しみの要素の比重もかなり大きかったですが

 

一方今回の劇場版ではそのようなアニメ制作舞台裏的なことの直接的な描写の部分はかなり絞られて、もっと人生訓的なことまで含めてのメッセージ性が強く前面に出ているかなあ? と感じました

 

そのうえで愉快なギャグシーンをふんだんに散りばめて、ストレートに表現すると重くなりそうな大変な状況をも笑いに代えてしまう絶妙な展開

 

映画を見終わると元気が貰える

見終わった後、晴れ晴れとした気分になっている

 

とても後味の良い作品だと思います

 

ざっくりと感想をまとめると、そんな印象です

 

 

 

ざっくり感想はそんな感じで

 

ここからは少し踏み込んで考察してみたいと思います

 

 

 

今回の劇場版では、TVシリーズからのファンの方であればほとんどの人がまず、4年後のムサニの姿に衝撃を受けたのではないでしょうか?

 

少なくとも私は非常に驚きました

 

・・・そんなことになっていたのか、、と

 

 

TVシリーズでは最終的には主人公達5人それぞれが自分達の夢に向けて一歩前進することが出来たし、ムサニ(武蔵野アニメーション)としても無事に作品を納品出来て大団円で終っていたので

 

そんな流れから、ムサニ自体もその後は活躍の場を広げていってるのかな?と

 

 

今回の劇場版ではそこから4年後の物語という前情報から、

若い5人にとっては、まあそんな甘い人生などないからそれぞれに壁にぶつかりながら色んな経験をしてきた4年後なんだろうな、

 

程度に勝手に想像していたのですが、、、

 

 

before(4年前)

 

after(2019年)

 

 

ムサニはかろうじて存続してはいるものの既に多くの社員が離れ閑散としていて、人がいなくなることで仕事も受けられず、仕事が無いからまた人が離れていくという悪循環

 

私の想像をはるかに越えて厳しい状況になっていました

 

 

考えてみればTVシリーズ終了時からの4年間、大きな問題も無く順風満帆にことが進んでいたのでは物語になりづらいし、

 

ましてアニメ業界のリアルを描く『SHIROBAKO』であればなおのこと

 

「そんなに世の中甘くないよ!」

 

ってことでしたね( ̄▽ ̄;)

 

 

そのようにして映画が始まって、

特にファンであれば尚更、寂びれたムサニや覇気のない宮森あおいの姿に愕然として

 

しかし最初のシチュエーションがどん底だからこそ、「劇場版を作るぞ!」となってからのムサニの皆の姿は、仕事が出来る喜び・幸福感をより一層強く感じられる展開で


そこから物語の進むテンポが気持ち良いほど早いのも本作の特徴だと感じます

 

劇場アニメ制作が決まって以降の展開スピードは、それこそギヤチェンジして加速していく感じ


散り散りになっていた仲間が再び集まってきて皆で仕事が出来る喜び、仕事が充実している高揚感が、物語の展開していくテンポとシンクロしている

 

仕事が充実しているときは時間が過ぎるのも忘れてしまう、というような

誰もが持っているであろうそんな感情を呼び覚ましてくれる

 

そんな演出効果をとても強く感じることが出来ます

 

さすがはお仕事アニメの金字塔

『SHIROBAKO』の魅力的なところではないかな?と思います
 

 

ということで、

初見の時には冒頭のムサニと宮森の厳しい現実に驚きましたが、冷静にシナリオの展開を振り返ってみると、観客の感情移入と喜怒哀楽の振れ幅・タイミングが計算された、

 

この作品もまた見事なまでに劇場エンタメ作品として成立させてある  と思います

 

 

 

それにしても宮森あおいは4年経って成長してましたよね

ナベ長が「ウチのエース」って呼ぶだけのことはあります

 

若い時の4年間という年月って吸収も早くてどんどん伸びていくし、若さゆえの怖いもの知らずみたいなところもあるし

 

中年過ぎの4年間とはまるで違いますよね(^_^;)

 

今回 私は特に

宮森が「SIVA のラストシーンを作り直したい!」 って制作メンバーの前で発言した場面なんか、サイコーにシビレましたねえ

 

自分的にはその前のげ~ぺ~う~突入よりもカッコよく感じました照れ

 

あんな無謀な(?)決断が、実際のアニメ制作現場であるあるなのかは知りませんが

 

 

・・・ちなみに

劇中で出てくる『空中強襲揚陸艦SIVA』のラストシーン

あれが作り直したラストシーンだとして、ちょっとカット数を数えてみたんですけど

 

まわりこみワンカット長回しとか、カット切り替わりの判別が難しい場面も多いので正確ではないけど、

全部で110カット以上くらいありました

 

あれだけのカット数、そして作画枚数を考えると、、、

現実的には3週間で(しかも絵コンテもゼロスタートで!)作り直しはちょっと無理じゃないかなあ?って思ったりして、、、(;^_^A

 

そんなことは物語の上では考えない方がいいですねアセアセ

 

 

それはともかく

 

あそこで最終的に全員が結束して「やってやろう!」みたいな気分になることって

ある意味仕事をしていて一番楽しい瞬間かも知れませんね

 

あのような仕事が出来ていれば本当に幸せだと思います

(肉体的には大変だけど 笑)

 

そしてそのように、あの場面で全員の気持ちをひとつにすることが出来た宮森あおいは

本当にムサニのエースだと思います

 

将来が楽しみな存在だと思います!

 

 

 

ところで、その宮森あおいについての劇中での重要な場面について

 

この作品では、主人公の宮森あおいが一見無謀とも思える劇場アニメ企画を元受けで受けてやってみよう と決心する物語全体の流れの中でとても重要な場面で、宮森が突然歌い始めてミュージカルが始まります

 

 

この演出には正直なところ初めて観たときには戸惑いました

 

いかにも映画っぽくてエンタメ的ではあるけれど、ここでミュージカル? って

 

TVシリーズSHIROBAKOではまったく無かった演出だし、、、

 

 

すぐに考えたのは

物語全体の流れの中でそこまでが暗くどんよりした展開だったところから、ここで宮森の決意によってすべての歯車が回りだす(上でも述べたギヤチェンジ)

 

そういうとても重要な場面転換のシーンなので、敢えてそこまでの流れを断ち切るほどのインパクトのある演出としてミュージカルを挟んだのかな? と

 

そして水島監督作品では登場人物達が歌ったり踊ったりというシーンはよく出てくるので、水島監督らしいと言えばらしいのですが

 

 

それにしてもこのミュージカルシーン、

結構長くて

(長く感じるのは単に自分がミュージカルというものに全く興味ないことにも起因したりする  笑)

 

正確には計ってないけど、時計の針を見た感じで5分くらい?

 

5分だとすると120分の尺の映画の中で1/24も費やしていることになる

 

ただでさえ全体を見ると、中には尺的に細かな説明や描写を省いて進行しているのかな?と感じる部分も見受けられる中で、このミュージカルシーンだけに5分近く費やしている

 

・・・という点に、当初は正直なところ結構違和感を感じてました

 

ミュージカルというものに全く興味のない自分は、実はここで結構寝落ちしていたりzzzzzz

 

退屈だなあ、、、と(^_^;)

 

 

でも、予算も尺も限られている中で、ここまで作画カロリーを投入してミュージカルを描いたのにはきちんとした理由があるはず・・・

 

そのように思って、ミュージカルの苦手意識を少し横に置いといて(笑)

ひとつひとつの場面を見ながら考えてみました

 

 

ミュージカルシーンの中での登場キャラクターとその意味するところなどを順に整理すると

 

 

最初はミムジーとロロが登場して

「本気なの?」

「根拠のない大丈夫は大丈夫じゃないよ」

というところからスタートしていて、

 

ミムジーとロロは宮森の心の中の代弁者なので、

”とにかく無謀とも思える企画だけどやってみないと何も始まらないよね”

と、自問自答して一歩踏み出すパート

 

 

次に登場するのはアンデスチャッキー

アンデスチャッキーは宮森がアニメを好きになった原点の作品なので

この場面でのチャッキーは要するに自分の初心を思い返して自らの気持ちを鼓舞するパート

 

 

次に登場するのはドーナッツの誓いの七福神や、これまでムサニが手掛けてきたアニメのキャラ達

自分達が作り上げてきた作品のキャラクター達が登場することで、

”とにかく前へ進んで自分達の新たな作品を生み出していこう”

 という彼女自身の決意を表現して

 

 

そして最後にここまで登場したキャラクター達全員と宮森自身による踊り

 

その振り付けがエンゼル体操である点がミソで

 

エンゼル体操がTVシリーズのどんな場面の時に登場していたのかを考えてみると

 

ここでエンゼル体操振り付けでキャラクター全員で踊っていることの意味と重なるところも想像出来て

 

 

・・・という流れでミュージカルシーンを分析してみると

 

やはり宮森の決意を表す重要な場面だからこそ、これだけフルバージョンでのミュージカルという構成にしたのかな? と理解しました

 

水島監督としては、この物語の中で気持ち的にもそれまで沈み込んでいた宮森あおいが、自らの気持ちを奮い立たせて新しい一歩を踏み出す決心をする場面転換として、直接的なモノローグとかではなくミュージカルに感情を乗せる手法をとったのかな?と

 

今ではそのように理解しています

 

そう考えるとあのミュージカルは必然だったのだな、と

 

 

ところで余談ですが

このミュージカルシーンの最後の方で出てくる屈伸からのうさぎ跳び

 

ミュージカル登場の全キャラクターが一斉にうさぎ跳びをしている絵はなかなかシュールでインパクトがありましたね(笑)

 

うさぎ跳びはSHIROBAKO制作スタジオのピーエーワークスがオリジナル作品に必ず入れるお約束で、過去作『花いろ』や劇場版前作『さよ朝』にも入ってました

 

もちろんTVシリーズSHIROBAKOではエンゼル体操の中で

 

今回みたいに大勢が揃ってうさぎ跳びというのは、なんか笑えましたけど爆  笑

 

 

 

ミュージカルシーンの読み解きがかなり長くなってしまいました

 

物語全体をひも解くと、本作からのメッセージを考えればミュージカルシーンは実はそれだけ重要な位置にあると思われるのでついつい力が入ってしまうのですが

 

次はその部分、

作品に込められたメッセージについて



劇場版SHIROBAKOの中には、さりげなく発せられたものまで含めればとても多くのメッセージが詰まっています

 

TVシリーズでも名言集にまとめたいと思うほどに毎回心に刺さるメッセージの宝庫でしたが

 

劇場版でもそれは変わらず、登場人物達の言葉のひとつひとつや出来事のいたるところに、様々なメッセージが込められています

 

それらの中でもストーリーを形作る骨格のところに込められた大きなメッセージは次のようなものかな?と思います

 

 

ストーリー的に大きな流れで見てみると

 

(1) もはやかつての栄華は過去のもので下積みに戻ってしまったムサニの中で気持ち的に停滞気味だった、宮森あおいに向けて丸川元社長が託した言葉(メッセージ)

 

「君たちには自信と自負を持ってアニメを作ってもらいたい」

「今を生きる君たちが踏み出すことで若い人達の道標になるような作品を期待している」

「立ち止まっている場合じゃない。君たちは前に進まなきゃ」

 

 

(2) その言葉を受けて宮森は無謀とも思える劇場アニメ制作を受けることを決心し、

丸川元社長の言葉に作品として答えたものが、劇中劇の『空中強襲揚陸艦 SIVA』

その『SIVA』のラストのセリフでも自分達からのメッセージを伝えていて

 

「同じ日は無い、明日は違う日が来る」

「なのにどうしてみんな諦めるなんて言うんだ」

「行こう、上手くいくかいかないかわからないけど、夢に向かって進もう」

「ジタバタと見苦しく、前に進もう」

「明日を目指して」

 

 

(3) そして最後の場面でミムジーとロロが宮森の心の言葉を代弁して

 

「明日は今日よりマシかな?」

「わかんないけど、ジタバタあがけば変わるよ、きっと」

「生きるって永遠に俺たたエンドだから」

 

 

このような流れが、作品のメッセージとしての大きな流れだったかなと思います

 

 

(1)閉塞感で立ち止まっていた宮森の背中を押すメッセージ

 

(2)では宮森達若い世代が新たな作品を作ることでそれに答えて

 

(3)最後にこれからも戦い続けるという決意の言葉

 

 

同様のメッセージは作監 遠藤の再起を促す場面でも強く訴えられてましたね

 

あの怖い(笑)  瀬川さんが

 

「ボツって悔しいなら、なんでその悔しさを新しい仕事にぶつけないのよ!」

「あんたみたいなバカ、一生そこですねてくすぶってればいいわ!」

「ばかっ!!」

 

こわ。。(((^^;)

 

でも言い方はともかく、愛のあるお言葉かと (笑)

 

 

直接的にはこれらのメッセージはこれからアニメ業界を目指す人たちや、現在アニメ業界の中で働いている人達へのメッセージなのかな?と

そんなイメージが強く感じられます

 

でもアニメ業界のみならず、どんな仕事をしていてもあてはまる

普遍的なメッセージとしても響いてくるのではないでしょうか?

 

 

ちょうど今現在、新型コロナウィルスによって社会的にも個人的にも誰もが大打撃を受けて、閉塞感や絶望が渦巻いています

 

そんな危機的な現状から一歩踏み出すうえでも、これらのメッセージの中から先行きの見えない現状に立ち向かう勇気をもらえるような、

そんなケースももしかしたらあるかも知れません

 

 

 

誰にも伝わるようなメッセージという側面は、もちろん万人が見る映画ということで大切なことは当然なのですが

 

一方でこの作品からは同業者、つまりアニメ業界で働く人々や

もっと狭義には自社 P.A.WORKS(ピーエーワークス)社内の後進に向けたメッセージ的な性格も強いのではないかな? と 私は感じます

 

上にあげた(1)から(3)のメッセージはまさにそのものですし

 

 

他に、例えば劇中で作監を任された安原絵麻の描いてきた絵に対して演出の円(まどか)がダメを出す場面

 

「アニメーターの本分は動かすこと」

と語る、中堅で信頼も厚いアニメーターの小笠原綸子が描いた、ダイナミックでけれんみのあるレイアウト作画と、

それに対して線はきれいだけど面白みのない安原絵麻の作監修正の絵を並べて比較出来るように見せたうえで

 

「(絵は)きれいにはなったけど、動きが殺されてしまった」

「キャラ表に合わせるのは大事だけどそれだけではダメ」

 

と具体的に指摘する場面などは、

もちろん作品の方向性によっても評価は変わる性格の話ではあるけれど、

 

どちらかと言えばこれからアニメーターを目指す若い人に向けたメッセージとも受け取れるし

 

 

さらに本作は、この劇場版アニメそのものを制作することによるピーエー社内アニメーターの育成も考えた絵の構成にしているのではないか?と感じられるシーンもあったり

 

・・・少し考えすぎかも知れないけどf(^_^;)

 

例えばボーリングとキャッチボールの場面

 

あれなどは、そのスポーツをするときの体の動きの表現・見せ方を若いアニメーターに技術伝承する目的もあって入れられたシーンのようにも感じられるのは自分だけだろうか?

 

キャッチボールはTVシリーズのときに舞茸さんが口にしていたことの回収の意味もある?

ではなぜ突然ボーリング?って話だし

 

舞茸さんが実はボーリングの腕前プロ級だったのは驚きですけど(笑)

 

 

 

アニメの技術伝承と言えば、これも多分そうだろうなと思うのは

 

” 馬 ”

 

TVシリーズの時に走っている馬の作画についての話がありました

 

ベテランアニメーターの杉江が1原を描きつつ、その線を若いアニメーター達が2原で清書することで馬の動きの絵を学んでいく  というストーリーでしたが

 

あの場面の馬の原画はベテランでカリスマアニメーターとも呼ばれる社外の井上俊之氏が描かれた ということが明かされています

 

ピーエー社長の堀川氏がTVシリーズのインタビューの中で

 

「あんなふうに角度が変わっていくカットで、走っている馬をスラスラ描ける人は他にいない」

(出展:アニメスタイル006  堀川憲司インタビュー)

 

と井上俊之氏のことを評されていて

 

TVシリーズの時には実際にピーエーの社内アニメーターの方が手を上げて井上さんの描いた原画の2原を担当されたとのことで、

 

劇中と同じような作画技術の伝承がピーエーの社内でも行われていた ということになります

 

 

そして今回『劇場版SHIROBAKO』の中でも馬の登場シーン

正確には馬ではないか、、ペガコーン(笑)

 

劇中劇『SIVA』の中に馬(ペガコーン)を登場させて、それが疾走する絵があるけれど

 

劇場版には作画のキャストとして井上俊之氏の名前が入っていない

 

ということは、今回の馬は社内アニメーターの方が描かれているはずで

 

 

自分の勝手な想像だけど

TVシリーズのときに井上氏から馬の動きの作画を学び

それを活かす形で今回の劇場版に馬の疾走シーンが登場した

・・・と考えられなくもない(;^_^A

 

 

そこら辺の「ピーエー社内技術伝承説」的な話は私の勝手な妄想ですけど(笑)

 

なぜかこの劇場版を見ていると、アニメーションの登場場面によっては

”これは若いアニメーター世代の教育を意識した場面じゃないかな?”

って思えてしまう絵があるんですよねえ、、、

 

それもこれもアニメ業界に向けたメッセージ性を強く感じる本作だから

 

だと思いますが

 

 

 

 

メッセージとか硬い話題が続いたので、次はギャグパートのお話しで

 

 

少し前にWEB記事の本作のレビューの中で、

「TVアニメシリーズが劇場版になったときに期待するものは」

みたいな記事を書かれているライターの方がいらっしゃって

 

その方は『劇場版SHIROBAKO』は自分が劇場版に期待するものすべてが入っていて良かった というような感想を述べておられました

 

私も ”うん、うん、そうだよなあ” とまったく同感で

 

 

TVシリーズのファンが劇場版に求めることに、TVシリーズでの登場キャラがどんな形で登場するのか、その描き方と、TVシリーズのときのネタの挟み方 みたいなものがあるのではないかな?と思うんです

 

要するに自分が大好きなTVシリーズのその後的なことを納得する形で見せてもらいたいよね と

 

そういう点で本作はもう私にとってはパーフェクト!

 

 

例えばです

 

逃走癖だけど腕は一流の演出家 池谷ひろしの登場シーン

 

これはTVシリーズのとき 第15話「釣れますか?」

 

 

今回の劇場版で彼の最初の登場シーンは釣り堀で釣り糸を垂れてる竿の絵で

これはTVシリーズ第15話の絵です

SHIROBAKOファンで埋まった劇場ではその絵が出ただけで大爆笑なわけです爆  笑

 

もちろんその絵だけでファンには誰が登場するのかすぐにわかるし

TVシリーズのときと同じく、最初の登場シーンが釣り堀だし

ある意味デジャブ的な??(笑)


余計な説明はいらない

演出の池谷の登場シーンは、ファンの心理としてシンプルに釣りをしてさぼってる絵だからこそ心がくすぐられるのです

 

 

元制作デスクの本田豊にしてもそう

TVシリーズの時にケーキ屋のパティシエに転職して

(あ、また太っちゃったんだって思ったけど 笑)
楽しそうに仕事をしていて
もう制作のときみたいに万策尽きることは無さそうのに

 

「ばばばばんさく~♪」

なんて歌っていて爆笑

 

これもみんな大爆笑なわけです

 

ファンの心理として

”ああ、本田さんの万策尽きたが聞けた” と(笑)


劇場版SHIROBAKOではそのようにTVシリーズのサブキャラの登場のさせ方・使い方が実に上手い

 

ファンの期待に応えてくれているなあ♪ と

私は素直に拍手です拍手



多分多くの人が一番笑えるキャラは今回は木下監督でしょうか?

 

 

監督なのに、終始なんだか威厳というものがまったく無いのはTVシリーズの時と変わらず

 

それどころか

 

離婚した妻に連れていかれた愛犬 セイラへの未練の初告白から始まり

 

大好物のモンブランを前に本田さんからお預けをくらって

「ヨシっ」て言われて食べてるし

 

ムサニから逃亡しようとしたら矢野エリカに見つかって

「ハウス!」の号令ひとつで事務所に駆け上がっていくし

 

もうすっかりムサニの愛玩犬(?)状態 (笑)

 

 

もともと木下監督は優柔不断で威厳の無いコメディ路線のキャラだけど

劇場版ではさらに一層ボケ度合いが増してるような?

 

でもそんな木下監督も実はやるときはやるし

(エリカ談  笑)

人間臭さが溢れている愛されキャラで、いい味を全開で良かったと思います

 

 

もう一人

 

私が初日鑑賞のときの感想で ”一番ウケた” と書いた

綸子はん、萌えー な説(笑)

 

なぜ ”萌えー” で、

なぜ一番受けたのか、ネタバラシします(^^)

 

 

アニメーターの小笠原綸子がゴスロリになった理由はTVシリーズ第16話『ちゃぶだい返し』で登場したので、TVシリーズを見た人ならわかりますが

 

ゴスロリ様 小笠原綸子について、アニメスタイル誌 2015年の006号のインタビュー記事の中で、ピーエー 堀川社長のお話しが掲載されていました

 

「小笠原は帰ったらジャージらしいんですよ。 そこを描く予定だったんだけど、尺の関係でなくなりました。 アパートに訪ねていったら全然知らない小笠原がいた、というのが本当は描かれるはずだったんですけど。」

 

「それは萌え度数が高いですね」

 

「そうかもしれないですね(笑)」

(出展:アニメスタイル006  堀川憲司インタビュー)

 

映画を見た方ならもうおわかりですよねニコニコ

 

TVシリーズで割愛された綸子はんのジャージ姿を劇場版で実現してくれたわけです

しかも萌え度数高めで(笑)

 

このお話しを知っていたので、自分的には実は一番ウケました爆  笑

 

 

 

そしてキャラクター以外では

TVシリーズ最終回の時に渡辺Pと葛城Pが話していたムサニの次回作企画

『ツーピース』と『限界集落過疎娘』の2作品についても、それらの作品が実際にムサニで製作された証として宣伝ポスターが貼られていたり、例のミュージカルシーンの中ではそれらの作品の登場人物が動いているシーンを入れてきたり

 

限界集落過疎娘についてはその上さらにOP曲を今回の劇場版のOP曲として使ったり

 

そういう点も、TVシリーズからのファンへのサプライズのひとつだったのではないでしょうか

 

 

劇場版SHIROBAKOはファンが劇場版に期待するもの、喜ぶツボをホントによくわかってるなあ って

そう思います拍手拍手

 

 

 

ああ、まだまだ言いたいことはあるんですけど

さすがに今回はいくら何でも長すぎるタラー

 

 

最後にひとつだけ

 

この作品を製作したピーエーワークス(P.A.WORKS)さん

 

ものすごく手間をかけてこの劇場版を作られたんだなあ、、、と

その真面目で真摯な作品への向き合い方に、わたしがとても感銘を受けていることのひとつ

 

 

この劇場版SHIROBAKOにはいったい何人のキャラクターが登場しているか?

 

 

声の配役が記載されている人数だけで数えてみると

 

実に144人!ですびっくり

 

アニメーションでは実写と違ってキャラクター1人1人の設定をしないと絵に描くことは出来ません

だからキャラが1人増えるだけでも大変なはずなのに

 

144人って、、、

 

しかもこの人数は声の配役がある分だけなので、セリフの無いキャラを含めるともっとはるかに多いはず

 

ひとつの劇場版の中だけでこれだけのキャラを設定して絵に描く作業は、本当に大変だったと思います

 

劇中劇の『空中強襲揚陸艦SIVA』も別に設定作業が必要で、ただでさえ大変な作品なのに

 

 

ピーエーワークスさんの作品に向き合う姿勢は、本当に賞賛されるべきだと思います!!

 

 

 

 

書きたいことをダラダラ書いていたらとんでもなく長くなってしまいましたアセアセ

 

もしここまで全文を読んでいただけたとしたら、感謝しかございません

 

長いだけで内容の薄い文章に最後までお付き合いいただきまして

 

ありがとうございました<(_ _)>

 

 

 

公式より3/19から配信の始まった映画本編冒頭映像です

約10分と予告編約2分の動画です

 

 

 

最後に劇場版SHIROBAKOのED主題歌を

 

 

 

 

また観に行こうっと(笑)