高蔵寺リ・ニュータウン計画(改定骨子案)について

多和田ニュータウン創生課長 それでは、資料の4ページをお願いいたします。報告事項Ⅱ、高蔵寺リ・ニュータウン計画(改定骨子案)につきまして御説明申し上げます。
 1 改定の趣旨としましては、計画策定から5年目を迎え、これまでの取組実績及び成果目標達成状況についての評価を踏まえ、今後のプロジェクト・施策等を改定するものです。
 2 主な改定内容としましては、既存計画の記載内容をおおむね踏襲しつつ、次の3点が主なものとなります。(1)現在までの取組実績及び評価を行う記載を新たに加えるもの、(2)人口等の目標値を改めるもの、(3)将来的なリニア中央新幹線や昨今の新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、まちづくりに考慮すべき視点を新たに加えるものです。
 改定骨子案といたしまして、表の左欄に現行の計画の項目を、右欄に改定骨子案を掲載しております。中欄には改定状況としまして、「→」は改定なしまたは若干の文言修正があるもの、「新規」は新たに追加となる項目、丸つき数字と矢印は数字のある場所への移動を示しています。また、表中の下線が変更箇所となっております。
 改定骨子案ですが、まず、現在の「第1章 高蔵寺ニュータウンの現状と課題」を二つの章に切り分けて、新第1章で「高蔵寺ニュータウンの概要とこれまでの取組」、新第2章で「現状と課題」とし、新第1章の最後に「4 高蔵寺リ・ニュータウン計画に基づく取組と評価」を新たに追記しています。
 新第2章は、「現状と課題」で新たに必要な視点を追加しています。2 人口・世帯の動向では「社会増減」の状況を、3 住宅・土地の状況では「住宅ストックの状況」を、次のページをお願いいたしまして、4 交通の状況では歩行環境に「移動の支援」の状況を、現行の(5)の商業・工業の状況は「5 生活利便サービスの状況」と「6 地域の雇用・産業の現況」に細分化し、現行の(6)の公共公益施設の状況は、施設立地状況に加え、施設における活動団体やサービスの状況に視点を変更しています。
 次に第3章ですが、高蔵寺リ・ニュータウン計画の部分となります。現行の基本理念と目標、(5)目標において人口・世帯の目標を「人口の将来像」と、成果指標を「成果指標と評価方法」に変更しています。次のページをお願いいたします。
 プロジェクトについてですが、(1)先行プロジェクトは現在の計画の進捗状況を加味し、グルッポふじとうの整備が完了したことから「旧小学校施設を活用した多世代交流拠点の整備」を削除し、現在事業進行中である展開プロジェクトの「団地再生によるモデル住宅地づくり:高森台スマートウエルネス整備」を先行プロジェクトに移行しています。(2)展開プロジェクトでは、戸建てエリアの魅力が高まるよう、空き家や空き地といったストックの活用などを図る必要性に着目し、「戸建て住宅エリアのストック活用の促進」を新たに追加しています。情報発信プロジェクトについては、現行の2つのプロジェクトを結合し「ニュータウン・プロモーション」としてまとめております。
 次の、5 新たな課題への対応では、現在の社会状況において検討するべき事項として、「リニア中央新幹線開通後のニュータウンに向けて」、「新型コロナウイルス感染症後のニュータウンに向けて」という新たな項目を追加しています。
 6 計画の推進と見直しについては、まちづくり会社の設立を受け、役割を明記するため項目を追加しています。次のページをお願いいたします。
 4 人口の将来像についてです。現行計画では、平成27年の人口4万5,217人を基準として、平成37年までの10年間で4万8,000人の人口に達することを目標として掲げておりましたが、平成31年4月1日時点の人口は4万2,682人であり、人口の減少は依然として続いています。そこで、今一度住宅や人口の在り方を調査・研究するため、昨年度、高蔵寺ニュータウンのエリア別人口・世帯・住宅等を把握し、人口の将来推計とそのシナリオを複数検討する住宅・人口フレーム検討を行いました。その結果として、このまま特段の対策を取らないと10年後の令和12年には約3万9,000人まで人口が減少してしまうという状況を認識し、今後、目標とする人口規模ごとに必要な取組を検討し、シナリオを3つ作成いたしました。
 今回の改定骨子案では、人口の将来像として3つのシナリオを掲載しております。各シナリオの考え方としましては、人口規模を4万3,000人とするシナリオ1は、当計画の先行プロジェクトの3つを確実に終えることで達成できるものと考えており、おおむね市の努力のみで達成できる目標です。人口規模を4万6,000人とするシナリオ2は、シナリオ1に加え、さらに高蔵寺ニュータウンに対する民間事業者のマーケット性が高まってかなうもの、例えば、既存住宅の流通が促進し、新規住宅の立地がなされることなどによって目標が達成される想定でございます。人口規模4万8,000人のシナリオ3は、シナリオ2に加え、駅やセンター地区周辺に高密度のマンションの建設など多額の設備投資を要するものが実現することで達成が想定される目標と考えております。本計画の新たな人口目標値としては今後さらに検討を重ね、当市の附属機関である春日井市高蔵寺リ・ニュータウン推進会議の意見を聴きながら、中間案にてお示ししたいと考えております。
 最後に、5 計画改定のスケジュールとしましては、既に7月27日に、令和2年度第1回高蔵寺リ・ニュータウン推進会議を開催し、委員の皆様より改定骨子案について御意見をいただいているところです。また、8月7日から24日までの間で市民意識調査といたしまして、高蔵寺ニュータウンにお住まいの方から1,000人を無作為抽出し、郵送アンケートを実施しています。また、併せてインターネットによるアンケートも受け付けております。その後、10月に第2回の推進会議を開催し中間案の審議を行った後、例年11月にございます閉会中の建設委員会で中間案を報告させていただきます。その後、パブリックコメントを実施し市民意見を反映した最終案を作成した後、第3回の推進会議における最終案の審議を経て、2月には市長へ答申を行い、閉会中の建設委員会で最終案を御報告させていただきます。
 以上、報告事項Ⅱ、高蔵寺リ・ニュータウン計画(改定骨子案)につきまして御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

(春日井市建設委員会 末永けい 質疑)
末永けい
委員会資料の5ページの上段のほうですが、「新規」とありまして、6ですね、「地域の雇用・産業の状況」とあります。この項目を新規で追加する理由、考え方について伺います。

多和田ニュータウン創生課長 地域の雇用・産業の状況では、ニュータウン居住者の勤務先や工業立地状況について、ニュータウン内、市内の他地域、または市外の名古屋市や小牧市、愛知環状鉄道沿いの豊田・岡崎方面などの範囲で把握したいと考えております。
 それらの状況を把握する目的としましては、高蔵寺ニュータウンへの居住誘導をするターゲットを見極めるために行うもので、把握した状況を参考にし、今後の施策検討につなげていきたいと考えております。

末永けい
現在も若年ファミリーを主なターゲットで居住誘導を図っているというふうに思いますが、現役世代の居住誘導を考えたときに、現役世代のニーズとしては、居住地と職場が近いことですね。昔よりも、より求められる時代になっているというふうに思います。いわゆる職住近接という考え方についてですが、市のほうとしては、今、どのような所見をお持ちなのか伺います。

多和田ニュータウン創生課長 現在の高蔵寺リ・ニュータウン計画では、職住近接の観点から、雇用の確保・促進をいかに図るかという課題を認識しており、7つの基本理念のうち、暮らしと仕事の多様性の確保を掲げ、地域内にも雇用を生み出すことができる環境整備を進めることとしております。改定後の計画におきましても、引き続き職住近接の考え方を定めてまいりたいと考えております。

末永けい
現状も職住近接の考え方で進めているということでありますが、現行計画の取組について、地域内でどれだけ雇用創出ができているのかといったことについて、現状を把握しながら進められてきたのでしょうか、伺います。

多和田ニュータウン創生課長 リ・ニュータウン計画における取組そのものが、直接地域の雇用状況を把握しながら進めてきたというところではございませんが、今後も施策を考える上で今回の雇用の状況を把握してまいりたいと考えているところです。

末永けい
意見として申し上げますが、この点については重要視していく必要があると思います。現行計画の中にも、雇用創出に関わる内容は記載されているものの、いまいち取組としては力強さがないというふうに思います。雇用創出は現役世代の居住誘導を図るには非常に重要なことですので、職住近接を意識してニュータウン内や周辺地域で企業誘致や創業支援が行われ、住む場所としてニュータウンが選ばれるような方策を、産業部とか商工会議所などとも連携して考えていただきたいというふうに思っております。


 続いて、委員会資料の7ページです。「人口の将来像」についてですが、基準年4万5,217人、これ2015年ですね。で、直近は4万2,205人、2020年となっておりまして、人口の減少は依然として続いているというふうにあります。
 なぜ、重要目標の人口が減っているかということについて、その要因分析をすることがまず先だというふうに思いまして、こういった、今ここで示されているように目標を変えることありきで進められているということについては非常に違和感があります。つまり要因分析をするのが先だというふうに思いますので、順番が逆だと思うんですね。人口減少の要因についてどのようにお考えなのか伺います。

多和田ニュータウン創生課長 人口の減少につきましては、通勤・通学などを契機とした転出などの社会減、UR都市機構が進める団地再生事業の影響が主な要因であると考えております。
 社会減では、昨年度検討した住宅・人口フレーム検討結果において、主に単身世帯の転出が多く、市内他地域や名古屋市への転出が多い状況となっております。URの団地再生事業では、第1期、第2期の整備の合計で約1,100戸の集約が行われ、1,000人以上の方が高蔵寺ニュータウン外へ転出しており、また、居住者の移動先を確保する趣旨から、ニュータウン内の他地域のUR賃貸住宅の新規居住者の募集を停止していた住棟もあり、さらなる人口減少の要因になっていると考えております。

末永けい
現行計画の目標値4万8,000人、目標年度は令和7年ですが、4万8,000人という目標については何かしら根拠があって示され決められたものだと思いますが、当初4万8,000人という目標を立てた根拠について伺います。

多和田ニュータウン創生課長 当初の目標でございます計画人口の4万8,000人につきましては、計画策定作業当時の平成27年4月1日現在の人口である4万5,217人を基準値として、高蔵寺駅周辺の再整備による魅力づくりやニュータウン・プロモーションなど計画に定める様々なプロジェクトや施策による相乗効果により、増加が懸念される空き家や空き地への住宅の新築などに、主に若年ファミリー世帯を呼び込み、約2,700人増やす目標を設定しておりました。

末永けい
人口減少が結果的に続いているという状況ですが、施策としては何が足りなかったのかと分析されておられますでしょうか。

多和田ニュータウン創生課長 高蔵寺リ・ニュータウン計画では、先行プロジェクトを早期に実現し、その効果が新規民間店舗参入や住宅供給などの民間の市場性を高めることを意識して展開プロジェクトを位置づけております。
 現在の状況として、先行プロジェクトの高蔵寺駅周辺の再整備、旧西藤山台小学校施設の活用について着実に前進してはいるものの、具体的に整備されていないことにより、民間市場を刺激するまでには至っていない状況にあると考えております。

末永けい
先行プロジェクトが具体化していないということで、民間市場を刺激するまでには至っていないということですが、その「民間市場を刺激する」ということについては具体的にどういうことをおっしゃっておられるのか伺います。

多和田ニュータウン創生課長 民間市場の考え方につきまして、新たな高蔵寺駅周辺再整備の姿が目に見える形で実現することで、例えば駅周辺の低未利用地でマンションなどの民間開発が行われ新たな入居者が確保できること、また、旧西藤山台小学校施設では新たな若い世代を呼び込む生活利便施設が目に見える形で実現することで、例えば新規戸建て住宅や空き家等の中古住宅流通が活性化し、子育て世帯の転入に効果が出るものと考えており、民間事業者の高蔵寺ニュータウンへの投資や開発意欲を上げることが必要であると考えております。

末永けい
委員会資料の7ページでは、3つの目標値が記載されているんですけども、今の御説明を聞く限り、そもそもその現在の計画を着実に推進していけば4万8,000人という当初の人口目標というのは達成できるのではないかと、つまり目標値を引き下げる理由はないというふうに思うんですけども、その点について所見を伺います。

多和田ニュータウン創生課長 現計画の策定時以降に、UR高森台団地集約事業の影響が明確となったため、本市としましては計画期間の中間年である今年度に改めて現状を把握した上で計画の改定を行いたいと考えております。なお、人口目標値の案につきましては、中間案にてお示ししたいと考えております。

末永けい
先日のリ・ニュータウン推進会議、私も傍聴させていただきましたが、本日と同じ資料も示されておりました。それで、人口減少の要因分析とかこれまでの取組への評価というものがなされるということが本来先だと思いますが、そうした議論がなかったということについてはとても残念に感じております。
 目標達成が難しいからといって目標値を引き下げるということでは、これでは、何のためのリ・ニュータウン計画だったのかと。それから、計画の進行管理を行う推進会議(※)の役割があるにもかかわらず、一体何のために推進会議があるのかという話になってしまいますので、この目標達成、今、URの団地集約の話も出ましたけども、そういうネガティブなことが起きているということであればそれをリカバリーする方策を考えるほうが先であって、建設的ではないかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

多和田ニュータウン創生課長 リ・ニュータウン計画に現在も記載してございますように、リ・ニュータウン計画はPDCAサイクルの形を、推進会議をもって行っていくというところがひとつございます。そのような中で今回の改定骨子にも入れてございますように、高森台地区、特に今回影響があるというふうに考えているところについて、こちらの展開プロジェクトから先行プロジェクトに移行するなど対策を講じていくことも含めて、計画の改定をしていくものというふうに考えております。

 

【参考】

高蔵寺リ・ニュータウン計画(現行計画)

春日井市高蔵寺リ・ニュータウン推進会議

【末永けい関連質問】

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