(9月25日春日井市議会一般質問)

末永けい

リ・ニュータウン計画策定から大幅に減少している人口と子育て世帯について伺います。
 (1)計画の目標達成の見込みについて。
 高蔵寺リ・ニュータウン計画は,平成28年3月に策定され,平成27年4月の人口と子育て世帯の割合を基準値として計画が推進されています。ところが,計画基準年から既に4年が経過していますが,人口と子育て世帯の割合は,毎年大きく減少を続けています。目標年次である10年目,令和7年の目標値である人口4万8,000人と子育て世帯の割合25%について,これまでの実績と推移,令和7年の目標値と現時点で達成見込みがあるのかどうか,お尋ねをいたします。
 続いて,(2)春日井市内での比較についてです。
 リ・ニュータウン計画の目標である人口と子育て世帯の割合について,春日井市内における高蔵寺ニュータウン以外の地域とニュータウンを比較するとどのようになっているのか,平成27年と現在の実績についてお尋ねをいたします。
 続いて,(3)三大ニュータウンの比較についてです。
 いわゆる日本三大ニュータウンと呼ばれている多摩ニュータウンと千里ニュータウンと比較すると,高蔵寺ニュータウンの人口及び子育て世帯の割合はどのようになっているのか,平成27年と現在の実績についてお尋ねをいたします。
 続いて,(4)要因についてです。
 高蔵寺リ・ニュータウン計画を推進しているにもかかわらず,計画の目標である人口と子育て世帯の割合が目標値に向かうどころか,減少を続けていることについて,私はこれまで再三にわたって警鐘を鳴らしてまいりました。高蔵寺ニュータウンの人口及び子育て世帯の割合が減少している要因をどのように分析しておられるのか,お尋ねをいたします。
 続いて,(5)住宅・人口フレーム検討についてです。
 去る7月8日のリ・ニュータウン推進会議で「住宅・人口フレーム検討」という資料が示されました。住宅・人口フレームを検討する理由をお尋ねをいたします。
 続いて,(6)転入・転出について。
 高蔵寺ニュータウンにおける市民の転入及び転出,それぞれの要因をどのように分析されているのか,お尋ねをいたします。
 続いて,(7)地価・家賃の動向についてです。
 高蔵寺ニュータウンにおける人口や子育て世帯の割合の減少がとまらない状況で,地価・賃貸住宅の家賃がどのようになっているのか,非常に気がかりであります。市当局として,その動向を注視しながら,まちづくりを行わなくてはいけない状況だと思います。高蔵寺ニュータウンにおける地価・賃貸住宅家賃について,どのように把握しておられるのか伺います。
 また,高蔵寺ニュータウンの人口ピークであった平成7年当時と比べてどのようになっているのか,それぞれお尋ねをして壇上からの質問といたします。

まちづくり推進部長(前川広君)

 初めに,高蔵寺ニュータウンの人口につきましては,高蔵寺リ・ニュータウン計画の基準値である平成27年4月1日現在,人口4万5,217人,平成31年4月1日現在,人口4万2,682人,子育て世帯の割合は,計画の基準値が19.7%,平成31年4月1日現在,17.9%です。今後の見込みにつきましては,計画における令和7年の目標値である人口4万8,000人,子育て世帯割合25%の達成は,厳しい状況であると考えております。
 次に,高蔵寺ニュータウン以外の人口,子育て世帯の割合につきましては,平成27年4月1日現在,人口26万5,141人,平成31年4月1日現在,人口26万8,644人,子育て世帯の割合は,平成27年4月1日現在25.8%,平成31年4月1日現在,23.5%です。
 高蔵寺ニュータウン内外の比較につきましては,高蔵寺ニュータウン以外の人口は3,503人の増加に対し,高蔵寺ニュータウンの人口は2,535人減少,高蔵寺ニュータウン以外の子育て世帯の割合は2.3%の減少に対し,高蔵寺ニュータウンの子育て世帯の割合は1.8%減少しております。
 次に,多摩と千里ニュータウンにおける人口,子育て世帯につきましては,平成27年と平成30年で比較しましたところ,千里ニュータウンでは大阪府吹田市に確認し,人口は平成27年10月1日現在が9万8,282人に対し,平成30年10月1日現在が9万9,537人で,1,255人の増加となっております。子育て世帯の割合は,平成27年10月1日現在の値のみ公表されており,40.7%となっております。また,多摩ニュータウンでは,東京都に確認したところ,平成27年10月1日現在の人口が22万4,055人に対し,平成30年10月1日現在が22万4,105人で50人の増加となっており,子育て世帯の割合は算出していないとのことでした。
 次に,高蔵寺ニュータウンの人口,子育て世帯の減少の要因につきましては,平成27年と平成31年の人口と世帯を比較しますと,人口は減少していますが,世帯は微減となっており,初期の入居者が一斉に高齢期を迎え,核家族化も進行しているからと考えます。
 また,戸建てエリアとUR賃貸住宅やUR分譲住宅などの共同住宅エリアとを比較しますと,戸建てが多数を占めるエリアの居住者は,平成27年4月1日が2万9,391人に対し,平成31年4月1日が2万9,103人と288人の減少,共同住宅が多数を占めるエリアでは,平成27年4月1日現在で1万5,826人に対し,平成31年4月1日現在が1万3,579人と,2,247人の減少となっており,特に共同住宅エリアの減少が多く,現在事業進行中のUR高森台団地集約事業が人口減少に大きな影響を与えているものと考えております。
 次に,住宅・人口フレームの検討を行う理由につきましては,人口減少が進む中で,高蔵寺ニュータウンの都市機能を維持するため,将来必要な人口,住宅戸数との関係性を見きわめるために検討を行うものでございます。
 次に,高蔵寺ニュータウン住民の転入・転出の要因につきましては,平成30年度中に実施したアンケート結果から,転入は結婚,離婚,出生等の家族構成の変化や家族等との同居・近居といったきっかけにより,高校生以下の子どもを含む2世代世帯が持ち家を求めて転入するケースが多く,転出は家族構成の変化や通勤・通学の都合といったきっかけにより,単身世帯,夫婦世帯の転出が多い状況でした。
 以上のことから,結婚や出生により,小さな子どもがいる世帯は高蔵寺ニュータウンに持ち家を求めて転入される方の割合が多く,一方で,転出では新たに会社勤めや進学に伴う転出が多いものと推測されます。
 次に,高蔵寺ニュータウンの地価につきましては,平成31年1月1日現在の地価公示と人口のピークであった平成7年時点とを比較しますと,高蔵寺ニュータウン内の標準地である石尾台2丁目,岩成台7丁目,高森台3丁目,藤山台10丁目,押沢台5丁目の5カ所では,いずれにおいても約50%前後の減少となっており,高蔵寺駅に近い高蔵寺町北3丁目では,約61%の減少となっております。
 また,市内の他の地域で平成7年時点と現在の地価公示を比較しますと,勝川町3丁目では約7%の減少と大幅な下落はないものの,鳥居松町6丁目では約59%の減少,坂下町3丁目では約45%の減少と,地域によって下落幅が小さい地域と高蔵寺ニュータウンと同じ程度下落している地域が見受けられます。
 家賃の動向につきましては,参考といたしまして,現在のUR賃貸住宅の家賃月額ですが,最も低額の家賃が藤山台団地の月額3万2,700円,最も高額の家賃がリバピア中央台の月額10万900円となっております。
 また,家賃額の平成7年当時との比較ですが,賃貸物件は建築時期,構造など,多種多様であることから比較は難しいですが,地価変動に伴う家賃額への影響について,公益社団法人愛知県宅地建物取引業協会北尾張支部の会員にヒアリングしたところ,地価の増減が家賃額に反映されることは実態として少ないとのことでした。

末永けい

リ・ニュータウン計画の目標達成が厳しい状況とのことでありました。今のままの計画内容,取り組み内容では進めていくわけにはいけないんではないかなというふうに感じます。少しでも,人口と子育て世帯の割合を目標値に向かってリカバリーしていくためには,計画内容を抜本的に見直していく必要があると考えますが,所見をお尋ねいたします。

まちづくり推進部長(前川広君)
 リ・ニュータウン計画の見直し等につきましては,来年度は計画期間の中間年に当たることから,必要な見直しを行ってまいりたいと考えておりますが,例えば,現在計画で定めるプロジェクトや施策に記載しております具体的な取り組みの例を見直しするなど,必要な軌道修正を図ってまいりたいと考えております。

末永けい

三大ニュータウンとの比較についてですね。千里ニュータウンや多摩ニュータウンでは平成27年と比較して,何と人口が増加しているという結果でした。また,千里では直近の数字ではありませんけれども,子育て世帯の割合が40.7%という,非常に驚くべき数字だと感じました。
 メディア等の影響なのかもしれませんけれども,ニュータウンと聞けば,どこのニュータウンも少子高齢化で人口が減っているかのような印象がありましたが,三大ニュータウンでは,高蔵寺ニュータウンだけが年々人口が減少し,多摩や千里のように人口がふえているニュータウンもあるということで,数字でしっかりと現実を直視することは,非常に重要だと感じました。
 そこで,高蔵寺ニュータウンは,千里や多摩のように人口増加しているニュータウンから真摯に見習うべき点があると思うんですけれども,その点について所見を伺いたいと思います。

まちづくり推進部長(前川広君)

 他のニュータウンとの違いや見習うべき点につきましては,千里ニュータウンは,千里ニュータウン再生指針に基づき,府営住宅などの公的賃貸住宅の建てかえ,分譲マンションの供給などを行うことで,新たな居住者を呼び込み,人口が増加していると考えております。多摩ニュータウンは,団地内の鉄道の通過といった公共交通にすぐれた地域という立地条件により,人口が維持できているものと考えております。
 高蔵寺,千里,多摩ニュータウンは,いずれも少子高齢化への対応,まちの持続化,若い世代の流入促進といった目的は同様で,再生計画に基づき施策を進めておりますので,必要に応じて両ニュータウンの再生計画も参考にしながら,高蔵寺リ・ニュータウン計画を推進してまいります。

末永けい

 実は,この質問を通告した時点では,担当課のニュータウン創生課は,千里や多摩の人口推移がどうなっているのか,把握をされておられませんでした。高蔵寺ニュータウンと人口がふえている多摩ニュータウンや千里ニュータウンとで,なぜこのような違いが出てくるのか,行政の施策も含めてもっと詳細な要因分析や検証,調査を行っていくべきではないでしょうか。
 そこで,市長にお尋ねをいたします。
 高蔵寺ニュータウンの人口が減り続ける一方で,千里や多摩ニュータウンは,人口が増加しています。行政の施策を含めて,春日井市の施策を一度立ちどまって総点検したほうがよいのではないでしょうか。ニュータウンに関するまちづくりを抜本的に見直す必要性を感じておりますが,市長はどのようにお考えでしょうか,お尋ねします。

市長(伊藤太君)

 抜本的にというようなことも含めまして,リ・ニュータウン計画をまとめ,そして今,推進しているところであります。そうした中で,当初リ・ニュータウン計画をまとめたときと,いろんな形での,例えばURさんとのいろんな打ち合わせ等がより進んできている。いろんなその種の状況の変化も来ているということであります。
 そういうことをしっかりふまえて,同時にまた多摩については,私が理解している範囲では,まずは,やはり首都圏への人口が非常に集中してきている。そして,その辺の影響が多摩のほうへ来ている。そして,多摩のほうが,あるいは千里のほうが高蔵寺ニュータウンよりも数年早く高蔵寺ニュータウンと同じような状況になってきている。そういうことで進んでいるということは,我々とすれば,多摩や千里をよく見て,またそれを見習いながら,しかし,一方では,春日井市だけではなかなかできないところがある。
 そういうことで,今,URともしっかりと打ち合わせをしながら進めているというところだと思っております。

末永けい

 今,URという話出ましたけれども,先般,平成30年12月にUR都市機構が策定したUR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョンの高蔵寺ニュータウンへの影響をどのように考えておられるのか,お尋ねをしたいと思います。

まちづくり推進部長(前川広君)
 UR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョンにつきましては,URの賃貸住宅がある藤山台,岩成台,高森台,中央台,岩成台西,高座台の6つの団地がストック再生に類型化されております。ストック再生は,高経年化に対応するためストック再生の実施により,地域及び団地ごとの特性に応じて建てかえ,集約,用途転換,改善といった多様な活用を行うものであります。
 さきに申し上げました6つの団地については,UR都市機構からは,今後,建てかえではなく,その他の手法でストック再生を図っていくと聞いております。また,高森台の団地集約では,退去者の方の移転先については,高蔵寺ニュータウン内での移転が約6割,高蔵寺ニュータウン以外の市内への移転が約2割と,UR都市機構からは聞いております。

末永けい

 住宅・人口フレームの検討を行う理由については,都市機能を維持するために将来必要な人口,住宅戸数との関係性を見きわめるために検討を行うという理由でしたが,そこで住宅・人口フレームを具体的にどのように検討していくのかについてお尋ねします。

まちづくり推進部長(前川広君)
 住宅・人口フレーム検討の内容につきましては,高蔵寺ニュータウン内のエリア別の人口,世帯,住宅分布等の現状を洗い出し,その現状に対して今後,本市やURの施策へ与える影響,センター地区の商業やバス交通といった経済面の成立性,適切な住宅配置などを整理し,今後の高蔵寺ニュータウンが都市として維持できる住宅や人口のあり方を検討してまいります。

末永けい

 人口の増減については,転入・転出のいわゆる社会増減と出生・死亡の自然増減があります。ニュータウンの人口減少の要因については,社会減と自然減のどちらの要因が大きいとお考えでしょうか,お尋ねします。

まちづくり推進部長(前川広君)
 人口の社会増減,自然増減の状況につきましては,住宅・人口フレームの検討作業におきまして,平成30年度の高蔵寺ニュータウン内の自然増減は,出生が約200件,死亡が約400件で,約200人の自然減となっております。また,社会増減につきましては,平成30年度の転入が約1,700人,転出が約2,000人で約300人の社会減となっております。
 高蔵寺ニュータウンの人口増減の要因につきましては,自然減,社会減のいずれも関係しておりますが,アンケート結果からは,特に社会減による影響が大きいものと考えております。

末永けい

 ニュータウンの人口減少は,社会減による影響が大きいとの御回答でした。それならば,いかに転入をふやすのか,あるいはいかに転出を減らすのかということを考えなくてはなりません。どのようなところにターゲットを絞るのか,強化すべき具体的な施策は何なのかなど,お考えについてお聞かせください。

まちづくり推進部長(前川広君)
 人を呼び込むためのターゲットにつきましては,さきに申し上げましたアンケート結果から,結婚や出生により,小さな子どもがいる世帯で高蔵寺ニュータウンに持ち家を求めて転入される方の割合が多いため,引き続き,主に若い子育て世帯をターゲットとしてまいります。また,強化すべき具体的な施策につきましては,計画の先行プロジェクトの高蔵寺駅周辺の再整備や旧西藤山台小学校施設の活用検討,展開プロジェクトのスマートウェルネスを目指した団地再生の推進を加速するとともに,今年度は情報発信プロジェクトの一環で,高蔵寺ニュータウン公式サイトをリニューアルすることを予定しており,若い世代向けにインスタグラムやツイッターなどのSNSとの連動を図り,若い世代への効果的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。

末永けい

 地価・家賃の動向についてです。
 人口のピークであった平成7年と比較して,高蔵寺ニュータウン内の地価標準地の5カ所では,それぞれ約50%下落しているということがわかりました。そこで,高蔵寺ニュータウンの地価の近年の傾向はどのようになっているのか。また,市内のニュータウン以外の地域と比較して,どうなっているのかお尋ねしたいと思います。

まちづくり推進部長(前川広君)
 市内の他地域の地価につきましては,勝川町3丁目,鳥居松町6丁目,白山町2丁目など,近年,上昇している地域が見受けられます。なお,高蔵寺ニュータウンの地価につきましては,さきに申し上げました標準地5カ所では,いずれも平成30年以降,地価は下げどまっております。

末永けい

 最後に,再び市長にお尋ねをいたします。
 春日井市内において,ニュータウン以外の地域で地価が上昇回復してきている地域もある中で,ニュータウンでは人口ピーク時に比べて50%も下落しており,地価標準地の5カ所,いずれにおいても,地価が下げどまったままになっています。このような状況もある中で,保有する土地や家屋を手放したらいいのか,維持したらいいのか,悩んでいる人たちが大勢いると思われます。
 地価の動向は,市民にとって関心が高いはずですが,市として,ニュータウンの地価が下げどまったままでよしとするのか,地価が上がるようにマネジメントしていくのか,市長としてはどういった考えをお持ちでしょうか,お尋ねをいたします。

市長(伊藤太君)

 地価につきましては,いろんな考え方だと思います。安いほうがより来やすいというところもあるでしょうし,また,土地を持っている人にとっては,より高くなる,資産価値が上がるということだろうと思っております。それは,全国のいろんな状況にそれぞれがあらわれていると思っています。
 そういう状況の中で,高蔵寺ニュータウンということだけを見れば,先ほど言いましたように,若い世代等は逆に来てくれているといういい面にも考える必要があると思っています。そういう中を総合的に考えながら進めていく必要があると考えております。

!何を根拠に「若い世代等は逆に来てくれている」と言っているのでしょうかぼけー「人口」「子育て世代の割合」が年々減少していることは計画の進行管理の数値を見れば明らかです。市長がこんな認識では市の担当課等が本腰を入れられず、ますます対応が遅れ、最終的に市民が損失を被ることになってしまいます。

 

【末永けい関連質問】

高蔵寺ニュータウンのURテナント(団地内貸店舗)の空き状況をしっかり把握し活用する考えはないのか

高蔵寺まちづくり会社(市が50.25%出資)にニュータウンの空き家・空き室を解消する目標値は?

リ・ニュータウン計画の目標値「人口」「子育て世代の割合」が年々減少。現行計画は対応できていない。