春日井市地域公共交通網形成計画(中間案)について

森都市政策課長 それでは報告事項Ⅰ、春日井市地域公共交通網形成計画(中間案)につきまして、お手元の資料「別冊1」にて御説明いたします。今回の中間案につきましては、多ページにわたっておりますので主だった点の説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。資料を1枚めくっていただきまして、目次をお願いいたします。
 本計画は、第1章と第2章で計画の概要と上位関連計画の整理を、第3章から第5章では都市や公共交通の現況・市民意向などを確認いたしまして、第6章で課題の整理を行い、第7章以降で公共交通の方針や施策などを記載しております。それでは1枚めくっていただきまして、1ページをお願いいたします。
 第1章 計画の概要、1-1 計画策定の目的でございます。下から2行目にあります、公共交通に関連する多様な主体が一体となった公共交通サービスの実現を目指し、策定するものでございます。
 下の1-2 計画の位置づけでございますが、第六次総合計画を上位計画とし、都市計画マスタープランや立地適正化計画といったまちづくり関係の計画のほか、地域共生プラン、高齢者総合福祉計画などの福祉関係の計画、あいち公共交通ビジョンなどの他自治体の関連計画と連携・整合を図り、策定しております。2ページをお願いいたします。
 第2章では、先ほど御紹介いたしました上位関連計画の整理といたしまして、15ページにわたりそれぞれ計画概要を示しております。16ページをお願いいたします。
 第3章 都市の現況では、人口の推移、高齢者の状況や移動実態などを整理しております。1枚めくっていただき、右側18ページを御覧ください。(2)の運転免許保有者の現況の左上のグラフでは、年齢別の運転免許保有率を示しておりまして、75歳以上の方は目に見えて保有率が少ない状況となっております。次に32ページをお願いいたします。
 第4章 公共交通の現況を整理しております。1枚めくっていただきまして、33ページをお願いいたします。上段には鉄道の運行状況を記載しております。表中、平日の上りの列で、括弧書きの中は朝7時から8時台の運行本数が記載してありまして、JR中央本線では、春日井駅で20本、高蔵寺駅で21本ございます。朝の通勤・通学時間帯においては、およそ6分に1本の運行がなされ、高頻度で運行しており、利便性の高い公共交通網となっております。1枚めくっていただきまして、右側36ページをお願いいたします。
 こちらは路線バスの運行状況が記載してある表となっておりまして、表中、運行本数の平日の列で上から3行目の高蔵寺ニュータウン線の石尾台南循環では1日62本が運行しているほか、主要路線は高頻度で路線バスも運行がされている状況でございます。次に39ページをお願いいたします。
 こちらは、公共交通の人口カバー状況でございます。少し白黒で見にくくて大変恐縮ですが、左ページは総人口におけるシティバスなど全ての公共交通路線でのカバー率といたしまして93%となっております。多くの市内人口をカバーしている状況でございます。また、右ページには、高齢者のカバー率を記載しておりまして、こちらは83%と、総人口と比較して10ポイント低い状況となっております。43ページをお願いいたします。
 次ページにわたり鉄道の利用者数の推移でございまして、令和元年度における市内のJR中央本線の乗降客数は、1日当たり約13万5,000人、名鉄小牧線は1万3,000人で、全体的に増加傾向となっております。次に47ページをお願いいたします。
 バスの利用者数の推移でございます。令和元年度における、市内の名鉄バスの利用者数は1日当たり約1万4,000人で、横ばい傾向となっております。右側48ページの中段のグラフでございますが、令和元年度におけるかすがいシティバス利用者は1日当たり約900人、毎年微増している状況でございます。少し飛びまして65ページをお願いいたします。
 4-4 バスの収支の状況、(2)かすがいシティバスの収支等でございます。中段のグラフ、かすがいシティバスの市負担金と収支率の推移では、負担金として毎年約1億4,000万円を市が負担しており、収支率は約23%前後で推移をしております。次に76ページをお願いいたします。
 4-10では公共交通の担い手の動向を記載しております。表中、一番上の線はタクシー運転手の平均年齢でございまして約60歳、中段の線はバス運転手の平均年齢として約50歳、一番下の線は全産業として約43歳となっており、タクシーやバスでは若い運転手の割合が少ない状況が伺えます。1枚めくっていただきまして、77ページには名鉄バスへの、右側78ページには市内タクシー組合などへのヒアリング結果の概要を記載しております。どちらもサービス提供上の課題としては、運転手の確保が必要であるとの結果となっております。1枚めくっていただき、右側80ページをお願いいたします。
 第5章では市民意向の把握としており、平成29年に行いましたアンケート調査と平成30年度に行いました地域懇談会での意見概要について記載しております。1枚めくっていただきまして81ページをお願いいたします。4ページにわたりアンケート結果が記載してありまして、82ページ右上では、シティバスの利用きっかけは「一度利用してみたら便利だった」と回答した方が多く出ている状況でございます。次に88ページをお願いいたします。
 第6章 公共交通の課題の整理でございます。このページでは、基本的な課題として4点記載しております。1点目は、周辺都市とのアクセス利便性の活用として、本市では特にJR中央本線と名鉄小牧線が高頻度に運行され、それに駅で接続する路線バスも整備されていることにより、名古屋市をはじめ全国各地への移動ができる利便性の高いネットワークが整っております。今後さらに生かしていくことが必要であるとしております。2点目は、地域特性を踏まえた高齢者をはじめとした市民の移動手段の確保として、公共交通の利用が不便な地域が存在することから、生活に必要な施設へ誰もが公平に移動できる手段の確保が必要であるとしております。3点目は、運転手不足の対応として、公共交通ネットワークを維持するためにはバス・タクシー事業者の運転手の確保が必要であるとしております。4点目は、公共交通の利用促進といたしまして、市民がより公共交通を意識して利用していただけるよう取組が必要であるとしております。1枚めくっていただきまして89ページをお願いいたします。
 このページでは、個別の課題の整理といたしまして、まず鉄道については、乗換えの利便性・安全性の向上として、利便性の高い鉄道と路線バスを円滑に乗換えできるよう、駅前広場などのバリアフリー化が必要であるとしております。その下、路線バスについては、鉄道との接続性の確保、バス停の周辺の安全性の向上として、鉄道駅における接続性を確保するとともに、バス停においてはバリアフリーに配慮した歩行空間の確保が必要であるとしております。また、かすがいシティバスについては、需要に応じたシティバスの効率性の確保や、右ページの公共交通のカバー圏域外における移動手段の確保などとして、効率的な運行や、周回時間が2時間を超え運転手の負担が高い東環状線の見直し、また、利用者が少ない北部線などでは運行方法の見直しの検討が必要であるとしております。次に、タクシー・民間自主運行バスなどについて、多様な交通手段の活用による生活利便性の確保といたしまして、個別需要にきめ細かく対応しているタクシーをもっと活用することや、既に地域に根づいているサンマルシェ循環バスなど、多様な交通手段と連携し、様々な需要に対して効率的に対応する必要があるとしております。また、需要に効率的に対応するため、様々な福祉政策との連携が必要であるとしております。最後に、公共交通の利用促進につきましては、利用機会の創出や満足度の向上が必要であるとしております。1枚めくっていただきまして91ページをお願いいたします。
 第7章では、春日井市の公共交通の方針を整理しております。(2)計画期間は令和3年度から7年度までの5年間としております。また、基本理念を、下から4行目、子育て世代から定住の場として選んでもらう、そしてこれからの社会構造の変化に対応した持続可能なライフタウンを構築する、これらの目標の実現を目指しまして、「心地よくつながる公共交通網」、副題として「より暮らしやすい“ライフタウン”春日井へ」といたしました。1枚めくっていただきまして92ページをお願いいたします。
 7-3 基本的な考え方では、四角の枠線に囲まれました一番上になりますが、「多様な需要に対応し続けるため、利便性の高い鉄道網と路線バスを活かして、市内の各拠点や周辺都市との移動の利便性を維持すること」としております。併せて「かすがいシティバスや多様なモビリティを活用し、地域の特性に合った交通手段により補完する体系的な公共交通網」の形成を図るなどとしております。
 右側93ページでは、7-4 公共交通の目標として、基本理念を実現するための目標といたしまして3点整理をしております。目標1といたしまして、「鉄道とバスによる利便性の高い公共交通網の形成」としており、春日井市の強みをより強くする目標としております。目標2といたしまして、「多様な交通の組み合わせによる市民の移動手段の確保」としており、移動しやすさを高める目標としております。目標3といたしまして、「みんなで支える公共交通の体制づくり」として、市民や交通事業者などが連携できるようなソフト事業的な目標を定めております。1枚めくっていただきまして94ページをお願いいたします。
 7-5 計画の目標値として、先ほどの3つの目標の達成状況を数値化して客観的に把握するため、9つの評価指標を設定しております。右側95ページから97ページにかけまして、この9つの成果指標の目標設定の考え方を記載しております。98ページをお願いいたします。
 7-6 将来の主な公共交通体系として図を掲載しておりまして、右ページの表では区分ごとの役割を整理しておりますので併せて御覧ください。図で、黒の太矢印、こちらは基幹路線でありまして、主要な鉄道を示しております。青色の矢印は基幹的なバス路線として名鉄バスの主要な路線を示しており、基幹路線である鉄道と接続し、主な都市施設や居住地を連絡している路線でございます。ピンク色の点線は地域生活バス路線といたしまして、かすがいシティバスを示しており、路線バスを補完し、市民病院や市役所などを連絡する路線でございます。また、右側表の下のイメージ図のように、①鉄道駅やバス停が近くにない地域や、②近くても高低差が大きい地域においては、地域住民や民間事業者とともに、地域生活バス路線などを補完する一定の地域内での移動を確保する、地域生活交通の導入を検討することとしております。そのほか、タクシーについては、図で示しておりませんが、路線バスや生活交通では対応することが困難な個別輸送にきめ細かく対応することができる役割として位置づけております。次の100ページをお願いいたします。A3横開きになっている資料でございます。
 第8章 施策・実施主体として、表の上段にはこれまで御説明いたしました基本理念・目標・評価指標が記載してございます。左下には、それらを達成するための手段として施策を記載しており、指標に対しまして特に寄与する施策を黒い丸、関係する・寄与する施策を白い丸として関連を整理しております。1枚めくっていただいて、101ページから施策の内容、実施主体、スケジュールを記載しております。主な内容といたしましては、1枚めくっていただきまして102ページをお願いいたします。
 こちらは、目標1の施策の一つ、路線バスサービスの維持として、基幹バスの路線と便数の維持・改善を図り、地域公共交通会議の意見を聴きながら、必要に応じて適切に支援をすることとしております。104ページをお願いいたします。
 目標2の施策では、1のかすがいシティバスの再編と、右ページ2の地域の実情を踏まえた移動手段の導入といたしまして、シティバスの北部線の見直しや、人口密度が高い居住地への経路変更の検討に併せて、地域に合った車両の導入や運行方法について検討することとしております。次に109ページをお願いいたします。
 こちらは目標3の施策の一つ、料金割引制度の拡充・周知といたしまして、交通事業者と連携し、乗継割引の適用可能手段の拡充などを検討することとしております。113ページをお願いいたします。
 中ほどに、6 地域で公共交通を支える制度・体制づくりといたしまして、地域の実情に応じた公共交通サービスの導入を図るため、現在牛山区で取り組まれている交通検討会のように、地域住民が主体となり、地域の公共交通の課題や今後の在り方について検討する組織づくりを進めることとしております。115ページをお願いいたします。
 第9章 計画の推進方法でございます。①計画の達成状況の評価の実施といたしまして、指標に基づき、目標値の達成状況を毎年評価し、改善策の検討を行うこととしております。
 以上、春日井市地域公共交通網形成計画(中間案)について御説明申し上げました。なお、この中間案につきましては、8月25日から9月24日までの期間でパブリックコメントを実施いたしまして、市民意見を踏まえた最終案につきまして、本委員会に報告をさせていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
末永けい
公共交通網計画に関しては、作成することを求めてきた経緯もありまして、今回こうして中間案全体を通じて、公共交通に係る詳細な情報や課題の整理、あるいは周辺自治体や各事業者へのヒアリングなどをしていただいているというふうに認識しております。その中で、本市の公共交通網をより便利なものに発展させていく施策を講じる上で有効なものとしていただくことを期待しております。やるべきこともだんだん見えてきて、実証実験なども行われていることというふうに思います。
 そこで、詳細について数点質問します。まず、64ページですが、こちらに記載がありますように、「バス停間の移動から、路線バスやかすがいシティバスが確保されていない、名鉄春日井駅やJR神領駅周辺の都市機能誘導区域と春日井市民病院との利用が少ない状況」、「ネットワークが整備されておらず、都市機能誘導区域と主要な医療施設の春日井市民病院間の利用がない」というふうに記載があります。これについて、各地域の声についてはどのように把握されているのかということと、市としてどのように対応していく考えなのか伺います。
森都市政策課長 地域懇談会などにおきまして、シティバスの充実など地域の声をいただいております。人口が集積しておりましても公共交通のカバー圏域外となっている下市場区、出川区において、神領駅周辺と市民病院までの移動需要を把握するための実証実験を現在進めているところでございます。また、一方、名鉄春日井駅周辺につきましては、現在土地区画整理事業が施行中でございますので、今後その進捗を見ながら検討してまいりたいと考えております。

(春日井市議会建設委員会 末永けい 質疑)

春日井市地域公共交通網形成計画(中間案) 


末永けい

公共交通網計画に関しては、作成することを求めてきた経緯もありまして、今回こうして中間案全体を通じて、公共交通に係る詳細な情報や課題の整理、あるいは周辺自治体や各事業者へのヒアリングなどをしていただいているというふうに認識しております。その中で、本市の公共交通網をより便利なものに発展させていく施策を講じる上で有効なものとしていただくことを期待しております。やるべきこともだんだん見えてきて、実証実験なども行われていることというふうに思います。  そこで、詳細について数点質問します。まず、64ページですが、こちらに記載がありますように、「バス停間の移動から、路線バスやかすがいシティバスが確保されていない、名鉄春日井駅やJR神領駅周辺の都市機能誘導区域と春日井市民病院との利用が少ない状況」、「ネットワークが整備されておらず、都市機能誘導区域と主要な医療施設の春日井市民病院間の利用がない」というふうに記載があります。これについて、各地域の声についてはどのように把握されているのかということと、市としてどのように対応していく考えなのか伺います。

森都市政策課長 地域懇談会などにおきまして、シティバスの充実など地域の声をいただいております。人口が集積しておりましても公共交通のカバー圏域外となっている下市場区、出川区において、神領駅周辺と市民病院までの移動需要を把握するための実証実験を現在進めているところでございます。また、一方、名鉄春日井駅周辺につきましては、現在土地区画整理事業が施行中でございますので、今後その進捗を見ながら検討してまいりたいと考えております。

末永けい
続いて77ページですが、名鉄バスのヒアリング結果の中で、JR高蔵寺駅を起点とする系統については「利用者は大きく減少している」というふうにあります。ほかの、勝川駅と春日井駅を起点とする系統については「利用者は横ばい」とありまして、47ページのほうに戻っていただくと、下の表に、高蔵寺ニュータウン線、玉野台循環線と、これはもう基準年の平成26年から落ち込んでいる状況も分かります。こうした状況をどのように要因分析をされているのか伺います。

森都市政策課長 明確な理由は不明なところではございますが、平成26年度と令和元年度の人口の推計と名鉄バス利用者数の推移、こちらを見てみますと、全市域では人口が0.5%増加に対し、路線バス利用者数は2.8%減少。高蔵寺ニュータウン内では人口が6.7%減少したのに対しまして、路線バス利用者数が8.8%減少しており、双方とも若干の路線バス利用者数減少が先行しておりますが、市全域と高蔵寺ニュータウンで比較的近い推移を示していることから、人口の推移が何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えております。

末永けい
48ページの上の円グラフを見ますと、名鉄バスの路線別の日利用者数の割合において、高蔵寺ニュータウン線は45%占めています。なので、利用者数が落ち込むということについては、採算とか公共交通を維持できるかどうかといった問題にもなりかねないと思いますので、今後注意を要するというふうに思いますので、よろしくお願いいします。
 それから最後に、実施している各実証実験についてですが、実用化に向けての問題点を検証することが実証実験の目的だと思います。しかし、コロナ禍という特殊な状況の中で、外出を控えていたり人々の行動変容が起きている中で、実証実験で得られるデータなどは有意義なデータであるのかといった点について心配をしております。実証実験が不十分なものであれば、実用化に向けて支障が生じないかということなのですが、コロナ禍における実証実験の在り方についてどのようにお考えなのか所見を伺います。

森都市政策課長 現在実施しております実証実験におきましては一定の利用があることから、得られるデータは有意義なものが取れると考えております。また、現在の新型コロナ感染症、コロナ禍というところで、今後、そういった感染症の事態が深刻化したり、利用者が見込めないなどの場合には、期間の延長や一時的な休止なども検討してまいりたいと考えております。

【参考】

令和2年度第3回春日井市地域公共交通会議

【末永けい関連質問】

「後期高齢者は、シティバスや公共交通を利用すること自体が非常に困難な状況」等の意見が出ています

地域公共交通網形成計画の策定について

デマンド交通を含めた新たな公共交通網を!各地域の課題・ニーズ抽出や公共交通会議の法定協議会化など

31万人市民の皆さまと新会派かすがい未来(浅野のぼる、末永けい、はせかずや)で春日井を変えよう!