公共交通を取り巻く環境が大きく変化をしているなかで、全国の市町ではデマンド交通が実施されています。春日井市においても市内各地区の市民の移動ニーズに応えられるよう導入を検討し、公共交通網の充実を目指すべく、上記項目について一般質問を行いました。(2018.12.12)

末永けい

 市内各地域では,高齢化が急速に進み,また,現代人の生活スタイルの変化も伴って,交通に対するニーズは多様化しております。今後,高齢化はさらに進んでいきますので,新しい公共交通網の形成は待ったなしの課題です。
 今日のまちづくりは,ハードやインフラをとりあえずつくって,それに市民生活を当てはめようとする時代ではありません。今日の市民生活のニーズ,ライフスタイルを基点に,ソフト面である交通政策をいかにしたら充実させることができるのか知恵を絞らねばなりません。
 春日井市役所では,本年度より交通企画担当が総務部からまちづくり部門に移管されました。コンパクト・プラス・ネットワークの考えのもと,まちづくりと連携した公共交通ネットワークを再構築し,高齢者や子育て世帯が安心・快適に生活できる都市環境をつくることが求められています。現在,担当職員の皆さんがデマンド交通など積極的に調査を行っていると認識しており,今後の展開に注目をしております。
 そこで,(1)市当局の調査研究状況についてです。
 私,そしてかすがい未来会派(※浅野、末永、長谷)は,かねてよりデマンド交通の実施を提案してきておりますが,デマンド交通について,市は現在,具体的にどのような調査研究を行っておられるのかお尋ねします。
 (2)市内各地域についてでございます。
 建設委員会では,この夏,千葉県市原市,静岡県浜松市のデマンド交通の取り組みを調査してまいりました。他市のデマンド交通の事例調査に行き,大変驚いたのは,地域住民が主役となって地域の公共交通システムを構築していることでした。
 市原市では,公共交通空白・不便地域において,地域で設立した住民主体の運営協議会を市がサポートする制度を構築しておりました。住民主体を明確化し,構成員は住民のみで,行政職員・交通事業者・学識経験者はアドバイザーです。私は自治会等の地域住民が主体となってこうした取り組みが生まれることに大変驚きまして,どういった経緯で地域住民が主体的にデマンド交通を実施することになったのか,視察先の市の職員の方に質問させていただいたことを記憶しております。市民が主体的に問題意識を持ち,デマンド交通の運営主体となり,行政がこれを支援するという市民自治・市民協働の名にふさわしいまちづくりが行われていると感じました。
 春日井市でも,地域でデマンド交通の仕組みが構築されるように支援が必要だと考えておりますが,利用者の乗り合い率が低いと財政的に成り立たなくなってしまうおそれがありますので,あくまでも住民主体の仕組みづくりが望ましいと考えています。
 春日井市としては,地域住民が主体的に民間交通事業者や行政と連携してデマンド交通を実施する道筋をどのように立てていくのか,地域のそういった機運をどのようにつくっていこうと市は考えているのか,お尋ねします。
 続いて,(3)地域公共交通網の形成についてです。
 地域公共交通網形成計画についても,かねてよりその策定を行うよう市当局に求めてきております。地域公共交通網形成計画とは,公共交通サービスの全体像や具体的なサービス水準を定め,その実現に必要な事業・実施主体を整理し,地域にとって望ましい公共交通ネットワークの姿を明らかにする計画です。現在,民間交通事業者等が参画している春日井市地域公共交通会議において,地域公共交通網形成計画の策定や地域公共交通会議の法律上の位置づけについてどのような議論がなされているのかお尋ねします。

 

(前川まちづくり推進部長)

 初めに,調査研究状況につきましては,今年度から市全体の交通について,組織横断的に検討するなどの取り組みを始める中で,デマンド交通に限らず,さまざまな交通手段について,豊明市,多治見市,長久手市,瀬戸市など他自治体の事例調査等をしているところでございます。
 次に,地域の機運を高める手法につきましては,現在,事例調査等を実施するとともに,さまざまな交通手段のあり方について検討しているところでございますが,今後,デマンド交通に限らず,どのような交通手段を導入するにいたしましても,地域公共交通会議等において検討してまいります。
 次に,地域公共交通会議の法律上の位置づけにつきましては,春日井市地域公共交通会議につきましては,道路運送法に基づき,春日井市附属機関設置条例及び春日井市地域公共交通会議設置規則により設置した組織でございます。また,開催状況につきましては,今年度は7月と11月に開催したところでございまして,第2回の会議におきまして,地域公共交通網形成計画作成の準備を進めることが望ましいと意見をいただいたところでございます。なお,現在,本市の地域公共交通会議につきましては,道路運送法に基づく組織でございまして,地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定される法定協議会ではございません。

 

末永けい(1)二回目

 市は他の自治体の事例調査をする中で,デマンド交通と路線バスやシティバス等の既存の基幹交通との役割分担についてどのような整理を行っておられるのか,市の考えをお尋ねします。

 

(前川まちづくり推進部長)

 今後,高齢者の多様なニーズをかすがいシティバスだけで対応することは非常に難しいと考えております。また,日常生活を支える名鉄路線バスやタクシーも厳しい経営状況であると聞いておりますので,先ほどもお答えしましたとおり,今年度2回開催いたしました地域公共交通会議において,本市に望ましい公共交通のあり方について議論を深めているところでございます。

 

末永けい

 地域でデマンド交通が実施される機運をどうつくっていくのかということについて,1回目の答弁では現在検討中ということでございましたけれども,何を検討するにしても,市民ニーズを起点に検討を行わなければ,絵に描いた餅になってしまいます。市内の各地域ごとに公共交通に係る課題・ニーズが異なるわけで,地域住民と一緒になって課題抽出や情報共有を行う必要があり,市当局としても市内各地域の細かい交通ニーズを把握する必要があると思います。
 もう一つの先ほどの建設委員会の視察先,浜松市では,地域が主役となって,地域の公共交通のあり方を検討する組織,地域交通検討会が設置され,地域・交通事業者・行政の三者が地域バス等の公共交通について協議・運営し,PDCAサイクルによって路線を維持,改善が図られておりました。
 春日井市では,どのように市内各地域の公共交通に係る課題抽出や情報共有を行っていく考えなのかお尋ねします。

 

(前川まちづくり推進部長)

 市内のさまざまな交通手段のあり方については,地域公共交通会議を開催し,議論を深めているところでございます。今後,具体的な進め方についても,地域公共交通会議にて議論を深めてまいります。

 

末永けい(3)2回目

 先ほど来話が出ています地域公共交通会議についてなんですけれども,現在,道路運送法に基づいて設置されている春日井市地域公共交通会議を地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定される法定協議会にすることによって,できること,できないことなど,現在の春日井市地域公共交通会議とどのようなことが変化するのかお尋ねします。

 

(前川まちづくり推進部長)

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律上の協議会は,地域公共交通網計画の作成及び実施に関し,必要な協議を行うための組織でございますが,道路運送法上の特例措置も受けることができるようになっており,両方の法に定める会議を兼ねたものとなります。

 

末永けい

 先ほど(1)の2回目にデマンド交通と基幹交通の役割分担についてお尋ねをいたしました。高齢者の多様なニーズをかすがいシティバスだけで対応することは非常に難しいと考える,日常生活を支える名鉄路線バスやタクシーも厳しい経営状況であるという答弁がありました。
 本市においても,多くの市民の皆様が不便を感じていて,交通事業者のほうも厳しい状況であるということで,持続可能な地域公共交通網をつくることは待ったなしの状況であります。やはりデマンド交通を新たに実施するなど,交通ニーズの多様化,市民の生活スタイルの変化に合わせた交通施策の発想の転換が必要だと思います。
 そこで,(3)2回目の答弁では,地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定される法定協議会は,地域公共交通網形成計画の作成及び実施に関し必要な協議を行うための組織で,道路運送法上の特例措置も受けることができるようになっており,両方の法を定める会議を兼ねたものになるという答弁をいただきました。
 本市の交通政策を前進させるために,今後,現在の春日井市地域公共交通会議を法定協議会にすることについて,市の考えをお尋ねします。

 

(前川まちづくり推進部長)

 第2回の地域公共交通会議におきまして,法定協議会の位置づけやあり方を議論し,その移行が望ましいとの意見をいただきましたので,現在その移行に向けまして準備を進めているところでございます。

 

ひらめき電球その後、春日井市地域公共交通会議に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく法定協議会の位置づけが加わりました。→平成30年度第3回春日井市地域公共交通会議議事録

(参考)

春日井市地域公共交通会議