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全部一人計画 その2〜撮影場所編

 自分一人だけでどこまで作れるのか実験してみよう! 出演者も自分一人だから、内容は「自分のプロモーションビデオ」だ!
 …そこまでは決まりました。

 しかし、冷静に考えてみると、技術的な課題云々以前に問題があります。

 全部一人でやるわけですから、撮影はカメラをどこかに固定(主に三脚でしょう)してセルフ撮影…。
 その「撮影風景」を想像してみると…あからさまに「変なヤツ」ですし、自己顕示欲の塊であることがバレてしまいます。

 また、映像はこのブログでも紹介していきたいので、私の顔は帽子とサングラスとマスクで隠す予定です(顔モザイクを入れるのも面倒なので)。…「変なヤツ」に加えて「怪しいヤツ」ですよね。
 家の近所でやろうものなら町内会の噂になっちゃいます。

 かと言って、自分の家の中だけの映像ではロングショットが撮れません。
 どこか見知らぬ土地で「旅の恥はかき捨て」といくか…?
 でも、これまたロングショットの場合、録画状態にしたカメラを残してフレーム内に収まる場所に移動しなければならくなります。その間に風や通行人がぶつかったりして三脚がひっくり返ったり、最悪誰かにカメラを持って行かれちゃったりする可能性もあります。

 さあ、どうしよう。

 結論。

 幸い、私の家は中層の分譲マンションです。
 駐車場や共用廊下、非常階段などもありますから、このマンションの敷地内で全てを撮影することに決めました。

 しかし、真っ昼間だと人の出入りもけっこうありますし、管理人さんが建物を巡回しています。まあ、一応私は“善良な居住者”として管理人さんには受けが良いので(笑)、「ちょっと撮影を…」と言えば「ああ、そうですか」言ってくれるかもしれません。でも、そのあたりは管理人さんの判断と言うよりはマンションの理事会の判断になる可能性も高いです。
 理事会で「建物内における、○○○号室のstudio7さんのおバカ映像の撮影について」なんてテーマが出されるのも好ましくありません。

 なので、管理人さんもおらず、他の居住者の出入りも少ない深夜の撮影をすることにしました(余計に怪しいというご意見は、無視します)。

 ところが、深夜となると当然暗いです。節電のために共用部分の照明は午前0時になると必要最低限のものを残して消灯されちゃうんです。
 何とか照明に工夫をしないと真っ黒な画面…または無理矢理感度をアップさせた粗い画像になってしまいます。
 …これについては、専門的な技術で解決出来る部分があるかもしれませんが、私にはそういった知識はありません。
 DIY用のハロゲンライトは持っていますが、共用部分のコンセントから電源を取るのはマズいですしね…。

 もちろん、深夜に派手な音を立てることも出来ません。


 この環境の中で、いかに撮影を進めるかということを考えていかなくてはなりません。
 そのあたり、「一人撮影」に限らず、予算もなく機材が揃えられない自主制作にはなんとか工夫で乗り切るしかない問題です。

 いずれにしても、マンション内部だけで撮影する!
 その範囲で可能な映像のコンセプトを考えてくという手順を組まねばなりません。

 「まず企画在りき」ではなく、「撮影条件在りき」というところからどんな映像に仕上げて行くかを決めていくという、かなり縛りのきつい作品ではあります。


 でも、とにかくは“実験の実験”…本当にこのマンションの敷地内で深夜の撮影が可能か否かということを確認してみないと先に進めません。

 次回はいかにも“実験っぽい”展開になる…かも。


全部一人計画 その1〜企画編

 これまでは私たちが3ヶ月前に完成させた作品を振り返ってきました。
 これからしばらくは、リアルタイムでの「実験」を展開してみたいと思います。

 以前の記事で「ノリが合う仲間が集まれば最高!」といったことを書いてきましたが、少ないメンバーであっても“集まって映像を作る”というのは一大イベントです。
 全員が揃わなくても基本的に撮影がある時には私が必ず参加していましたが、私たちのようなゆるゆる作品だったら「自分だけしか写らないシーンは自分で撮る」というやり方もあったのではないかと思います。

 そ・こ・で!

 実験として「一人だけで全てやる」というプロジェクトを思いつきました。

 企画から撮影から出演から編集から、とにかく全部自分だけで出来ないものか、と。
 また、勢いでハイビジョンビデオカメラも買っちゃったので、その機能を試すためにもちょうど良いプロジェクトではないかと…。


studio7の映像実験室-カメラ

 
 当然、出演者は自分一人だけですから、ストーリーがあるドラマを作るというのはさすがに大変です(不可能ではありません)。
 で、「自分のプロモーション・ビデオ(PV)」という設定にします。

 あ、今、「お前、すんげーナルシストだな」と思ったでしょう?

 当たり。

 そもそも、何かを作って発表をするという行為は自己顕示欲と自己満足が無いと出来ません。
 ブログやmixiの日記にしたって同じでしょう。単に自分の行動や考えを記録するだけなら、アナログ/デジタルを問わずに自分しか開かない日記帳とか手帳に書けば良いわけで、ブログとして発表する必要は無いはずです。
 「誰かに伝えたい」「誰かの役に立ちたい」「誰かに笑ってもらいたい」…この「誰かに…たい」という気持ちをブログというメディアにのせているのではないかと思います。商売としてやっているのでない限り、それは自己顕示欲と自己満足以外の何ものでもありません。

 また、「自分大好き」とか「自分大嫌い」とか、とにかく多かれ少なかれ自意識過剰な人じゃないと、そういうことってやらないのではないかと思います。

 当然、私は自己顕示欲の塊ですし、「自分が大好き」でもあり「自分が大っ嫌い」でもあります。
 開き直って「自分のPV」を作ることにします。
 まあ、もちろん、基本は内輪ウケ狙いですが。


 まず、「最長で1分、出来れば15秒でまとめる」ことにしました。
 いくら自己顕示欲の塊の私でも、オヤジ一人が延々と写っている映像を見せられたら飽きることくらいわかります。

 この長さの設定で、お手本となる映像も決まります。映画などの予告編です。
 予告編本来の目的は「お?本編を観てみたいなあ」と思わせることです。なので、いかにも「本編」がありそうな予告編風のものが出来れば理想ですが、まずそこは諦めました。
 あくまでも「一人でどこまで出来るか」という実験に目的を絞ることにします。

 また、テロップなどを入れる以外に、合成などの特撮は使わないという“縛り”もかけることにしました。
 …その方が、ネタとして面白いと思ったからです。
 「イイ歳こいたオヤジが、一人でアホなことをやっている」
 そんな風に呆れてもらえればOK。

 さて、次回からプロジェクトの始動です。


やっぱりトクサツ!

 私たちの映像は「ウルトラなお友だちの ウルトラなお友だちによる ウルトラなお友だちのための 誕生日&卒園記念パーティー」で上映されるものです。
 そうなると、やはりウルトラなテイストの映像にしたくなります。

 それで『ウルトラファイト』をお手本にした映像を本編として作ったわけですが、パーティー全体をウルトラな雰囲気にしたいというのが主催者であり映像のプロデューサーであるチビセブンさんの希望です。

 パーティーそのものの構成も、ウルトラなお友だち(大人も子どもも…)の協力でウルトラに楽しい雰囲気でした。

 我々映像チームも頑張りました。

 『ウルトラファイト』風の本編映像以外にもいくつかの映像を用意したんです。
 ウルトラテイストにするためには、まあ、本物の『ウルトラマン』などの映像を流すのが一番簡単ですし、子どもたちも喜ぶでしょう。
 個人のホームパーティーですから、著作権上も(ギリギリ?)可能だと思います。
 しかし、チビセブンさんは、お祝いに来て下さった皆さんへのお礼として、パーティーで流した映像をDVDにしてみなさんにお配りしたいという希望も持っていました。
 市販のDVD映像を沢山使うと、お礼用のDVDに収められるのは『ウルトラファイト』風映像だけ…3分足らずです。

 そこで、パーティー本番でも可能な限り“私たちのオリジナル”を作ることにしました。
 しかし、しかし…。「ウルトラマンが登場しないウルトラテイストな映像」…けっこう難しいものです。
 私たちはアイディア…というより「ネタ」を出し合いました。幸いにしてノリノリの顔ぶれですので、ネタの暴走は止まりません。

 しかし、しかし、しかし…。
 確かにそんな映像を流したら面白い、でもどうやって撮るんだよ~~~っ! …というネタのオンパレードです。

 わかりやすい例で言えば、パーティーの主役であるプチセブンくんが変身するシーン。このプチセブンというヒーロー(?)は、変身前も変身後も見た目が全く変わりません(笑) どちらも誕生日と卒園を迎える6歳の男の子の素顔のまんまです。
 そりゃあ、「ベータカプセルをかかげる」とか「ウルトラアイを装着する」というだけでも、ウルトラな参加者の皆さんは“変身シーン”だとわかってはくれますが、いまいち芸がありませんよね。

 『ウルトラファイト』風映像と同様に、ウルトラ作品へのオマージュ溢れる映像を作ることで参加者も楽しめるでしょうし、ファンとしてもウルトラ作品に対する(ある意味で)最大の敬意を表することになるハズです…たぶん。

それを実現するためには、特撮技術を使わなくてはなりません。
一方で「特撮」を入れることで、それだけでもウルトラな雰囲気になったりします。

 よ~し、やりましょう。
 …でも、特撮というと大変な設備・労力・専門知識・人材が必要です。それを同じように作ることは私たちには不可能です。
 そこで活躍してくれるのがパソコンです。

 具体的な技術などを振り返っても意味がありませんので、基本的には「何をやったか」ということを思い出してみることにします。

 今回の映像プロジェクトが始まった頃、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(以下、『超8』)が劇場公開されていました。もちろん、私たち全員がこの映画を(何回も)観ていますし、パーティー開催の頃はDVDも発売になっているでしょう。
 そんな状況だったので、多くはこの映画を“お手本映像”にしました。…ちょっとド素人が初めてやる映像のお手本としてはレベルが高過ぎたかもしれませんが…。


【オープニング映像】
 こういうのを冒頭に流すと、ホームパーティーが突然「イベント」っぽくなります(笑)
 『超8』の中で、『ウルトラマン』の放送が始まった時のシーンがあります。1966年という時代設定です。
 まずはスポンサーの“企業イメージ映像”が流れます。『ウルトラQ』や『ウルトラマン』は武田薬品の提供で、会社のロゴがど~んと屋上に掲げられた本社社屋を(たぶん)ヘリコプターから空撮した映像が♪タケダ タケダ タケダ~…という社名を繰り返すだけの歌詞が付いた音楽とともに画面に表れます。

 …これを、やりたい。

 スポンサーはもちろんチビセブンさん。まずはその本名と頭文字をあしらったロゴマークをでっち上げます。

 しかし、それを掲げるビルも無いですし、ミニチュアを作る時間もありません。

 そこで、3DCGを使うことにしました。
 3DCGというのは、大雑把に言うと「パソコンの中で、バーチャルでフルスクラッチで作ったキャラクターや小物や建物にバーチャルな照明を当ててバーチャルなカメラで撮影する」という作業です。
 形にしても質感にしてもいくらでも凝ることが出来ますし、リアルなものを作ることも出来ます。が、そのぶんデータが重くなってパソコンの処理にも時間がかかります。
 今回は「本物に見える」必要は全くありません。観てくれる人たちが「アレをやりたかったのね」と理解してくれれば良いので、“らしさ”が出れば十分です。
 とは言え、最初に作ったものはあまりにも寂しいものでした。



これに、空を少しリアルにしたり周辺の建物を加えて、同じくCGで作った“居間のテレビ”にはめ込み合成しました。
 さらに続けて『ウルトラセブン』風のメインタイトルが出ます。セブンのオリジナルは、板の上に砂で文字を書き、裏側から板を叩いて文字を崩していったものを逆回転にして“文字が現れる”ようにしたアナログ特撮です。が、そのセッティングをする場所もお金もないので、色々なソフトで加工しました。

 完成画像を紹介しようと思ったのですが、「アメーバビジョン」に画像をアップしたところ「著作権違反と判断されたため公開できません」というアラートが出てしまいました。
 パロディとは言え、映像も音楽も全くのオリジナルで、既製のキャラクターも登場していないのに何で?
 まあ、アメーバの基準から外れていると判断された以上仕方ありませんね。

 ついでに補足しますが、個人のブログなどでもネットで静止画・動画・音楽を使う場合、著作権法上の「私的使用」…つまり個人で楽しむ範囲の使用にはなりません。自分以外の誰かが作ったものをブログで使うためには、作った人本人などその権利を持っている個人または会社・団体(著作権者)から許諾を得なくてはならないんです。
 これは文章も同じです。
 例えば、この文章の著作権者は、私です。著作権法上“studio7の著作物”として保護されます。
 逆に、私が誰かのブログの文章を無断で使うことはできません。


 話を戻しましょう(^^;


【チビセブン変身】
 パーティー直前になってチビセブンさんから「何とかお願いしたい」との要請があり、静止画をベースに変身シーンを作りました。
 ウルトラセブンの変身シーンのオマージュです。
 セブンの変身シーンを思い出してみてください…ダンが「デュワ!」とウルトラアイを装着すると、両目から閃光(ネズミ花火を合成したそうです)が放たれ、顔の上半分から徐々にセブンへと変身していきます。
閃光以外、アナログかデジタルかを覗けば、恐らくほとんど同じ方法で作ったと思います。
 諸般の事情でキャラ入りの映像はご紹介できませんので、合成した閃光だけ…。



【エンディング】
 実は、作業としてはこれが一番大変だったんです。
昨年開催されたケイパパさんのご子息の誕生パーティーで、映画のエンディング…あの延々とスタッフの名前が出て来るヤツですね…をパロディにした映像を作りました。
 それは内輪向けの“文字ネタ”が中心で、同時に流れる映像は静止画を加工したもの…。一応Photoshopという静止画ソフトは長年使っているので、「出来ることは全てやった」というノリでした。

 ところが、今回は「やったことが無いことも全てやってみる」という形にバージョンアップしていました。
 我が家のソフトで色々なことが出来ることは知っていましたし、実験的に「ははあ、こんなことが出来るのか…」という映像を作ってみたこともありました。
 …ありましたが。
 ネタ出しの打ち合わせで『超8』のオマージュとなる映像にしよう、という方向になり、さらにロケもオリジナルと同じ場所(横浜界隈)で行うことが決定。そこで概ねどんなシーンになるかも共通認識が出来たと思います。
 …思いましたが。
 
 例えば、赤レンガ倉庫。
 『超8』には建物の向こうからキングゲスラが登場するシーンがあります。
 ド素人にはそれだけでも大変なことです。
 しかし、そういう映像にしないと、わざわざ赤レンガ倉庫まで行って撮影する意味がありません。

 まずはプチセブン君に「怪獣が出た!」という演技をしてもらいます。



 私はこれでOK出しをしてしまったのですが、ジョギングをしている人が写っていました。しかも、建物のガラスにもその姿が写り込んでいます。

 で、演技をしているプチセブンくんの部分だけを切り出します。



 これをジョギングの人が写っていない映像に重ねます。



 これで素材映像が出来上がりました。
 あとは「パソコン上の手作業」で、建物の輪郭に合わせて背景を切り抜き、別に撮った“マック怪獣”を合成します。
 それだけだと寂しいので、「パーティクル」という機能で作った水しぶきを建物の向こうに合成、さらに手前にもその水しぶきが振ってきた感じで「パーティクル」を入れます。
 諸般の事情で(またかよっ!)“マック怪獣”合成前の映像です。ホントは、ここに登場する“マック怪獣”がキモなんですが…。



 こんな感じで、変身時の光を入れたり人数を増やしたりした映像を作りました。
 4分20秒のエンディング映像で、12のシーンを入れてあります。
 カット数は33カットです。このうち特撮カットは22カットでした。

 しかし、「特撮ではない特撮カット」が一つありました。
 これこそが私たちの作品のテイストそのものです。

 怪獣映画に“逃げ惑う群衆”はつきものです。
 しかし、メンバーは四人しかいません。
 で、こんな映像を作りました。



 ご覧いただいて一発でわかっちゃうと思いますが、四人がカメラの周りをぐるぐる回っているだけです。
 このカットの前に怪獣出現の様子を入れることで、“逃げ惑う群衆”の出来上がりです。

 実は、ネタ出し打ち合わせの時に私が真っ先に「やりたい!」と申し出たのはこの映像でした。
 

 これまでに何度も繰り返し書いてきましたが、私たちは本格的な映像を作ろうとか、完成度を高めようとか、凄い技術を見せようとか、そういう気持ちは全くありませんでした。
 この“逃げ惑う群衆”の撮影方法は古くから(ギャグとしても)使われているものですが、私も含めてこういうノリが大好きなんです。

 なので、ついつい力が入って複雑な合成になってしまった映像などは、「どうでもいいシーンに凝りまくった」というネタとして使いました。


本来、特撮というのは「伝えたいイメージ」があり、そのための映像を普通の条件では撮影出来ない場合に使われるものです。
 ですから、通常は「特撮そのもの」が主役になることはありません。

 一方で、特撮というのはセンス・オブ・ワンダーにあふれた世界だと思っています。そこには様々な技術や工夫や苦労があります。

 そうした意味で、ソフトの機能に頼りきりの合成バリバリだった今回の映像は、私たちが考える特撮スピリッツが足りないように思っています。
 それでも「色々な方法を試してみる」という第一歩ではありました。

 今後、何か映像を作るにしても、私たちが本格的にやることは無いでしょう。
 でも、特撮に込めるべきスピリッツだけは忘れないようにしたいと思います。

【今回のレシピ】
 カメラ=Canon FV M1
 三脚=Sony VCT-870RM
 パソコン=PowerMacG4/iMac
 3DCGソフト=STRATA Studio Pro
 静止画ソフト=Adobe Photoshop CS3
 ビデオ編集ソフト=Apple Final Cut Pro 6
 ビデオ加工ソフト=Adobe After Effects CS3

編集は「神の視線」

 大仰なタイトルですね~。
 でも実際にそう感じました。

 今回の私たちの映像は実写なので「本物の人間」をコントロールすることになります。これは偉くなった気分になるのも仕方ないと思いませんか?
 
 今、「コントロール」という言葉を使いました。
 そうなんですよ。“既に済んでいる行動の記録”である映像なのにコントロール出来ちゃうんです。
 作業をしていてびっくりしました。

 本編の方は、ほとんど絵コンテどおりに撮って絵コンテどおりにつないだだけではありますが、それでも「撮影現場で起きたこと」とは異なったイメージを作ることが出来ます。

ありがちなパターンですが、こんなのはどうでしょう?



 ダーティー化したヒーローがカメラマンを殴るシーンです。
 「殴る構え」「宙を舞うカメラ」「地面に落ちるカメラと倒れるカメラマン」という3カットに効果音を加えてシーンを作りました。宙を舞うカメラが画面に現れるまでの“間”は、「単に青空で誤摩化すのかと思ったら、カメラが飛んでるよ」という効果を狙ったつもりではありましたが、テンポとしてはちょっと長過ぎたかもしれません。
 いずれにしても、当然のことながら「実際に殴ってはいない」ですし、カメラも「殴られた勢いでぶっ飛んだ」わけでもないですし、「偶然にもカメラが落ちるタイミングからちょっと遅れてカメラマンが倒れた」わけでもありません。
 でも、ああ、カメラマン、やられちゃったのね、ということはこれで伝えられたと思います。

 マトモに映像編集なんてやった経験は皆無に等しかったのですが、以前の記事で書いたように『ウルトラファイト』というお手本映像を参考にしたことでそれっぽいシーンを構成し(=絵コンテを作り)、撮影し、編集することが出来ました。
 このようなオリジナルには無いようなシーンでも、『ウルトラファイト』なノリをキープすることで全体を通して観ても違和感なくつながったんです。

 この完成映像を、畏れ多くも映像のプロにお見せする機会がありました…しかも三人。
 その中のお一人から「映像の流れや時間軸というものをちゃんとわかって編集してますね」と過分なお誉めの言葉をいただきました。かなり有頂天になった私ですが、よく考えたら“ちゃんとわかって”いたわけではなく『ウルトラファイト』の真似をしただけでした。Hさん、ごめんなさい。


 本編はそんな感じでしたが、いつの間にか作ることになったメイキング映像の編集には悩みました。
 お手本映像も絵コンテも無く、とにかくケイパパさんの視点で撮影風景がビデオに収められています。
 また、基本的に常時撮りっ放しでしたので本編よりも遥かに長い…。

 とりあえずは全ての映像を観ながら「ここぞ!」と思った部分をパソコンに取り込んでいきます。そこで何となく全体のイメージを、市販のDVDに入っているメイキング映像とドキュメンタリーとバラエティ番組を足して3で割ったような感じのパロディにしようと決めました。
 この作業から「編集」は始まっています。
 ケイパパさんの視点は可能な限り読み取って反映させるように努めたつもりだったんですが、もう映像をチョイスする段階でそこには私の視点が入ってきます。
 結果として、ケイパパさんが「映像って、編集次第で何とでもなっちゃうんですね…」と呆れるようなメイキングが出来上がりました。これ、ホントは編集担当としてはやり過ぎなんですが…今回のスタッフは誰一人として「ノリの暴走」を止める人間がいなかったもんで(^^;

 で、本編映像と異なり、「撮影風景をそのまま撮った」はずのメイキング映像も、編集によって真実を加工することが出来ちゃうんです。
 それがわかってしまったもんで、私のノリはますます暴走しました。
 ケイパパさんが撮った映像を素材にしてギャグ漫画を描くような感じです。


 私が砂浜に落とした絵コンテをケイパパさんが探し出してくれた時の様子を、プロデューサーのチビセブンさんがしっかり(ケイパパさんのカメラで)撮影していました。
 その映像がこれです。



 最初、ケイパパさんは歩いていたんですが、撮影されていることに気づいてイキナリ「走る」「手を振る」「転ぶ」という演技に出ました。いつも裏方に回ってくれていたケイパパさんの晴れ舞台ですので(笑)この映像は何とかメイキングに収めなくてはいけないと思いました。
 しかし、このまま使ってしまうと「studio7が大事な絵コンテを落とすという大失態をぶちかました」というイメージが強く残ってしまいます。それは避けたい…で、「感動的に演技をするケイパパ」というネタにしてごまかすことにしました。



 スローモーション、インサート映像、わかりやすい音楽という合わせ技です。これで私の失態よりもケイパパさんの名演技が皆さんの記憶に残ることでしょう…たぶん。
 あ、音楽はリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭部分ですが、記憶コピーをしてパソコンで作成してます…数年前に日本での著作権保護期間が切れたばかりの曲です。


 さて、手順を戻します。
 本編にしてもメイキングにしても、とにかく取り込んだ映像を大雑把にビデオ編集ソフトに並べて、刈り込んでいったり時系列を少し変えてみたりしてアバウトに編集します。
 そこで一度全体像を眺めてみると、大抵の場合、自分でも「長いなあ」と思うはずです。もし思わなかったとしたら、相当なセンスと時間感覚と技術を持っているか、ここまでの作業でアタマが疲れているかのどっちかでしょう。ほとんどは後者ですので次の作業は翌日以降にやることをお勧めします。

 また、つながりが悪い部分も見えてきます。今回の経験では「似たような構図のカットが並ぶ」「必要なカットを撮り損ねた(絵コンテ上では想定していなかった)」という理由でつながりが悪くなってしまったケースがほとんどでした。
 どうしても必要なカットを取り損ねたなら再度撮影をしなくてはなりませんが、「わざわざそのために皆に集まってもらうのもなあ…」というレベルなら、適当な映像を挟んでやることで解決することもあります…というか、今回は本編に関する限り撮り足しは1カットだけ…しかも全員が揃う必要も同じ場所で撮る必要も無いカットだけでした。残りは全てテープに残っている他の映像を挟むことで解決してしまいました。

 基本的には「岩に打ち寄せる波」の映像です。
 お手本映像である『ウルトラファイト』…無意味に波とか風景とかのカットが入る、というイメージを持っていました。なので絵コンテにも入れ込んでおきましたし、実際に数種類の波を撮影しました。
 が、自分で編集をしてみて決して「無意味」では無いことがわかりました。
 つながりが悪い箇所に「波」をちょこっと入れてやると、何となくつながって見えるんです。きっと『ウルトラファイト』も同じ理由で「波」が挿入されていたのではないでしょうか。

 「波」だけでは何ともならなかったところもありました。
そういう時は、未使用映像から適当な映像を探し出します。
 今回、「“チビセブン”に一度倒された“マック怪獣”が再度起き上がる」という映像が無いとどうしてもつながらないところがありました。かと言って、それだけのために撮り足しをするほど重要なカットではありません。
幸い、別のシーンで不要となった映像でごまかすことができました。多分他のスタッフも言われなければ気づかないはずです。

 
 とにかくお手持ちの映像があったら適当に編集してみてください。
 カット割りや音楽やテロップを入れることで、全くイメージの異なった映像が出来上がると思います。
 お子さんの『たのしいうんどうかい』が、ヒッチコック風サスペンスになるかもしれません…お子さんは嬉しくないでしょうが…。

 
 さ~て、ここまでで“本編”と“メイキング”を作ったことは書いてきましたが、実はパーティー向けに他にも色々作ったんです。
 ある意味「お手軽」なんですが非常に説明しづらい作り方なので、記事にしようかどうしようか考えているところです。
 
 
【今回のレシピ】
 カメラ=Canon FV M1/ケイパパさんのカメラ
 スタントカメラ=Sony DCR-TRV20
 三脚=Sony VCT-870RM
 パソコン=iMac
 ビデオ編集ソフト=Apple Final Cut Pro 6
 ビデオ加工ソフト=Adobe After Effects CS3(顔モザイク用)

リズムに合わせて

 さて、映像素材が揃ったところで、編集の前に音楽を作ることにしました。
 本当は編集が完了した段階でそれに合わせて音楽を入れるのが普通です。

 編集を担当するのは私でした。
 私は漫画サークル出身で、一応最大の得意技は漫画を描くことなんですが、仲間内からしばしば「コマ割りのテンポが悪い」と指摘されてきました。
 もっと言っちゃうと、母親から「(弟と比較して)あなたはリズム感が無いわねェ」と言われて育ったという…。
 関係無いハナシですが、そんな私でも大人になってから某祭りでお囃子をやってそこそこのポジションを築くことが出来たので、リズム感というのも訓練次第で何とかなるものなのかもしれません。

 で、編集ですが、映像の編集もテンポというのが重要なポイントの一つになります。

 そこで、先に音楽から入ることにしました。
 「このカットは4拍ぶんずつつなげていこう」とか「12小節目で場面転換」とかをやるわけではありませんが、BGMのノリに気分をシンクロさせればテンポ良く編集が出来るのではないかと思ったんです。

 あ、また余談です。

 20年くらい前に、テレビのオーケストラ番組の収録に立ち会ったことがありました。
 びっくりしたのは、番組のディレクターが台本ではなくて楽譜を見ながらカメラの切り替えなどの指示出しを行っていたことです。
 オーケストラ番組では「ここぞ!」というところでそのフレーズを奏でている楽器をきちんとアップで流さなければいけないわけですから、考えてみたら楽譜を台本代わりにするというのは当然ちゃ当然なんですが。


閑話休題。

多くの場合、映像には音楽がつきものです。敢えて言うなら音楽が無いシーンでも「無音」というBGMが流れているとも言えます。

音の有無によって観る人の体感時間というのは変わって来るものなんです。
試しに30秒の静止画像だけの映像を作ってみて下さい。
映像だけだと「30秒って長いなあ」と感じると思います。
そこにその静止画のイメージに近いような音楽を入れてみて下さい。
わりと30秒というのは短く感じるはずです。

 本格的な映像作品の場合シーンに合わせて音楽が作られたりしますが、単純に音楽を流しっぱなしでもずいぶんと雰囲気が変わってきます。

 私たちの作品のお手本映像である『ウルトラファイト』も本編では流しっぱなしの音楽にナレーションとちょっとした効果音が入るだけ。
 そのあたりもド素人の初作品のお手本としてはちょうどいい感じですね~。

 
 で、どんな音楽を付けるか?

 オリジナルの『ウルトラファイト』で使用されている音楽を使えば、そりゃ簡単ですしイメージもピッタリです。

 本当の本当に自分だけが楽しむためだけなら、オリジナルから引っ張ってきたり手元にあるCDから持って来るのもアリかもしれません。

 が、私たちは身内だけが対象とは言え上映をします。
 また、プロデューサーの意向により、パーティーに参加してくれた人たちへの御礼として、パーティーで流した映像とメイキングが収められたDVDを配ることが決まっていました。

 そうなると、うかつに市販のCDからそのまんま音楽を持って来ると著作権を侵害することになってしまいます。

 選択肢は四つ。

 まずは正規に著作権の手続きをとってオリジナルと同じ音を使うことです。国内の曲の場合、現状では日本音楽著作権協会(JASRAC)が窓口になっている曲がほとんどです。ただ、CDなどの商品の音楽を使うとなると、そのCDを作った会社からの許諾も必要になるので、けっこう大変だと思います。

 次に、著作権フリーの音楽集などを使うこと。そんなCDも販売されていますし、ネットで配信されているケースもあります。
 これは簡単と言えば簡単ですが、イメージ通りの音楽を探すのが大変です。また、使用条件が細かく設定されている場合もあるので注意が必要です。

 それから、既に著作権フリーになっている曲…クラシック音楽などですね…を使うこと。基本的には作曲者の死後50年を過ぎるとその作品は「パブリック・ドメイン(PD)=公共の財産」として自由に使うことが出来ます。ただし、上記のように市販のCDを使う場合はレコード会社に許諾を得なければいけません。

 最後は自分で作ってしまうことです。「手続き」という意味では一番簡単です。

 で、今回、ほとんどパソコンで『ウルトラファイト』と“良く似た曲”を作ることにしました。
 また、メイキングなどで既製の音楽を使った部分もあったのですが、それも耳コピーや記憶コピーをしてパソコンで作成…さらにピアノ譜などを参考にクラシック音楽をこれまたパソコンで…。

 私は『子供のバイエル(下巻)』の途中で挫折し、後は上記のように祭り囃子をやったくらいです。他に演奏できる楽器はありませんし、楽譜も読めません(“真ん中のド”から数えれば何とか…)。音楽理論も知りません。
 他のメンバーはけっこう音楽的に凄いです。
 チビセブンさんは学生時代にホルンを吹いていて、さらに指揮者に憧れていたそうです。
 ケイパパさんもまたホルン経験者で、なおかつギターやドラムセットまで持っていたそうです。
 マック&シュンカナさんはパンクバンドでギターとヴォーカルを担当していたそうです。

 が、今回の映像は最終的にデジタルでまとめることもあり、音楽ソフトやシンセや録音機を持っている私が音楽を担当するのが手っ取り早かったという…。その、弾けない・読めない・知らないというヤツが何でそんなモノを持ってるんだ、というツッコミはご遠慮ください。好きなだけです、スイマセン。

 …でも次回作では、他のメンバーがその能力を遺憾なく発揮してくれることと信じています。

 それはともかく、本編映像用としては『ウルトラファイト』のテーマ曲(何パターンかありますが、私は『進め!ウルトラマン』のイントロを使ったバージョンの印象が強かったです)に“よく似た曲”と、BGM用にこれまた印象が強かった非常に能天気なイメージの音楽に“良く似た曲”を作りました。
 メロディラインはオリジナルとかなり異なっているんですが、楽器の編成などを似せることでかなりイメージを近づけられることが判明しました。

 本編はずっとナレーションが入るので、BGMは“毒にも薬にもならない”ものが良かろう…ってか、もともとそんなのしか作れないわけですが、とにかく何となく流れているだけの単調な感じにしました。

 まず、極めてテキトーにリズムパートを作ります。あ、以下、音だけだと寂しいので動画も入れましたが、これは「Live Type」という“動くタイトル”とかを作るソフトのテンプレートを使ってさっき作りました。



 次に極めていい加減にベースラインを作ります。もともと3つのコード(和音)しか使わないことに決めていたので、それに合わせて同じフレーズの繰り返しです。



 今度はオルガンの和音を極めてアバウトに作ります。「C7(ドミソシ♭)」「F7(ファラドミ♭)」「G7(ソシレファ)」という三つの和音を循環させて♪チャ~ パッ パッというリズムで鳴らしているだけです。



 キモとなるメロディを極めてのーてんきに作ります。音源にはギターの音が色々入っているので、その中から一番『ウルトラファイト』のテイストな音を選びました。ほとんどデタラメに音符を並べ、明らかに変な音を取り除いていくという反則技を使いましたが、それでも変な音が残りました。もちろん、私たちはそんなことは気にしません。



 パートは以上4パートだけです。では、ミックスしてみます。



 え~、これをループさせて4分くらいの長さにしました。曲だけ聴いていると自分でも飽きます。今回の私たちの作品のサントラ盤を作ったとしても(作りませんが)、この曲は冒頭部分しか収めないでしょう。


 メイキングその他を含めて10曲くらい作ったのかな?
 中には編成だけはフルオーケストラという大掛かりな曲もありましたが、まあ、創作姿勢は似たような感じです。
 ただ、既製の曲を使ったところはオリジナルの作曲者への敬意を込めて私なりに一生懸命耳コピーなどをして頑張って作りました。もちろん、DVDへの収録のために既製の曲についてはJASRACから許諾を得る手続きをしました。

studio7の映像実験室

 
 とにかく、オリジナルをパクるかどうかは別にして、可能な限り音楽も自作することをお薦めします。
 私たちは今回パソコンを使った「デスクトップミュージック(DTM)」でやりましたが、“本編映像ではない映像”ではDTMのカラオケに合わせて総勢9人が歌う部分がありました。その録音は相当楽しかったです。スタジオなんか借りません。カラオケボックスに録音機を持ち込みました。
 個人的には、誰かが適当に作曲した曲をみんなが手持ちの楽器やら歌やら口笛やらで演奏するというのが理想です。とにかく楽しくやるのが内輪向け自主制作の基本でしょう。

 いずれ、音楽ソフトを使わずに我が家にある適当なモノを叩いたり吹いたりしただけという音楽も作ってみようかとも思っています。

 そんなこんなで、とりあえず編集のテンポのガイドとなるBGMは完成。
 今度こそ、いよいよ編集です。


【今回のレシピ】
 パソコン=Apple PowerMacG4、iMac
 音源=Roland Sound Canvas SC-8500
 録音機=KORG D1200
 マイク=SHURE SM58
 音をパソコンに取り込む機械=EDIROL UA-4FX
 音楽ソフト=Singer Song Writer
 音のとりまとめソフト=Apple Sound Truck Pro
 その他=卓上マイクスタンド
 ※ブログ用動画作成=Apple Live Type