編集は「神の視線」 | studio7の映像実験室

編集は「神の視線」

 大仰なタイトルですね~。
 でも実際にそう感じました。

 今回の私たちの映像は実写なので「本物の人間」をコントロールすることになります。これは偉くなった気分になるのも仕方ないと思いませんか?
 
 今、「コントロール」という言葉を使いました。
 そうなんですよ。“既に済んでいる行動の記録”である映像なのにコントロール出来ちゃうんです。
 作業をしていてびっくりしました。

 本編の方は、ほとんど絵コンテどおりに撮って絵コンテどおりにつないだだけではありますが、それでも「撮影現場で起きたこと」とは異なったイメージを作ることが出来ます。

ありがちなパターンですが、こんなのはどうでしょう?



 ダーティー化したヒーローがカメラマンを殴るシーンです。
 「殴る構え」「宙を舞うカメラ」「地面に落ちるカメラと倒れるカメラマン」という3カットに効果音を加えてシーンを作りました。宙を舞うカメラが画面に現れるまでの“間”は、「単に青空で誤摩化すのかと思ったら、カメラが飛んでるよ」という効果を狙ったつもりではありましたが、テンポとしてはちょっと長過ぎたかもしれません。
 いずれにしても、当然のことながら「実際に殴ってはいない」ですし、カメラも「殴られた勢いでぶっ飛んだ」わけでもないですし、「偶然にもカメラが落ちるタイミングからちょっと遅れてカメラマンが倒れた」わけでもありません。
 でも、ああ、カメラマン、やられちゃったのね、ということはこれで伝えられたと思います。

 マトモに映像編集なんてやった経験は皆無に等しかったのですが、以前の記事で書いたように『ウルトラファイト』というお手本映像を参考にしたことでそれっぽいシーンを構成し(=絵コンテを作り)、撮影し、編集することが出来ました。
 このようなオリジナルには無いようなシーンでも、『ウルトラファイト』なノリをキープすることで全体を通して観ても違和感なくつながったんです。

 この完成映像を、畏れ多くも映像のプロにお見せする機会がありました…しかも三人。
 その中のお一人から「映像の流れや時間軸というものをちゃんとわかって編集してますね」と過分なお誉めの言葉をいただきました。かなり有頂天になった私ですが、よく考えたら“ちゃんとわかって”いたわけではなく『ウルトラファイト』の真似をしただけでした。Hさん、ごめんなさい。


 本編はそんな感じでしたが、いつの間にか作ることになったメイキング映像の編集には悩みました。
 お手本映像も絵コンテも無く、とにかくケイパパさんの視点で撮影風景がビデオに収められています。
 また、基本的に常時撮りっ放しでしたので本編よりも遥かに長い…。

 とりあえずは全ての映像を観ながら「ここぞ!」と思った部分をパソコンに取り込んでいきます。そこで何となく全体のイメージを、市販のDVDに入っているメイキング映像とドキュメンタリーとバラエティ番組を足して3で割ったような感じのパロディにしようと決めました。
 この作業から「編集」は始まっています。
 ケイパパさんの視点は可能な限り読み取って反映させるように努めたつもりだったんですが、もう映像をチョイスする段階でそこには私の視点が入ってきます。
 結果として、ケイパパさんが「映像って、編集次第で何とでもなっちゃうんですね…」と呆れるようなメイキングが出来上がりました。これ、ホントは編集担当としてはやり過ぎなんですが…今回のスタッフは誰一人として「ノリの暴走」を止める人間がいなかったもんで(^^;

 で、本編映像と異なり、「撮影風景をそのまま撮った」はずのメイキング映像も、編集によって真実を加工することが出来ちゃうんです。
 それがわかってしまったもんで、私のノリはますます暴走しました。
 ケイパパさんが撮った映像を素材にしてギャグ漫画を描くような感じです。


 私が砂浜に落とした絵コンテをケイパパさんが探し出してくれた時の様子を、プロデューサーのチビセブンさんがしっかり(ケイパパさんのカメラで)撮影していました。
 その映像がこれです。



 最初、ケイパパさんは歩いていたんですが、撮影されていることに気づいてイキナリ「走る」「手を振る」「転ぶ」という演技に出ました。いつも裏方に回ってくれていたケイパパさんの晴れ舞台ですので(笑)この映像は何とかメイキングに収めなくてはいけないと思いました。
 しかし、このまま使ってしまうと「studio7が大事な絵コンテを落とすという大失態をぶちかました」というイメージが強く残ってしまいます。それは避けたい…で、「感動的に演技をするケイパパ」というネタにしてごまかすことにしました。



 スローモーション、インサート映像、わかりやすい音楽という合わせ技です。これで私の失態よりもケイパパさんの名演技が皆さんの記憶に残ることでしょう…たぶん。
 あ、音楽はリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭部分ですが、記憶コピーをしてパソコンで作成してます…数年前に日本での著作権保護期間が切れたばかりの曲です。


 さて、手順を戻します。
 本編にしてもメイキングにしても、とにかく取り込んだ映像を大雑把にビデオ編集ソフトに並べて、刈り込んでいったり時系列を少し変えてみたりしてアバウトに編集します。
 そこで一度全体像を眺めてみると、大抵の場合、自分でも「長いなあ」と思うはずです。もし思わなかったとしたら、相当なセンスと時間感覚と技術を持っているか、ここまでの作業でアタマが疲れているかのどっちかでしょう。ほとんどは後者ですので次の作業は翌日以降にやることをお勧めします。

 また、つながりが悪い部分も見えてきます。今回の経験では「似たような構図のカットが並ぶ」「必要なカットを撮り損ねた(絵コンテ上では想定していなかった)」という理由でつながりが悪くなってしまったケースがほとんどでした。
 どうしても必要なカットを取り損ねたなら再度撮影をしなくてはなりませんが、「わざわざそのために皆に集まってもらうのもなあ…」というレベルなら、適当な映像を挟んでやることで解決することもあります…というか、今回は本編に関する限り撮り足しは1カットだけ…しかも全員が揃う必要も同じ場所で撮る必要も無いカットだけでした。残りは全てテープに残っている他の映像を挟むことで解決してしまいました。

 基本的には「岩に打ち寄せる波」の映像です。
 お手本映像である『ウルトラファイト』…無意味に波とか風景とかのカットが入る、というイメージを持っていました。なので絵コンテにも入れ込んでおきましたし、実際に数種類の波を撮影しました。
 が、自分で編集をしてみて決して「無意味」では無いことがわかりました。
 つながりが悪い箇所に「波」をちょこっと入れてやると、何となくつながって見えるんです。きっと『ウルトラファイト』も同じ理由で「波」が挿入されていたのではないでしょうか。

 「波」だけでは何ともならなかったところもありました。
そういう時は、未使用映像から適当な映像を探し出します。
 今回、「“チビセブン”に一度倒された“マック怪獣”が再度起き上がる」という映像が無いとどうしてもつながらないところがありました。かと言って、それだけのために撮り足しをするほど重要なカットではありません。
幸い、別のシーンで不要となった映像でごまかすことができました。多分他のスタッフも言われなければ気づかないはずです。

 
 とにかくお手持ちの映像があったら適当に編集してみてください。
 カット割りや音楽やテロップを入れることで、全くイメージの異なった映像が出来上がると思います。
 お子さんの『たのしいうんどうかい』が、ヒッチコック風サスペンスになるかもしれません…お子さんは嬉しくないでしょうが…。

 
 さ~て、ここまでで“本編”と“メイキング”を作ったことは書いてきましたが、実はパーティー向けに他にも色々作ったんです。
 ある意味「お手軽」なんですが非常に説明しづらい作り方なので、記事にしようかどうしようか考えているところです。
 
 
【今回のレシピ】
 カメラ=Canon FV M1/ケイパパさんのカメラ
 スタントカメラ=Sony DCR-TRV20
 三脚=Sony VCT-870RM
 パソコン=iMac
 ビデオ編集ソフト=Apple Final Cut Pro 6
 ビデオ加工ソフト=Adobe After Effects CS3(顔モザイク用)